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有馬記念(2017)検証

読了までの目安時間:約 5分

 

スタートからゴールまで、武豊騎手の思い描いた通りの結果。

いや、それは抽選会の時点からそうだったか。

最もうまく乗ったのは、クイーンズリング駆ったルメールだったかもしれないが。

これは残り物には福がある、のあるある。

キタサンブラックは、4歳馬がだらしない傾向、もっと言うと、サトノダイヤモンドが昨年のこのレースを勝ち切ってしまったせいか、今年は阪神大賞典で驚くような時計で勝ち切った後、衝撃の世界レコード更新となった春の天皇賞でミソをつけたことから、もはや、日本の王道路線はキタサンブラック次第の展開になっていった。

そして、有馬記念を走り切り、今年は6戦4勝3着1回という素晴らしい成績を残すことになった。

が、最後の有馬、鬼門のグランプリレース、勝ち切れない部分(彼の欠点)である一瞬の決め手の不足と変に緩急がつきすぎる展開への不得手さが、ここまでは全て出てしまったから、まるでお呼びでないことはないにしても、いいところをなかなか出し切れずにいた。

ただ、今年は誰よりも激烈な競馬を自ら牽引し、宝塚記念以外は自分の持ち味を出し切った。

騎手はもちろんのこと、今年はキタサンブラック自身が強い自分を信じて競馬できたことが、素晴らしい5歳シーズンに繋がったのだと思う。

自分を信じたからこそ、騎手は百戦錬磨だから引き出しを多く持っているが、自己ベストタイム連続更新の春シーズンを2勝、ライバルが成熟期を迎えながら、それを凌いだ秋の2勝と、競走生活の終焉を間近にして、どんどん馬の経験値は倍するように増えていった。

2番枠を引いたことで、自身の課題はゲートだけとなった今回、有力馬が全体的にやけにおとなしかった今までにない雰囲気が、やはり、枠で作戦が大きく変わる有馬記念らしく、選択肢が増える内枠で好スタートのキタサンブラックが、もう後続に何もさせることなく、悠々の逃げ切りになるのは、至極当然の結末だったように感じる。

回りも相手関係も、相手のプレッシャーもまるで違うが、昨秋楽勝のジャパンCのようなリズムを作り出せた、中山で翻弄できたということは、他の馬が動きようがない流れとなる。

中団で我慢するしかなかった同期のタイトルホルダーや急成長のスワーヴリチャードは、直線入り口ではチャンスありかとも思わせたが、そこからもうひと脚使える先行型である王者のキタサンブラックに、そういう戦い方で残りの300Mで伍して戦うことなど、当然出来ない。

完璧すぎて、むしろ、ちょっと残念に思えてくるほど、勝った人馬は2:33.6余の時間、自分たちのために使えたことで、終始何も起きないのだろうという15頭の嘆息の消化試合へと持ち込むことができた。

それもこれも、クラシックホースとしては異例の5歳シーズンにドンドン賞金を倍増するかの勢いで稼いでいった、言わば、見たことも聞いたこともないようなラストランへのステップに、その根拠が凝縮されている気がする。

キタサンブラックと2着のクイーンズリングは、ほぼ同時期に、ドゥラメンテやミッキークイーンに先んじてクラシック候補になるトライアル優勝の実績を、無敗のまま上げることになった。

同時に、そこで敗れた組などに本番で盛り返されて、最後は見せ場を作ったけれども、結局、世代のトップホースにはなれなかった。

が、不思議なもので、一年後の秋には彼らは今までにないほどの充実ぶりを示し、路線の中心馬になっていたのである。

走りのリズムや好む展開は似ている2頭なのか。

ラストランが同じで、そこで初めて出会うことになった因縁の2頭が、伏兵というか、みんなの影の本命馬を悉く翻弄していた。

戦績も体格もまるで違う2頭は、クラシック開始直前本命視されたサトノクラウン、ルージュバックも同時に封じている。

これが運命なら、偶然なんてことのない出会い。

しかし、イヴの夕刻知った衝撃の事実は、祖父が同じということだった。

勝手に盛り上がって、勝手に冷める未成立のカップルは、今後、地味に見られた血統の突然変異型として、血を残す使命を課される。

健康で長生きしてほしい。

彼らのキャラは、決して、刹那的な感激を与えるものではなかったのだから。

有馬記念の予想に関する特集記事はこちら

 

