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2017年 ダート路線総括

読了までの目安時間:約 3分

 

古馬王道路線と似た雰囲気のあったダート路線。

古馬GⅠに限れば、

川崎記念 オールブラッシュ<未出走>

フェブラリーS ゴールドドリーム<14着>

かしわ記念 コパノリッキー

帝王賞 ケイティブレイブ<未出走>

南部杯 コパノリッキー

JBCクラシック サウンドトゥルー<未出走>

〃 スプリント ニシケンモノノフ<2着>

チャンピオンズC ゴールドドリーム<3着>

東京大賞典 コパノリッキー

という結果。

何となく、コパノリッキーが光ったレースほど、レース内容が濃かった印象も残した。

ラストランを圧勝し、新記録樹立の末に砂社会の暴君が当たり前のように東京大賞典を制してしまったのだが、7歳で中央ではほとんど用なしになっていた馬が、特に有利な条件が整っていたわけでもなく、あっさり買勝ち逃げしたのだから、実際のところ、まだ若手との力量差は埋まっていなかったのかもしれない。

盛岡で圧倒的に強かったので、12月のタイトルだけは何としても獲りたかった陣営が、1200のタイトルを本気で狙って、見せ場十分の2着。

以後は、その時に得た新感覚で、いい頃でも通用しなかった難関をしっかりと戦い抜いた。

上手に運んで若手の中では少し評価の変わった面々も、中央で結果を出したゴールドドリームを除けば、その他のレースで健闘した程度の結果しか残せていない。

ぼやぼやしていると、新3歳世代に総ざらいされてしまうかもしれない。

名馬の引退はそのまま、新時代の幕開けを告げる出来事となる。

ゴールドドリームとて、小回り適性は今一つ。絶対王者ではない。

スピード型のカフジテイクやテイエムジンソクは、本命候補になり本番で惜敗。

6歳であれば、まだ次も狙える立場ではあるが、コパノリッキーのように息の長い活躍が、それも故障をしながらも続けられるかまでは、正直、不安の方が大きい。

常に鮮烈であった王者。

その最先端にいた11勝のタフネスガイは、簡単に現れるわけもなく、最初と最後のGⅠを快勝する馬も出てくるはずがない。

どうやれば、GⅠ馬らしい競馬をできるのか。敗者側の考えることは山のようにある。

 

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コラム

三度の奇跡

読了までの目安時間:約 2分

 

鮮やかに逃げ切った。それも良馬場で。

29日大井競馬場で行われたダート競馬の総決算・第63回東京大賞典は、良馬場の下、混戦模様は一変、引退戦となったコパノリッキーの独壇場で幕が閉じた。

勝ちタイムは2:04.2。

通算GⅠ11勝、中央のフェブラリーSを史上初めて2連覇するなど、数々の偉業を成し遂げてきた名馬が、今回またしても、大記録はついに更新して、引退の花道を自ら飾った。

良馬場でのコパノリッキーと言えば、マイルでは強くても、これまで2000M戦ではその経験そのものが少なかったこともあり、わずかに15年の当レースでサウンドトゥルーが初タイトルをゲットした時に4着したのみで、全くの未知数の部分があった。

JBCクラシック連覇の実績を残していたリッキーが、どう考えても道悪にはなりえない天候が続いてきた中で、ある意味、本当の実力が問われるシーンで、あの時完封された相手を2年越しで、完膚なきまでに打ち破ったのだ。

渋馬場でGⅠ6勝というのもレコードに違いないが、同時に、引退レースの東京大賞典が一番強かったという印象も、ファンに刻まれることになるだろう。

元気を取り戻したサウンドトゥルーに、今回は完全にスケール負けのケイティブレイブ。追い込みに活路見出そうとしつつあるアポロケンタッキーがそのあとに続いた。

ああ、忘れてはいけない。

コパノリッキーをGⅠ馬に導いた驚異のフェブラリーSの際に騎乗していた田辺裕信騎手に、今回また手綱が戻っていた。

このコンビで通算6勝。

一度完全に手元を離れたのに、今年も2勝。

これはこれで、大変に珍しい記録である。

さようなら、リッキー。

 

ニュース

新馬2017<12/23・24・28>

読了までの目安時間:約 3分

 

土曜日は芝が1戦。

阪神2000Mはディープの人気馬が順当に走ったが、2番人気のキタノコマンドールが命名者の性格を映しこむように、楽に勝ちすぎるのは面白くないという感じで、ゴール寸前に遊んでしまい、内に3頭に迷惑をかけてしまった。

デニムアンドルビーはそういう性格ではないし、ルメールさんの2年連続リーディングに影響を及ぼすかも?

