名古屋大賞典2021【予想】｜過去データ傾向と有利な枠順/出走予定馬の最終追い切り
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川崎記念こそ3着に終わった川田騎手だが、適材適所で騎乗馬を確保するトップジョッキーらしく、その他ここまで行われた地方交流重賞は、全て勝っている。
先週のマルシュロレーヌも、器の違いを見せつける展開に持ち込み、どう考えても生涯最高レベルのパフォーマンスを体現したサルサディオーネをモノの見事で捉え切って見せた。
このエンプレス杯は、他の人気勢が不発であった一方、ベストパフォーマンスのサルサディオーネに対して、完全に流れ無視の仕掛けはTCK女王盃と大差ないとしても、その時以上に馬に余裕があったように伺えた。
何を隠そう、フェブラリーSでも皐月賞でも、師匠である安田隆行調教師の管理馬に乗って、仕事をしなければいけない状況にあって、モチベーションの低下など考えられない環境に身を置くわけだから、イレ込みすぎなければ、色気を持ちすぎなければ納得の結果は得られるということは判然としていたのは事実としてある。
同時に、確実に人気馬に乗っているというのは、自分が乗ると人気になりすぎる現象でやや苦笑いだろうルメール騎手のそれとは大きく異なり、衆目の一致する中心馬に乗っているということからも、各陣営からの信頼は厚い。
だから、みんな弥生賞＜ディープインパクト記念＞では、その衆目の一致した中心馬であるダノンザキッドに期待を寄せたわけだが、大いに面食らう結果に終わった。
解釈も十人十色といった雰囲気で、状況一変とする明らかな飛ばし記事を掲載したスポーツ紙も散見されたが、見た目にもどんどん体つきが洗練され、成長の過程が手に取るようにわかる昨年のサリオス的現象＜父系を成した祖父のハーツクライの影響が出ていることで共通＞が体現された中、わがままが許される状況で、もうちょっとキレ味がアップしていないかと、スロー見え見えの展開で確かめたかったのではないだろう。
敗戦は時に屈辱を与え、競走馬の成長を阻害することもあるとされるが、あの元気いっぱいのゴールシーンで見た初敗戦のダノンザキッドは、何だか楽しそうに走っているように映ったのは筆者だけだろうか。
皐月賞の見解でより中身を詰めていくことになるが、川田騎手は自信を深めたと感じる。
敗戦は陣営に、とりわけ連勝ストップ後には、大いなるチャレンジの機会を与えることもよく知られる話だ。
完全に川田絡みでどうでもいい話をしてきたが、ダノンの2頭で本来強いはずのG1前哨戦やトライアル競走で負けたことがファンのざわつきとダノンの陣営から受ける評価ダウンの必然性を、その他で大いにカバーしている鞍上が、妙な開眼の時期に深く関わるクリンチャーで酷い競馬はしないはず。
今度は逆のことをされた時に…、と佐賀記念の自身をなぞる上がり馬の登場、前走惨敗で評価落ち必至のメイショウカズサの逃げ切り以外は想定されないとして、色々川田遊びを講じたのだが、詰まるところは、元より競馬そのものは上手であるクリンチャーに一泡吹かせるには、相当のパワーが必要であろうから、今回もそんな馬は見当たらないとしたまでのこと。
何も記すまでもなく、あの佐賀記念の暴挙にも等しいレコードタイム樹立は、良馬場で達成の記録であり、それまでは不良馬場で計時の大記録とされた数値だったものが、勝負所からのスパートによりクリンチャーの巧みさと川田的解釈による地方での攻略法を当てはめた最強のパターンなのだから、どこからでも来いであろう。
一応、強調材料をさらに補強するものとして、この馬の一族によくぞ日本に来てくれたという感じで存在感を示すハービンジャーがいることが挙げられる。
この馬の代表産駒は人によって評価が変わるから、分かれるものがあるだろうが、ノームコアやディアドラが古馬になって活躍し、モズカッチャンやブラストワンピースが揮わないという差が何かとした時、ミスプロもサンデーも決定打にならない一方、意外と仕上がり早のハービンジャーは、3代父にサンデーサイレンス＜この場合、母父父か母母父＞を置くと伸びしろが生まれるとできる。
サンデーを持たないモズと、母母父は直仔フジキセキで4代目のブラストワンピースの活躍は限定的。
5歳時にもっと上を臨んだ3代父サンデーシスターズは、美しいラストを飾った。
まだまだ勝ち足らない10数連敗を喫したクラシック未冠の連対実績馬が、初勝利時以来の逃げに転じ、見事に完勝。
直系3代父サンデーサイレンスのクリンチャーは、ハービンジャー産駒がダンチヒ直系の子孫であることを宿命づけられるように、その4×3を持つ。
また、父ディープスカイは早熟に終わったが、それはクラシック前までのロスが大きかったがため。
初勝利後も連敗したような馬。
その他のステークスウイナーの育った面々も、不可解な敗戦を経て、どこかで爆発するが、長く活躍した馬は少ない。
ロスは多くとも、本物は最後に結果を出す。
その血の良さが現れているクリンチャーは、最高のパートナーを得た今、次はディープスカイの血を継承するべく、いずれそれが今春開業の運命の騎手・四位洋文調教師の管理馬に名を連ねる使命を課された。
去勢されても不思議はない立場ながら、新冠の小さな牧場出身のこの馬。
運命は自分で開くのである。今ならできる、かもしれない。
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