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日経賞 2020 回顧【ギリ良馬場なら長い距離OK】を証明したミッキースワロー

読了までの目安時間:約 3分

 

馬場が悪い上に、ヤマカツライデンやガンコという先行型に加え、ソウルスターリングという本質ではもっと短いところに向く馬が登場したから、勝負所も緩みがなく、少し行儀のいい競馬を出来過ぎたエタリオウも本質は長く、渋馬場向きのタフなタイプが上位を占めることになった。

 

直線の伸びは1、2着の2頭が目立ったが、これも馬場適性や中山などローカルチックな右回りへの適性で、本質的な適応可能距離を越えても踏ん張ったスティッフェリオは、田辺騎手にいかにも合いそうなわんぱく君で、中団で折り合った収穫はある。

相手関係で天皇賞(春)も好走の可能性を残した。

 

ふらつきの目立つ人気の好走2頭は、現状は、キャリアや体調面など、競馬に対するスキルだけではない総合力で、ここではミッキースワローがモズベッロを上回ったという感じだったが、どちらも我が強いタイプで、モズベッロはなかなか池添騎手が追いにくそうにするなど、スティッフェリオ以上にまだまだ内面的な課題を残した雰囲気が目立った。

 

ミッキースワローがこれまで長い距離でダメだったのは、単純に、京都の大きな回りでも中山の有馬記念でも、溜めを利かせる競馬に持ち込みづらい雨馬場のGⅠ戦だったことが影響してのペケであったから、ギリ良馬場でこの程度の相手なら、前走の不遇の馬券外敗走の名誉回復には十分な巻き返しは可能だった。

一方、スケール感で恐らく、父ディープブリランテ以上の何かを秘めるモズベッロは、軽いレースではないところで結果をしっかり残してきたから、重賞を制して、3度目の正直と言わんばかりの中山でついに好走したことを自信としたい。

 

こちらはまだどこかにハンディキャップホースの気配があったから、前走の素晴らしい内容に反し、気性面などの要素も含め、課題ばかりだったから過剰な支持は集めなかったが、走らずしての2着である。

気持ちが乗っているうちに、大きな舞台を踏ませてあげたい。

 

レース回顧

大物登場!【リーガルマナーの血統】を深掘りしてみた

読了までの目安時間:約 3分

 

2020年3月20日 1回阪神7日 ダート1800M 新馬勝ち

この世代最後に紹介することになったデビューウイン達成者は、今年のトレンドであるテンよし、中よし、終いよしで上がりNo.1で逃げ切りを決めたリーガルマナー。

ただ重厚なだけで、名牝サンプリンセスの血は当たり外れが大きいとされ、母エレガントマナー、祖母ネオクラシックは、そうした血統背景の負の側面を丸出しにしてきたが、待ちに待った大物登場と相成った。

リーガルマナーの血統を深掘り

リーガルマナーは父がロードカナロアで、母父がシンボリクリスエスとなるから、こうしてダートで力を発揮する馬となっても、何ら不思議はない。

同時に、ワンダフルな才能を出す血筋であり、キングカメハメハはロードカナロアが異様に見えるようなダートも芝もマイルから2000に徹底シフトした有力種牡馬だったことから、キングカメハメハの秘める性質の後継者ともなり得る。

 

最近、サンプリンセスの一族からリーガルマナーにとっては近親の部類といえるエスポワールやその兄アドミラブル、バレークインの妹からフサイチコンコルドの牝馬版を作り上げ、その産駒からノーワンという不思議な才能を秘めたハーツクライの牝馬が出現している。

ただ、在来牝系でもトレンドに乗って復興を遂げた例は非常に多い。

スペシャルウィークが突如して現れたフロリースカップ系から、一回りしたあと、サンデーサイレンス直仔が事実上消えかけていた06クラシックを盛り上げたのは、そのシラオキ系とは別の流れを汲むガーネットの末裔であるメイショウサムソンだった。

翌年クリフジ以来となるダービーフィリーの大偉業を成し遂げたウオッカは、シラオキ系で最もサイクルの早いローストウショウの系統。

 

こうした流れは無視できないもの。

ビワハヤヒデとは似て非なるナリタブライアンが、兄以上に活躍し、フサイチコンコルドの全く世代の違う弟が皐月賞を制したアンライバルドだったり、ちょっと後は二冠牝馬の孫世代から登場の弟がダービー馬になったりと…、平成期の競馬界でも、大いに盛り上げた兄弟のドラマが沢山ある。