あとはダート3戦。

中山

1800 3人ワカミヤオウジ 好位抜け出し タイムパラドックス

1200 2人ルタンメルヴェイユ 逃げ切り ゴールドアリュール<牝>

阪神

1400 1人グレートシール 坂上で捉える ウォーフロント

血統面で見ても、ラトロワンヌ系で母父サドラーズウェルズということでノーザンDの3×3を持つグレートシールが注目。

あの反応の悪さは、もう一段奥に控えるダルシャーンの影響か。中内田厩舎にはまだ大物がいるのかもしれない。

日曜は芝の中距離戦が一鞍ずつ。

中山2000は全盛期のシンボリルドルフやテイエムオペラオーばりに安定した競馬を見せた伏兵のウイングセクションが、素晴らしい内容で勝ち上がった。バブルカンパニー系のダノンシャンティ産駒。人気のウムラオフよりスケールが大きいかもしれない。

阪神1800は、怪獣と化したアルアイン全弟・ダノンマジェスティが勝手にシンザン作戦で、大外から独走した。

変なスイッチが入ると、実は、ステイGよりディープの方が怖いのかもしれない。

ダート血統の母の影響もあるだろう。

今年最後の28日には4鞍が組まれ、

中1600

レッドイリーゼ<牝・ハーツクライ>、中団から外々強襲、ゴール前楽に抜け出す。

阪1400

インディチャンプ<ステイゴールド>、断然人気で強気に勝ちにいって、伏兵の追撃を凌ぎ切る。

ダート

中1200

ケイティマリブ<キンシャサノキセキ>、伏兵らしい積極策で、坂上で後続を突き放す。

阪1800(稍)

ハギノフロンティア<ヘニーヒューズ>、道中内々追走から、直線で馬群を捌いて最後は抜け出す。

という結果となった。

中山マイルの松岡君(笑)を筆頭に、上から松若風馬、野中悠太郎、鮫島克駿騎手が勝利。

無駄な開催にはならなかった。

 

レース回顧

2017年 古馬王道路線総括

読了までの目安時間:約 3分

 

寝ても覚めてもキタサンブラック。最初と最後はキタサンブラック。

天皇賞はキタサンブラック。

宝塚以外はみんなキタサンブラックのレースであった。

例外の2戦は、同期の成長ゆっくりだった馬の勝利。

ねじ伏せられたり、つつかれたり。

やはり、そこにはいつもキタサンブラックがいた。

大阪杯以来の競馬も、雨馬場濃厚で相手が疲れていることも必至の宝塚記念は、世界のムーアを屈服させたアジア育ちの英愛パワフル配合馬・サトノクラウンのミルコマジック炸裂の一戦。

抵抗される前に、抵抗を受け入れていたよう鞍上の判断があったブラックは、騎手の言ううとおりに大人しく、今後のための準備に早くも入ったレースになった。

もう一つは、自分が得意な舞台は長い距離だと思っていたシュヴァルグランが、初めて真っ向東京の2400で、豪州のハンサムガイ・ボウマンを背に完璧すぎる対抗馬の競馬で、不良のダメージ残る、体も余裕残しの本命馬を叩いたジャパンC。

自分の流れは作り出せたようで、万全もなければ、思ったより鞍上が手掛けた意外と距離をこなせるディープ・ディサイファのマークのなどが厳しく、乗り切ることまではできなかった。

ただし、このJCに関しては、牡馬が2年連続で連対はほぼほぼ不可能の傾向において、しっかりと正攻法で2年連続人気で好走しているから、もはや、結果を受け入れるのも容易い状況であった。

落鉄という敗因には関係なさそうな要素も、返って、それもツキが残っていることの証だったか。

番手から抜け出し

4角手前、流れ無視の先頭

出遅れ→内々追走→誰も取らない内から直線入り口先頭

楽々マイペースの逃げ切り

そのどれもが、キタサンブラックのリズムだったあとの4戦。

最後が一番楽というのは、それだけライバルがパワーアップしながら、一発で自分を出し切ったことの証明ともなる。

何度も負かした馬に負けるのは、先行型特有の特徴。

故に、最も流れと出る枠が全ての結果の理由になる有馬記念で、自分らしさを出し切ったことは、馬自身が成長して、ラストランを終えたことを示している。

最後まで異質な才能を放ち、キタサンブラックはターフを去った。

 

