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継承の成功者

読了までの目安時間:約 3分

 

先達て、騎手の時代にはターフの魔術師とも称される巧みな手綱捌きでファンをうならせ、調教師としてもバンブーメモリーなどを育てた武邦彦氏が亡くなられた。
同じ道を進んだ歳の離れた末の息子二人は、沈痛な面持ちで葬儀に参列したことも大きく報じられた。

そんな稀代の名手を勝手に弔う気分になっていた一部外者が、ふと重賞年表を覗いてみたところと、現役時ライバルと言われた福永洋一元騎手と愛息祐一騎手の活躍とともに、恐ろしく勝負強く、でも、ちょっとツキがない感じまでそっくりな横山親子の栄光が、見事なコントラストとして浮かび上がってきた。
三者三様。子の代になっても、鎬を削る対戦構図に変化はなし。

各々の個性は、旧八大競走の未勝利記録に凝縮されているといっても過言ではない。
そして、それが案外えげつないデータを顕在化させることにも気づかされた。

桜花賞 典弘×
皐月賞 富雄、祐一×
天皇賞(春) 邦彦、祐一×
優駿牝馬 邦彦、洋一×
東京優駿 富雄、福永親子×

<宝塚記念 祐一×>
菊花賞 富雄×
天皇賞(秋) 邦彦×
有馬記念 富雄、福永親子×

親子制覇が必ず一組成立していること。父超えを果たしながら、どことなく縁のないところがよく似ていたりすること。
そして、
「親子制覇を各々2レース以上果たしているということ」

複製など滅多なことではできやしない厳しい世界において、まさに、異質の存在というべき3組の親子について思うのは、それぞれがサラブレッドを愛し、子は父を尊敬して、何とか父の域を追い越してやろうと必死に技術を研鑽していった戦いの稀有な勝ち残り組だということ。

数字上では父の立ち位置とは最低でも同格以上となった子たちは、それを成したからこそ、父と並び称される名手と世間に認知されるのである。
それをよく知っている子が、父のどこか一点でも自分のライバルとなり得る部分を見出したからこそ、今の位置があるように感じる。
血には抗えないとは言っても、そこに真っ向から立ち向かっていくのが己の成功の最短の道だと、どこかで確信したのだろう。
思い当たる節がないわけではないが、彼らのゴールはまだ先の方にある。

 

コラム

2016年 2歳馬選定 新馬・未勝利総括

読了までの目安時間:約 3分

 

やけに気になる1800勝ち上がり組が多い。ざっと記していく。
7/31 ソウルスターリング<牝> 札・新 父フランケル
8/6 レジェンドセラー 新・未 父ルーラーシップ(新馬・イブキの2着)
8/7 ランガディア 新・新 父キングカメハメハ
〃  ミラアイトーン 小・新 父ロンロ
〃  インヴィクタ 札・新 父ハービンジャー
8/13 ニシノアモーレ<牝> 新・新 父コンデュイット
〃  アダムバローズ 小・未 父ハーツクライ(新馬・キャスパリーグの2着)
8/27 ジュンヴァリアス 新・未 父デュランダル(前走・中京2歳S4着)

が、28日小倉デビューのヴァナヘイム<キングカメハメハ×グルヴェイグ>が楽勝してしまったから、序列ができてしまった。
無論、まだ成長途上なわけだが、母マリーシャンタルのランガディアや母ニシノマナムスメのニシノアモーレなどは、分かりやすいクラシック血統で、重しとなるナスルーラの芝血統の入り方の差がかなり興味深い。
現時点では、在来牝系の馬に自在性のアドヴァンテージがあると思う。

週末の札幌にはインヴィクタが登場するが、芝2戦目のトラストもいるから、先月評価したアドマイヤウイナーなど、川崎の才能との対決を注視したい。

小倉2歳Sはレーヌミノルで大丈夫そうだなと思っていたら、翌週にメイソンジュニアというスケールの大きそうなアメリカ血統の馬が登場した。
理屈の上では、新馬戦から差して勝ったレーヌミノルの方が評価されるべきだろうし、函館ではそういう結果になった。
ただ、大物であるかどうかも重要で、メイソンジュニアには奥行きの深さを感じさせる先行力がある。
北海道で1200戦を2-1着としたアンジュデジールも、ディープ産駒で母系も大物が出そうな配合だから、意外と侮れない存在か。
九州産の星・カシノマストは、今ならそれらと伍して戦えるだろう。

