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京都新聞杯 2020 回顧【皐月賞で見せ場なしの馬が底力を見せたダービー最終便】

読了までの目安時間:約 2分

 

芝である程度結果を出していた組の方が、押して出ていって、中でもシルヴェリオがバンバン飛ばしていったから、正攻法でも阪神の結果を考えたら、全く問題ないように見えたアドマイヤビルゴは、反動やら、何やらいっぱい敗因はあったのだろうけど、何となく、本質的な適性がダービーへ向けて、死角ばかり目立つ結果になってしまった。

 

そうなると、実は皐月賞で競った2頭にも死角ありとなるわけだが、あちらは高いレベルの能力が要求される重賞での好時計勝ちがある馬。

現状、タフに2000Mを超える距離の重賞を戦うには、策を講ずる必要があるということだろう。

 

そうなると、ファルコニアも似たような適性で一騎打ちに持ち込もうとしたから、その次のグループの台頭。

結果、唯一GⅠ出走歴のあるディープボンドの快勝である。

 

東京のトライアルは、共同通信杯の前に東京のレースぶりが買われ過ぎて、中山で結果を出せなかったビターエンダーが、○×のリズムで東京で盛り返し。

良血ポタジェが進路がビターエンダーの後ろで、スローだったから外に出した分…、という差。

でも、ビターエンダーは全然真っ直ぐ走っていなかった。楽勝の上、大いにソラを遣っていたように思う。

 

皐月賞のレースレベルは相当だったはずだが、そこで見せ場なしの2頭が、底力を見せたダービー最終便。

いやはや、前の2頭の強さが異常であると同時に、経験の重みを実感した。

前者はキズナの仔、後者はオルフェーヴルの産駒。

こういう競馬に合わないと思ったが、こういう馬は条件一つで、コズミックフォースみたいなことはある。

セレタ系のディープボンドは、差せる能力を示しただけでも、今後の展望が開けた。

2着マンオブスピリットと共に、秋以降に見通しが立った。

 

レース回顧

天皇賞(春)2020 回顧【なぜ、キセキが先頭に変わっても】消耗戦にはならなかったのか?

読了までの目安時間:約 5分

 

今年も激闘になったが、キセキの先行により、素晴らしい叩き合いのレースに展開。

底力でねじ伏せたフィエールマンは文句なしだが、日経賞で距離の目途を立てたスティッフェリオと有力馬の中団以降のグループで最も先に仕掛けたミッキースワローも、まだまだ伸びしろがあることを示すような直線の反応で、大いに抵抗して見せた。

 

最初はキセキは半信半疑の武豊騎手であるから、音無厩舎の2頭が適性面で本質同等の2頭がうまくリードしてくれたところまでは、ほぼ全て思い描いた通りの展開だったのではないだろうか。

正面で行くことも、そこから後続にリードを広げて、幾らかスタミナに不安のある気性的な特性から、どれだけ我慢できるかという勝負に出るところまでは青写真通りだった。

 

祖父ジャングルポケットのような仕草を覗かせるミッキースワローは、どんなになだめてもダメなところがある。

しかし、仕掛けのタイミングをまず間違えることのない横山騎手であるから、フィエールマンを目標に動き出しをイメージしやすい展開に持ち込むことは、思っていたよりもずっとイージーライドだったように思う。

しかし、キセキが先頭に変わっても消耗戦にはならなかった。

 

音無勢の2騎が作ったリズムをずっと変えなかったからである。

キセキも自信を持ってグイグイ行くこともないとして、流れに身を委ねたが、それに最もフィットしたのが、最後までナイスファイトする北村友一騎手とスティッフェリオ。

全てにおいて、完璧な伏兵の競馬であった。

それでも、強い馬が来るのがこの競馬。

 

常識的に抑えが効く形を覚えた日経賞組に、気性面でこちらもキセキのようにまだ怪しい面を抱えるモズベッロだけは不発だったが、極めて正当な戦い方で、距離不安のない西の前哨戦組を完封したのだ。

困った時は日経賞組。案外、この役に立たなさそうな格言が、最後に効くことがある。

 

しかしだ。伏兵陣が皆、本質的にちょっと長いということを踏まえてなのか、ノリジョッキーが展開を正確に読み切った動きを坂の手前でしたにも拘らず、スティッフェリオとミッキースワローだけのレースになって不思議ではなかったところで、一気に真打ち登場の流れを作ってしまったフィエールマンとルメール騎手には、正直、驚かされた。

