血統予想・コラム

JUST競馬予想ブログ

優駿牝馬(オークス)-回顧-

読了までの目安時間:約 5分

 

望外のジョディーがコントラチェックより速いというゲートから、何となく予想されていた、これは2分22秒の決着になるのでは…、という展開。

しかし、あの弾け方は、さすがキングマンボの血筋である。

外から豪快に伸びた末脚は、兄リアルスティールを駆って東京で2度激走したミルコ・デムーロだから引き出せたものだろう。

この勝負は、ラヴズオンリーユーの完勝。

その流れは既知の、朝日杯から桜花賞に直行の異例ローテで完勝した、あのグランアレグリアと同じ。

2:22.8という時計は、ダービーでもまだ記録されていない、3歳春の極限の数値である。

殊、ジャパンCにそれをあてはめれば、最新のレコードはキングマンボの直系のひ孫であるアーモンドアイ、その前は、激闘をデットーリと制したキングマンボ直仔のアルカセットだ。

2:23.3でダービーレコードを打ち立てたのはキングマンボ直仔のキングカメハメハであり、その孫はアーモンドアイ。

キングマンボは他にも、現ダービーレコードの2:23.2で二冠達成のキングカメハメハ産駒・トゥラメンテを送り出している。

オークスに関しては、これまでのレコードはジェンティルドンナの前が幸四郎元騎手のメイショウマンボや福永騎手のローブデコルテ、その前はレコード毎週発生の90年春に記録されたエイシンサニーの2:26.1があって、みんな別の種牡馬。

前年にキングカメハメハ系が並ぶところまで行ったが、今度はキングマンボ由来の牝系と父ディープインパクトという組み合わせで、3歳春の決定版的12Fの金字塔を打ち立てた。

兄よりは扱いやすく、変に1800Mに固執したキャラにならなかったのは、2戦目から、京都内回りのマイル戦を使った効果もあってのことだろう。

それでも兄は、二冠戦で2着2回、ダービーは相手悪く、ドゥラメンテの4着で末を活かせなかったレースも、安定の皆勤賞だった。

ノーザンファーム産の誇りは、今週もまたGⅠ制覇で保たれたわけだが、同時に今回起きたことは、2着馬は社台ファームでも、父ディープで母父はストームキャット系で最もサイクルの早いスキャットダディであるカレンブーケドールが来たこと。

同血にも近い2頭が叩き合い、大レコードを樹立。

筆者の推していたクロノジェネシスやダノンファンタジーが、各々2:23.2-.3で続き、2頭の間に新馬レコード勝ちで、今回も追い込んだウィクトーリアが入ったことで、一つの物語が完結する。

「何を引いても社台グループの血筋にあたる」

種牡馬の導入は、それは日高のシンジケートだってあるから、完全独占状態ではないものの、そもそも、ビッグレッドファーム辺りで注目馬を導入したところで、配合相手も質にバラつきがある。

十数年前、現役サンデー直仔絶滅状態のクラシックでは、由緒正しき在来牝系によって質の担保が図られたが、今度は孫世代がより質の高い配合相手を得て、今の趨勢を形成した経緯がある。

世界どの国を見渡しても、どこかにいいモノが集まる仕組みになっている。

いいとか悪いとかではなく、完全にいい流れになっているのは、努力の賜物であると同時に、進化の過程にまた入ったという意味でもある。

時計の更新はもはや、歯止めが利かなくなっているから、キングマンボ単独の適性ではどうにも立ち行かない。

よって、より洗練されたアメリカンなのに芝も自在にこなすサンデーサイレンスやストームキャットのようなワールドワイドな血が、今回は有効だったのだろう。

先週もヨーロピアン配合のハービンジャーに、アメリカ系統の芝向きのボトムが日本で根付いていたフサイチエアデールの一族との組み合わせで、ディープを破っているノーザンファームの争いが起きたばかり。

紙一重のようで、カレンブーケドールは血統で敗れ、非社台系のトップホースたるシゲルピンクダイヤも、2:25.2と、奇しくもメイショウマンボと同タイムで走るので精一杯という、厳然たる事実が、そこには横たわっているのだ。