中内田厩舎の秘蔵っ子に止まらない活躍が望まれる。

 

レース回顧

スプリングS 2020年 回顧【ガロアクリーク】爆発的な決め手の謎?血統を遡ってみた

読了までの目安時間:約 4分

 

見た目より遥かにスローペースになってしまったことで、ミルコの謎の早仕掛けではなく、それでもまだペースが上がったというほどではなかったので、ヴェルトライゼンデが多少は捲る形でスタミナを測ってくる可能性があった状況で、そのファルコニアが行ったあとに、この流れでは動くしかなくなった感じだった。

 

それにしても、こう乗ればもっと簡単に勝てるのに…、という感じで伏兵の決め手を最大限引き出したヒューイットソン騎手のガロアクリークの決め手は、流石は中山1800的波乱につきものの直線勝負型の爆発的なものであった。

キンシャサノキセキ×キングマンボにはそういう魅力が秘められていると同時に、この馬、お馴染みオリビエ・ペリエが全競走で騎乗したミエスクと同格とされた名マイラーの女傑・ゴルディコヴァの近親でもあるのだ。

 

ちゃんと調べないといけないシリーズで、中山1800の穴馬券を立て続けに落とした筆者は、こうなるともうやけである。

ゴルディコヴァとガロアクリークの関係は、共通の分岐点にゴールドリヴァーという牝馬がいて、前者の3代母、後者の4代母として互いの牝祖となっている。

 

拡大していくと、インフラレッドにまで遡り、その直仔であるネアルコ産駒のライディングレイズの子孫から、社台の名牝系として知られるナイトライトの一大名馬群が拡がり、ダイナコスモスは皐月賞馬になった。

一方、妹にあたるハイペリオン産駒のレッドレイの曾孫がネヴァーベンド系の中心部を形成したミルリーフである。

その母ミランミルのまた玄孫が、今度はガロアクリークの直系祖父にあたるフジキセキ。

インフラレッドから始まる名馬の集積地と化したガロアクリークが、ドリームジャーニー×マンデラという自慢の血統馬であるヴェルトライゼンデを交わし去る光景はまさに痛快。

違った形で発展した良血の両者がクラシックトライアルで激突し、新たな血統物語の一節を書き加えたことになる。

 

溜めて勝負出来たガロアクリークは、まだまだ成長しないといけない面は沢山あるし、血統の名に負けてしまう馬になってきた近親の悲哀を引きずってしまう可能性を大いに秘める一方、思ったよりキレなかったヴェルトライゼンデよりスパッと決め手を発揮したのだから、フジキセキのラインらしい素軽い動きで短距離路線を主戦場とする父のようなサクセスストーリーを歩んでいける面もあったりする。

 

さて、ヴェルトライゼンデは問題ないだろうと考える。

ここまで溜める形から直線を待ってという仕掛けをしてきたこともなければ、そのチャンスもまたなかった。

本命馬が本番前に挙動の不安がないことを確かめると同時に、違った面を、この血筋をよく知る池添騎手に引き出してもらった結果が、基本距離では大いにキレ負けする性質を持っている、タフな展開を好む中距離型とはっきり出たのだ。

 

これも収穫。

相手がやや軽すぎて、自分のやりたいこととその他の目的意識の違いに戸惑った面はあるだろうが、ガロアクリークのスケール感は、ある意味、人気になっていたサトノフラッグとは違った意味での意外性が出たものであり、無理に下げない方がいいという面が、機動性で秋より上であることを武器にできると再確認できたのはよかった。

その他が思ったほどは…、という直線でも、ガロアクリークのハマり方がとても象徴的で、もっと違った場面での活躍を他の馬には期待したい。

 

唯一、ココロノトウダイはこの変な展開で好ポジションは裏目に出てしまった。

器用ではないとは思っていたが、少し時間をかけて仕上げていきたい隠れた大物候補なのかもしれない。

 

レース回顧

フラワーC 2020 回顧【キズナの即戦力がまたしても】アブレイズがタイトな流れを押し切り

読了までの目安時間:約 3分

 

思わぬ伏兵の誕生である。

強気の先行から、いつもくらいの馬場状態ながら、平均よりかなりタイトな流れを押し切り。

追い込んだレッドルレーヴもまだ評価がこれからという良血馬であり、シーズンズギフト以下人気勢が、タフさで見劣ったのは残念だが、決して軽い競馬ではないから、キャリア2戦で簡単に勝てるようなレベルの組み合わせではなかったことまで踏まえると、キズナの即戦力がまたしても登場の構図が再現されたことになる。