スティッフェリオに並びかけた時点で、日本の根幹距離GⅠにおける血統的な優先度の絶対性を考えても、この展開ならディープで前年覇者が圧倒的有利のゴール通過、だろうとは考えたが、ここまで仕掛けを遅らせて、本当に怖いのキセキだけということだけを考えたような乗り方は、ここ2カ月まともに大レースに参加していないルメール騎手だから、尚の事素晴らしい。

 

名手たちも伏兵陣も、やるべきことはしたし、走りそうな馬はみんな駆けた。

ただ一頭、次元が違っただけではなく、最も楽にレースを作ってしまったのが、フィエールマンとルメール騎手だったのである。

直線のあの脚は、父が内ラチ沿いを独走した時のようで、マヤノトップガンやその前年のサクラローレルのようにも映ったが、時計が1秒ほど違うのに、昨年と同じ脚で今年は差し切り。

全てお見通しという、熟達の名騎手が繰り出した奥義を、あっさりと体得したのも驚き。

 

この作戦。

太目残りではなく、牝馬でもよくある、古馬になるとフォルムが変化して丸くなるという本質面が出てきてのもので、あの有馬記念の結果はルメール騎手自身がよく知っているはずだから、体重ではなく、見た目の変化に対応した策にも思えた。

直線まで溜めれば、いい脚をもっと使えるようになったのではないか。

凱旋門賞に使えるだろうか。JCにも出たいところ。

宝塚記念はどうするのか。

お釣り残しの連覇など、この春の天皇賞には全くなかったことだが、連覇しておきながら、これが10戦目。

皆が感じている競馬のイメージよりもはるかに楽に、この天才はとんでもない偉業を成し遂げてしまった。

引退時期さえ見えない、本物エースになろうとしているフィエールマンの躍進は、ここから始まるのである。

 

レース回顧

青葉賞 2020 回顧【本番は道悪要員に思う2頭が権利獲り】

読了までの目安時間:約 3分

 

フィリオアレグロ以外はだいたいイメージしたような位置取りといった展開で、人気馬のどれが勝つのかという直線の攻防となったが、坂上からゴール板までで求められた能力は、ここまでのパフォーマンスを反映したものというよりは、こういう条件でこそ本来の底力を発揮する馬であることの証明に必要な適性そのものだった。

 

比較的有力馬が外に出てくれたので、レーン騎手のフィリオアレグロはスムーズにイン強襲、あの時のシンボリクリスエスのような競馬になるかと思いきや、どうにもこの馬、渋といけれども鋭さに欠けるようで、距離も少し長かったか、迫力ある末脚という感じではなかった。

 

一方、わざわざ先団を見る好位から、隣に併せる馬を求めるようにヒューイットソン騎手が坂の辺りで大外へと誘い、フライライクバードとの叩き合いに持ち込もうとしたオーソリティは、初の東京以外に死角が見当たらない実績最上位の馬であり、オルフェーヴルとエピファネイアの一つ下妹であるロザリンドとの配合から生まれた血統馬らしい、力でねじ伏せる素晴らしいタフさを誇示し、最後に前を捉え切った。

 

最後はそれと併せたヴァルコスも、ディープ一族のノヴェリスト×ダンスインザダーク。

無論小物ではないし、思い切り力勝負に持ち込んだ時こそ全能力発揮の欧州型血統らしいパワフルさを見せ、小差の2着は立派。

 

一方、ギリギリ持ち堪えられそうな状態に見えたフライライクバードのみが、最後はお釣りを失ったような伸びで、馬群へと消えていった。

外枠からダービー制覇の陣営だから、やれることはやったが、ここに挑む前にもう、力尽きていたのだろう。10F近辺で正攻法が合う馬に育っていくのかもしれない。

 

大レコード決着も本番は道悪要員に思う2頭が権利獲り。

だが、そのパワーでさえ、コントレイルには及ばない雰囲気であるから、万事を尽くし、自滅待ちしかないか。

 

レース回顧

フローラS 2020 回顧【早めの仕掛けに応えたウインマリリンの底力と化学反応】

読了までの目安時間:約 4分

 

-14kgがどう出るかと思って見ていたが…。

なかなか見られない、芝コースに砂が舞い込んでくるようなコンディションも影響して、中団待機は思い通りだったのだろうが、坂からスパートしなきゃいけない場面で、全く反応できず。

