競馬予想ブログ

競馬予想ブログ JUST

オークス 2020 回顧【松山J、信念の騎乗】差し後れ必至の流れも、末脚が全く違うデアリングタクト

読了までの目安時間:約 5分

 

苦しい競馬の経験が、揉まれたことのない馬の、無敗馬の死角を全て覆い隠すことになった。

ミスオンワードというシンザン誕生以前に活躍した名牝の名が再度登場したのと同じことが、13年前の東京2400でも起こっていた。

ライバルに屈服した桜花賞を糧に、ダービーで直線を突き抜けたのは、タニノギムレットの娘であるウオッカだった。

 

その時名が登場したクリフジもまた、無傷でダービーも菊花賞も、秋の阪神で行われた優駿牝馬競走を制した顕彰馬だった。

タニノギムレットに敗れたシンボリクリスエスは、その11年後にダービーを勝てる馬としてエピファネイアを送り出したが、武豊の返り討ちに遭う。

またそれから7年が経った。

 

キズナに敗れたのがエピファネイア。キズナの初年度産駒が大活躍する中、桜花賞が産駒の初重賞制覇だった。

言わずもがな、ミスオンワード以来の無傷の二冠を果たすデアリングタクトである。

祖母はエピファネイアの母シーザリオと強烈にマイルで輝いたラインクラフトの次に位置したデアリングハート。

 

運命は複雑に絡み合い、今一番熱い男・松山弘平を背に、シーザリオばりの苦しい立ち回りを、祖母と似たような経験の積み重ね方で、今度はデアリングタクトに感謝する鞍上の姿がいた。

シーザリオとエピファネイアの主戦である福永騎手は、無事、一昨年のダービーを制し、運命の馬・コントレイルと共に、それぞれ2度目のクラシック制覇を目指す道へと歩を進めている。

 

楽に行き過ぎたスマイルカナは、悲しいかな、完璧に流れに乗りすぎて、レースと関係のないところでペースメイキングするに至った。

10Fでも長いという馬なのだろうが、秋華賞ならば期待できる。

 

今週も松山騎手が苦しみを力に変えたように、違う形で圧が掛かるダービーもオークスも勝っている横山典弘騎手は、ほぼ、スタート後のポジショニングにおいて、自身の経験値と確かなペース判断で、九分九厘行けると思っただろう。

直線も思われているよりは左回り適性のあるウインマリリンである。

理想の競馬で、前走より遥かに楽な展開、天候も味方にしたが、エピファネイアやシンボリクリスエス、シーザリオに敗れたエアメサイアのように、うまくいった流れを勝ちに繋げられなかった。

ウオッカに完敗のアサクサキングスもそう。

しかし、彼らの秋は思われているよりずっとも明るいのだ。

武史騎手のGⅠ制覇が見えてきた。

 

デゼルはレース以外はほぼ計算内で収まったし、リアアメリアもペースがおかしくなりすぎた阪神マイルを経て、通常通りの競馬をして見せ場作り。

しかし、一瞬勝利も掠めたようなウインマイティーの本質的な距離適性が上回った。

本来はウインウインの競馬だったが、マイネル軍団はいつも、あと一歩のところで強烈な刺客に足を掬われる。

日高に流れが来ているのは確かだが…。

 

松山騎手は恐縮していたが、何も誤った進路選択などしていない。

GⅠを戦った強み、自身の現状における正確な戦況判断、何よりも勝負強く引きも素晴らしい。

もっと若かったなら、馬の勝ち気に負けて、強い返し馬をしていたかもしれない。

でも、最初からデアリングタクトという馬は、レースで暴走するようなことはないようにと、しっかりと松山騎手に教え込まれていたわけで、馬込みもやや怖がるというような言い方もしていたから、ああいう差し後れ必至の流れになるのも仕方がない。

 

しかし、彼は確信していたはずだ。

直線で使える脚が全く他の馬と違う、ということを。

運を持っている馬でないと、その昔のダービー、オークスは馬込みも捌けず、何もできないまま終わることがあるとされた。

それは18頭立てでも変わらないだろうが、待ったからこそ、直線半ばで進路ができたのである。

 

