競馬予想ブログ

競馬予想ブログ JUST

リヴァージュとアルテフィーチェの血統解説&新馬回顧(2020/1/12)

読了までの目安時間:約 3分

 

1/12 メイクデビュー中山 芝2000M戦

逃げ切ったリヴァージュ<父ノヴェリスト>は、伯母ダイワスカーレットとそっくりな体型の先行タイプと出たようだが、パドックで怪しさ満点の伯父ダイワメジャー的気配を醸し出す辺り、大変な大物であったりもするだろう。

奇しくも、同じ週にスカーレットの娘であるダイワクンナナが重賞初挑戦となったことを考えると、とてもいいターゲットになったわけだが、65秒に迫ろうというスローの先行から、しっかりと4秒以上速いラップで、尚且つ、どんなに遅く流れても34秒台前半以上の上がりが使えないのに、追い込みはほぼ望み薄の流れを考えても、後続に3馬身半の着差をつけたのはスケール感の違いそのものを示した結果であろう。

1/12 メイクデビュー京都 芝2000M戦

こちらも馬場がタフで、そもそも時計を要するこの時期の京都の芝というのが定番化した状況で、時計勝負にならないことが判っていた上に、状況的に絶対数が減っていたディープ直仔が未出走の組み合わせ。

そういうレースでハーツクライ産駒が、小柄な牝馬とはいえ、フォーリー騎手の叱咤に応えるようなタイプが勝ち上がったのは興味深い。

その勝ったアルテフィーチェは、母父がフランスの名馬リテラトということでカラムーンの4×5を持っている。

グレイソヴリン系内でもゼダーンのラインのクロスを持つことは珍しく、強い効果が出ても不思議ではない。リテラトは3歳時までほぼ無傷で、完成度の高いビワハヤヒデみたいな馬。

その母父も同じ系統のカロの孫であるキャルドゥン。

母母父はドリームウェルで、日本でも成長力を示したのが有馬記念でダイワスカーレット圧勝の展開で死んだふりの2着が決まったアドマイヤモナークくらいで、実は早熟系のステイヤータイプ。

人気の父ハーツクライで共通のミッキーウィンが直線で幼さを出していたのとは対照的。

まるで成長曲線が異なるようだ。

勝ち上がった両者に共通するのは、決め手比べに主流のサンデーサイレンス-ディープインパクトに立ち向かった似て非なるサンデー系の系譜が、今の息づいていること。

アグネスタキオンもハーツクライも大舞台において、その輝きを放った。

ナスルーラは偉大だ。

 

レース回顧

フェアリーS 2020 回顧【ラップが証明】勝つごとに強くなっているスマイルカナ

読了までの目安時間:約 3分

 

あまりハイペースを刻んだわけではないが、小柄で機動性に富んだ馬体のスマイルカナがポンと出て、正しい人気グループの逃げ馬としては理想の展開に持ち込んだことで、案外器用なシャインガーネットも好位付けで少し脚を使わされたのか、思ったように瞬発力を使えず、アヌラーダプラは持ち前のスピードを凝縮させて爆発させる戦法がハマらずに、共に坂の辺りでギブアップ。

スマイルカナに真っ向挑ん組ではなく、ハーツクライ産駒のチェーンオブラブや穴人気で休み明けだったポレンティアらが続いた結果からも、スマイルカナの独壇場であった。

期待された良血のダイワクンナナも、決して不器用にスマイルカナを追い上げていったわけではないが、何だが420kgの馬体に秘める極限の我慢強さのようなものが、中型以上の馬格で勝負できるはずの人気勢などより、ずっと勝ち馬の方が上だったということだろう。

スマイルカナは新潟マイルの新馬を逃げ切った際が、47.7-47.6というラップ。

前走の中山のひいらぎ賞も、48.3-46.5で極端に上がりが速かったわけではないが、今回は、

47.0-47.0

で1:34.0だから、ひとつ勝つごとに強くなっている。

母エーシンクールディが、中央で5勝してオープンになったのに、その後東海公営の女傑と化した戦歴に目が行く変わり種だったから、それとディープの交配でどういう馬が生まれるのかと思ったら、誰にも似ていない芝で逃げる小柄なステークスウイナーになったくれた。