 

京都で1戦したのみだったアブレイズは、3代母の息仔にタフに活躍したトレイルブレイザーがいるという、どことなくこういう舞台に適した血縁のようなものがある馬。

加えて、そこからタイキシャトル、ジャングルポケット、キズナと、軽くはない条件を好む正攻法の競馬が合いそうな傑出馬を配されたことで、他の馬にはない粘っこさがあったのだろう。

一族の出は、ヘクタープロテクターやシャンハイが登場するロイヤルスタチュートの系統であり、これも合わせて、本番よりその前に合いそうな気配がプンプン。

 

後からなら何とでも言えるのは事実だが、手広く押さえるならば、キャリアの浅い馬同士の争い、こういう血統の根拠を求めるという手立てもあったと、ちょっと反省である。

にしても、4着チェスナットドレスはディープスカイの産駒で、他はクラシックに実績のある系統だとか、勝ち馬と同じ父を持つクリスティも好走と、合いそうな馬とそういう感じの馬と、色々混じっていたのは間違いないから、以降に注目と考えると、思ったより相手が速くて少し道中消耗したシーズンズギフトとそれにマークされるも潰されまではしなかったクリスティなど、人気勢か。

ほとんど馬がファンディーナよりは速く走っているので、コースの変化で大いに動き一変がある。

さすがに、昨年のレコード勝ちだったコントラチェックのスピードと比べてしまうと、基準が狂ってしまう。

 

レース回顧

新馬【大差勝ち】アンジェロフィリオの大物感漂う血統背景

読了までの目安時間:約 2分

 

2020/3/14 阪神 ダ1800M/小雨・重

阪神で完勝のデビューウインを飾ったアンジェロフィリオは、最近、とても砂巧者を多く出している印象のキンシャサノキセキの産駒。

この時期にデビューするような馬だから、大型の馬格も納得だが、上がりの時計の差が着差とイコールというくらいの数的根拠を記すまでもなく、パワフルさに加え、重馬場を利して1:54.5だったことも踏まえれば、基本的なスピード能力の差が大きかったという印象はある。

 

この世代、明けのダートデビュー組や、サウジアラビアで劇的快勝を決めたフルフラット、すでにそれより強いような雰囲気のあるカフェファラオなど、突如として強烈なパフォーマンスで目を惹く天才型が、ポコポコ現れる不思議な現象を繰り返している。

芝路線は6月の2歳戦開始から、ガンガン大物候補が登場しているが、この最後の方に現れたアンジェロフィリオとて、侮れぬ存在に思える。

 

父にはアルマームードが2本で、5代目と6代目でクロスとは生じされないが、母は5×4×5の継続性があるクロスが施され、伴ってノーザンダンサーがフィリオの代で5×5×5。

その上に、ヘイロー直仔のサンデーサイレンスが3×3で掛かっているから、近年のトレンドであるアルマームード過多の継続クロス型配合が取り込まれている。

種牡馬のクロスより効果は乏しいようで、根こそぎ同族の血が重ねっていると考えたら、実はその濃密さは大種牡馬のきつめのインブリードよりも強い。

それにプラス、セントサイモン色が強い父系とハイペリオン多めの母系という組み合わせ。

 

時たま、こういう濃い繋がりの配合から大物が登場するものだ。

 

レース回顧

フィリーズレビュー 2020 回顧【エーポス】デビューから16k減、タフな末脚を名手に引き出され圧勝

読了までの目安時間:約 5分

 

さすがに速いと思って前の流れを見ながら、中心視したアヌラーダプラを視界にとらえて、今度は前を見ていると、今度はヤマカツマーメイドが抜け出してきて、これは鮮やかに勝ってしまうのではと思って、ではまだ中団より後ろにいたアヌラーダプラの末脚を確認してみたら、一番大事なところでスムーズに上がって行けず、流れであるとか初めての道悪などが影響したような貧弱な伸びで切ない気分になっていた。

 

ところが、過酷な33.3-45.0-56.5から残り2F24.5秒の消耗戦だったからなのだろう、内の狭いところを捌いて上がってきたのが、みんながそれでは穴はどの馬がというところでよく名前が挙がっていたエルフィンS4着馬のエーポスだった。

中山デビューの関西馬であり、最近には珍しい、暮れに使われ出してから押せ押せの4戦目という馬。

 