こういう運を手繰り寄せるのは、先週のようなナイスファイトがあるからであり、デアリングタクトに対する親身に接する姿勢も然り。

これが当然と思えるようになった時、次の違う壁にぶつかるが、それはこうした大舞台以外では見つからない。

冷静に判断して、横山騎手との立場の違いを理解すれば、松山弘平は引退する時に、みんなに愛される名手として、四位騎手のように送り出されることだろう。

 

---
 
・2020/5/24 当ブログのオークス予想
 ◎→☆→△で 3連単42,410円 的中
 
日本ダービー予想特集はこちら

 
 

 

レース回顧

平安S 2020 回顧【前年より苦しいローテの59K】死角を鮮やかに覆い隠したオメガパフューム

読了までの目安時間:約 3分

 

実績馬や古豪が強かったというよりは、首尾よく、好位勢を見る中団ポジションから、昨年のように早め抜け出しの形を作ったオメガパフュームが、同期の上り馬を相手にせず、この路線の好敵手たちを引き連れ、さすがの59ではの死角を鮮やかに覆い隠して見せたという感じか。

 

左回りではパッとしないとされたこの馬が、位置取りに注文がつかなくなって、体つきはもっと若い頃と大差ないものの、どんどんもまれ強くなっていった。

ルヴァンスレーヴに最も抵抗した同期であり、こよなく愛する大井では、彼がいないならと大きなところを3連勝中の猛者にまで育ったオメガパフュームには、斤量の不利はなかったのだろう。

 

ただし、休み明けがどうこうという馬ではないとはいえ、中央のGⅢは得てして、レベル差が明確に出てしまっている組み合わせになることも多い地方の交流重賞より、遥かに勝負は難しい。

昨年も59であり、その時はフェブラリーS明け。

もっと苦しいローテになってる今年、中間で川崎のタフな争いで際どくチュウワウィザードを追い詰めたという経験値もプラスだったのだろう。

卒なくレースの流れに乗せてくれる北村友騎手とも、実は相性が良かった。

陣営のセッティングにも変化が現れて不思議はない。

 

勝ち時計はまずまずで、7歳の実績馬も走った。

一方、ヒストリーメイカーの伏兵の差しに及ばなかった後の5歳勢は、出世がまた遅れることになる。

ゴールドドリームなど明け3歳の頃からのトップホースだ。

そう簡単に逆転も地位交代も起きないダート戦線において、適鞍での完敗では、残念以外の言葉が思い浮かばない。

 

ロードレガリスはもっと早く先行態勢に入れないと、まず出世は望めない。

ハヤヤッコとの道中の争いで、根負けしていたそのポジションが大問題。

ここまでの連勝はフロックではないのだろうが、こちらは池添騎手とは息が合わなかった。

 

日本ダービー予想特集はこちら

 

 

レース回顧

ヴィクトリアマイル 2020 回顧【ステップ幅がいい意味で小さくなったのだろうか?スタートが改善】

読了までの目安時間:約 5分

 

何も起きないようなところにつけられたアーモンドアイに、どうにも太刀打ちできない競馬をさせられてしまったのだから、牝馬だからという理由は当てはまらない。

出負け気味でもすぐに流れに乗せたから、ノームコアと横山騎手のコンビもそれほど悪い立ち回りではなかったが、途轍もない勢いで破竹の連勝を重ねるサウンドキアラと松山騎手は、どうやってでも前に行かないとお話にならないので、大外枠でもスタートを決めないといけない三重苦くらいを背負わされたのに、レースプラン通りにことを運べたはずだ。

その分で、着順は先にいったサウンドキアラ先着となったが、まあ、レースが壊されても不思議ではない状況で、この外枠を克服した2頭は、アーモンドアイと同格とはさすがに言えないが、絶賛されるべきであろう。

 