スマートファルコン牝駒のビーチマリカとゴールドアリュール産駒のエピカリスは、どの時期のダート新馬に出てきたところで、きっと期待に応えていただろうから、クラシック向きではないけれども注目したい。
結局、ダート馬の方が長く応援できる。

 

コラム

日・元伊の2強対決・WAJS

読了までの目安時間:約 2分

 

良馬場の札幌。全4戦のワールドオールスタージョッキーズの初戦は、2600Mの腕比べ。
巧みな手綱捌きで人気に応えた岩田騎手と、元芝馬の才能を再び引き出した武豊騎手の鮮やかな着拾いが、ファンの心を掴んだ。

2戦目も駆け引きが目を惹いた2000M戦。
このシリーズにありがちな穴馬の決着は、兄M.デムーロの十八番である中距離戦での積極策で逃げ切り。
またしても武豊騎手が内からすっと抜け出しを図るも、また届かずの2着。
皐月賞や札幌記念で好成績を収めている両者らしい、勝つための競馬ができていた。

マジックマン除外の翌日曜日の第3戦<1200M>でほくそ笑んだのは、断然人気の武豊とその隣から一発を狙ったミルコだった。
イッテツの競馬ぶりに進展があったことで、かなり丁寧に乗った武騎手は、じっくり追い出しを待ってから仕掛けるも、外から先行馬の動きを見ながら仕掛けたデムーロ&クリノハッチャンに有利な展開に。
ペースが落ち着き、勝ち馬の末脚が活きた。

この時点で、最終戦の騎乗馬のレベルから、ほぼM.デムーロ騎手優勝は決まっていたが、最終の1800Mは違った展開に。
直線雁行状態の大外から、芝など前日乗ったのが殆んど初めてという永森大智騎手騎乗のメイクアップが快走し1着。
またしてもやってきた元芝馬のランドオザリールを駆ったC.ウィリアムズの積極策からの逃げ粘りで、馬券は大波乱。
ただ、あまりにも小回り上手の2人が目立っていたから、これはこれで楽しかった。

なんでもありだったモレイラ騎手が最後に3着したが、餅は餅屋という結果に。
この刹那の夏の共演をもって、秋シーズン開始のホイッスルが鳴らされた。

 

ニュース

新馬2016<8/27・28>

読了までの目安時間:約 3分

 

少しはまともな気温に落ち着いた今週は、1日1鞍×3で計6鞍の新馬戦が行われた。

土曜日は1200戦が2つ。
今週も小倉が発走順で最も早く行われた。
そこで勝ったアオアラシは、軽いミスプロの代表格たるアルデバランⅡの影響か、器用にインから差してきて、2着に2馬身半差つける圧勝で初陣を飾った。
マイル以上に向く母系の配合からも、時計の限界はありそうだが、強かったのは間違いない。
札幌では、外国産馬のリエノテソーロが上手な競馬で、ゴール前抜け出した。
配合相手に困らないアウトヘイルトゥリーズンの主流偏在の配合だから、楽しみは今後も長続きしそうな牝馬だ。

新潟のマイル戦を制したルートディレクトリは、速い上がりの競馬を中団前目からの成功の抜け出しで勝利したのだが、タートルボウル×シンボリクリスエスのイメージよりはタフさを感じさせない、すんなりしたレース向きの印象で、来年の新潟でまた出番ありというタイプかもしれない。
ライバルが少しデビューが早かった印象もあって、低調だった。

日曜日は、新潟2歳Sと小倉1800でデビューするキンカメ×グルヴェイグのヴァナヘイムを見るというのが、ファンの楽しみだった。
あいにくの雨模様で、芝は稍重。しかし、スムーズに中団外目につけ、馬場を考慮した早めの仕掛けで動いて行けたから、その時点でゲームセット。
直線追うこともなく、こちらも祖母シンコウラブリイの名血・ディランフィールドを子供扱いだから、むしろ、そちらの精神面の方が気になるくらい。
勝ち馬の課題は、坂のあるコースでの時計勝負だ。

新潟芝1200戦は、最後は評価がまるで違う同士の一騎打ちになり、上位人気に支持されたダノンハイパワーが競り落とした。
グロリアスソングの3×4を持つ同族配合で、ヘイローのクロスも継続させ、意図的にスピード型にした印象あり。
札幌ではダート1700戦が行われ、人気のブルーヘヴンの暴走気味の逃げに同等評価を受けていたリガスの好位付けも裏目となり、それらを唯一追い上げていったサリーバットマンがごっつあんする展開に。
勝ち馬は父スクリーンヒーローで、乱戦向きだったか。

 