京成杯の再現を、違う戦法でもより激しい気象コンディションで、結果的にしてしまった形。

スカイグルーヴはついていないと同時に、東京2000Mの新馬戦を勝てる能力が、大事な場面でマイナスに作用してしまった先輩たちと、轡を並べることになった。

差す形が合わないとは思わないが。

 

筆者は新馬戦の内容を評価していたのだが、まさかこんなに早く出世するとは思わなかったのが、ぶっちぎりのレースレコードで快勝した-10kgのウインマリリン。

人気のスカイグルーヴは、休み明けでよく言えば本番並みの仕上げ、冷静に判断すると、変なところにスイッチがあるパロクサイド系の危ういところが輸送の点で死角として現れたと言えるわけだが、この季節の3歳馬は、物量作戦で何としてでも本番に向かうのだと息巻くマイネル軍団のウインマリリンだから、新馬戦と2kgしか目減りしていない彼女の場合は、完全に作り上げた結果と言える。

 

かつて、強風の有馬記念で風よけを使った方がいいのではないかと柔らかい表現で進言した調教師に対し、いやそんなことはない、と返し、逃げ切ってみせた天才コンビがいたが、今回のそれは、流れに対し冷静にアシストした横山武史騎手の大人びたテクニックに加え、パワー勝負歓迎の中山でタフな馬場をこなしてきたという自負が根拠となっている早めの仕掛けに応えたウインマリリンの底力との化学反応であり、むしろ、この次がもっと展望できる、魅力たっぷりの稀有な牝馬であると、皆が知るところとなったのである。

 

ロベルト系の主要種牡馬に成り上がった、血統と競走実績の中身に若干の齟齬があるスクリーンヒーローが、ちょっとしたロベルトブームの中で生み出したパワー型の牝馬。

これが芝得意のスクリーンヒーロー産駒にとって、初となる牝馬による重賞勝利。

母系はオーストラリアに由来がある、岡田繁幸氏でなければ良し悪しが見極められない系統の組み合わせながら、母コスモチェーロの父はフサイチペガサスであり、ダンチヒとヘイローにクロスが生じるウインマリリンの配合から、先行型のスピードを持続するタイプが走るイメージが湧く。

兄はこの時期活躍したウインマーレライだが、すでにその域は超えているだろう。

 

追い風参考の向こう流しから、向かい風過剰の直線走路へと入るタフな競馬。

しかし、前半が速すぎて、90年代の秋天クラスのタイムでの決着であったから、差し馬も台頭。

見事に飛んだエアグルーヴ軍団に歯向かったもう一頭であるホウオウピースフルは、説明不要の血統背景ながら、東京2000で2勝目を挙げた馬。

父母エアグルーヴのサンプリンセス系である3着のフアナとは、コース取りの差もあったのかもしれないが、思惑通りにここに挑み、過酷な条件に耐え抜いた非エアグルーヴ系の2頭の実力は、全くもって新馬戦の評価通りであろう。

 

こういうのは珍しい。

西の方で楽々抜け出しのGⅠ馬に誰も抵抗できなかったのとは大違い。

本番での反動は大いに気になるが、晩成型が成功の証となるエアグルーヴ軍団と合わせて、大変な豊作の世代であることが、改めて証明された一戦である。

 

レース回顧

福島牝馬S 2020 回顧【フェアリーポルカ、クラシックトライアルで示した総合力が本物であることを証明】

読了までの目安時間:約 3分

 

またしてもフェアリーポルカ。

フロックではないことを証明すると同時に、クラシックトライアルで示した総合力が本物であることも見せつけた。

重馬場の愛知杯も休み明けとすれば上々の内容。

 

外枠の馬でありながら、前走と同じように直線は前回の中山牝馬Sよりも内をついて、しかし、グイグイ伸びてくる姿はそっくりそのまま。

良馬場でややタイトな展開ということもあって、その時よりもずっと加速力がついた伸び脚は、昨年この時期から連戦連勝で豪GⅠまで楽勝した同父のメールドグラースとよく似た傾向を示したことになる。

 