しかし、恐らくは昨年のドバイターフよりは骨太のメンバーに思えたこの相手に、走らせないで楽勝の実質レコード走のアーモンドアイは、思っていたよりも、マイラー化のロードカナロア的気配に傾倒の不安材料も同時に示した。

馬なりで1:30.6なんて、走る能力がそもそもないとできない。

父ロードカナロアは、キャリアの積み重ね方はアーモンドアイより最初緩く、古馬になって、せっせと香港に渡航しては楽勝の連続となった豪傑だが、一生懸命にマイルを走った安田記念は、1:31.5である。

 

流れももっとタイトだったが、時代の流れも馬場差も最小限で、1秒も違うのだ。

JCを圧倒的スピードで、秋の天皇賞を風のように颯爽と駆け抜けて、両方とも信じられないほどの時計で快勝しているアーモンドアイは、さすがに目一杯に仕上げる道理がない不幸なローテ選択の中で、明らかに、父が最晩年の完成期に示した馬格で他を圧倒したそれを再現しつつある現状、スタートそのものが、ステップ幅がいい意味で小さくなったのだろうか、明らかに改善されている。

 

クラシックを目指す過程で態と出さなかったというルメール騎手の的確な能力判断などもあっただろうが、総合力がかなり上増しされたデビュー1年3か月後のフォルムとも、もっと言えば、秋の天皇賞のレース直前の体つきとも、もっと変化しているのは間違いないから、そのすると、我々は常に新たなアーモンドアイに出会っていることになる。

そういう馬を作り上げる国枝調教師だとか、ノーザンファームの調教部門のスタッフの手腕は当然素晴らしいとしても、彼らは毎回、変化する名馬の姿に感嘆しているのだろうと推察する。

 

スタートに不安がなくなって、もうきっとそれは、序盤は全く走らせなかった秋華賞の頃からだろう、有馬記念もそういう普通の能力を習得したからこその敗因なのだ、改めて納得させられた。

凱旋門賞は3歳時には挑む価値はあったが、もうそれはない。

馬場ひと回りなら2400まではこなせるが、宝塚記念の延々スタンド前を走る2200Mは、きっと、コーナーワークで距離ロスを防げる可能性がある有馬記念よりも合わないのではないだろうか。

 

ダッシュ力は時として、ディープインパクトも罠にはまってしまったように、必然性が出た瞬間に、毒にもなる場合がある。

万能のトリプルティアラ・アーモンドアイとは、もうお別れなのかもしれない。

どういう道を進むべきか。

楽勝だから安田記念もありだが、ドバイに行って走っていたとして、今年も使っていたかどうかは不明。

 

東京で日本のグラスホースのGⅠレコードを更新する秋シーズンが見えている中、どちらに絞るか、どちらとも出るのか、やはり香港に行くのか…。

もう1年弱しか走らないだろうアーモンドアイに、再現性を期待しないならば、香港狙いもありだろう。

スタートの不安も事実上消えた。

記録更新なれば、香港へ行く。

故障しそうなほどは、最近全力では走っていない彼女ならば、忘れ物を拾いに行く道が、一番合っているのではないだろうか。

残念ながら、日本のマイルに適鞍は少ないから、この方法で仕方ない。

 

レース回顧

京王杯スプリングC 2020 回顧【テン乗りで先行策】ダノンスマッシュ、レーン騎手の神業で勝利

読了までの目安時間:約 3分

 

期待のレッドアンシェルも相変わらずのスタートの良さを見せたが、ほぼ神業にも等しいテン乗りでの先行策をとったダノンスマッシュに乗るダミアン・レーンさんに、タワーオブロンドンら実績のある面々は全て完敗。

驚くべき発想のようで、まさに、これが初騎乗の強みなのである。

 

いつの間にか、1400でも前に行けるようになったステルヴィオも、様々な乗り替わりの末、ダノンの主戦であったはずの川田騎手が乗っていた。当然の初セッション。

理想の好位抜け出しは決まらなかったが、さすがは3歳で古馬GⅠを制した男である。

 