実に面白い才能の登場である。

中山マイルは牝馬にとってはイレギュラーな舞台設定。

人気になった外国人騎手の2頭にも、次のチャンスはあるだろうけど、彼女たちの武器であるスピードを勝ち馬に誇られるような立つ瀬のない負け方では、立て直しの方が重要か。

いずれにせよ、この組は距離延長で結果を求めたいタイプではない。

 

レース回顧

シンザン記念 回顧 – 最初の50Mは助走が必要なサンクテュエール、少頭数の内枠で全てチャラに

読了までの目安時間:約 5分

 

ルーツドールは不利もなかったが、プリンスリターンと原田和真騎手に頑張れコールが全国から飛ぶゴールシーンとなり、どこかに消えてしまった。

代わって台頭の2番人気のサンクテュエールは、ずっとスタートの問題が解消しないままの3戦目のスタートになるも、初の長距離輸送にも落ち着き払ったパドック、何より馬体の増減なしの1月の競馬というところで、まだ完成にはちょっと早いものの、スケール感では数段上と思わせたルーツドールより、場慣れした雰囲気が漂っていた。

コンスタントに使われるディープ産駒というのは、コントレイルもGⅠを獲りに行く形でちょっと最後はローテを詰めたが結果を残して、未だにその底力は衰えを見せない。

それはある意味、サンクテュエールのルメール騎手も同じだろう。

土曜はさすがに休み明けの気配で見せ場を作れなかったが、日曜は早速最初のレースを制して、もうひとつ勝ってから、いざメインレース。

一時期のデムーロ騎手もそうだったが、一瞬らしくない姿を見せてから、一つ何かを取り戻すことで一気に本来の姿を見せることができるようになる。

そういう日本の騎手にはない本能のスイッチがオンになる瞬間ともいうべきルーティンを経て、こうした叩き合いでも我慢しきることが可能になる。

その点、ずっとこの馬と頑張っていきたいという原田騎手のプリンスリターンは、今までにない完璧なレース運びが、今回は仇になった格好だろう。

追いかけてきたのが、クラシック本戦での活躍を目指す名門厩舎の良血馬。

お世辞にも目立った血統ではないし、デビューからここまで理想の上昇カーブを描いたということではなく、この仔なら上を目指せると途中から皆が気が付くような日高の馬らしい裏ルートからの進出だから、前走の結果も含め、まだまだ勝ち運が巡ってきていない印象は拭えない。

それでもここまでやれている。

オープンも勝ってGⅢ2着ならば、十分に3歳のGⅠには出走可能だろう。

今回はメンバー中唯一の+10kgと目立った体重増。

ストロングリターン×マンハッタンカフェで、近親はほぼ例外なく地方で走っているという血統背景。

いい意味で連続して頑張らないことが大切なのかもしれない。

こういうと失礼かもしれないが、だからこそ原田騎手と手が合うのだろう。

さて、変な競馬というほどの超スローではなかったものの、見せ場なく失速、大敗のルーツドール。

東京の馬場が速すぎて、そこで遅い時計で走っていたサンクテュエールの競馬になったのも皮肉だが、個人的事情の方が今回は敗因に思う。

まず、完成期に程遠い時期のハーツクライとそれに関わる血の特性から、520kgの馬体を自在に使いこなすことはまだできない。

だからこそ、体を大きく使っているように見える大跳びの走りが、とても優雅で頼もしくも映ったわけだが、父のジャスタウェイがこれから1年以上まともに、コンスタントに結果を出していなかったことからも、父同様に早い段階で速すぎる時計を繰り出してしまったことが少なからず、普通の能力を問われるような競馬に適さない性質を同時に証明した新馬戦だったとも結論付けられる。

何も、彼女が悪いわけでも陣営の判断が悪いとも思わないし、川田騎手のある種の早めの白旗は歓迎である。

期待を集めて、それに応えられない若駒など五万といる。

サンクテュエールは経験値と、少なからず好転したコース形態の利点を今回は活かせたから、課題の出負けと最初の50Mは助走が必要という死角は、少頭数の内枠で全てチャラになった。