しかし、それにしても期待されたエスポワールがあまりにも案外だった。

池添騎手はスタート一歩でも、1角からスムーズに外へ持ち出し、差し馬に有利な展開を正攻法で抜け出す準備はすべて整っていたように見えたのだが、勝負所で、結果2着に快走するリープフラウミルヒの方が、ロスなく立ち回ったとはいえ、遥かに手応えが良かったから、その時点でアウト。

 

今回の主役となったもう一頭のランドネも、昨年はスムーズに流れを作ることができずに脆かった6着とは違い、自分のリズムを守り通した20分の長期戦を、タフな展開を2番手追走から自ら演出した末に、力を出し切って3着。

3年振りのフルゲートで、むしろ、そういう時の方が荒れないということも多かったが、福島の重賞なのに、変に各馬斤量差がなかったことが、こういう結果を生んだ要因にもなったか。

 

目方の大きい2頭の間に、馬体重が下から2番目の馬が挟まる組み合わせ。

フェアリーポルカの独走は十分に想定された展開だが、そういう結果になった時ほど、相手の選定で最初に切り捨てた馬が来るというのが、ここの競馬の最大の特性である。

その辺の塩梅を知り尽くした福島ファンには、何とも痛快な結果であった。

 

レース回顧

皐月賞 2020 回顧「コントレイルの、あの弾むようなパドックの歩様は誰に似たのだろうか」

読了までの目安時間:約 5分

 

思わず、天を仰ぎたくなるような2歳王者の片方の位置取りになった。

もう一方の王者はというと、予想よりもずっとスムーズにレースを運びながら、4角ではどこにいるのか一瞬わからなくなった。

勝負所の追い上げは、彼らよりもずっとスムーズに見えたサトノフラッグは、コントレイルに追われるような展開になり、結果的に仕掛けのタイミングが理想より早くなったことで、直線はやはりコントレイルの方が本物だったというような伸びの違いとして現れてしまった。

 

2000Mをいっぱい使ったせいもあるが、これもいい経験だろう。

本来の行き脚ではなかったが、破壊的なスパート力で3角と4角を瞬間移動したようなコントレイルは、万全の抜け出しとなったサリオスの前に結果誰もいなかったことで、朝日杯の再現を狙った刹那、外から並びかけた。

キレではさすがに及ばないサリオスは、さすがにパワー比べに持ち込めれば面白いという叩き合いの流れまで作ったが、相手が併せてこないような右鞭であったこと以上に、最後は、上手にこそ回ってきたが、初の中距離戦でコーナー4つの競馬も初めてだから、馬自身が自分のスタイルでゆっくりエンジンをかけていく方法しか知らなかったことも、僅かな差での争いで見劣った要因か。

 

さて、サトノフラッグは疲れていたから仕方ないとか、連続の道悪が快時計連発後の中5週では厳しかったなど、テン乗りのルメール騎手とのコンタクトでまだまだ足らない面はあったとして、では、2歳王者同士の至極の一騎打ちの評価はどうなるかというところ。

今のところ、ギニー競走のスタンスと3歳最強馬決定戦の両面を併せ持つ、ケンタッキーダービーに近い位置づけの皐月賞であるから、そこで力でねじ伏せたコントレイルの底知れないスケール感に、今一度注目が集まることも想像に難くない。

 

鞍上曰く、こんなような競馬ではなくて…、というのはクイーンC快勝時のミヤビザクラの優勝インタビューと似たような煮え切らない感じは同等に思えたが、一方で、菊花賞に喜び勇んでガッツを出して強気のスパートというタイプではないから、普段から強気の矢作調教師のようには甲高いラッパを吹かない福永騎手が、わずかながら荒れ馬場も気にした面もあったと語りつつ、明らかにダービーを意識し直したようなコメントは、非常に珍しいと思った。

 

斟酌するならば、アクシデントではないけどうまく行かなかった今回のこの結果は、ルドルフだとかディープだとか、そういうクラスのイメージで乗っていた側とすると、勝つのは当然として、彼らが大いにハッチャけた皐月賞であったのに、皆がそんなことを忘れているように、これでも勝てるならば、サリオスのような位置取りをできたならば、もう一つも十分に勝ち獲れるという確信めいたものが得られたと、筆者は読み取った。

 

改めて作り直し、また、アクシデントが調教の過程でも普通に起こり得る若駒のこと、滅多な勝利宣言など御法度なのだが、皆さん、ついてきてごらんなさい、という感じもした。