タワーオブロンドンもレッドアンシェルより前に行き、グルーヴィットは元々前向きだったものを、気分を良くしたイタリアンが、しっかりと能力を引き出すように前を見る好位のインにつけた。

しかし、直線でも弾けるダノンスマッシュは、わずかながら、道悪適性でタワーオブロンドンを上回る分だけ、湿っても高速の前残り馬場を利して、直線でもまるで失速する気配はなかった。

1200巧者のイメージが先行していたが、朝日杯に挑む前は、全て1400Mの競馬であり、3戦とも連対で2勝。

 

先入観は時に毒になると実感すると同時に、若い頃から特性を知るレッドアンシェルに騎乗の福永騎手としたら、少しは揉まれたのかもしれないが、1:19.8で決着の高速競馬に、昨春は同等レベルのタイムで1200を勝っている馬からすると、物足りなさを感じたはずだ。

こういう馬は、突如一変することがあるわけだが、それはここではなかったし、どうも精神面に怪しい部分があることを、再び証明したようなところがある。

 

レーン騎手が、地味に有馬記念以来の日本での重賞制覇となったように、乗れているルメール、福永両騎手には、いい感じをキープしているからこその、土曜重賞の死角ようなものが出てしまったのだろうか。

大いについていない面があった。

 

レース回顧

NHKマイルカップ 2020 回顧 ~ バランスラップ【46.0-46.5】で内ラチ沿い4頭だけの競馬

読了までの目安時間:約 5分

 

46.0-46.5というのは、他の馬のスピードがもっと繰り出せれば違う展開もあったのだろうが、明らかに体を減らして自身漲る気配とは映らなかったレシステンシアには、二の脚の絶対的な加速能力が備わっているから、普通に出ただけで、グイグイ行く馬はいなくて、結果的に勝ったラウダシオンだけの攻撃的な競馬に屈したのみ。

 

正直言って、もっと厳しい流れだったら、レシステンシアに初騎乗でも、ルメール騎手は無理に直線では無慈悲な右鞭は入れなかったはずだ。

そんなレシステンシアは、他の16頭には負けなかった。

レシステンシアに敵わなかった16頭は、高水準のスピードを求められた時の可能性は秘めていたが、このバランスラップで内ラチ沿いの4頭だけの競馬である。

 

ペースはスローであり、期待された支持通りの前残りだが、差し馬の迫力もやや不足していたか。

16頭はレシステンシアに完敗。

しかし、これをいい経験としたい。

 

素晴らしいラウダシオン。

前々走の武豊騎手で勝ったレースより、シャインガーネットにこそねじ伏せられたが、前走の道悪のファルコンSで改めて左回り適性と、高性能エンジンぶりを見せつけていた可能性のある裏路線組である。

奇しくも、武豊騎手も、見事な立ち回りを見せた3着のギルデッドミラーに騎乗した福永騎手も乗っていたが、朝日杯とその前で乗っていたのがルメール騎手。

 

滅多にテン乗りは決まらないとした筆者だが、ヴィクトリアマイルに無類の好適性を誇ったかつての名牝たちと同じで、男・デムーロ、この東京マイルは大好きである。

NHKマイルCで3年連続で、違う騎乗で全て連対。

今年の勝負手は、親愛なるクリストフへの信頼感であろうか。

 

策士ミルコが、アドマイヤマーズで昨年はグランアレグリアを返り討ちにして<厳密には自滅だが>、今年は人気勢での乗り替わりが多い中、戦法に一定の読みが効くレシステンシアにルメール騎手。

競馬が上手で、尊敬するユタカ騎手が先行馬としての可能性を引き出した手前、大いにそれらに甘える手が可能だった。

 

内枠のレシステンシアが、色々なことに気を遣いながらの理想に近いスタートで、その後のスピードの乗りはいつも通り。

しかし、出来に大いに不安がある状況では、モリモリの筋肉野郎にきっと育つだろうラウダシオンも好発ならば、格好の目標。

大いに煽って、すっかりミルコの思い通りだった。

 

