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鬼が笑った日

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宝塚記念といえば、ステイゴールドである。
今更、それを立て続けに強調する意味はないように思うが、弟のオルフェーヴルのことにも触れないといけない。あの歴史的大復活の奇跡を再考する。

未だかつて、GⅠ惨敗後のこれまたGⅠでGⅠ馬が、それも三冠馬であるのにも拘らず、希望的観測による過剰にして妥当な支持に、納得のいく形で応えられた馬など記憶にない。
思えば、伏線は3歳春の前に使った京都にあったように思う。
好時計とスローペースに阻まれた賞金加算は、天災の副産物によって無事成功したわけだが、速さを問われた時の危うさは、最近の名馬とされた者との比較では、押しなべて、中くらいの速さだろうと評価をされる点からも、遅い競馬の時の強さとは別馬に見えるほど差がある。

ステイゴールド産駒は総じて、フェノーメノも本質的には東京と京都を得意としない。
その代わり、中山か阪神にツボを持っている。
が、オルフェーヴルのその振れ幅の大きさは、好き嫌いの次元では到底測れないものだった。
春の香港で本物であることを示したルーラーシップやお友達?のウインバリアシオン、ショウナンマイティやエイシンフラッシュなどGⅠ馬も計5頭いた中で、馬込みから豪快に抜け出す彼らしい迫力が、このレースで戻ってきた。揉まれたことで、走る気持ちも復活した。

もう一つ、同じく三冠馬のディープインパクトが勝って以降、例年通りの傾向であるクラシックホースが苦戦する傾向が続き、前年まで5年間1番人気が敗れていたのも止めた。
それら悪い流れを一気に断ち切れるのは、もうオルフェしかいなかったのである。

殊更強調して…。しかし、ゴールドシップにも通ずるこの血の因縁は、1番人気になる馬の明暗そのままを表している。
そんなオルフェーヴルは、しかし、ロンシャンでまたしてもやらかすのであった…。
人の期待に応えるために走っているわけではない彼のことを、にやけながら仲間に迎え入れようとする鬼の姿が目に浮かぶ。

 

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