レース回顧

1番人気敗退の復習②

読了までの目安時間:約 3分

 

新潟2歳S

2歳重賞というのは、勝つのもさることながら、その評価というのが最も重要であったりもする。
広々コースのマイル戦。
今は同じ時期に札幌2歳Sが行われるから、ちょっと分散するかと思いきや、3年前は後の牡牝のギニーウイナーによるワンツーだったので、むしろ、出世レースとしてのスタンスは、札幌戦の開催時期繰り上げにより、いくらか新潟の方が重要度の点で逆転したところもある。

だから、1番人気は改修後、マイルになってからの14回が【7223】で、この時期に多頭数のレースになることも踏まえれば、驚異的な連対率と言える。
4着以下の3頭は、
・タケミカヅチ 皐月賞2着 ダービー卿CT優勝
・クリーンエコロジー アクアマリンS<1600万下>
・メイショウオオゼキ 現役2勝

12年のメイショウオオゼキはレコード決着の4着馬。上位入線馬はほとんど尻すぼみの戦績だから、彼も力負けの上、燃え尽きたのでは思っていたら、先週日曜の小倉で激走していた…。
あとは活躍馬ばかり。ジャスタウェイも断然人気を裏切るも裏路線から力をつけていき、ショウナンパントル、イスラボニータらは人気馬に食らいついて、後の活躍に繋げた。
やはり、人気を信用した方がいい。

キーンランドC

牝馬が7勝。その人気が4、4、2、1、4、3、8番人気で、1、2、6、6、1、1、9番人気が相手の2着馬。
そのほとんどの組み合わせは牝馬同士で、昨年を除くと、1、2番人気馬との中穴の買い目が基本だから、牝馬を軸にすると効率的に回収率を上げることができる。

一方、
07ローレルゲレイロ
08キンシャサノキセキ
10ビービーガルダン
15ティーハーフ
らは、人気になって連を外した牡馬勢。全く弱くない。こういう時は牝馬が絡もうが絡まなかろうが、かなりの確率で荒れてしまう。
牡馬が怪しいというより、牝馬が有利な時に牡馬が人気になると何かが起きるのである。

08年、15年くらいしか波乱の年はないうえに、人気が実力相応の評価であるから、洋芝適性が一番重要ということなのだろう。
1番人気惨敗に馬には、不思議と洋芝適性のあるA級スプリンターが多い。戦う中で、その適性が薄れてしまったのか。
意外と謎は深い。

 

コラム

夏の空白地帯

読了までの目安時間:約 3分

 

サマーシリーズの拡充に、出世レースのダート重賞が2戦もありながら、夏競馬に物足りなさを感じるのは、芝の3歳限定戦がないことも要因だろう。

トライアルが今年から牡牝とも重賞が2戦ずつとなるから、優先出走権も6頭確保されるので万全と言えばそうなのだが、秋のクラシックには上がり馬がつきものだから、そのチャンスの拡大と賞金加算の両方である程度プレマッチの意味合いのあるレースの増設には、違和感なく受け入れられる状況にあると思う。

11月に最終戦があった時代は、9月に東西のトライアルがあって、10月にもそれらを統合する最重要前哨戦という位置づけのトライアルが存在した。
今はそれはできない。何せ、9月の最初の週までは、夏のローカル開催だからだ。

ただ、上がり馬には夏休みはない。
タケノベルベットが7月の中日スポーツ賞4歳Sからの直行でエリザベス女王杯を勝って以降、10月に3歳タイトル最終戦が施行されるようになってからというもの、休み明けは基本的に消し。
秋華賞は女王杯より400M短縮されて2000Mで行われているから、オークスからの直行は成功しているが、その他は7月後半以降のレースを使われていないとダメ。

菊花賞は言わずもがなであるから、春のクラシック組のためというより、ダービー、オークストライアルのオープン特別のような救済レースを設定するのは悪くないように感じる。
レパードSの成功を大いに肖りたいところだ。

ここ数年輪をかけて高速化の進む京都戦との兼ね合いを考慮すると、似た作りの小倉と新潟が理想。
その2000Mと2200Mを第一候補に、札幌の2000Mも北海道戦の活性化の効果を期待した次点候補に挙げておく。

重賞を作るのは大変だが、ノングレードは基本的に主催者の裁量で自由に設定ができる。
昔のレース体系がいいということではなく、客観的にみた3勝目の価値とその後の古馬戦における優位性を3歳馬に与えることは、古馬優勢の日本競馬の基本的立ち位置をいい意味で揺るがせる可能性を秘める。
極論、これを凱旋門賞の前哨戦に使ってもいいのである。