コラム

2017年 短距離路線総括

読了までの目安時間:約 3分

 

雨が降った関西圏のGⅠ。

関西圏の最初と最後の重賞は、共に高速決着の接戦を善戦マンが制した。

雨に祟られることになったのはヴィクトリアマイルくらいで、概ね、時計の出やすい馬場で行われた関東のGⅠ。

ただ、本当にレベルが高かったかというと、肝心の前哨戦が雨ばかりだったように、あまり信用できる結果ばかりとはいかなかった。

主役はレッドファルクス。

皆勤賞で、重賞も2勝。スプリンターズSを前年と似たような豪脚一閃で、見事に二連覇を決めてみせた。

そういう意味では、本当に面白いのは、彼が負けたGⅠ3戦だったのかもしれない。

まだ重賞未勝利のセイウンコウセイが、誰も通らない馬場の真ん中から伸びてきて、内々強襲、結果的にスプリンターズSでも仲良くゴールするレッツゴードンキらを封じてしまった高松宮記念。

どう見ても圧勝だったが、柄にもないというか、鮮やかすぎるレースぶりが反動を呼び、以後不発続きとなった。

レッドファルクスが最後の最後に伸びてきた時に、そのちょっと前で競馬したサトノアラジンが輝いた安田記念。

前年覇者のロゴタイプが男らしい姿でハイレベルの展開を作ったが、誰にも負けない瞬発力でついに陣営悲願のGⅠ獲りに成功した。

以後、幻を追いかけるように差してくるが、雨が苦手ということが、秋の天候不順とリンクしてこちらも不発ばかり。

現役生活は香港マイルで終えた。これもまた彼らしいところなのかもしれない。

一方、全く関係のないところから飛んできたのが、雨はというか、渋った馬場は苦手にしていたはずのペルシアンナイト。

初の古馬ビッグタイトル参戦で、見事に課題克服&GⅠ勝利の両獲りを成し遂げたマイルCS。

乱戦必至の雨馬場は、各馬大混乱のコース取りで全く無駄のなかったデムーロ兄の好騎乗で、エアスピネル斬りを成功させた。

池江厩舎は春秋マイルGⅠ制覇。別の馬でとなると、藤沢和雄厩舎以来の快挙。

ただ、そんなことに気付く人は少ない。

【2020】

2頭に乗って、勝ち札を引き続けたのがミルコだった。

これにはもう、ライバルはお手上げである。

 

コラム

有馬記念(2017)検証

読了までの目安時間:約 5分

 

スタートからゴールまで、武豊騎手の思い描いた通りの結果。

いや、それは抽選会の時点からそうだったか。

最もうまく乗ったのは、クイーンズリング駆ったルメールだったかもしれないが。

これは残り物には福がある、のあるある。

キタサンブラックは、4歳馬がだらしない傾向、もっと言うと、サトノダイヤモンドが昨年のこのレースを勝ち切ってしまったせいか、今年は阪神大賞典で驚くような時計で勝ち切った後、衝撃の世界レコード更新となった春の天皇賞でミソをつけたことから、もはや、日本の王道路線はキタサンブラック次第の展開になっていった。

そして、有馬記念を走り切り、今年は6戦4勝3着1回という素晴らしい成績を残すことになった。

が、最後の有馬、鬼門のグランプリレース、勝ち切れない部分(彼の欠点)である一瞬の決め手の不足と変に緩急がつきすぎる展開への不得手さが、ここまでは全て出てしまったから、まるでお呼びでないことはないにしても、いいところをなかなか出し切れずにいた。

ただ、今年は誰よりも激烈な競馬を自ら牽引し、宝塚記念以外は自分の持ち味を出し切った。

騎手はもちろんのこと、今年はキタサンブラック自身が強い自分を信じて競馬できたことが、素晴らしい5歳シーズンに繋がったのだと思う。

自分を信じたからこそ、騎手は百戦錬磨だから引き出しを多く持っているが、自己ベストタイム連続更新の春シーズンを2勝、ライバルが成熟期を迎えながら、それを凌いだ秋の2勝と、競走生活の終焉を間近にして、どんどん馬の経験値は倍するように増えていった。