少頭数も京都も自慢の馬格も全て武器にならなかったルーツドールは、この敗戦を機に、じっくりとダッシュをつけることで自在性を身につける課題をどう克服していくかという課題そのものがないことで、順調にとりあえずは使うことが当面の目標となる。

型にハメねばらないクラシックのフォーマットにあまり適さないハーツクライの血統は、3歳戦では死角にもなる。

そんなことを気にして、無理に使い込まなければ、彼女は簡単にリスグラシューの域を超えていくことだろう。

 

レース回顧

アドマイヤべネラ vs ルビーカサブランカ – 古馬になった時、真逆の展開が起きる

読了までの目安時間:約 3分

 

日曜 京都 芝2000M

良血馬が何とかクラシックに間に合わせようと登場してきた一戦。

人気を集めたのは一昨年の2歳女王・ダノンファンタジーの半弟にあたるアドマイヤべネラと、昨年長距離路線から左回りの中距離戦線への転戦がハマったユーキャンスマイルの全妹・ルビーカサブランカで、タフなスローの渋滞を何とかすり抜けてきた2頭は、何とか3着以内に間に合ったわけだが、悲しいかな、牡馬と牝馬の差が血統の違いと相まって、凱歌は2番人気だったルビーカサブランカに上がった。

巧みにポジションを押し上げたところのあるルビーカサブランカだが、相手関係やそもそも、その本質に前向きさがあることで生まれる決め手が持ち味の一族であり、人気のアドマイヤべネラがもっとスムーズだったからわからなかった…、という言いたいところだったが、父がハーツクライに替わったことで生ずるトモの甘さとどうにもそれを補えない前駆の未発達さが、もはや、スタートする前から判然としたようなところのあるべネラの追撃には、予定調和の感も否めなかった。

面白いことに、ルビーカサブランカの母ムードインディゴは福永騎手が乗った時によく走っていた印象で、アドマイヤべネラの姉ダノンファンタジーは、言わずもがなの川田騎手のお手馬。

結果的には、いいところが現時点では多かったルビーカサブランカに全てが味方したわけだが、古馬になった時、この時と真逆の展開が起きることも想定内。

ひとまず、よくわからないフォルカー系のエピファ牝駒・ホッコーラプラスを挟んで発進したそれぞれの才能の物語が、明けの正月競馬から始まったことは事実。

来年の秋、ジェンティルドンナとジャスタウェイの力関係の逆転を目撃した時のようなデジャヴに、今から期待である。

新馬戦、その他の注目馬

藤田菜七子騎手が101勝目を挙げる大きなチャンスを逃した直後の中山ダ1800で、彼女が乗って、これもまた走らなかったのだが、パディオアヘッドという馬は注目。
母系はナスルーラの母・マムタズビゲムの直系で、サドラー・ヌレイエフの同居でノーザンDとスペシャルのクロスを持つミスプロインの配合。あれを再現したとしか思えない。

 

レース回顧

京都金杯 2020 回顧 – 京都巧者だらけの上位争い、サウンドキアラはこれで5勝目

読了までの目安時間:約 2分

 

なんてことはない、京都巧者だらけの上位争い。

とりわけ、京都内回りの1400戦をデビューウインした後、何度か負けてはいるものの、ここ2戦完勝のサウンドキアラは、その全勝利が京都という馬。

これで5勝目となった。

前々走のヴィクトリアマイル参戦後、最初の実戦となった同距離の長岡京Sで、一度乗っている福永騎手が改めて好位抜け出しを実践し、何も不安のないという内容で完勝。

主戦級の武豊騎手で、そろそろ阪神でもとリゲルSに挑むも、ここでは大外枠で、オープンでの戦略である前崩れ待ちのような格好で3着に止まるも、雨馬場要員のキョウヘイまで突っ込んでくるような、ディープ的な決め手が活かせない展開での3着と考えると、今回は枠順が3番枠で、マイル以下の競馬で無類の勝負強さを見せる松山騎手へのスイッチ。