 

コラム

ラストは香港

読了までの目安時間:約 2分

 

先日の札幌記念で同僚の激走に足を掬われる格好で2着と敗れたモーリスが、予定通り次走は秋の天皇賞に向かい、年末の香港国際競走への参戦を以って、現役を引退することが決定した。

「天皇賞(秋)にいくしかないでしょう」
オーナーである吉田和美氏の夫で、ノーザンファーム代表の勝己氏はそう語り、続けて、
「札幌記念は馬場もあるだろうけど、馬も緩かった。今度は牧場にいるときからしっかり負荷をかけていくし、大丈夫ですよ」
と、巻き返しにも自信をのぞかせた。

なお、天皇賞での鞍上が不透明ということで不安視もされていたが、現時点では、昨秋2戦でコンビを組んだR.ムーア騎手へオファーをかけ、再結成が実現すれば、この秋もまた、彼の神騎乗を目撃するチャンスが生まれる。
香港に関しては、こちらも2度騎乗しているJ.モレイラ騎手との2択になりそうな状況で、ファンの心配は杞憂に終わりそうだ。

日高の小さな牧場で生まれた社台とメジロの名血を凝縮したトレンドの配合のモーリスは、2歳秋のデビューから、ど派手な競馬の内容でファンの心を掴んできたが、物語もクライマックスに差し掛かってきた。
ここ2戦の内容が、体調面の不安から来る明確な敗因のあるレースと断言できるかと問われれば、その答えは残り2戦で判然とするだろうとしか言えない。
故に、陣営は自信を失って、闇雲に距離を求めるような使い方をしたわけではないと、今は力の証明のために闘志を燃やしているのであろう。

完成されたマイラーにとって、2000Mのタフな攻防が望ましい舞台設定であることは、歴史が証明をしている。

 

ニュース

2016年 サマーシリーズ最終戦展望

読了までの目安時間:約 3分

 

まずはマイル路線から。
4歳のヤングマンパワーが、例によって中京記念の非連対馬を連れてくる流れを作り、完調ではなかったマジックタイム以下、ここで格好をつければ後々楽しみの増えただろう面々を完封した。
流れが馬に合っていた、騎手が乗れていたなど好条件がかみ合ったのは間違いないが、中山でも酷斤にはならないだろうから、出てくればほぼチャンピオン確定。
ガリバルディは、そこをヤング回避でチャンスが生じる。
京成杯AHを勝てそうな馬はここまでは出ていなかったように思うし、どちらかに凱歌が上がりそうだ。

スプリントシリーズは、ベルカントが昨年やりたかったローテで3-1-2。
実質、これ以上のパフォーマンスを期待できる馬はいないし、その他のここまでの勝ち馬は穴馬なので、これから逆転が起きるとなると、ベルカントに負けた馬、接戦を演じた馬がセントウルSを勝つということ以外はない。
キーンランド優勝→セントウルS掲示板でシュウジの大逆転優勝という奇跡しか、今のところ思い浮かばない。

モーリス登場で盛り上がった札幌記念は、函館記念6着のネオリアリズムの快勝で、例によって特別枠、サマーシリーズとは連動しないだろうという展望。
マイネルミラノがそこに登録せず、トランスワープのような成功パターンを踏襲する形で、昨年と同じく新潟記念へ参戦する見込み。
小倉記念があまりにも残念なレベルであったから、本州組の代表馬は七夕賞で重賞2勝目を上げたアルバートドックに限られ、非常にわかりやすい対決構図になりそうだ。
戦績はお互いテレンコだが、追う者の強みが活きそうな流れには思う。マイネルが昨年2着でなければ、厳しいマークは想定されなかったのだが…。

騎手はまだ流石に流れが見えないが、まあ、ミルコV.S.戸崎の昨年と似た構図で推移しそうだ。
意外とコンスタントにポイントを重ねているデムーロ騎手と、意外と勝ち負けはっきり分かれる戸崎騎手。
北九州記念2着で、ミルコのやる気がなくなったら、騎手ランキング同様の逆転が必然的に起きるだろう。
今年の戸崎騎手は、自分がイケると思ったときはきっとほとんど負けていないと思う。

 

コラム

新馬2016<8/20・21>

読了までの目安時間:約 3分

 

台風増産体制の影響をもろに受けた札幌は、今週ついに道悪の競馬となってしまった。
稍重の時に行われた土曜日の1500M戦は、人気馬の上位独占で、断然人気のレッドアンシェルが圧勝。
マンハッタン×ストームキャットで食わせ物も多いが、平坦洋芝の鬼なのは間違いない。