2番枠を引いたことで、自身の課題はゲートだけとなった今回、有力馬が全体的にやけにおとなしかった今までにない雰囲気が、やはり、枠で作戦が大きく変わる有馬記念らしく、選択肢が増える内枠で好スタートのキタサンブラックが、もう後続に何もさせることなく、悠々の逃げ切りになるのは、至極当然の結末だったように感じる。

回りも相手関係も、相手のプレッシャーもまるで違うが、昨秋楽勝のジャパンCのようなリズムを作り出せた、中山で翻弄できたということは、他の馬が動きようがない流れとなる。

中団で我慢するしかなかった同期のタイトルホルダーや急成長のスワーヴリチャードは、直線入り口ではチャンスありかとも思わせたが、そこからもうひと脚使える先行型である王者のキタサンブラックに、そういう戦い方で残りの300Mで伍して戦うことなど、当然出来ない。

完璧すぎて、むしろ、ちょっと残念に思えてくるほど、勝った人馬は2:33.6余の時間、自分たちのために使えたことで、終始何も起きないのだろうという15頭の嘆息の消化試合へと持ち込むことができた。

それもこれも、クラシックホースとしては異例の5歳シーズンにドンドン賞金を倍増するかの勢いで稼いでいった、言わば、見たことも聞いたこともないようなラストランへのステップに、その根拠が凝縮されている気がする。

キタサンブラックと2着のクイーンズリングは、ほぼ同時期に、ドゥラメンテやミッキークイーンに先んじてクラシック候補になるトライアル優勝の実績を、無敗のまま上げることになった。

同時に、そこで敗れた組などに本番で盛り返されて、最後は見せ場を作ったけれども、結局、世代のトップホースにはなれなかった。

が、不思議なもので、一年後の秋には彼らは今までにないほどの充実ぶりを示し、路線の中心馬になっていたのである。

走りのリズムや好む展開は似ている2頭なのか。

ラストランが同じで、そこで初めて出会うことになった因縁の2頭が、伏兵というか、みんなの影の本命馬を悉く翻弄していた。

戦績も体格もまるで違う2頭は、クラシック開始直前本命視されたサトノクラウン、ルージュバックも同時に封じている。

これが運命なら、偶然なんてことのない出会い。

しかし、イヴの夕刻知った衝撃の事実は、祖父が同じということだった。

勝手に盛り上がって、勝手に冷める未成立のカップルは、今後、地味に見られた血統の突然変異型として、血を残す使命を課される。

健康で長生きしてほしい。

彼らのキャラは、決して、刹那的な感激を与えるものではなかったのだから。

有馬記念の予想に関する特集記事はこちら

 

レース回顧

有馬記念(2017)見解

読了までの目安時間:約 5分

 