何かに導かれるように、ジェンティルドンナがレコード勝ちした時と、5F通過は全く同じ59.1秒。

しかし、2:23.6以内で駆けた馬は、今回は7着シェーングランツまで入る。

そして、勝ち馬以外東京で勝っているか、快時計の連対馬。

初めての東京で弾けたジェンティルドンナに域に、このラヴズオンリーユーは成長できるのか。

何かを捨てた時に、違う創造物が誕生する。そんな才能になれる可能性はあるが、それが何かはわからない。

おすすめの記事
日本ダービー予想特集

 

レース回顧

平安S -回顧-

読了までの目安時間:約 3分

 

サンライズソアをマイネル軍団が追いかける展開だったので、期待したハイランドピークは、2歩目で変な格好になってしまったことで行き脚今一つになったことそのものは、あまり不利なことではなかっただろう。

ただ、チュウワウィザードは競馬が上手な印象があるのに、後方から伏兵のモズアトラクションと追い上げてきたのだ。

実力馬には有利にはなったものの、さすがに59では正攻法の外からの追い上げでは簡単にいかなかったオメガパフュームのしっかりとした内容の走りに対し、こういう乱戦向きのテクニックが、ほぼ同斤のチュウワウィザードにはあったということだろう。

実績は重要ではないこのレース。

京都開催で行われる1900Mとして、この時期の名物重賞になってきたこのレースは、その本質がかつての東海Sであり、その前身のウインターSなどと、概ね変質しているわけではないのだろう。

豪快な追い上げと4歳馬にしては、豊かな経験値を誇る名古屋→中京→船橋のローテで、条件戦を走っていたことから続く複勝内キープのチュウワウィザードは、中京でも1900M戦を経験している。

その時は、後に船橋のクイーン賞を圧勝するアイアンテーラーに走られ過ぎて、3着に敗れているが、この時もハイペースの後方待機策。

行き脚つかずではハイランドピーク辺りと同じで、僅かな差が勝負を決する展開では、有利に働いた。

そういえば、謎の展開で消耗戦となった9RのメルボルンTの2着馬・タニノドラマとは、ファンシーダイナを経たファンシミンのファミリーで同じ。

キングカメハメハも入っているから、激しいレース向きの平坦適性が活きたのかもしれない。

2着モズアトラクションも、実は、9R3着のダンスディライトと同じディナーパートナーからの分岐で血を繋いできた同族。

ちなみ、両方とも川田騎手が勝っている。

それも1番人気。大したものである。

おすすめの記事
日本ダービー予想特集

 

レース回顧

ヴィクトリアマイル -回顧-

読了までの目安時間:約 5分

 

想定外のアエロリットが押っ付けてのスタート。

猛ペースを作ってしまったのは、誰も希望していない展開だったように思う。

正攻法に拘るしかなかったラッキーライラックも、血統構成的に、時計の限界があるタイプだろうから、ハイペースになること自体は悪くはないことでも、適応できる次元の競馬ではなかったのだろう。

しかし、彼女たちはしっかりとゴール前まで残っている。

ファンの評価は正しく、馬の実力も確かだったのは事実だろう。

フルゲートの競馬だから、うまく行かないことも多い。

小柄なレッドオルガ辺りは、内枠は敵にも味方にも展開で、全てシャットアウトの憂き目に遭ってしまったのは残念。

しかし、馬場状態や求められた時計に対しての対応に関しては、いくら前に行ける馬とはいえ、ステイゴールド対決を微差ながら制したクロコスミアの執念には驚かされた。

かつて、ローズSが重馬場になった時に、1000Mを59.9秒で逃げて押し切ろうとした時が目立ったくらいの先行力しかなかったはずだが、昨年の府中牝馬Sで、似たような戦績だったカワキタエンカの猛ペースについていって、最後は勝負圏外でもそれを交わしたということがあった。