3角手前で、行くようで行かないという2騎の勝ちパターンであったから、そもそも、他の馬に並びたてる可能性は皆無に等しかった。

直線では、唸る手応えで、今日はもらったと堂々の抜け出し。

レシステンシアに我慢させる競馬をさせるくらい、ラウダシオンも若干の距離不安を抱える分とがうまくマッチして、伏兵としては最高の本命潰しの競馬だった。

 

こういう競馬が早いうちからできるのなら、ラウダシオンの父リアルインパクトの後継者としての未来像もすっかり確立されたようなもの。

安田記念を早くに制したが、本領発揮はずっと先の事だった。

 

さすがにもうお釣りのなかったレシステンシアに、余計な心添えは無用と思った。

そもそも、有力とされた面々で、最も細化著しい限界超えの状態であったのが彼女である。

かなり強力なライバル相手に、ほぼ出来ることをやった中では、凡戦化歓迎せずの自分のフォームではない中での、懸命の粘りはさすがであった。

桁違いの底力である。

 

同型の配合であったメジャーエンブレムは、マイルに拘って使われ、桜花賞前に完成してしまったわけだが、彼女は秋デビューの元々は伏兵評価の馬。

春に結果を求めることはもう無理だから、しっかり立て直したい。

同じ体重の減りだったサトノインプレッサの方が遥かに体調は良かったはずだが、どことなく、経験の差も影響してか、輪乗りの段階では、こちらの方がずっと頼りがいがある存在と映った。

彼も含め、無敗馬は結果を出せなかったものの、時計平凡はむしろ歓迎。

再戦は大いに望むところだ。

 

レース回顧

京都新聞杯 2020 回顧【皐月賞で見せ場なしの馬が底力を見せたダービー最終便】

読了までの目安時間:約 2分

 

芝である程度結果を出していた組の方が、押して出ていって、中でもシルヴェリオがバンバン飛ばしていったから、正攻法でも阪神の結果を考えたら、全く問題ないように見えたアドマイヤビルゴは、反動やら、何やらいっぱい敗因はあったのだろうけど、何となく、本質的な適性がダービーへ向けて、死角ばかり目立つ結果になってしまった。

 

そうなると、実は皐月賞で競った2頭にも死角ありとなるわけだが、あちらは高いレベルの能力が要求される重賞での好時計勝ちがある馬。

現状、タフに2000Mを超える距離の重賞を戦うには、策を講ずる必要があるということだろう。

 

そうなると、ファルコニアも似たような適性で一騎打ちに持ち込もうとしたから、その次のグループの台頭。

結果、唯一GⅠ出走歴のあるディープボンドの快勝である。

 

東京のトライアルは、共同通信杯の前に東京のレースぶりが買われ過ぎて、中山で結果を出せなかったビターエンダーが、○×のリズムで東京で盛り返し。

良血ポタジェが進路がビターエンダーの後ろで、スローだったから外に出した分…、という差。

でも、ビターエンダーは全然真っ直ぐ走っていなかった。楽勝の上、大いにソラを遣っていたように思う。

 

皐月賞のレースレベルは相当だったはずだが、そこで見せ場なしの2頭が、底力を見せたダービー最終便。

いやはや、前の2頭の強さが異常であると同時に、経験の重みを実感した。

前者はキズナの仔、後者はオルフェーヴルの産駒。

こういう競馬に合わないと思ったが、こういう馬は条件一つで、コズミックフォースみたいなことはある。

セレタ系のディープボンドは、差せる能力を示しただけでも、今後の展望が開けた。

2着マンオブスピリットと共に、秋以降に見通しが立った。

 

レース回顧

天皇賞(春)2020 回顧【なぜ、キセキが先頭に変わっても】消耗戦にはならなかったのか?