ハイペースのエルフィンSで、様々タフな競馬を経験し、全く伸びない内に進路をとった割に、まずまずの健闘を買われて穴人気していたジャスタウェイの仔。

同じジャスタウェイなら中京のロードマイウェイだろうと皆は思っていたわけだが、ジャスタウェイにもその父ハーツクライとも直接関係ないところで、彼らのライバルに乗って大活躍していた岩田騎手が、見事に一仕事してくれた。

最後は内から…、何とも懐かしい岩田流の十八番が炸裂である。

 

それにしても、やたらと春前半に活躍馬を多く出すフジワラファームの生産馬とはいえ、波乱の多いフィリーズレビューであることを差し引いても、JFで厳しい競馬を経験しているヤマカツマーメイドくらいしか、直後の3歳重賞路線の上位グループとやり合えそうな雰囲気のなかった面々だったというのは、少々残念。

例年よりはタレント揃いと思っていたのだが…。

 

カリオストロもムキになっていくというほどは気持ちが前向きすぎるわけではないものの、最初の33秒前半の先行で、流石に余力を奪われてしまった。

松山騎手はこういう短距離型の強気の先行は得意な方だが、少し内枠の危険性が悪い方に出たから、また作り直さないといけない。

 

エーポスという馬は、重賞も初参戦で1勝したのみの馬だったものの、京都の内回り外回り両方のマイル戦を経験している上に、中山の新馬戦も人気を集めた中で好位抜け出しだしの快勝。

連続して使われている、今のトレンドと逆行しながらのクラシック挑戦で、今回も減ってデビューからこれで16kgも体を減らしながら、今までにないタフな末脚を名手に引き出されたから、桜花賞はともかく、しっかりとレース選択をしながらいらないところを使わなければ、古馬になってからの伸びしろまで含めて、素晴らしい能力を秘めている可能性を早くも示したことになる。

 

そういう脚を、彼女にとってはプラスに思えた外枠からの追走で発揮できなかったアヌラーダプラは、こういう距離の競馬を使う以上は、あまり溜めていかない方がいいのだろう。

前向きさをここまでは抑えて、豊かなスピードを見せた中山マイルの新馬から、どんどん中途半端に脚を使うだけの馬になりかけている。

気難しいから、初の遠征や道悪の経験が今後に活きることは間違いないが、思っているよりもない面が繊細過ぎた。

三浦騎手がほぼイメージ通りに乗っていた感じだったので、伸びしろがまだまだあることをまずは適鞍で改めて示していきたい。

無理にオープン戦を使うことはないだろう。6月になれば、2勝クラスで戦える。

 

中山マイルというのはキーワード。

アネモネS快勝のインターミッションは、このコースだけ使われて、1-3-1と好結果を続て出した。

しかし、エーポス同様、こちらは元が小さいのに、エーポスと同じだけ減って3戦目で400kgになってしまった。

無理して阪神に挑むか、陣営は悩みどころだろう。

おまけにこちらはディープ×キンカメという血統馬。ハーツクライ的な劇的成長までは期待できない面もある。

 

レース回顧

中山牝馬S 2020 回顧 ~ 血統を見れば【超】不良馬場巧者だったフェアリーポルカ

読了までの目安時間:約 3分

 

雨が降ったし、オルフェーヴル産駒ながら行く一手のモルフェオルフェが行きそうな展開までは読めたが、向こう流しがこれほど見づらい競馬は久々であった。

雪も不良も、さすがに想定外だった。

 

こういう状況で、コントラチェックが普通に先行することはできない。

行ってもバテることは秋華賞で経験済みのルメール騎手は、最初の出の悪さや恐らく、これまでの重馬場での動きの鈍さを再確認して、もう初めからいち参加者のスタンスで、無理をしなかった。

 

一方、枠もさることながら、そのコントラチェックが案の定の失速を交わし去ったフェアリーポルカの破壊力は、想像以上。

父は2度も不良馬場で重賞勝ち、代表産駒のキセキも世紀の極悪馬場となった菊花賞を制している、あのルーラーシップの仔。

母父アグネスタキオンは不良馬場の弥生賞を独走。

トゥザヴィクトリーの一族ということで、ヌレイエフの血が入った馬はこの手の馬場の巧者が多く、その5×3はアーモンドアイと同じでも、本質が軽い馬場向きという馬ではないのだろう。

 

世代の重賞級と再三再四好勝負を繰り返しているフェアリーポルカが、三度目の正直で、本当の道悪適性と真の実力馬であることを示した。

同じように、ドバイWC勝ちのモンテロッソと不良秋天圧勝が無効の憂き目に遭ったメジロマックイーンの配合である超伏兵のリュヌルージュも、適性とガッツで、実力派のサドラーズウェルズコンビを抑え込んだ。

