ローズS -予想-
オークスというのは、牝馬のレース体系の中では、エリザベス女王杯の古馬開放及び距離の1Fの短縮による影響をより強く受ける形で、かなり異質なレース傾向を示すことが多い。
昔からそうだし、今もそれは大きく変化していない。
マイルで対応しきれなかったマイラーが、窮屈な競馬で力を発揮することが多いのが、ダービーとは決定的に違う部分。
クイーンCで、ないものまでなくしてしまったような大幅体重減の中後方一気で2着したミッキークイーンが、出世レースである忘れな草賞を無難に制した後、わけのわからないまま終わってしまった桜花賞1番人気のルージュバックを、鮮やかに差し切ったシーンなどは、桜花賞がいかに異様な結果で、本質的な能力を繰り出せたの馬がどれほど少なかったのかを如実に示していたように思う。
不思議なレースになった桜花賞と不思議な競馬になって何らおかしくもないオークスのそれぞれ好走馬が、最近は、丈夫というか、身体能力の増した総合的な意味合いでの高い能力を持つサラブレッドが多くなった影響もあって、相応の数、これも例年通りに顔を揃えた。
言わずもがな、オークスの再戦であり、プレ秋華賞の構図だ。
本来は、2歳女王も加わり、18頭のフルゲートでの争いになったのだろうが、オークス出走馬のうち、桜花賞を使っていた組は連続して掲示板に載った馬がおらず、ミッキークイーンの連続連対が継続している戦績が妙に輝いて見える一方、昨年のこともあるから、たかが1勝馬でもナメられたものじゃない上がり馬には、例年の水準より遥かに今後に期待を持てそうな存在が何頭もいて、一気に勢力図が一変するのではないか、というある意味では、ただならぬ空気と感じ取れなくはない状況だ。
また、万能性のある近年数多く出現していた超牝馬級のエースクラスもここにはいないとも言えるから、それなら裏路線組だろうということで、トゥザ-軍団の新たな才能の期待がかかるビクトリーの3連勝の確率はかなり高いと考え、本命に推す。
キングカメハメハ×トゥザヴィクトリーの血統背景は置いといたとしても、古馬との対戦で3戦2勝という好成績だということと、兄たちよりは幾らか下げた位置取りであっても、数字にこそ表れないが、大分自在性が見られる対応力の柔軟性が、かなり強みになりそうな気がする。
鞍上は、この兄弟への騎乗は数多くないが、父母とも若い頃の乗り味を知っている武豊騎手。
いつもと違う角居厩舎で、オーナーも違うことがこういう縁に繋がったことは容易に想像はつくが、知らないで差すのと、知っていて差すのとでは全く意味合いが異なるのが、この一族の特徴。
差せば詰めの甘さを露呈し、先行しても手応えのわりに伸びないというのが悪癖として、皆の知るところであるから、特段速い上がりをここまで使えていない点が死角になるだろうことは承知の上で、しっかりと正攻法でも、また差していっても最後まで伸びてこれるのであるから、一本調子の馬というレッテル張りはしないほうがいい。
能力だけなら重賞級でも…、の欠点が見受けられないのだから、こういう場面こそが狙い目のはずだ。賞金加算をきっちりして、より高いレベルの戦いに挑める態勢を整えたい。
阪神外回り。ディープの選択肢はよりどりみどりの状況だが、横ノリ替わりのアンドリエッテには、春とは違う展望を期待する陣営の狙いが感じ取れるので、戦績の安定感から対抗。
重賞好走馬には満遍なく流しつつ、福永&1勝馬のプレミオテーラーがステイゴールド的ジョーカーの気配がするので、ここまでは押さえておく。