読了までの目安時間:約 5分

 

今年も激闘になったが、キセキの先行により、素晴らしい叩き合いのレースに展開。

底力でねじ伏せたフィエールマンは文句なしだが、日経賞で距離の目途を立てたスティッフェリオと有力馬の中団以降のグループで最も先に仕掛けたミッキースワローも、まだまだ伸びしろがあることを示すような直線の反応で、大いに抵抗して見せた。

 

最初はキセキは半信半疑の武豊騎手であるから、音無厩舎の2頭が適性面で本質同等の2頭がうまくリードしてくれたところまでは、ほぼ全て思い描いた通りの展開だったのではないだろうか。

正面で行くことも、そこから後続にリードを広げて、幾らかスタミナに不安のある気性的な特性から、どれだけ我慢できるかという勝負に出るところまでは青写真通りだった。

 

祖父ジャングルポケットのような仕草を覗かせるミッキースワローは、どんなになだめてもダメなところがある。

しかし、仕掛けのタイミングをまず間違えることのない横山騎手であるから、フィエールマンを目標に動き出しをイメージしやすい展開に持ち込むことは、思っていたよりもずっとイージーライドだったように思う。

しかし、キセキが先頭に変わっても消耗戦にはならなかった。

 

音無勢の2騎が作ったリズムをずっと変えなかったからである。

キセキも自信を持ってグイグイ行くこともないとして、流れに身を委ねたが、それに最もフィットしたのが、最後までナイスファイトする北村友一騎手とスティッフェリオ。

全てにおいて、完璧な伏兵の競馬であった。

それでも、強い馬が来るのがこの競馬。

 

常識的に抑えが効く形を覚えた日経賞組に、気性面でこちらもキセキのようにまだ怪しい面を抱えるモズベッロだけは不発だったが、極めて正当な戦い方で、距離不安のない西の前哨戦組を完封したのだ。

困った時は日経賞組。案外、この役に立たなさそうな格言が、最後に効くことがある。

 

しかしだ。伏兵陣が皆、本質的にちょっと長いということを踏まえてなのか、ノリジョッキーが展開を正確に読み切った動きを坂の手前でしたにも拘らず、スティッフェリオとミッキースワローだけのレースになって不思議ではなかったところで、一気に真打ち登場の流れを作ってしまったフィエールマンとルメール騎手には、正直、驚かされた。

スティッフェリオに並びかけた時点で、日本の根幹距離GⅠにおける血統的な優先度の絶対性を考えても、この展開ならディープで前年覇者が圧倒的有利のゴール通過、だろうとは考えたが、ここまで仕掛けを遅らせて、本当に怖いのキセキだけということだけを考えたような乗り方は、ここ2カ月まともに大レースに参加していないルメール騎手だから、尚の事素晴らしい。

 

名手たちも伏兵陣も、やるべきことはしたし、走りそうな馬はみんな駆けた。

ただ一頭、次元が違っただけではなく、最も楽にレースを作ってしまったのが、フィエールマンとルメール騎手だったのである。

直線のあの脚は、父が内ラチ沿いを独走した時のようで、マヤノトップガンやその前年のサクラローレルのようにも映ったが、時計が1秒ほど違うのに、昨年と同じ脚で今年は差し切り。

全てお見通しという、熟達の名騎手が繰り出した奥義を、あっさりと体得したのも驚き。

 

この作戦。

太目残りではなく、牝馬でもよくある、古馬になるとフォルムが変化して丸くなるという本質面が出てきてのもので、あの有馬記念の結果はルメール騎手自身がよく知っているはずだから、体重ではなく、見た目の変化に対応した策にも思えた。

直線まで溜めれば、いい脚をもっと使えるようになったのではないか。

凱旋門賞に使えるだろうか。JCにも出たいところ。

宝塚記念はどうするのか。

お釣り残しの連覇など、この春の天皇賞には全くなかったことだが、連覇しておきながら、これが10戦目。

皆が感じている競馬のイメージよりもはるかに楽に、この天才はとんでもない偉業を成し遂げてしまった。

引退時期さえ見えない、本物エースになろうとしているフィエールマンの躍進は、ここから始まるのである。

 