◎キタサンブラック

○シュヴァルグラン

▲サトノクラウン

注スワーヴリチャード

△シャケトラ、ミッキークイーン、ヤマカツエース、ルージュバック

自分で予想の組み立てを考え、この結論を出した時に妙な違和感覚えつつ、それと同時に気恥ずかしさに襲われ、思わず有馬記念なのに…、と呟いてしまった。

笑えて来る、という意味である。

どう買っても許される超特殊レースでありながら、ミーハーもいいところの素人予想に至った理由は、意外と理詰めで説明がつく。

筆者、この度最初で最後のキタサン本命推しなのだが、嫌い続けてきた理由とGⅠだけで少なくとも6敗した理由を徹底的に突き詰めてみた。

稀代のイレギュラー血統馬のこれまでを振り返ってみる。

データは色々と揃った。主に、前走と中9週以上を休み明けとし、

・キタサンブラック

叩き2戦目<新馬後も含む>

【5010】

叩き3戦目< 〃 >

【1121】

GⅠ

【6142】

これに当てはまるGⅠ戦では、

2戦目

【4010】

3戦目

【0121】

休み明けのGⅠ

【2000】

5歳秋になって、この傾向が一変することはほぼあり得ない。

同時に、彼は凄まじい記録を持っている。

マイル未経験の5歳以上のクラシックホースとしては初の年間GⅠ3勝。<2勝馬もいない>

5歳以上の馬による、史上初の春秋天皇賞制覇。

<タマモクロス、スペシャルウィーク、テイエムオペラオー、メイショウサムソンは4歳時に達成>

春の天皇賞レコード走の年に、他のGⅠ制覇を果たしたイナリワン<5歳>、ディープインパクト<4歳>らは、有馬記念を共に制している。<当該年GⅠ3、4勝>

どう解釈すればいいのだろうか。

GⅠ制覇にフロックがあったとして、その名誉は永久に不変である。

新GⅠ・大阪杯を含めずとも春秋天皇賞制覇のキタサンブラックが、昨年以上と言わなくても、5歳秋を迎えながら、まるで衰退しない基本能力は驚異的なままである。

菊花賞馬、それも大して速いタイムではなかったのに、5歳になってベストタイムを3つの距離で更新しているのだ。

筆者はずっと、この馬は小回り向きではないと思っていた。

先行脚質だが、後傾ラップ型なのでつつかれるのは良くないのだ。

ただし、1角等最初のコーナーまでの距離が取れる宝塚記念が、全く思うようにいかなかった半面、有馬記念は天賦の才である初手の巧みさで、勝ち馬とほんのわずかに劣っただけの通過順で2戦こなしている。

大阪杯がそうであったように、みんなが最初から元気に走れる距離でテンのスピードで劣ったところで、4角過ぎではいつも指定位置だ。

そのポジショニング。大阪杯、秋の天皇賞と勝った時に、かなりスタートがよくなかった。

フレッシュな時は活気があるタイプだけに、百戦錬磨の鞍上がしっかりコントロールできれば簡単にリカバリー可能なので、結果は安心だったが、勝っていない有馬でこれはまずい。

ただ、3歳時の有馬出走時の展開予想と似た組み合わせで、今回は序盤からグイグイタイプの実績上位馬はいない。

疲れていれば、それはカレンミロティックにも劣る可能性は否めないが、昨年春の力関係にはもうない。

そういう不安材料の少ない本命馬に、他の15頭はかなり翻弄されるはずだ。

無論、若手にも勢いが感じられる状況で、徹底マークが功を奏する逆転の図は描けなくはない一方、妙に多いハーツクライにキレるディープはいない今回、結局は知っている顔しか対抗することができない可能性がある。

今までにないタイプの名馬には、今までよくあった感動のラストランより、案外普通の力上位を示す万人納得の結果が似合う。

叩き3戦目の怪は、2戦目の激走の影響もある。

胸のすくような勝ち方ばかりで、得意の内枠ばかり。

前走は完敗も、持ち時計は1秒半更新している。

今回は得意の白帽で周りも速い馬はいない。無様に散る展開は想定せずに済みそうだ。

有馬記念の予想に関する特集記事はこちら

 

レース予想

有馬的無風

読了までの目安時間:約 3分

 

上位人気3頭同士の決着は、昭和の頃まではよくあった。

'74 タニノチカラ-ハイセイコー-タケホープ ⑨頭立て

'77 T(テンポイント)T(トウショウボーイ)G(グリーングラス)<人気順> ⑧

'81 アンバシャダイー-ホウヨウボーイ-モンテプリンス ⑯

'84 シンボリルドルフ-カツラギエース-ミスターシービー ⑪

'88 オグリキャップ-タマモクロス-<スーパークリーク・失格>-サッカーボーイ ⑬

フルゲートで上位独占など、今も昔もほぼ有り得ない話だ。

そのフルゲートの争いで、かつ上位5番人気以内の馬だけで収まった決着となると、

'13
オルフェーヴル<①-④-②>

'97
シルクジャスティス<④-①-②>

'90
オグリキャップ<④-③-①>

'89
イナリワン<④-②-③>

昭和のレースは、関東馬がとても強かった時代を象徴する名門厩舎のステイヤーが上位を占めた'81年しか、まともに決着した年はなかった。

その中で異彩を放つのが、記憶に新しい昨年のレース。

'16
サトノダイヤモンド-キタサンブラック-ゴールドアクター ⑯

ゴール前差し切り、スロー前残り、三つ巴で0.1秒差以内の決着

今年は昨年の覇者にして菊花賞馬であるサトノダイヤモンドと今年の極悪馬場を戦い抜いたキセキが出てこない。

長距離王者はただ一頭であり、3-2という着順できている成績からも、ある意味で、昨年以上に注目される舞台になるのが、本命馬たるキタサンブラックである。

秋天-有馬両獲りした馬は数えるほどしかなく、基本的に3つを勝ち分けるのが常識的。

昨年は前年覇者とその年の春天馬と菊花賞馬が競った、実に分かりやすい展開で、本質的な2500M適性を問われることになったが、それの方が珍しい有馬記念だけに、流れを変えてどこまでできるかを、特にキタサンブラックには問うていくことになるだろう。

