サトノチョイス
「次走については、現時点で未定」
サトノアレスは皐月賞11着の後、美浦トレセンそばのミホ分場へ放牧に出されていたが、大きな問題を抱えているような様子もないのに、帰厩後の藤沢調教師は、前走の疲れもあるだろうし…、などと、奥歯に物が挟まったような話しぶりで、悩み事があると暗に語るのであった。
NHKマイルCへの参戦は、2走続けて見せ場なしに終わっている点でほぼなくなっていたから、次の舞台は少なくとも5月28日の東京10R以降ということになるわけだが…。
一昨年は、ついにチャンス到来という好機を得て、弥生賞までは順調であったサトノクラウンという才能を抱えていた里見オーナー。
昨年はもっと注目される存在となったサトノダイヤモンドで、過去最大の大勝負に挑んだものの、落鉄とやや気落ちしていたルメール騎手のお上品すぎるアプローチで、鼻の差だけ栄冠を逃している。
少なくとも3頭いる手駒。
が、賞金面に不安のないアレスが今年不振なのに対し、高馬のアーサーは何とか賞金加算して調整期間もとれたから万全だが、似たように勝ち味の遅いクロニクルが京都新聞杯を勝ち切れなかったのに勝ち馬が出られなくなったことで、出走のチャンスを得られそうな状況に。
どうも会議でもして、優先順位をつけないといけなくなってしまったようだ。
アレスを管理する藤沢師とて、10数年前、7年前の口惜しい思い出を秘め、ダービー制覇への意欲を最近はあまり包み隠さず、しかし穏やかに語ることも増えた。
勝ちたいからこそ、名門厩舎にいい馬を預けたオーナーの心情もよくわかる。
幾度となく繰り返されてきたおじさんの悲願成就。今年は果たして。