レース回顧

青葉賞 2020 回顧【本番は道悪要員に思う2頭が権利獲り】

読了までの目安時間:約 3分

 

フィリオアレグロ以外はだいたいイメージしたような位置取りといった展開で、人気馬のどれが勝つのかという直線の攻防となったが、坂上からゴール板までで求められた能力は、ここまでのパフォーマンスを反映したものというよりは、こういう条件でこそ本来の底力を発揮する馬であることの証明に必要な適性そのものだった。

 

比較的有力馬が外に出てくれたので、レーン騎手のフィリオアレグロはスムーズにイン強襲、あの時のシンボリクリスエスのような競馬になるかと思いきや、どうにもこの馬、渋といけれども鋭さに欠けるようで、距離も少し長かったか、迫力ある末脚という感じではなかった。

 

一方、わざわざ先団を見る好位から、隣に併せる馬を求めるようにヒューイットソン騎手が坂の辺りで大外へと誘い、フライライクバードとの叩き合いに持ち込もうとしたオーソリティは、初の東京以外に死角が見当たらない実績最上位の馬であり、オルフェーヴルとエピファネイアの一つ下妹であるロザリンドとの配合から生まれた血統馬らしい、力でねじ伏せる素晴らしいタフさを誇示し、最後に前を捉え切った。

 

最後はそれと併せたヴァルコスも、ディープ一族のノヴェリスト×ダンスインザダーク。

無論小物ではないし、思い切り力勝負に持ち込んだ時こそ全能力発揮の欧州型血統らしいパワフルさを見せ、小差の2着は立派。

 

一方、ギリギリ持ち堪えられそうな状態に見えたフライライクバードのみが、最後はお釣りを失ったような伸びで、馬群へと消えていった。

外枠からダービー制覇の陣営だから、やれることはやったが、ここに挑む前にもう、力尽きていたのだろう。10F近辺で正攻法が合う馬に育っていくのかもしれない。

 

大レコード決着も本番は道悪要員に思う2頭が権利獲り。

だが、そのパワーでさえ、コントレイルには及ばない雰囲気であるから、万事を尽くし、自滅待ちしかないか。

 

レース回顧

フローラS 2020 回顧【早めの仕掛けに応えたウインマリリンの底力と化学反応】

読了までの目安時間:約 4分

 

-14kgがどう出るかと思って見ていたが…。

なかなか見られない、芝コースに砂が舞い込んでくるようなコンディションも影響して、中団待機は思い通りだったのだろうが、坂からスパートしなきゃいけない場面で、全く反応できず。

京成杯の再現を、違う戦法でもより激しい気象コンディションで、結果的にしてしまった形。

スカイグルーヴはついていないと同時に、東京2000Mの新馬戦を勝てる能力が、大事な場面でマイナスに作用してしまった先輩たちと、轡を並べることになった。

差す形が合わないとは思わないが。

 

筆者は新馬戦の内容を評価していたのだが、まさかこんなに早く出世するとは思わなかったのが、ぶっちぎりのレースレコードで快勝した-10kgのウインマリリン。

人気のスカイグルーヴは、休み明けでよく言えば本番並みの仕上げ、冷静に判断すると、変なところにスイッチがあるパロクサイド系の危ういところが輸送の点で死角として現れたと言えるわけだが、この季節の3歳馬は、物量作戦で何としてでも本番に向かうのだと息巻くマイネル軍団のウインマリリンだから、新馬戦と2kgしか目減りしていない彼女の場合は、完全に作り上げた結果と言える。

 

かつて、強風の有馬記念で風よけを使った方がいいのではないかと柔らかい表現で進言した調教師に対し、いやそんなことはない、と返し、逃げ切ってみせた天才コンビがいたが、今回のそれは、流れに対し冷静にアシストした横山武史騎手の大人びたテクニックに加え、パワー勝負歓迎の中山でタフな馬場をこなしてきたという自負が根拠となっている早めの仕掛けに応えたウインマリリンの底力との化学反応であり、むしろ、この次がもっと展望できる、魅力たっぷりの稀有な牝馬であると、皆が知るところとなったのである。

