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府中鬼脚列伝

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府中の春の重賞では、武豊替わりで狂気が目覚めたスティンガーの京王杯スプリングCなどが鮮烈な記憶として刻み込まれている。
春の大イベントであるダービーでは、
ヒカルイマイ
アグネスフライト
キズナ
らが、印象的な末脚で人馬一体を体現した。

オークスは人気薄の追い込みの方が印象深い。ノアノハコブネ、エイシンサニー、ウメノファイバー…。
それまでで一番危ない勝ち方だったブエナビスタと5馬身差圧勝のジェンティルドンナも、一応後方一気の括りには入るが、うまく回ってこれたら、もっと差がついていたのかもしれない。

ツルマルボーイ、古くはフレッシュボイスが雨の安田記念で強靭な決め手を発揮して、GⅠ惜敗ロードに終止符を打ったシーンも懐かしい。
同じ距離なら、NHKマイルCレコード勝ちのダノンシャンティも唖然するほどの強烈な末脚で、ゴール前測ったように差し切ったのも凄いものを見たと、レース後は感嘆に浸ったものだ。

その中で最も究極なのが、未だに解せないピンクカメオの尋常ならざる超絶の追い込み脚。
いくら負け癖のついていた後のスプリント王・ローレルゲレイロ相手とはいえ、雨で時計を要する馬場でも、4角から押せ押せで上がってきた馬が、GⅠを勝つシーンは想像を絶するものがあった。

血は争えないものなのか。
何度も跳ね返されてきた安田記念の堅き門を重戦車の如き大外追い込みで、競走能力と引き換えに勝ち切った兄のことをすぐに思い出した。
ブラックホークとピンクカメオの兄妹にしかできない秘技でもあるのか。
でも、謎は謎のままにしておく方が、新鮮さが失われずに済む。詮索するなどナンセンスの極みである。

 

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