レース回顧

有馬記念(2017)見解

読了までの目安時間:約 5分

 

◎キタサンブラック

○シュヴァルグラン

▲サトノクラウン

注スワーヴリチャード

△シャケトラ、ミッキークイーン、ヤマカツエース、ルージュバック

自分で予想の組み立てを考え、この結論を出した時に妙な違和感覚えつつ、それと同時に気恥ずかしさに襲われ、思わず有馬記念なのに…、と呟いてしまった。

笑えて来る、という意味である。

どう買っても許される超特殊レースでありながら、ミーハーもいいところの素人予想に至った理由は、意外と理詰めで説明がつく。

筆者、この度最初で最後のキタサン本命推しなのだが、嫌い続けてきた理由とGⅠだけで少なくとも6敗した理由を徹底的に突き詰めてみた。

稀代のイレギュラー血統馬のこれまでを振り返ってみる。

データは色々と揃った。主に、前走と中9週以上を休み明けとし、

・キタサンブラック

叩き2戦目<新馬後も含む>

【5010】

叩き3戦目< 〃 >

【1121】

GⅠ

【6142】

これに当てはまるGⅠ戦では、

2戦目

【4010】

3戦目

【0121】

休み明けのGⅠ

【2000】

5歳秋になって、この傾向が一変することはほぼあり得ない。

同時に、彼は凄まじい記録を持っている。

マイル未経験の5歳以上のクラシックホースとしては初の年間GⅠ3勝。<2勝馬もいない>

5歳以上の馬による、史上初の春秋天皇賞制覇。

<タマモクロス、スペシャルウィーク、テイエムオペラオー、メイショウサムソンは4歳時に達成>

春の天皇賞レコード走の年に、他のGⅠ制覇を果たしたイナリワン<5歳>、ディープインパクト<4歳>らは、有馬記念を共に制している。<当該年GⅠ3、4勝>

どう解釈すればいいのだろうか。

GⅠ制覇にフロックがあったとして、その名誉は永久に不変である。

新GⅠ・大阪杯を含めずとも春秋天皇賞制覇のキタサンブラックが、昨年以上と言わなくても、5歳秋を迎えながら、まるで衰退しない基本能力は驚異的なままである。

菊花賞馬、それも大して速いタイムではなかったのに、5歳になってベストタイムを3つの距離で更新しているのだ。

筆者はずっと、この馬は小回り向きではないと思っていた。

先行脚質だが、後傾ラップ型なのでつつかれるのは良くないのだ。

ただし、1角等最初のコーナーまでの距離が取れる宝塚記念が、全く思うようにいかなかった半面、有馬記念は天賦の才である初手の巧みさで、勝ち馬とほんのわずかに劣っただけの通過順で2戦こなしている。

大阪杯がそうであったように、みんなが最初から元気に走れる距離でテンのスピードで劣ったところで、4角過ぎではいつも指定位置だ。

そのポジショニング。大阪杯、秋の天皇賞と勝った時に、かなりスタートがよくなかった。

フレッシュな時は活気があるタイプだけに、百戦錬磨の鞍上がしっかりコントロールできれば簡単にリカバリー可能なので、結果は安心だったが、勝っていない有馬でこれはまずい。

