ただ、前回は継続騎乗の横山武史騎手<
今回はセントウルSにトウシンマカオが出るためスイッチ>が、
行く気を見せたというよりも、
逃げるしかないところのある古川奈穂騎手のイリスレーンを有効活
用するような先行の流れ<後ろをやりづらくしつつ、
自分が折り合いのつくような展開にという策>へと誘った結果、
武豊騎手がそれなりの人気の乗り方ひとつの馬に乗って、
絶妙な仕掛けでロートホルンを潰しにかかったところ、
いくらか馬場がまだ時計の出る状態だったことを味方につけ、
巧みに自分たちに有利な展開にした分のアドヴァンテージを活用し
て、やる気をなくしやすい特性の
血統も踏まえつつ、
断然支持ではあったが、
これしか負かす策がないというものもしのぎ切って、
2着馬が入れ替わっただけで、何とか乗り切ったが、
少し格下相手とはいえ、
それまでのちの桜花賞馬に付け回されたり、
道中激しい動きがある中で先行するところで後のオークス馬にダメ
を押されたりなど、
厳しい王道のレースのプレップを経験した強みもあったのか、
やけに大人びたレースだった。
紫苑ステークス2025 予想 - レース展開と最終予想
新馬戦こそ、気性面を考慮して、ルメール騎手が丁寧にエスコートしたことが裏目になり、中団からやる気をなくすような完敗に終わったが、東京の11月の未勝利戦<芝1800M>は、最初のラップを除き、全て12.1秒以内に収めた逃げ切り完勝劇。
結果、無敗三冠・コントレイル以外の日本の芝1800戦における2歳の最高水準とできる1:45.9を走破タイムとして残すことで、陣営も背伸びをしてしまったわけだが…。
前回のレースを振り返り、管理する加藤征弘調教師は、まだ3場開催というのもあるが、騎乗者の選定に関し、国内屈指の有力クラブが所有する期待の一頭であるが、ジョーカーとして一定以上に機能する男を選択した。
明らかに、気難しいという共通認識があるのだろうが、絶妙な効果をもたらす親子でのスイッチへの期待感もあったのだろう。
札幌記念は主戦に戻ったという認識ではあるが、和生騎手がしっかりと立ち上げに注力したトップナイフでの価値ある重賞初制覇だった。
ここでの巧みな魅せる立ち回りがなければ、人気馬が悲しいほど情けない競馬をしてしまったことで、このスーパーG2が誰の記憶にも残らないものになっていただろう。
自身が騎乗停止の時、ダービーでトライアルを制したリオンリオン<騎手同期の松永幹夫調教師とのタッグが期待された一頭>で乗り替わったのが、期待値込みで大抜擢の3年目の武史騎手だった。
やり過ぎとも思える当時のレースレコード樹立の陰の立役者になったブンブンフルスイングの大逃げとはなったが、秋緒戦のセントライト記念は難しい立ち回りでも、見事に主戦として誇りを結果で示す勝利。
未だに偉大な父のままであっては困る一方で…、何となく、武豊騎手からリーディングを奪い取るために思考から改め直した元騎手の福永調教師のような立ち位置であるようにも思った。
当然、毎年200勝時代の頃の話。
この令和の時代でも、課題を克服していく過程の馬作りの最中、平気でダービーを制するという異常性に、かなりの麻痺感はあるにしても、これはもう別枠とするしかないが、親子の関係の中で、この手の威厳と示すということでは、横山典弘騎手の特異性は歴代のその関係の中でも際立ったもののように映る。
衰えがないわけではないが、何かのテーマに取り掛かれば、いつが全盛期が判然としないが、いつでもその時代に戻れる。
そして、ダービー乗り替わりの翌年のオークスで真逆のことが起きた時は、トライアルホースをきっちり2着に持ってきた。
相手はデアリングタクト。
最高の2着という点で、ディープインパクトの三冠達成時のアドマイヤジャパンと同質のものがある。
この時見せた、武史騎手がウインマリリンの好位抜け出しのベストパターンを、見事に本番で再現している。
最も自分の得意とする戦法でもあるから、その精度は、もはや主戦よりも高かったとも思えた。
昨年はダービーを勝っている。今もなお、ポジションがチェンジとしたいうことはない。
逃げの精度を求められる一方で、戦う形をオープン仕様にする
という点で、一昨年ここで魅せたモリアーナのそれと真逆のパターンを期待した陣営の判断と踏まえた時、変に裏切ることはあり得ないが、では、和生騎手が乗っていたラジオNIKKEI賞のトレサフィールでの単騎先行はと言われれば、あれは、精神面などコンディションを考慮しての消極的踏襲とも思えたから、それもあるのだが…。
いや、行く馬は今回は限られる。
武豊騎手の神騎乗が、最近は逃げで再び目立っているが、どちらが先だったか不明なほど、同じタイミングでノリ騎手はセイウンスカイを、ユタカ騎手はサイレンススズカという化け物を乗りこなしていた。
この男の、高速展開での単騎逃げもまた怖い。
ピンかパーかの馬であるが、優先出走権の発生するトライアル競走。
3着ぐらいで本番で魅せるという可能性も踏まえ、3連複を中心に押さえる。
この夏、もうひとつ気になったのが、加藤征弘厩舎とこの鞍上との関係性。
関西に拠点を置いてから、一度は清算された関係性の再構築せざるを得なくなって<自身のスタイルから言って、エージェントを挟んだコネ作りは性に合っていないから、営業はしっかりしないといけない>、自分より年下の騎手上がりの調教師と、旧知の関係がやや問題のある言動を超越した深い信頼の繋がりを持つ者以外で、比較的に歳の近い、まだ50代のユキヒロ先生と夏の福島で未勝利戦を勝ったことがあった。
ジョッキーが本気を出したんだよ、と、師はおどけてみせたが、神出鬼没の横山典弘。
またしても、今までとは違う企てを潜ませた秋となりそうである。
加藤征弘師もアドマイヤデイトナを海外に送り込んで、日本人としてはそこそこ流ちょうな英語をちゃっかり披露していたが、意外にも、相川勝敏厩舎で乗り手として働いていた時代があって、つまりは、浦和時代からマイル戦で不敗を通したあのトロットサンダーとの関係で、繋がりがあることを初めて知った筆者。
トロットサンダーに調教で騎乗していたかまでは、30年前の話なので、判然としないが、思い出深い一頭、残念な終焉となったことでも、案外、この絆の深さは侮りがたいとの印象を持った。
このレース。
勢司和浩調教師が管理するマイスターヴェルクに、同期杉原騎手に替わって、前回から愛弟子である和生騎手が跨って、結果も出した上で、権利取りに挑む。
タイミング悪く、ルメール騎手が乗れなかったエフフォーリアがスターになったことで、武史騎手に冗談で恨み節をぶつけたともされるが、その妹であるジョスランにクリストフが騎乗するところも気になる。
思惑は様々あるのだろうが、中山開幕週。
有馬の予行演習ではないが、こんな人間臭い繋がりを想起しながら、面白いと思う馬券を買うのも、たまには面白い。
リンクスティップは北村友一が運命の人である可能性もあるが…、オークスの内容から、故障明けでもあるし、実力疑いこみの対抗に止める。