それでいて牝馬でオープン実績がなかったから53である。

カテドラルや実力者・ダイアトニックと同等の評価でも、京都巧者ということ以外の魅力が乏しかったことが、人気を集められなかった要素だったか。

しかし、そんなに気楽ならば、位置取りも楽ちん。

誰よりも巧みに流れに乗り、誰よりも早く勝負を決める瞬発力を発揮し、牡馬勢を完封して見せた。

思えば、マイル短縮最初の年がキョウエイマーチ復活勝利のレースになった京都金杯リスタートの歴史がある。

少し前には似たような戦歴のウインプリメーラが勝利。

牡馬相手に1分32秒台以上の決着になるタフな、中央場所でのハイレベル重賞を勝ち切ることは、真のエース級である必要があるが、ここではそこまでの力はいらない。

母サウンドバリアーよりは安定して走る娘の未来に、ここ3年続く34秒台の決着の流れが味方した。

決め手は長続きしない。また内枠を引いたら、その時が勝負だ。

 

レース回顧

中山金杯 2020 回顧 – 後傾ラップがやたらと得意な超大型馬トリオンフが制す

読了までの目安時間:約 4分

 

内枠のブラックスピネルがすんなり行ったことで、誰が乗っても上手に競馬をするトリオンフも流れに乗り、しっかりと今年最初の中山内回り重賞も、テクニシャンに有利な展開となった。

タニノフランケルはそういう面々に少しでもあった粗忽な面と、トリオンフは2走ボケの懸念など一切見せずの展開では、残念ながら出番なし。

後傾ラップがやたらと得意な超大型馬トリオンフは、58の酷斤もやや苦しいローテにもめげず、今回も連対。

一昨年の今頃、小倉で初重賞制覇を果たしてからというもの、やや背伸びした大阪杯とどう見ても適性外の新潟大賞典の2つは不発でも、新潟では4着に粘っている。

大きな故障を経験しながら、長期休養を挟んでの重賞4連続連対、非GⅠの重賞でコーナー4つの右回り重賞では、【3200】というのは見事。

ストロングタイタンが走りすぎたレコード決着の鳴尾記念と、先述の故障明けのチャレンジCでの2着と考えれば、あのチャレンジCの力の2着で、今回の58などなんてことはないと読まなければならなかったのだろう。

まだ20戦に満たないキャリア。

底力溢れる大型馬のスケール感は絶賛拡大中だ。

3歳秋から530kgを1度しか切ったことのないトリオンフは、1年半以上の時間を経て、550-554kgでの2戦で、パフォーマンスはむしろ、底力をより感じるようなタフさが加わったから、重さというのは一切見られない。

見た目には洗練されていない野生の獣の雰囲気をたたえるが、競馬の内容がいつも鮮やかだから、きっと、武豊騎手と挑んだ小倉記念での快勝は、走りすぎであったのだろう。

ある意味、昨年のウインブライト以上の迫力を秘める候補の誕生を言える。

こういう馬が力を見せる展開。

福島だと何だか上手に競馬できなかった馬が、福島記念だけまともに競馬できた後、前が有利な中山金杯で、福島のクレッシェンドラヴに戻ってしまったのでは、勝負圏外。

捲る持ち味は、よりトリッキーな福島で活きる面がある。

惜しかったウインイクシードは、そんなクレッシェンドラヴの実績に隠れ穴人気の立場だったが、こういう馬にこその松岡正海である。

年男の機運は、先払いという結果に終わってしまった2着も、この馬だって昨夏オープン入りの右回り巧者。

マンハッタンカフェ×イクスキューズの配合で、とんでもない大仕事をやってのける男になれるかもしれない。

例年以上に若手に魅力的な存在が少なくて、テリトーリアルや復活間近のノーブルマーズなども皆6、7歳馬。

ただ、掲示板外でも枠が悪すぎた4歳の2頭も、真ん中よりは上の着順。

マイネルサーパスにははっきりとしたローカル適性があるし、ザダルももうちょっと暖かい時期ならば、いい決め手を発揮できるだろう。

トリオンフは恐らく一抜けのメンバー構成だったから、その他の誰が勝ち馬に追従できるかがポイントになってくる。

 

レース回顧

東京大賞典 回顧 – オメガパフューム、3歳4歳での連覇達成は中央所属馬としては初

読了までの目安時間:約 2分

 