春よりいいリズムになっているかが、一つのポイント。

勝者になるためには余力も重要だから、GⅠ3勝は疑問符が付く。

リズムの変化は大きくなくても、1回ごとに精神面に差が出ている可能性はある。

本当に強い馬は、負けた後が強いものだが、果たして。

 

コラム

有馬的波乱

読了までの目安時間:約 3分

 

'15はレベルの問題、
'14も展開とローテが勝負の綾を生んだ。
ステイゴールド時代の前には、
'07
'08
両年でマイル色の強い馬とGⅡ級の中長距離型が穴をあけた。

最も荒れたのはマンハッタン-アメボス-トゥザVの'01年。
衝撃はダイユウサク。
感動はトウカイテイオー。
ドラマチックなのはラストウインは数知れず…。

ただ、ハイレベルで尚且つ波乱となると、数は少ない。
トリッキーなようでいて、実は、意外なほどまともに決まることが多いのが、有馬記念だったりする。
時計の差は、これはコース形態の影響でまちまち。

上位人気総崩れで、このレースに前後すること不問として、GⅠ馬上位独占でも波乱だったという年がある。
'95
マヤノトップガン-タイキブリザード-サクラチトセオー
逃げ切り、3歳馬の勝利、1人ヒシアマゾン⑤

風の強い日。
上がりの速かった3頭が上位独占も、追い込み脚質のチトセオーが伸びあぐねるナリタブライアンを最後に差し切って3着という競馬。
良馬場ながら、この間の秋の天皇賞のようなもう一段上のレベルの能力が引き出される不思議な先行残りの結果だった。

速い馬が有利だったわけでも、強い馬が走りやすい条件になったわけでもないが、充実度合いの差が結果に表れたのは事実。
3歳馬が古馬の一線級を完封すると、どうしてもレースのリズムが変化しやすく、波乱が生じやすくなる。

時代のトップジョッキーや名馬をもってしても、自分の流れに持ち込むのは、この中山2500コースでは難しい。
その象徴であり、充実度合いが試される舞台でもある有馬記念は、人気の底力型に有利な一方、底力を秘める伏兵のための晴れ舞台にもなることを、いつの時代も歓迎してくれる。
他のGⅠにそういう特徴はない。

今年は、主要路線組が中心でも、JCに明らかなハードマッチの反動とその経験の重みが色濃く反映されたものであったから、事前の調教過程に加え、何よりも当日の気配がポイントか。
'95年の場合、前年の1、2着馬が人気になって、見事にコケた。
フレッシュなのも大事だし、一定の負荷が掛かっていないとそれもダメ。
GⅠを使ってきた実績馬同士の叩き合いが濃厚。

 

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コラム

ラストランへ

読了までの目安時間:約 2分

 

土曜阪神のメイン・阪神Cでは、昨年の2着馬であり、14年皐月賞馬のイスラボニータのラストランに注目が集まる。

「2歳6月の新馬戦から6歳まで頑張ってくれたのは偉いよ」

久々のGⅠタイトルをプレゼントしてくれた厩舎の功労者に対し、指揮官である栗田博憲調教師も、筋肉のしなやかさによる故障のリスクの低減を引き合いに出し、これまでの蹄跡を振り返った。

前走再びのタイトルをと挑んだマイルCSは、直線での接触などがあり不完全燃焼の5着。

「動きに関しても及第点を与えられる」

前肢が伸びて投げ出すように走る独特のフォームで、1週前もきっちりと追い切りを消化した路線の牽引者は、万全の態勢で仁川に臨む。

「落鉄による爪へのダメージもないですよ」

競馬ファンでなくても知っているキタサンブラックについて、最も傍にいる辻田厩務員は、ファンに対し、安心材料となる情報を提供してくれた。

この秋3戦目ながら、秋シーズンが始まる前にはもう狙いが有馬記念と決めていたように、中間はいつも通りにハードな攻め馬を意欲的に消化しているのだから、大きな調子落ちは考えにくい。

今まではむしろ、一戦集中型のローテで毎度毎度こんなことをしていたから、馬の気力がより満ちていく可能性はある。

「究極の仕上げで、やれることだけはやりたい」

陣営の総意であるはずだ。

常に頂上決戦に挑み続けてきたかつてのクラシックホースは、現役最晩年の今、まだまだ力のある所を示すだけの余力がある。

名馬物語のクライマックスは、今週末に訪れることになる。

健闘を祈ろう。

 

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