クレヴァーな福永騎手が、ダービー制覇時に少年のような仕草と言葉で感動を皆に伝えたのとは違い、直線の加速力一つとっても、他の馬と違うんだよと、図らずもそれを証明できた皐月賞で、ドゥラメンテのデムーロ騎手だって感じただろう、全く違う才能に対して、ダービーで余計なことをしてはならないという証拠が、勝ちながらに得られたことの特別感は、どんなに慎重な言葉選びをしたとて、にじみ出てしまうもの。

 

直線勝負でも敵わないのが、今のコントレイルなのだとしたら、きっと再戦希望の人気勢と、もっと違うアプローチで戴冠を目指す面々からすると、返って、戦略の練り直しが必要になった一戦にも思える。

そうはならないだろうという展開で、結果的に、昨年のサートゥルナーリアのような競馬の内容で、無敗ロードを続けた。

サリオスの末恐ろしい成長力も侮れないが、無事ダービーが開催されたとて、真のライバルは自分自身であると、この皐月賞でコントレイル陣営は自信をより深めたはずだ。

 

あの弾むようなパドックの歩様は誰に似たのだろうか。

体つきや仕上がり度合いは、人気馬の体形の違いこそあれど、どれも素晴らしい状態に映ったが、あんなにキレイに休み明けでパドックを闊歩し、誰にも身につけられないような品を感じさせるのは、トウカイテイオーがそうであったように、やはり、血が成せる業なのだろう。

サトノフラッグは何も悪くないが、コントレイルのあまりにも完成された体つきに、負ける雰囲気が全く感じられなかったのは、筆者だけではないと思う。

 

レース回顧

アーリントンC 2020 回顧【タイセイビジョン、見た目以上の楽勝】厳しい戦いを積み重ねてきたキャリアの差

読了までの目安時間:約 3分

 

プラス10kgを感じさせない馬体を見せたタイセイビジョンの実績から来るオーラも素晴らしかったが、直線で今週はインを選択した関東に拠点を置く石橋騎手の勝負勘もお見事。

その他、本質的な距離適性などで同等レベルでも、厳しい戦いを積み重ねてきたというキャリアにおけるアドヴァンテージが、見た目以上の楽勝に映した理由であろう。

マイラーが少なかったのは事実だが。

 

芦毛が目立つ2連勝中のボンオムトゥックが、道中は素晴らしいポジションにつけていたので、今まで以上に実力派牝馬の活躍が際立つ流れもあって、クロフネ産駒の金看板は大いに視覚的効果を与えたような面はあったのだが、牝馬でよりスムーズに差してきたのが、前走でグランレイを相手にしなかったギルデッドミラー。

好素質馬が揃った昨秋のサフラン賞で1番人気に推されたような牝馬であり、兄たちもムラなところがあっても底力を感じさせるストロングタイタンやミラアイトーンだから、揉まれず進出の今回は、父オルフェーヴルのパワーを繰り出すには条件が整った印象も、前走の1400で弾けたような感じはなく、距離の壁は少しあるように思えた。

 

この辺りは、牝馬らしい性質も影響してのことだろうが、この路線の基準馬になっているプリンスリターンには、しっかりとパワーで上回った感じだし、使い詰めさえしなければ、いくらでも今後成長するであろう。

見た目には緩かったが、中盤のラップは34.1-45.7-57.6ということで、朝日杯と大差ないタフな展開。

 

こういうレースでスタート一歩も同じだったグランレイが、道中は道悪適性のようなものは感じさせたのだが、まだまだ内面も肉体面も幼いのだろうか、直線ではまるで反応がなかった。

3角まではずっと、勝ち馬より優位で立ち回り、ここぞの場面で鞭バンバンは切ない。

ジュンライトボルトやデュードヴァンも、一から出直しである。

 

レース回顧

桜花賞 2020 回顧【アーモンドアイになる可能性】が見えたデアリングタクト

読了までの目安時間:約 4分

 

ねじ伏せた、という競馬。

デアリングタクトの脅威の差し脚が、2歳女王の豊かなスピード能力を圧倒した。

構図とすれば、無敗の女王をシンザン記念圧勝馬が差し切った2年前のあの一戦と同じ。

 

普通なら届かない。

でも、異常に終いが伸びる。

さすがに、今の時点でアーモンドアイと比べてしまっては大いにプレッシャーとなってしまうが、目指すべき終着点は、ついこの間作り上げられた彼女の通った道を後から追いかけていけば、自ずと見えてくるはず。

