七夕賞2025 予想 - レース展開と最終予想
しばしば、何を考えているのかわからない騎乗を見せつける横山典弘騎手は、殊、都合25連敗中、23戦連続馬券外のマテンロウオリオンを、もっと輝ける方向へと誘うべく、そのプライドを懸けるように知略の限りを尽くしてきた。
だから、ダートや明らかに適性外である長距離戦以外の競馬はほとんど使っている。
恐らくだが、管理する昆調教師は、この馬に関することは、ほぼ全て主戦騎手に方向性を見出してもらうように委ねているともとれる采配をとっていると思われる。
とはいえ、ここ数戦の馬との掛け合い、他馬の動きに囚われない特殊過ぎる挙動、そして、本当の狙いなどを忖度していくと、どことなく、この七夕賞に一種の活路を見出しているような展望が窺えた。
もはや、奇才が備える、あり得ない方程式の類であるから、平易な用語を駆使する凡庸な表現だけでは説明不足。
データをつぶさに取るという手法もあるが、アナログ世代の代表であるこの名手に、そんな杓子定規のロジックを用いた解法も適当ではない。
ある意味、引き算の美学か掛け算の中にある勝機なのか、
極論の戦法の中に、距離適性を超越した、どことなく、
ロードカナロア産駒で
目黒記念奪取のキングオブコージのような、
自分たちだけの世界に持ち込んで完結する、
物語の美的な部分の追求にヒントがある。
言わば、普通の策では物足りなくなったマテンロウオリオンに、どんなアシストをすると、時間をかけて変化してきた今の彼にとって、最善の策となるのか。
傑出した上がりのタイムを生んだポツンの阪神Cは、数字ほどのインパクトをパフォーマンスで魅せたと言えないまでも、体感的な部分で、今の総合的なスピード能力は見て取れたはず。
現に、ルメールに替わったナムラクレアが追い込みで勝っている。
策が間違っているのではなくして、何かの確認のために、実行した現状把握の奇策であったのである。
単勝100倍超え。何をしても構わないが、何もしない騎手ではない。
古川吉洋騎手に代打を任せ、京都金杯と小倉大賞典で、中団待機の行かせない指導的騎乗を経た効果を狙ったが、元気になった分走ったというだけで、結果は、仮に展開好都合でも突き抜けるほどの感じではなかった。
しかし、スロー必至のダービー卿チャレンジTで馬群ひと塊の殿待機を、新潟大賞典を挟んで前走しらさぎSも似た展開になって、同じように直線勝負に出るが、上がりは上位でも、阪神Cと同じで、溜めた分で決め手を繰り出したのみ。
中間の新潟大賞典が道悪になりながら、掛かったという仕掛け気味の狙いある策とを合わせ、明快ではないにせよ、狙いの真意を読み解くと、古い手法のハマる策として、小回りで死んだふりか、はたまた狙った好位付けをしていくのか、もっと動きを専制的かつアグレッシブな形で単騎先行を狙うのか、そのいずれかと考え至った。
その中で、4歳時に好メンバーの揃ったマイラーズCでの好位付け5着について、その思考の延長線上にある一戦であったとも思えてきた。
誰の判断で、馬自身の状態もあるのかもしれないが、距離を短くしてくると、一気に絞るという手法をここ2度ほど、勝負懸かって、挑戦的な仕掛けをしてきた。
掛かるかもしれないが、ワンターンで苦手な道悪もあって不発の新潟での経験は、今なら、小回りで狙いのある策がいよいよハマるのではないのか…。
今回は特別速い馬もおらず、自分自身が力強い走りを取り戻せれば、強い4歳世代も数は少なく<そもそも、登録はシリウスコルトのみ>、一方で、イクイノックス・ドウデュース世代のマテンロウオリオンは、パラレルヴィジョンやドゥラドーレスなど、数で他の世代を凌駕する構図でもあり、これならば、本質的なスピード能力を活かして、うまいこと運べないモノか…。
小回りのコーナーの特性を熟知し、1800戦などで、経験に裏打ちされる圧倒的な技量でもって、いくらか課題のある馬を上位に持ってくるという神業を、多いと月に数度目撃するそれが、騎手生活40年目、最初の重賞勝利に繋がるならば、いとも簡単に癖馬を手懐ける至高の技術、縁あってコントレイル産駒の初出走時にタッグを組んだ縁、そんなものが合わさった勝機として、納得感のある1勝に、また記憶されるものともなってくるのであろう。
JRA通算3000勝まで22勝。
世紀の大癖馬・サンライズロナウド<トレセンの稽古はプール調教しか行わない稀有な存在>には、京都のレースで1番人気で走った時、異状を察知し、止めに入った鞍上を許せなかったのか、ラチに向かって振り落とすような緊張感のあるシーンを作らせてしまったが、それ以外で、表立って馬から落ちるというのは、仲良しのジャスタウェイとの楽しいフランス観光<凱旋門賞参戦はついでことのようであった感じのレース内容>で、併せ馬を敢行するも、楽しくなって、自分だけ鞍上を乗せたままペガサスになろうとした<様々な伝聞を整理してみても、本当に死ぬところだったらしい>時に、緊急回避の場所に飛び込んだという芦毛の豪傑とのエピソード以外、まず、馬にも滅多に怪我を負わせないし、自分が落ちることもまずないという伝説を生み続けるもう一人の男<常に輝くあのレジェンドもまた伝説創造の最中だ>は、このレースで制することで、その通過点の記録を、本当に過去のものとする次なる伝説を作る足掛かりにするのかもしれない。
昆厩舎には、他にも秋に楽しみな馬がいる。
その一頭に、このマテンロウオリオンも加えたいところだろう。