サンデーサイレンス直仔のダイワメジャーと、ヘイロー直系孫世代のサンリヴァーという配合なので、両方とも芝で実績を挙げた競走馬時代の記録を見るに、不思議な傾向を示すとしても、産まれた時からデカかっただろうこの馬の進むべき道は、芝で頭打ちになった時点で、決定的であったともできる。
ドンフランキーには父がダマスカスを経ず、また欧州の鈍重な芝系統でもないサンデーサイレンス母父のアンダースタンディングであるとか、ヒムヤー系・クリムズンサタンなど、怪しいけれども、主流の底力の発揮を邪魔しないアウトサイダーの血が含まれるのに対し、母もまた、メドウレイク×エクリプス直系・北米で20勝以上のエイトサーティを父に持つアワミカエルという強い異系色に彩られた構成を母母が抱えることで、かなり、アルマームードクロスの効果を強調している印象は、そのまま、ドンフランキーの豪快な先行の競馬とリンクする。
根岸ステークス予想2025- レース展開と最終予想
昨年のフェブラリーSのレース展開が、大変なハイペースになったのは、当然のことながら、直後のドバイゴールデンシャヒーンで連対を果たす前、一頓挫あった過程で、どうにか一つ使っておきたかった陣営が、絶妙な判断でそのドンフランキーを走らせたから。
普段通りに先行したものの、
33.9-45.6-57.9
という展開は、芝1400の重賞でも速いぐらいで、当然、1400Mくらいまでなら持ち堪えられるドンフランキーは、そのまま、最後はタレるわけだが、当該距離のダート重賞でも勝負になる1分23秒を切る程度のラップで、まだ前の方にいたのだから、仕方ない理由があったにせよ、使った距離そのものは間違いだったのは明らか。
そんなことは百も承知であるから、次の目指していただろうドバイの大一番では、結果を出した。
日本ではプラダリアに乗ることが決まっていた池添騎手の大阪杯の騎乗が優先される形で、クリスチャン・デムーロ騎手が見事なエスコートをした一戦では、普段より粘り強く見えたものの、勝ったタズとはかなりの大差をつけられてしまった。
ここでの1:11.25という走破タイムは、良馬場でも京都で1:10.8を持つこの馬には、全く走っていないレベルの数字でしかなかったものの、結果はG1の2着。
盛岡のクラスターCは台風の影響で順延になったところで、その京都の持ちタイムと同じ分走ったことで、古牡馬でも54で出られるようなレースを完勝に持ち込んだ自信から、デルマーのBCスプリントに挑んだものの…。
初手で遅れただけでなく、盛り返す間もなく、短めの直線ではもっと速い流れで進行の先行勢に突き放される展開。
それでいて、ドバイ・メイダンのG1よりも速く、1:10.37ということであれば、自己ベストのリメイクに負けたクラスターC・2023年の1:09.0が、日本で最も厳しいダートのスプリント戦が行われる中山での経験、そこで1分8秒台の記録を3歳で作った馬との差として出たとしていいが、実は、BCスプリントではドングリの背比べながら、それに先着。
この距離で世界を制するには、色々と足らないものがあるとしつつ、1400Mで計6勝のこの馬は、誰よりも気楽に進行して、結局、いつも一番速いということを示すキャラが、最も出せるのがこの距離であると、エース級が居ようといまいと、結局のところは、北米産の馬にまず歯が立たないBCスプリントのようなレースで、逆説的な証明を成されたという印象を持った。
リメイクに先着するなら、ドバイでも前にいたわけだが、自分はもっと、いい勝負に持ち込んでいなければならなかったのだが、そうはならなかった。
そうしたところで、最初の頃から東京のダートに適性のあったダガノビューティーとの再戦。
ドンフランキーの名が知られるようになった直後のコーラルSで力の違いを見せつけながら、高速のプロキオンS=1400Mでは相手にされなかったタガノビューティーが、先にG1級のタイトルを得て、受けて立つ形。
東京実績もあり、またフェブラリーSでも大きく先着しているタガノビューティーに人気が集まるのであれば、みんなの良さを一気に消せるだけのスピードを持つドンフランキーの実力が、デルマー級のパフォーマンスであるなら、十二分の好勝負可能なレベル、即ち、速さの違いを見せつけることのできるハイパフォーマンスが期待される。
何頭か速い馬がいるのは当然としつつ、どう考えても、大事なG1もステップ、ないし、この距離で大きな実績を加えたいと考える陣営が、ドンフランキーに喧嘩を売ることはあり得ない。
前回の様に自滅したところで、二の脚に等しいリカバリーで34秒台前半に持ち込める展開のみに可能性を求める快速型のドンフランキーは、普段は立ち遅れるようなことが一切ないので、状態に関係なく、今回はぶっ放していく可能性が大いにある状況。
マイペースの速さが元から違う馬が、しっかりと形を使った時、頭の片隅に必ず騎手は備えている、この競馬は差し馬有利…、という定型が、ドンフランキーに味方することを推挙理由とし、ここは全面的に、速さで別格のこの馬から入るという降伏のスタンスを取りたい。
4歳世代は強いが、昨年以上に、色気を持った古馬を連れてきた陣営が多いことも手伝って、唯一登録のナスティウェザーに続く同期もおらず、極めて出走の難しい状況。
いつも以上に強気に乗りそうなデムーロ兄のフリームファクシが強力なのは承知の上で、それが深追いで、尚も前が残っているときに差してきそうなマイラータイプのペリエールが、マイルの持ち時計からも、斤量面の死角がなくなる重賞で、今回は一発もあるとみて、人気勢と同格に扱いたいと考える。