今年も恒例の12月29日開催、暮れの大一番である第65回東京大賞典が行われ、ゴールドドリームと人気を分け合ったデムーロ騎手騎乗の2番人気オメガパフュームが、勝負所からジワっと押し上げ、先行勢を呑み込むと同時に、前崩れに乗じて台頭の地元勢ノンコノユメや勢いに乗る4歳モジアナフレイバーなどの追撃を凌ぎ、昨年の続く連覇を達成。

3歳4歳での連覇達成となると、船橋のアジュディミツオー以来の快挙。

意外にも、中央所属馬としては初めての記録となった。

稍重の勝ち時計は2:04.9。

管理する安田翔伍調教師は、中央ではまだGⅢ2勝のみも、武蔵野Sと昨年のオメガパフュームで制したシリウスSでのものであり、すでに父隆行師と鎬を削る、和製ダート版オブライエン親子の構図にも似てきたように思う。

それにしても、年々円熟味を増す1番人気でこれが引退の一戦となっていたゴールドドリームの500kgを大きく上回る馬体に対し、最初から小さめの馬だったとはいえ、この日のオメガパフュームの馬体重は451kg。

昨年は448kgであり、帝王賞を制した時もそれと同じ。

アドマイヤドンもダート馬らしい馬体ではなかったから、主戦として最も騎乗した安藤勝己元騎手も、芝への出戻りを早くから進言していたとされる。

デビュー戦で462kgの目方で走ってからというもの、晩春の平安Sで唯一同体重を記録した以外、450kg前後でこれだけ走り続けられる馬力の源は、一体何なのか。

ステイゴールドやサイレンススズカ、ディープインパクトもそうだったが、そういう小柄な馬たちに共通する勝負根性のようなものがあるのかもしれない。

 

レース回顧

ホープフルS 回顧 – 馬体の緩みが少いコントレイルとトニービンの入った馬独特の緩さがまだあったワーケア

読了までの目安時間:約 5分

 

パドックを見ていれば分かることであったが、完成度の高さとそれに伴う馬体の緩みの少なさが、コントレイルだけ際立っていた。

別に相手がビビッていたわけではないという組み合わせであって、双璧の期待を集めたワーケアも魅力は十分だったが、こちらはまだ、レースを経験する中で内面から競馬内容をブラッシュアップする必要性を感じた、いい意味での、ハーツクライなどトニービンの入った馬独特の緩さがまだあった。

ましてや、こういう時期の競馬。

無理もさせることはできず、基本に忠実な競馬をしたいと考えるだろう、本命級に乗った時の福永祐一の傾向まで踏まえると、上手に流れに乗って、他のスケール感ではそこまで見劣らない大砲を、その時点で翻弄していた。

あの4角の手応えは、新馬戦の時よりも上だったように思う。

正直、福永騎手は最低限のアシストをしただけで、やや内枠で圧を感じるシーンはあったものの、スムーズに好位の外に出せた時点で、負けそうな気配は一切なかった。

乗っていただけ。そう言いたい気持ちを、いかに抑えるかが大変か、というほどの完勝であった。

例年通り、中山の重賞・ホープフルSのクオリティは、2分1秒台の時計でいかに高い資質を当たり前のように披露できるかどうかのコンテストを繰り返し行っているという、超安定的高水準競走なので、当たり前のようにクラシックに直結する。

何でその後がダメだったのか…、という馬が、これも当然登場してきたが、シャイニングレイもハートレーも、ここが2戦目で新馬を勝ったばかりの馬。

春にはGⅠで好走の面々を抑えたのはいいが、ものの見事に燃え尽きてしまった。

すでにGⅠ級であり、世代の否、国内外を問わず、同期のグラスホースの中で上から何番目か、という評価を受けていたコントレイルである。

昨年のサートゥルナーリアがそうであったように、当たり前のハイパフォーマンスを貶す要素など全くない。

自身がどう動けるようになっていくか。皐月賞とダービーのどちらに、陣営は重きを置くのか。

昨年はうまく行かず、その前年はうまく行ったダービー獲りのステップは、皐月賞のレベルにも左右されるところがある。

直行で行くのか、それとも。

ヴェルトライゼンデは、密かに最高の追撃を見せたものの、相手がどうにもならないほど格上だった。

最高の2着は、得てして、最大の屈辱となり、本来持ち合わせた成長力を殺いでしまう可能性もある。

意外と完成の高いマンデラの兄弟。皐月賞での逆転が、当面の目標になる。

上がりが掛かったとはいえ、強風や馬場質の悪化も影響してか、単純な差し競馬にはならず。

ブラックホールだけは置いて行かれたという点で、叩いていれば、もっと上がりの速い競馬の経験も必要だった気もしないではないが、そもそも、3歳春ではまだ未完成というステイゴールドの特性でもあったりするこの手の敗戦は、馬のやる気を引き出すいいきっかけになったりする。