この日の伏線なのか、それは複雑の乗り替わりの結果、ルメールではなく、レーンに代打騎乗を依頼したノームコア陣営の勝負運も、因縁めいたものがある。

44.8-45.7というラップ。

バランスラップは中山では出ないけれども、レオアクティブで強烈な決め手を引き出して京成杯AHを、

45.1-45.6

という極めてハイレベルなバランスラップで制したのが横山典弘騎手。

そして、GⅠでその手のワールドレコード級のタイムが出る時、

セイウンスカイ 横山典弘

ディープインパクト/キタサンブラック 武豊

と、酸いも甘いも嚙み分ける名手の長距離戦での出番が目立つ一方、

トーセンジョーダン N.ピンナ

アルカセット L.デットーリ/アーモンドアイ C.ルメール

ゼンノロブロイ O.ペリエ

これらが秋のビッグマッチ3連戦における強烈なタイムが発生した時のコンビ。

「知っていることの強みと知らないことの強み」

1戦で全ての特性を掴み切ったプリモシーンの福永騎手が、何も、悪いことをして2着だったわけではない。

しかし、外に馬がいる時にやや反応が鈍いということは、しっかりとしたスパートを求められるから、ノームコアみたいなことはできないのだ。

時計という概念の破壊的な意味合いについてのみ、芝競馬の中心地であるヨーロッパでは語られるが、現に、横山典弘が能力を引き出したというわけでもないのに、ムーアでは引き出せなかったスピードを過剰なまでに出したら、内容はともかく、掲示板は外さなかったのである。

上手に立ち回ることだけを考え、ベストのタイミングで外へ出し…。

理想的な競馬という点で、前日の京王杯SCや来日初重賞制覇の新潟大賞典も同じ。

知っている横山が、中途半端な11番枠で周りを囲まれては困ると先行したことが、よくわからないけど、とりあえずうまく乗ることだけを心掛けて、今度は来日初GⅠ勝ちのレーンに味方したの事実だろう。

ただし、才能に恵まれた妹に先んじてGⅠ勝ちをしたノームコアには、プリモシーンら人気上位馬以上のマイル適性があったのだ。

ルメールはその良さを引き出そうと、適鞍ではなかったことになる中距離戦で結果を出したが、彼女にとっても不運な連続の乗り替わりが、好転してのこの結果。

うまいこと作り上げてきたプリモシーンも全力を出し切った万全の競馬をしたものの、割れたオッズが示すように、最後は何か運が必要だったレースに思える。

時計以外にも目立つものの多い、実に真理を突いた競馬であった。

 

レース回顧

京王杯スプリングC -回顧-

読了までの目安時間:約 2分

 

とりあえず、まあ藤沢ブランドは今年も健在という感じで、スタートの良さで勝負を決めたようなところのあるレーン騎手の巧みなレース運びもあり、またしてもレコードウイナーが誕生した。

タイキブリザードから数えること実に8度目の勝利となる藤沢和雄調教師は、タイキシャトルでももちろん勝っているし、予想の段階で触れたスティンガーの連覇、その後、なかなか2度勝つことが難しくなっているこの京王杯スプリングCを、もう3勝もしていて、今年はまた連覇。

GⅠ馬が直前の除外で、普通はガクッとするところだが、さすがにここは夏に向けたステップと力試しのところがあるスターオブペルシャが自分の走りに徹した中で、人気の応える鞍上と調教師の腕は、言わずもがなながら、安心感がある。

今の馬場で、トゥザクラウンの端を奪う伏兵の登場で、ほぼレコード決着が見えていた状況。

レーン騎手を褒めると同時に、絶妙なタイミングでスパートをかけた、何故だか手が合うサトノダイヤモンドの半妹・リナーテを駆った武豊騎手も、相変わらず素晴らしい。

今回のテーマは、これまでの決め手の繰り出し方でなく、ここ数戦の中では積極的なポジショニングになったが、昨秋東京で使った32.4秒の脚を信じるように、ちょっと真っ向勝負では敵わない感じのタワーオブロンドンを行かせてから、終いはいつも決め手で突っ込んできて、3頭の2着争いを結局制した。