ただ、3歳時の有馬出走時の展開予想と似た組み合わせで、今回は序盤からグイグイタイプの実績上位馬はいない。

疲れていれば、それはカレンミロティックにも劣る可能性は否めないが、昨年春の力関係にはもうない。

そういう不安材料の少ない本命馬に、他の15頭はかなり翻弄されるはずだ。

無論、若手にも勢いが感じられる状況で、徹底マークが功を奏する逆転の図は描けなくはない一方、妙に多いハーツクライにキレるディープはいない今回、結局は知っている顔しか対抗することができない可能性がある。

今までにないタイプの名馬には、今までよくあった感動のラストランより、案外普通の力上位を示す万人納得の結果が似合う。

叩き3戦目の怪は、2戦目の激走の影響もある。

胸のすくような勝ち方ばかりで、得意の内枠ばかり。

前走は完敗も、持ち時計は1秒半更新している。

今回は得意の白帽で周りも速い馬はいない。無様に散る展開は想定せずに済みそうだ。

有馬記念の予想に関する特集記事はこちら

 

レース予想

有馬的無風 – 上位人気3頭同士の決着

読了までの目安時間:約 3分

 

上位人気3頭同士の決着は、昭和の頃まではよくあった。

'74 タニノチカラ-ハイセイコー-タケホープ ⑨頭立て

'77 T(テンポイント)T(トウショウボーイ)G(グリーングラス)<人気順> ⑧

'81 アンバシャダイー-ホウヨウボーイ-モンテプリンス ⑯

'84 シンボリルドルフ-カツラギエース-ミスターシービー ⑪

'88 オグリキャップ-タマモクロス-<スーパークリーク・失格>-サッカーボーイ ⑬

フルゲートで上位独占など、今も昔もほぼ有り得ない話だ。

そのフルゲートの争いで、かつ上位5番人気以内の馬だけで収まった決着となると、

'13
オルフェーヴル<①-④-②>

'97
シルクジャスティス<④-①-②>

'90
オグリキャップ<④-③-①>

'89
イナリワン<④-②-③>

昭和のレースは、関東馬がとても強かった時代を象徴する名門厩舎のステイヤーが上位を占めた'81年しか、まともに決着した年はなかった。

その中で異彩を放つのが、記憶に新しい昨年のレース。

'16
サトノダイヤモンド-キタサンブラック-ゴールドアクター ⑯

ゴール前差し切り、スロー前残り、三つ巴で0.1秒差以内の決着

今年は昨年の覇者にして菊花賞馬であるサトノダイヤモンドと今年の極悪馬場を戦い抜いたキセキが出てこない。

長距離王者はただ一頭であり、3-2という着順できている成績からも、ある意味で、昨年以上に注目される舞台になるのが、本命馬たるキタサンブラックである。

秋天-有馬両獲りした馬は数えるほどしかなく、基本的に3つを勝ち分けるのが常識的。

昨年は前年覇者とその年の春天馬と菊花賞馬が競った、実に分かりやすい展開で、本質的な2500M適性を問われることになったが、それの方が珍しい有馬記念だけに、流れを変えてどこまでできるかを、特にキタサンブラックには問うていくことになるだろう。

春よりいいリズムになっているかが、一つのポイント。

勝者になるためには余力も重要だから、GⅠ3勝は疑問符が付く。

リズムの変化は大きくなくても、1回ごとに精神面に差が出ている可能性はある。

本当に強い馬は、負けた後が強いものだが、果たして。

 

コラム

有馬的波乱

読了までの目安時間:約 3分

 

'15はレベルの問題、
'14も展開とローテが勝負の綾を生んだ。
ステイゴールド時代の前には、
'07
'08
両年でマイル色の強い馬とGⅡ級の中長距離型が穴をあけた。

最も荒れたのはマンハッタン-アメボス-トゥザVの'01年。
衝撃はダイユウサク。
感動はトウカイテイオー。
ドラマチックなのはラストウインは数知れず…。

ただ、ハイレベルで尚且つ波乱となると、数は少ない。
トリッキーなようでいて、実は、意外なほどまともに決まることが多いのが、有馬記念だったりする。
時計の差は、これはコース形態の影響でまちまち。

