セントウルS -予想-
ハクサンムーンが出てきた。
あまり比較にならない部分はあるだろうが、本来の形ではないアンバルブライベンを前に置く状況から、勝ち馬となったエアロヴェロシティを終始マークされる位置につけられながら最後まで懸命に走った前走の高松宮記念の走破記録は、
34.1-34.5<稍重>
パワー勝負に向きの傾向は出ているが、実績の最上位馬であり、また正攻法で戦える馬である以上中心視すべきだろう。ただ、
「近10年で3か月以上の休み明けの馬は壊滅状態」
という確度の高いデータもあるから、本命にするまではためらわれる。
ウリウリが、一気に充実期に突入したことを実感できるような走りで連勝しているその勢いをキープしながら、中山に向かっていってほしいと考える。
この馬は、ディープインパクト産駒の印象で、中距離近辺の競馬を3歳時などは使われて、現に2年前はローズSでも3着しているくらいで、実力もそれなりにあったわけだが、秋華賞敗退後は、素直にというか、マイル前後の距離を中団からいい脚を使ってという競馬でまずまずの結果を残して、ヴィクトリアマイルに挑んだ。
が、優勝まで狙える立場でありながら、16着と大きく敗れてしまったのである。
そこで、あまり結果の出せていなかった時でも、スワンSや阪神Cでは見せ場を作っていたことを考慮し、今年はヴィクトリアマイルではなく、恐らく得意だろうと思われていた京都の1400M戦・安土城Sに参戦。
そうしたら、超のつくほどではない程度の高速馬場でレコードタイムの1:19.0で快勝してしまったのだ。
これならいける。
CBC賞は無情の雨で、重馬場。
牝系には南米血統のブラッシンググルーム系や当地の大種牡馬サザンヘイローらが入っている。
この血統的根拠は、安土城Sの勝因をいくらでも後押しする材料ではあるが、この状況では…。
杞憂に終わった。
かつて一度だけ、身が入る前の3歳春に乗っただけの岩田騎手が、その後の大活躍を予感させる馬群を恐れぬ積極的イン強襲で、様々な課題を一気に解消させてしまったのだ。
馬も強くなった。
今年に入って、大きな体重の増減もなくなり、牝馬にしてはしっかりとした470kg近辺のたくましい体をキープし続けている。
揉まれたり、挟まれたり、前が詰まったり…。
想像すれば、牝馬には過酷な展開がいくらでも予想がつくわけで、人気に推されれば、相応の不利までは考慮せねばならないが、あまり心配しすぎるのは、不要な老婆心とも言える。
軸は固いとみて、相手候補の選定に力を注ぐ。
面白いのは、裏路線で連続して好時計を叩き出しているルチャドルアスール。
一本気な性格なのか、全競走の8割近くで先手を奪っている名うてのスプリンターだが、こんなところで人気になる理由がないから、返って気になる。
ストレイトガールやリトルゲルダなど、実力派の牝馬とのカップリングが本筋だという向きがあるなら、むしろ、ハクサンムーンあたりとやりあいになることを理解した中での粘り込みは、曲解ということもなさそうだ。
速いスプリンターがそこまで多くないことも、狙いたい理由だ。
2頭の強さが際立っていた主力多数輩出の北九州記念組は、今年は軽視して、その他の組へ流す。