ダミアン・レーンという騎手の非凡さに感心しつつ、多少不満はあったのかもしれないが、少し出していっても、一定のズブさがあることが再確認できたから、また違う騎手が乗っても乗りやすい状態に持っていく名手の腕に、今回は痺れた次第だ。

時計の逆算ができるからこその、計算された競馬である。

ロジクライは揉まれ強くなった。この馬も、これまで騎乗してきた名手たちのお陰でここまで成長できたのだ。

 

レース回顧

NHKマイルC -回顧-

読了までの目安時間:約 4分

 

道中はあまりいい位置につけていないように見えたアドマイヤマーズに対し、ダノンチェイサーはボチボチ、グランアレグリアはちょっと出負けからの巻き返しで、勝負所ではダノンと内外位置を入れ替えたシーンもあり、イベリスのペースには、それぞれ、いいアプローチができなかった印象がある。

あれは17年前だったか。

タニノギムレットが断然人気になった年。

勝ったテレグノシスが内斜行をして、人気勢だけではなく、相当な数の馬が不利を受けたことがあった。

タイプ的には違う、末脚鋭いトニービンの差し馬と、正攻法が似合うダイワメジャーの産駒。

しかし、求める答えが同じくらいのマイルのタイトル戦であるから、不利があった方には大いに不満はあっても、自由なポジションから伸びきれた方からすると、似たような結果が出る。

勝負所で…。

一番熱のこもった場面で、有力馬が全て絡む接触があるケースは、多いようで珍しい。

しかし、揉まれ弱いところのあるグランアレグリアと、トップホースと当たるのが実質的には初めてとなるダノンチェイサーには、野武士のようにタフさを身につけた2歳王者からかけられた、最大のポイントでの外からの圧をはねのけるだけの底力が、まだ備わっていなかったのは事実だろう。

皐月賞も毎年のように厳しいレースになる。

最近は、上がりが速くなったこのNHKマイルCも、同じルメールのタワーオブロンドンが内に押し込められてしまうような展開が、昨年あったばかり。

不良馬場のケンタッキーダービーの二の舞になるような気もしていたが、審議対象は、内から外に出そうとしたグランアレグリアの動きに対する、ダノンチェイサーの不利の度合いに対するものであったが、勝負のポイントは、そこを突き抜ける脚の問題だった。

ダノンチェイサーには、揉まれた経験もなく速い時計で駆けるスキルも、独力でのものとなると、その他大勢と何らさのないレベルであったとされることは事実。

独走する力が評価されたグリグリ人気のグランアレグリア評が、大勢の正論とみなされたのは筆者も異論はないが、18頭の競馬である。

何もなかったかのように、内からはカテドラルが出現し、外からは新潟で辛勝に思われたケイデンスコールが叩き一変で猛追。

その他大勢だったダノンチェイサーは、独走する能力を見せることができなかったものの、エンジンの掛かりそのものは、遥かにアドマイヤマーズの方が良かったし、突き抜ける力も2歳王者の方が上。

しかし、ダノンにとって本当に残念と言えたのが、内からタイトながら、ルメールのイメージとすると少しスライドさせるだけで自分の進路を確保しようとした時の外からの攻めで、牝馬らしい過敏さが災いし、悪質と取られて降着になったということは、それにもダノンは競り負けたのである。

勝ちタイムは、想定よりはちょっと遅い1:32.4だった。

今のマイルGⅠでは、最低ラインのスピード能力であるから、自身も当然バランスを崩したグランアレグリアは、一応は、出来ることはやったことになる。

裁定は仕方ないし、最も不運だったのは当然、4着繰り上げのダノンチェイサーではあるが、3強と目された中で、彼が最も思い通りに競馬できなかったのは、血統の影響もあるのか、ジリっぽさが目立ち、休み明けも手伝って能力全開とまでいかなかった彼自身の問題も少しはあったことに、本命にした筆者とすると残念でならなかった。

上位3頭が33秒台の上がりを、軒並み繰り出している。

日本の芝マイルが合わない…、という可能性を禁じ得ない結果である。

 

レース回顧