上位人気総崩れで、このレースに前後すること不問として、GⅠ馬上位独占でも波乱だったという年がある。
'95
マヤノトップガン-タイキブリザード-サクラチトセオー
逃げ切り、3歳馬の勝利、1人ヒシアマゾン⑤

風の強い日。
上がりの速かった3頭が上位独占も、追い込み脚質のチトセオーが伸びあぐねるナリタブライアンを最後に差し切って3着という競馬。
良馬場ながら、この間の秋の天皇賞のようなもう一段上のレベルの能力が引き出される不思議な先行残りの結果だった。

速い馬が有利だったわけでも、強い馬が走りやすい条件になったわけでもないが、充実度合いの差が結果に表れたのは事実。
3歳馬が古馬の一線級を完封すると、どうしてもレースのリズムが変化しやすく、波乱が生じやすくなる。

時代のトップジョッキーや名馬をもってしても、自分の流れに持ち込むのは、この中山2500コースでは難しい。
その象徴であり、充実度合いが試される舞台でもある有馬記念は、人気の底力型に有利な一方、底力を秘める伏兵のための晴れ舞台にもなることを、いつの時代も歓迎してくれる。
他のGⅠにそういう特徴はない。

今年は、主要路線組が中心でも、JCに明らかなハードマッチの反動とその経験の重みが色濃く反映されたものであったから、事前の調教過程に加え、何よりも当日の気配がポイントか。
'95年の場合、前年の1、2着馬が人気になって、見事にコケた。
フレッシュなのも大事だし、一定の負荷が掛かっていないとそれもダメ。
GⅠを使ってきた実績馬同士の叩き合いが濃厚。

 

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コラム

ズブい王者 – オルフェーヴル

読了までの目安時間:約 3分

 

オルフェーヴルという馬は、歴代三冠馬との比較では異質であり、似た雰囲気もあるナリタブライアンとて、走破時計の速さは歴代屈指ということでも、その点で見劣る面があったことは否めない。
本番前に惨敗のある馬というのは、基本的に二冠以上は獲れないとされるが、メイショウサムソンやディープスカイもそう、全体が極端な高速決着でなければ、見せ場をしっかり作れる馬はいる。
が、メイショウサムソンは4歳になって春秋天皇賞を、立派な時計で乗り切っている。
キタサンブラックだって、堂々と凱旋門賞に行けばよかったのに。
オルフェーヴルの無念を晴らせるのではと思わせるような、あの秋の天皇賞であった。

その秋天が2年続けて重馬場という、当時としてはかなり異例の事態になって、ややズブさが増していたテイエムオペラオーが輝いた2000年代初頭。
歴史的名馬なのに、その評価はイマイチである。
派手なレースをしている時は、決まって雨が降っていたり、持ち前の勝負根性がフルに発揮できる接戦がほとんど。

皐月賞の異常なポジションからの追い込み脚は、どこかドゥラメンテにも通ずるものがあったりして、実は、派手さというのはディープとかブライアンのように速さの違いがわかりやすく表現されたものだから、地味でもレコードの今年の皐月賞のような異例の結果という見立てが一般的かもしれない。

それが積み重なると、今のところ史上唯一の芝GⅠ7勝の非三冠馬という、唯一無二の存在になれるということなのか。
彼は実は、ダービータイレコードの3着馬で、当時としては異例の菊花賞上位入線馬が上がり33秒台の脚を繰り出すなど、今の和田騎手の技量をもってすればフォローできていたかもしれない、惜しい三冠戦の内容が隠されていた。

肝心の種牡馬選定たるクラシック戦線を、オペラオーは負けつつ古馬戦への全力投球に向けたステップとしたが、よりパワーと先行力が増したブラックの場合、自身の強さがレースの質そのものを上げることで、自分の体への負担にもなっていった。
しかしながら、大きな故障を排し、キレに甘んずる競走生活を神が与えたとも言える。
それがまたドラマになった。

 

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