スタートで外から被され、それでも、そのラインベックだけはきっちり交わし切った、能力全開ならずのワーケアとて、勝手に馬が進化する、これは本物かもしれないと一度でも思わせた晩成型である。

もう少しチェリーコレクトの仔は、最初から行けると思っていたが、初めてのハーツクライの仔。

いい繁殖牝馬らしく、父の良さを直接伝える面があるのだろう。

途中から、クリストフは経験を積ませるという揉まれるポジションを敢えて選択し続けたところがあり、福永騎手のアシスト同様、素晴らしいトップジョッキーとしての矜持を見せてくれた。

結果的には、コントレイル以外は…、という競馬になってしまったが、負けた馬たちにはそれぞれの持ち味がある。

オーソリティはもっと前向きに競馬できれば、もっと豪快に走れるはずで、やっぱり、ここで使った経験が、将来活きる展開が、今のところ最有力の展望となりそうだ。

コントレイルさんには、もっと前向きになってほしい。彼はきっと、ダートもこなせると思う。

あり得ないことをやってのけるだけの才能を持った馬のような気がしてきた。

 

レース回顧

ウインマリリンの新馬圧勝は当然?暮れの中山に強い血統だった

読了までの目安時間:約 3分

 

土曜中山芝2000

寒空の中山では、芝の2000Mの新馬戦が行われたものの、ゴールドシップもキズナも、その他有馬で好走実績のある馬の仔がまとめて連を外し、時計も低調で残念な結果に終わった。

ところが、勝ったウインマリリンの抜け出し方というか、坂の上からもうひと伸びして他を圧倒した走りはやけに目立っていた。

父はスクリーンヒーローであり、祖父はグラスワンダー。

既にモーリスやゴールドアクターといった、暮れのビッグレースで異様なまでの底力を発揮する直系のストロングポイントは証明されているわけだが、今度は珍しく牝馬が登場。

そういえば、グラスワンダーの最初の方の活躍馬であるフェリシアは、暮れの中山1200Mの2歳重賞だった時代のフェアリーSを快勝した馬であった。

どう出てもこういう時期の競馬が合う。

アーネストリーも初重賞制覇は12月の中日新聞杯。

こじ付けなどせずとも、この時期の洋芝メインになる馬場が合うのが、今も昔も本質不変のロベルト系らしさなのであろう。

当のウインマリリンは、兄にラジオNIKKEI賞を素晴らしい勝ち方で制したウインマーレライを持つ。

何の因果か、それとも狙った通りか、兄の父はグランプリホースのマツリダゴッホ。

まあ、互いの父はほぼ同世代だから、配合時期も重なって不思議はない。

狙いは母父のフサイチペガサスの中にある母母父ヘイローに対するクロスの質に尽きるのか。

サンデーサイレンス直仔のマツリダゴッホを父に迎え入れると、ヘイローは3×5となり、あのロジユニヴァースらと似た強めのクロスを生む。

一方、母父サンデーのスクリーンヒーローにすると、それは4×5となり、その他様々入る主流血統も絶妙にクロスさせることができる。

兄より上出来の配合が、吉と出るか否か。

神のみぞ知る領域の話にはなるが、3勝以上4頭と仔出しのいいコスモチェーロの産駒の中で、これが初の新馬勝ちの馬となったのは、偶然ではない。

同じクロスを持つロージズインメイ産駒であるマイネヒメルは、初夏を中心に計4勝を挙げている。

 

レース回顧

有馬記念 回顧 – アーモンドアイ、動いた正面スタンド前のその根拠が一体何だったのか?