無事であることが何より大事。

こういう無理がたたって、脚を痛める名牝も若き男馬も多いが、もう既に彼女と並び立つ可能性を持った天才であることに、もう誰も疑う余地はなくなった。

 

アーモンドアイとの関係性がそのまま勝ち馬に当てはまるならば、普通は負けるはずのないところから抜け出したレシステンシアも、ある意味で異常な存在である。

武豊騎手と共に世界の舞台を圧倒的な逃げ興行をやってのけたのが、スマイルカナの近親であるエイシンヒカリ。

横山典弘と武豊にフィットする先行型というのは、得てして、とても怪しい側面を持っていて、現にそういうところが目立つ戦績を残して、最後は尻すぼみであった。

 

そういう馬の良さを柴田大知騎手が引き出そうとするとき、スピードではもっと上のレシステンシアに何を求めれば、思惑通りに勝利に導けるか。

デアリングタクトはどう反応してくれるかが重要だったわけだが、それに応えてくれた。

レシステンシアは外枠も道悪も決して、苦手ではないだろうけど、今回に関しては大きなプラスにならなかったというだけで、後ろに脚を使わせつつ、まずはスマイルカナの良さを活かしながら、いたぶるという狡猾な戦いを、この馬場に合わせて完璧に体現した。

 

ところが、スマイルカナも渋とければ、デアリングタクトも驚異的な才能の持ち主だった。

驚愕の結果が待っていたとともに、これで負けたのなら不満はないという2着だったように思う。

女王のプライドが傷つくような結果ではない。

まずは相手を讃えるのが筋である。

 

そういう展開になれば、ほとんどジュベナイルフィリーズの再現。

もはや、安田記念級のタフさが要求される桜花賞となれば、デアリングタクトのような脚を使う危険な異常個体も他からは出現しない。

最後はさすがに音を上げたスマイルカナもナイスファイトも絶賛されるべきだが、こればっかりは、前の2頭の異常なまでの底力に感嘆するのみである。

 

絶対に差されないはずの流れを作りながら、それを差し切った才能が現れた。

絶対に差せるはずのない展開にもへこたれず、異次元のポジションから前を行くを実績馬を軒並み切り捨てる経験を天才がすることになった。

レシステンシアとデアリングタクトが並び立った。

ダイワスカーレットとウオッカがそうであったように、ラインクラフトやシーザリオにも似たような関係性が成り立つ今回の邂逅に関し、筆者は歴史上最高の桜花賞競走がこの一戦だったと結論付けたい。

だって、普通は両者ともぶっちぎりである。

あり得ない展開の競馬を目撃すると、人間は一瞬言葉を失う。

このご時世、こんなに素晴らしいレースを見られるのなら、誰も文句は言えまい。

 

レース回顧

ニュージーランドT 2020 回顧 / 父キンシャサよりいい意味でズブい「ルフトシュトロームの可能性」

読了までの目安時間:約 3分

 

今週も1枠の2頭が行って、前崩れ。

そして、ゴール前で抜け出したのが石橋騎手のルフトシュトローム。

中山ではよくあることである。

 

ハーモニーマゼランの経験値からすれば、淀みのない流れの好位付けそのものはきつくはないはずだが、今回は、これまで負けてきた相手よりも遥かにクレヴァーな立ち回りができる差し馬が、いっぱいいたのだった。

あっさり交わされてしまって、最後は戦意喪失。

驚異のスピードで勝負するタイプではないのだろう。

 

大分、大外に振られてしまった1、3着馬に対し、本当のオープンらしい展開を初経験だったシーズンズギフトの将来性は、勝ったルフトシュトロームにも見劣らない。

揉まれていいとは思えないエピファネイアの牝馬が、乱戦のマイル戦で、馬込みを捌いて差してきたのだ。

うまく回ってきたので、あっさり抜け出せてしまったのが、勢いを乗せて外から上がってきた牡馬2頭にはちょうどいい目標になっただけであり、独力で伸びてきたという印象は彼女がベストパフォーマンスと思えた。

 