 

ロベルト系の主要種牡馬に成り上がった、血統と競走実績の中身に若干の齟齬があるスクリーンヒーローが、ちょっとしたロベルトブームの中で生み出したパワー型の牝馬。

これが芝得意のスクリーンヒーロー産駒にとって、初となる牝馬による重賞勝利。

母系はオーストラリアに由来がある、岡田繁幸氏でなければ良し悪しが見極められない系統の組み合わせながら、母コスモチェーロの父はフサイチペガサスであり、ダンチヒとヘイローにクロスが生じるウインマリリンの配合から、先行型のスピードを持続するタイプが走るイメージが湧く。

兄はこの時期活躍したウインマーレライだが、すでにその域は超えているだろう。

 

追い風参考の向こう流しから、向かい風過剰の直線走路へと入るタフな競馬。

しかし、前半が速すぎて、90年代の秋天クラスのタイムでの決着であったから、差し馬も台頭。

見事に飛んだエアグルーヴ軍団に歯向かったもう一頭であるホウオウピースフルは、説明不要の血統背景ながら、東京2000で2勝目を挙げた馬。

父母エアグルーヴのサンプリンセス系である3着のフアナとは、コース取りの差もあったのかもしれないが、思惑通りにここに挑み、過酷な条件に耐え抜いた非エアグルーヴ系の2頭の実力は、全くもって新馬戦の評価通りであろう。

 

こういうのは珍しい。

西の方で楽々抜け出しのGⅠ馬に誰も抵抗できなかったのとは大違い。

本番での反動は大いに気になるが、晩成型が成功の証となるエアグルーヴ軍団と合わせて、大変な豊作の世代であることが、改めて証明された一戦である。

 

レース回顧

福島牝馬S 2020 回顧【フェアリーポルカ、クラシックトライアルで示した総合力が本物であることを証明】

読了までの目安時間:約 3分

 

またしてもフェアリーポルカ。

フロックではないことを証明すると同時に、クラシックトライアルで示した総合力が本物であることも見せつけた。

重馬場の愛知杯も休み明けとすれば上々の内容。

 

外枠の馬でありながら、前走と同じように直線は前回の中山牝馬Sよりも内をついて、しかし、グイグイ伸びてくる姿はそっくりそのまま。

良馬場でややタイトな展開ということもあって、その時よりもずっと加速力がついた伸び脚は、昨年この時期から連戦連勝で豪GⅠまで楽勝した同父のメールドグラースとよく似た傾向を示したことになる。

 

しかし、それにしても期待されたエスポワールがあまりにも案外だった。

池添騎手はスタート一歩でも、1角からスムーズに外へ持ち出し、差し馬に有利な展開を正攻法で抜け出す準備はすべて整っていたように見えたのだが、勝負所で、結果2着に快走するリープフラウミルヒの方が、ロスなく立ち回ったとはいえ、遥かに手応えが良かったから、その時点でアウト。

 

今回の主役となったもう一頭のランドネも、昨年はスムーズに流れを作ることができずに脆かった6着とは違い、自分のリズムを守り通した20分の長期戦を、タフな展開を2番手追走から自ら演出した末に、力を出し切って3着。

3年振りのフルゲートで、むしろ、そういう時の方が荒れないということも多かったが、福島の重賞なのに、変に各馬斤量差がなかったことが、こういう結果を生んだ要因にもなったか。

 

目方の大きい2頭の間に、馬体重が下から2番目の馬が挟まる組み合わせ。

フェアリーポルカの独走は十分に想定された展開だが、そういう結果になった時ほど、相手の選定で最初に切り捨てた馬が来るというのが、ここの競馬の最大の特性である。

その辺の塩梅を知り尽くした福島ファンには、何とも痛快な結果であった。

 

レース回顧

1 2 3 12