この牝馬、実質第一回のホープフルSに果敢に挑んだ勇者である。

惜敗を繰り返しながら、ようやく完成期を迎えつつあるようだ。

 

5着はハービンジャー産駒のレイホーロマンスで、ほぼ、小倉の愛知杯上位組に秘める適性が引き出された面々だけの競馬になった。

やけに道悪なのにハイペースが多かった土曜日。縁のない馬には、どうにも抵抗できない競馬が目立った。

 

レース回顧

新馬勝ち【アイアイテーラーの将来性】血統背景と、父カジノドライヴ超えを期待させる走り

読了までの目安時間:約 3分

 

2020/3/7 土曜 阪神 ダ1400

突然の訃報が伝えられたのは、週中だったか。

カジノドライヴの種牡馬供用停止と共に、昨年、14歳で生涯を閉じたとスタッドブックに記されていたと報じられたのは。

 

不思議なもので、やはり、死んだ馬の仔が走ったのである。

4鞍の新馬戦を行うのは、この開催いっぱいで最後となる、ダート戦のみが組まれた番組の最初のレースで、直線踊るような弾け方で突き抜けたのが、アイアイテーラーだった。

いや、待てよ。引退したのではないか?

 

それはアイアンテーラーである。

一昨年のクイーン賞を圧勝した馬である。

父はゴールドアリュールで、生まれた場所も違うのだが、牝馬であるという点だけでなく、厩舎も馬主も同じとなると、紛らわしいことこの上ない。

 

おまけに強いとなると、気になって仕方がない。

アイアイの方は、アイアンの競走生活最終盤の主戦である浜中騎手で、新馬戦を快勝。

アイアンも新馬戦を勝っている。

父カジノドライヴが京都の新馬で稀に見る圧勝を果たしてから、堂々2戦目からアメリカ遠征。

それもそのはず。前年に2つ上の兄ジャジルと、一つ上の姉ラグストゥリッチーズは、共にベルモントSを快勝した馬。

 

それこそ、異父兄弟の関係性ながら、結果が同じならば、それに倣わない手はない。

結果的に、故障による取り消しによって、パシフィカス兄弟超えのラストクラウン独占物語には終止符が打たれたわけだが、果敢にBCクラシックにも挑み、準オープン快勝後には、フェブラリーSで断然格下馬ながら激闘を演じ、復活なったカネヒキリをねじ伏せ、サクセスブロッケンの2着に入った。

 

大きく出世できなかったことでは、期待値以下であったアイアンテーラーと父のカジノドライヴに似ないでもらいたいと思う一方で、逃げて持ち味を活かす戦法に固執しなくていいということを示したアイアイテーラーのデビュー戦の結果は、素直に将来性に太鼓判を押せるものがあったと言える。

伯母に非業の死を遂げたサンアディユがいるという血統背景。

何から何まで、乗り越えねばならない壁の高さに、ファンもやきもきすることだろう。

いつも誰かのことを思い出さずにはいられない馬なのである。

 

レース回顧

弥生賞 2020 回顧【皐月を展望した早め抜け出し】サトノフラッグ完勝

読了までの目安時間:約 5分

 

ゆっくりと外に出して、無事に馬込みを早めに捌き、恐らく苦手の部類のかなりの道悪競馬でも、2分2秒台で乗り切って見せたサトノフラッグ。

お手上げである。

 

道中は第一先団と中団以降の馬群という形で進行し、どう考えても跳びがシャープとは言えない若いサトノフラッグを、武豊騎手はダメージをかけないように、それでいてもっと新しい面を引き出すべく、道悪競馬の特性を理解しながら、普通のタイミングではない仕掛けで、明らかに次戦以降を展望するような早め抜け出しから、完全にオープン実績で上位だった面々を完封。

これなら文句ないだろうということでは、クロフネが除外で代わりに登場のアグネスデジタルが、最大の障壁だったテイエムオペラオーを差し切ったあの秋の天皇賞とよく似た構図。

 

パワーはあるけど、もっと内面がしっかりとしてから本格化…、という青写真では、除外のクロフネが別のステージで爆発的に走った姿はが、まだ見ぬコントレイルともリンクしたりするから、そこからもっと凄まじい男になっていったアグネスデジタルのようになるには、更なる研鑽がサトノフラッグには求められる。

