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継承の成功者

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先達て、騎手の時代にはターフの魔術師とも称される巧みな手綱捌きでファンをうならせ、調教師としてもバンブーメモリーなどを育てた武邦彦氏が亡くなられた。
同じ道を進んだ歳の離れた末の息子二人は、沈痛な面持ちで葬儀に参列したことも大きく報じられた。

そんな稀代の名手を勝手に弔う気分になっていた一部外者が、ふと重賞年表を覗いてみたところと、現役時ライバルと言われた福永洋一元騎手と愛息祐一騎手の活躍とともに、恐ろしく勝負強く、でも、ちょっとツキがない感じまでそっくりな横山親子の栄光が、見事なコントラストとして浮かび上がってきた。
三者三様。子の代になっても、鎬を削る対戦構図に変化はなし。

各々の個性は、旧八大競走の未勝利記録に凝縮されているといっても過言ではない。
そして、それが案外えげつないデータを顕在化させることにも気づかされた。

桜花賞 典弘×
皐月賞 富雄、祐一×
天皇賞(春) 邦彦、祐一×
優駿牝馬 邦彦、洋一×
東京優駿 富雄、福永親子×

<宝塚記念 祐一×>
菊花賞 富雄×
天皇賞(秋) 邦彦×
有馬記念 富雄、福永親子×

親子制覇が必ず一組成立していること。父超えを果たしながら、どことなく縁のないところがよく似ていたりすること。
そして、
「親子制覇を各々2レース以上果たしているということ」

複製など滅多なことではできやしない厳しい世界において、まさに、異質の存在というべき3組の親子について思うのは、それぞれがサラブレッドを愛し、子は父を尊敬して、何とか父の域を追い越してやろうと必死に技術を研鑽していった戦いの稀有な勝ち残り組だということ。

数字上では父の立ち位置とは最低でも同格以上となった子たちは、それを成したからこそ、父と並び称される名手と世間に認知されるのである。
それをよく知っている子が、父のどこか一点でも自分のライバルとなり得る部分を見出したからこそ、今の位置があるように感じる。
血には抗えないとは言っても、そこに真っ向から立ち向かっていくのが己の成功の最短の道だと、どこかで確信したのだろう。
思い当たる節がないわけではないが、彼らのゴールはまだ先の方にある。


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