読了までの目安時間:約 5分

 

猛ペースが生んだ驚異の圧勝劇

リスグラシューが強いことはみんな知っていたが、アーモンドアイが惨敗するとは誰も思っていなかった。

速いからみんな仕掛けなかったが、アエロリットが速すぎるので、どこから動いたらいいのかわからない競馬。

思えば、池添謙一騎手が乗っていたオリエンタルアート兄弟が何度となく輝いた舞台。

その乗り替わったことがアンチの興奮を生んだフィエールマンが、まずまず理想の立ち回りをして、流石はグランプリ男という競馬をしたのだが、そういうことが通用しないレースになった。

2頭が、アーモンドアイとフィエールマンがこれから一騎打ちをするぞと思った刹那、ダミアン・レーン騎手とリスグラシューは、理想の中団待機策から、あまりにも手応えがあることもあって、わざわざ大外まで持ち出していた。

実は、勝者の2者はその時点で、その後一瞬で起きる劇的圧勝への展開を理解し、誰よりは早くそうなると悟ったのである。

それにしても、ディープインパクトやオルフェーヴル、シンボリの3頭も異様に強かった有馬という印象が、ファンの年齢問わず、様々な記録として残されていて、記憶もそれぞれに持って入りわけだが、これが有馬記念なのである。

筆者の読みも甘かったと言わざるを得ない。

結局、ここで一番強いのはリスグラシューとしないと、この結果は読み解けなかったのである。

アーモンドアイが後々、故障を理由とする敗因を挙げる可能性はあるが、動いた正面スタンド前のその根拠が、一体何だったのか、ということを突き詰める必要がある。

最近は差し返すのが当たり前だったアエロリットが失速するようなレース。

本質では守備範囲がそっくりのアーモンドアイが、そこで折り合わせることができなければ、必然の結果だったのかもしれない。

フィエールマンも自慢のロングスパートをかけて、しっかりと勝負に出たが、それは相手の手応えが…、というのもあったか。

ワールドプレミアが自信なさげに追い込んできても、しっかりとそのフィエールマンを捉え切っていた。

差し競馬の典型だったが、内から唯一伸びてきた、それでも最後は外に出したリスグラシューだけが、本当に有馬記念らしい戦い方ができたということになる。

スマートに立ち回り、直線で脚を伸ばす。

ひょろっちいバネだけは見どころを感じさせた善戦ガールだった3年前のユタカ騎手や戸崎騎手が乗っていた頃のリスグラシューではなかった、この日のパドック。

人気3頭は、その血統の持つ良さが全て引き出されていた印象で、エタリオウのやる気スイッチが入った時の漲るような好気配も不気味だった。

ただし、レースぶりがそうであったように、リスグラシューの示した完成形の理想そのものと言える、体の内から放つ自信に基づく迫力は、洋行帰りだからそうであるというほど単純ではない。

ディープインパクトもスローペースであれば、最後の有馬記念はあんなに楽勝ではなかったはずだ。

展開は作れなくても、自分が思い通りに動けるようになったことを示す前躯の成長から来る発達が、トニービンを持つ馬が共通して抱える早期の競馬への適応力の不足であり、それが快勝された時の爆発的な才能の発揮に繋がるわけだ。

苦しい競馬を繰り返した後に幸運が訪れる

ハーツクライはディープを公式に唯一負かした馬だが、今回のライバルアーモンドアイには、揉まれた経験は少しあっても、勝負所で外から被される破壊力を発揮する期待には恵まれなかった。

誰よりも苦しい競馬を繰り返した後に、このような幸運が訪れる。

4歳のトップツーには、そこまでの屈辱的な経験が乏しかったのだ。

サートゥルナーリアも東京でひどいセットアップの失敗を経験して、プライドも傷ついていた。

ようやく、真っ直ぐ走ってアーモンドアイと戦おうとした時、自分の外にアーモンドアイみたいなやつがいた…。

有馬記念というのは、ボーナストラックであって、東京で速く走りすぎた馬には苦しい。

リスグラシューが東京で好時計決着の時に、一度も勝っていなかったことがここで活かされるとは、窮屈な解釈も通るグランプリレースらしい結果となった。

 

レース回顧

1 2 3 8