後藤浩輝騎手

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幸福の中の苦悩

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後藤浩輝騎手の自死から、早2年が経とうとしている。
実質的に、大きな出来事として語られる現在進行形の話となるのは、恐らく今年が最後だ。
だから、一所懸命にいい思い出を拾い集めた。どのレースが彼の思い出であったのだろうかと…。

ただ、
「悔しくないとおかしい」
ダイヤモンドSの落馬があって、翌日曜日の大活躍で気を吐いたのだが…。
楽しいというか、喜ばせてもらった思い出と同時に、何故?の部分の詮索も、証拠のようなものが新たに見つからない限り、いい加減にやめないといけない。
だから、その悔しさの大元を見つけて、今懸命に生きる騎手仲間に必要な心構えを結論付けるべきだと考えた。

後藤さんと家族ぐるみの付き合いだったという福永騎手は、某競馬サイトの連載の中で、落馬の覚悟を背負えなくなったならば、潔く鞭を置くべきだと、彼に助言していたという。
でも、辞めたくはなかったのだろう。
心と体のバランスが、一度は持ち直した日曜日から、金曜日の調整ルーム入りまでの時間で、完全に狂ってしまったのは間違いない。

また家族を愛していたのだろう。
何よりも大事な家族を守る立場にある一家の大黒柱は、何度となく生活に支障をきたすような大怪我をするうちに、守れないかもしれないという気持ちがはっきりと芽生えてきた。
気持ちの振れ幅が大きくなれば、幸せのゾーンからの落差もかなりのものになる。

この全く他人事ではない出来事に関して、表立って語ることはまだできない現役の勇者たちにかける言葉を選ぶならば、仲間意識を大事にする一方で、常にライバルへ発奮材料を与えられる緊張関係が根底になければならない、ということ。
自分に負けるのは仕方ないことだけれども、心の弱い部分を支えるのは、こういう世界の場合、負けん気を出せるかどうかしかないように感じた。
人の良さ、優しさは、仕事の特殊性に比例して、自身を苦しめるバイアスの主要因となる。

ただ、もう戦えないことの苦しみから、自分を責めることをしてはならない。
戦意とのせめぎ合いに束縛される人生を全うする中で、誰よりもドライに決断をする覚悟が求められる。
それができない騎手の末路は、実に哀れである。



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