どんな馬にも躓きがあって、それを乗り越えた時に、また新たな自分と出会う。

コントレイルとは違い、サトノフラッグは走りのリズムがまだ出来上がる前に新馬戦の道悪で大いに躓いたが、名うての道悪巧者に思えた実績上位馬は、最後は音を上げていたのだ。

スケールの大きさを示したと同時に、まだまだ見果てぬ夢を追い駆ける若武者のままで、今はいてもらいたい。

皐月賞やダービーでダメだったとしてもいいではないか。

父が伝説の名馬であり、その名を冠した最初のレースを制したのは鞍上の宿命だとすれば、自身が思い描く未来には、2000M以外での自分との出会いが、まずは大きく影響する。

 

理想は1戦挟んだ後のそれということになるが、全く父に似ていない同父のライバルが、こうして同じ舞台から登場するというのも、不思議なものである。

父は皐月賞では全く歯が立たず…。

京都に転じ、後の春天馬との至高のライバル争いを制し、キングの道を進んだあいつには東京で敗れたが、キングになりかけたディープの方は負かしたハーツクライの産駒の方は、まだまだ現状のスケールアップで不満な点ばかりの次期候補生のままだった。

 

もう少しワーケア君は成長していると思ったが、全くクラシックに拘りを見せていない陣営の作り上げ方から、最低限の仕上げで今回もモタモタしつつ、ルメール騎手もさすがというイン追走も選択しながら、ここでも無理なく走って2着。

筆者の思ったスケール感はしっかり体現していても、びっくりするほど変化するような時期ではないというのが、ハーツクライ産駒のこれも宿命なのか。

思えば、ハーツクライで有馬記念を勝った時が、ルメール君のGⅠ童貞卒業の瞬間だったか。

 

それよりは早く育っているオーソリティも、道悪適性やイケイケ・ヒューイットソンの卒のない乗り方で、後はサトノフラッグ君に任せるよみたいな3着はちょっと切なかった。

絶賛再調整中のブラックホールは仕方ないとして、思っていたよりも時計が速くなったことで、成長度合いなどもしっかりと反映された一戦だったのだろう。

スケール感と完成度のバランスが、絶妙に結果とリンクするのは弥生賞なのだが、ディープインパクト記念と改称し、後継争いの品定めの側面が色濃く出てきたようにも思えた。

やっぱり、質の高い優駿選びに、ディープインパクトの血は必須なのである。

それでいて、父とはまるで姿かたちが違うのだから、恐ろしい。

面白いレースだった。

 

レース回顧

チューリップ賞 2020 回顧【やや短距離型のレシステンシア】ここでハードに攻めるワケには…

読了までの目安時間:約 3分

 

強気に行ったというよりも、スタートがあまりにもスムーズだったがために、簡単に逃げてることができたことが、結果的には仇になったということだろうか。

目標となる相手がはっきりしているから、マルターズディオサはどこまで攻めていくことを押さえつつ、ハーツクライの2頭の場合だと、前回とどういう変化をつけて挑むことにが望ましいのか。

 

あくまでもトライアルで、その上、桜花賞を展望するJF上位組がほぼ総出演の組み合わせだっただけに、思惑様々で、本番を見据えてという展開が、女王・レシステンシアに有利に働くように思えたのだが、本質的な適性がもう少し短いところにあることは明らかなレシステンシアだけが、ハードに攻めることが憚られるトライアルということで、思わぬ追走勢からの逆襲を食らう流れを生んでしまった。

 

時計がハードすぎた暮れの一戦のこともあるし、充実のキャリアが今回こそは活きたマルターズディオサの絶妙な追撃が、今回は決まった形。

最後は勝てそうだったから、これはねじ伏せてしまえと、やや気負った分だけ本来の決め手を殺したようなところがあるデムーロ騎手のクラヴァシュドールも、味なインからの抜け出しで、今回はトライアルの意味を持った中身のある2着だったが、本気のレシステンシアに敵うのかと言われれば、ちょっと疑問か。

 

勝手に疲れたからと言って、レシステンシアに過度なスピードを求めてはいけない状況で、普通の逃げはできない死角が、本番ではかえって、楽な展開を生むことがある。

4、5着に極端な穴馬が登場し、軽くレースは壊れた印象も、もう一歩成長待ちのようなところがあるウーマンズハート以外にも期待馬がいた中で、それらは総崩れだったから、2月に鮮やかに勝ってきたあの2頭を押さえておけば、JF上位組を中心視で、無駄のない投資が可能という展望も出てきた。

逃げて差せるレシステンシア。強い流れは大歓迎だ。

 

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