本州の3戦は、逆に断然人気馬が馬群に沈む展開。
1枠でダッシュつかずの人気馬に対し、オーソドックスな逃げ切りで小倉1200を逃げ切ったのは、ジャンポケ×タキオンのクリノヤマトオー。今年は、中距離血統がこの条件でよく来る。
新潟の1400では、騎手人気が影響。
良血ながらミルコ騎乗で過剰に人気を集めたエリンソードが消え、続く評価のストーミングホーム産駒・ブライトンロックが圧勝。母方も重厚で、タフな短距離型に育ちそう。

その前の内回り2000Mでは、2番人気のマテラレックスを駆って、鮮やかに抜け出したM.デムーロ騎手。
3代母が桜花賞馬のダイアナソロンで母がエアグルーヴのルーラーシップというクラシック配合の完全内国産馬は、ゴール前で凄まじい決め手を引き出す彼の手腕を必要とするタイプかもしれない。

日曜日は、奇跡的に馬場が回復して再び稍重となった札幌とずっと暑い小倉で、1800M戦が行われた。
共に勝ち馬の楽勝だったが、札幌のディープウォーリアは重厚な配合のアマノチェリーランを母に持つディープ産駒で、パワー勝負に持ち込んだホワイト騎手の好騎乗も勝因。
一方、小倉のハービンジャー×オリエントチャーム・ペルシアンナイトは、誰がどう乗っても勝っていただろうという内容。

何故か札幌の方が速かったが、後者の方が将来性に期待ができそうだ。

新潟の牝馬限定のマイル戦は、直線で反応した順に決まった。
勝ったトーホウアイレスはハーツクライのキレ、2着まで追い詰めたスマイルフラワーは、小柄なステイゴールドらしい瞬発力が持ち味。
人気の差はあったが、勝ち馬の方がいくらか勝負強そうだ。
小倉1200も牝馬戦。パイロらしい逃げでラソが押し切った。人気のダイワメジャーの仔が中型だったから430kgの機動力も活きた。

 

レース回顧

速からずも遅からず

読了までの目安時間:約 3分

 

新馬<京1400>
万両賞<阪1400>
若潮賞<中山1600>
スピカS(稍)<中山1800>
ダービー卿チャレンジT
安田記念
マイルCS
香港マイル
チャンピオンズマイル

天下無双のマイル王者が、安田記念連覇には失敗したものの、週末の札幌記念から再始動する。
モーリスは堕ちたのか、否か。そんな二項対立を始めるのは勇み足もいいところ。
むしろ、札幌記念は負けてもいいくらいの傾向が出ているから、まずは完走して体調を戻す意味で、ここは叩き台にしてもらいたいところだ。

モーリスは、ある意味成長していない馬だ。
最初から強かったシンボリルドルフやディープインパクトのようなタイプで、結果が古馬になってから充実していったというだけであり、体重もクラシックを一度は狙ったから増やしていかなかっただけで、転厩後に激増したわけでもない。
最初から変動が少なく、理想に限りなく近い戦績を残したディープ同様、ここまでは前走からの二桁の増減はなし。

ただし、内面では超名馬たる偉大なる三冠馬とは差が大きく出てしまった。
明らかに血統の影響が出ている。オルフェーヴルもそうだった。
一族の代表馬・メジロドーベルにはシンボリルドルフの父父パーソロンの血が入っていたが、前記の三冠馬と世紀のマイル王・タイキシャトルとでは、ロイヤルチャージャーの血を引くという点で、70年代以前の主要タイトルホルダーと一線を画した特徴も持つ。
ルドルフの母父が、その直系にあたるスピードシンボリで、今や、最大の繁栄者たるサンデーサイレンスの血を持たない日本の一流馬は、一部の領域を除き、探すのも困難な時代である。

父スクリーンヒーローには、その直系が2本入っている。
ドーベルの気高き性質から生み出されたようなキレも引き出せたら、走る可能性は十分にあった。
でも、遠回りすることも想定内。

その結果に、必然的な根拠が詰め込まれたモーリスという生ける伝説は、自身が激しさを内に秘めることで底力に転換するエンジンの特性から、自力勝負の平均ペースよりやや遅いくらいの展開で前の馬が残ると味が出ない。
逃げ馬が見当たらない中、窮屈な競馬を選択しなければ、勝ちは見えているように思うが、果たして。

 

コラム