ルフトシュトロームは、明けから中山マイル3戦。

父キンシャサノキセキでも、南半球産であることを承知で、敢えて、このようなローテで、最後はマイルCで3着となった戦歴もある堀調教師の管理馬。

そんな伏線をなぞるように、仔の代でも豪腕系の鞍上を配し、何かを仕込んでいこうという狙いがはっきり見える。

お父さんよりはいい意味でズブいようで、今回は初めての直線勝負の競馬。

結果論ではなく、そういう可能性まで踏まえた師の思惑が透けて見える。

長期展望で、この一戦の価値を見ていきたい。

 

ウイングレイテストは惜しいというより口惜しい3着だが、爆発力のある差し馬ではなく、こういう消耗戦向きのロベルト系らしい馬とわかった。

クリノガウディーに似ないでほしいが、きっとそういう道を辿るタイプだろう。

 

レース回顧

大阪杯 2020 回顧【気がつけば今週も、牝馬のワンツー】

読了までの目安時間:約 5分

 

ジナンボーが前を追いかけまわす図は藤岡兄騎乗だから想像できたが、その相手がダノンキングリーと思っていた人はまずいない。

そういう時だからこそ逃げるのが信条の横山騎手が、今回負けたからと言って、何かを言われる筋合いはないだろう。

5F通過60秒ちょいの展開。

 

ダービーもその前の皐月賞も、もっとタフな展開であったから、むしろ楽である。

こうして逃げても、見事に直線で脚を使わせるのが名手の真骨頂であるから、交わされた相手が誰かが重要ということになる。

結果的に、揉まれ強い男馬はここにはいなかったのである。

 

気がつけば、今週も牝馬である。そして、ワンツーまで同じ。

ラッキーライラックはアーモンドアイの好敵手というところまでいかなかったが、1800王のダノンキングリーに、前走の中山記念ではその前年と全く違う競馬をして、メンバー中唯一、3着馬をパスしてから、勝ったダノンキングリー同様、リラックスして走らせたのが今回も乗っていたデムーロ騎手。

 

もちろん、あの時は完敗で仕上がりの差はあったのだけれども、ダノンキングリーはちょっとだけナーバスさを今回は感じさせるパドックだったのに対し、現時点で万全の出来にあることを示したラッキーライラックの体躯は、桜花賞直前の勇ましいまでのパワフルさに、自身まで加わった印象があり、先行策を捨てて元の好位差しに戻したことで、この血統由来のガッツまで備わってきた。

 

それと道中から併せたのが、前走で驚くような弾け方をしたクロノジェネシス。

体つきはまだまだパワーアップを望みたいところだが、思われているより、体を伸縮させるようなフォームではないから、ヨーイドンでのギアチェンジのスピードが速いのも武器になる。

今週も切ない昨年のウイナーだが、これに破壊力も備えた1つ年長のラッキーライラックとは、苦しみ抜いた時間の長さが違う。

それは鞍上も同じ。

直線の進路も同じで、それは勝負であるから仕方ないけど、実力差で負けたわけではないのだ。

あの京都記念の内容がある。雨の宝塚で負ける図は見えづらい。

 

インから上がってきたのは、その後ろではカデナであった。

鮫島克駿騎手とアクティヴな追い込みを今回も決めたこの6歳馬は、昨年の今頃から、前日のクルーガーではないが、何かを取り戻したようなところがある。

これがクラシック候補だった男のプライド。

 

それに対し、ラッキーと同じ歳の3歳時に頂点を極めた2頭は、正直言って、情けない。

時計勝負と言っても、1:58.4の決着タイムである。

昨年以上の弾けなかったワグネリアンは、福永騎手が一瞬はダノンキングリーの手を練り上げ、実行しようと試みたところがあって、隣のラッキーライラックのスタートがあまりにもよくて、結果的に両者に競り負ける格好での好位のインまでは良かったが、そこから一度も順位を上げられず、自慢の持続力のある末脚を繰り出せず。

どうみても調子は良さそうに見えたのだが、負けん気が消え失せたようなパドックが、あの日の皐月賞とよく似ていた気がする。

 

それにしても、強いブラストワンピースはどこにいってしまったのか。

明らかに、昨年のワグネリアンとの対比以上の上積みがあったはずだが、結果は、昨年の方がもっと見せ場があった気がする。

合わない条件なのは百も承知でも、果敢に逃げたダノンキングリーよりわずかながらも、上がりの脚で及ばなかったのでは、お話にならない。

両者とも、ある意味で国内戦での限界を露呈したようなところがある。

こういう時こそ、国外に転戦するのが理想なのだが、いやはやである。

 

レース回顧