前が詰まって、ゴール前でラチ沿いをひょっこり抜け出しにかかったところで、レースが終わって、9着に終わっていただけキャントウェイトは、東京でも見せ場を作るなど、1年以上勝っていない割には、悪いところがあまりない馬という印象があったが、札幌続戦とはいえ、普通は10倍を切る単勝オッズになるような馬ではなかったのだが…。
距離短縮でもないのに、馬場が稍重だったものが良に変わったということと、勝負の綾で、今回はきっと悪いことにならないだろうという以外の要素は、国際騎手招待・ワールドオールスタージョッキーズで、厳選な振り分けをした結果、当地で驚異的な実績を残してきた横山典弘が乗っているという以外には、少し考えづらいところがある。
この人なら、何とかしてくれるのはないかと、未勝利戦の伏兵から、大レースの代打騎乗などで、テン乗りでも継続騎乗でも、その何かを起こしてきたというのは事実であろう。
ただ、
改めてこのキャントウェイトを好結果のレースにばかりフォーカス
をして、軽く振り返るようにレースを再確認したのだが、
関西遠征の後に札幌に中7週であっても、
少し厳しいローテになって、
移動で減った分が戻ったという前走は、
この馬の本質は全て出ていたような感じもするが、
小回りで炸裂する好位インからのスマートな捌きで末脚を最高の形
で引き出す例の型にハメこんだ快勝劇は、実は、
ゴールドシップは
ズブい馬で…、というところに、
本質のアスリートしての優秀な部分が、むしろ、
真逆のモノであると、晩年の主戦騎手として、
ゴールドシップとその産駒の何たるかを示したようなところがある
。
案外、体は父のように大きめであるが、巨漢ではないということもあって、本当は、大またのストライドで不器用そうに走る姿は、体つきが力勝負向きだっただけで、時計勝負への適性はあまりない分、本当は、自在の加速力勝負への対応力に富んだ、本格派の中距離馬だと、鞍上は知っていたのだと、よく理解した筆者なのである。
第一、5歳でオープン入りのキャントウェイトであるが、新馬戦で、後の函館記念圧勝馬・ヴェローチェエラを、新潟の内回り2000Mで負かしているのだ。
奇しくも、お互いに洋芝の特殊な馬場質で、好結果を残した馬として成功した2頭となったが、今回狙いたいキャントウェイトも、函館記念でサッカーボーイが昭和最後の開催で作った大レコードを更新したタイムと同じくらいの時計で、札幌と阪神の前の東京の府中Sで、3着ではあったが、自己ベスト大幅更新の快記録を作ったのだ。
むしろ、1800くらいの方がいいのではないか。
不思議なほどに、前に行くことに自然な形での助走をするだけで、それもG1級でも、楽に端を奪っていってしまうメイショウタバルが大活躍する中、それと同期のキャントウェイトは、そんな大物に育ったタバルより、遥か前に、未勝利クラスを一発回答で初戦突破したのだから、その潜在能力を疑う余地はない。
走るゴールドシップ産駒が。早熟であるはずはないということもあるが。
また、ゴールドシップであるのだから…、というようなアプローチを少し、その府中で騎乗した石橋脩騎手なども、詰まった時に乗った丹内騎手も、いくらか攻めすぎないように、普通の差しに転じて、いい流れに変わりかけているところがあった中で、特殊な鞍上の選定法で施行されることになる招待競走が、明らかな好機になりそうなきっかけというものを、萱野調教師は、はっきりと感じ取っている可能性もある。
丹内騎手に戻すのは、コスモキュランダに乗っていないということでも、チームマイネルの基本方針であるなら、当然、今の立ち位置ならあり得たのだが、そうはしなかった。
ゴールドシップ産駒というファクターは、偶然の産物とも言うべき、キャントウェイトにとっての幸運と重なり、異次元の中山重賞成績を誇るレジェンド<G1を除くと、20世紀中に生まれたほぼ全ての開催重賞を3勝以上している横山典弘騎手>に、本当の能力を見極めてもらうと同時に、レガレイラ以外は横一線ではないか…、という組み合わせで、そのグランプリホースも不発であって不思議ないような宝塚記念完敗後の秋緒戦で、陣営の思惑が、見事なまでに確変状態のもしかしたら…、に変わったような気配もしないではない。
思えば、度重なる大不発と、ゲート内での振る舞いに大きな問題も生じたという過程で、自らオファーをかけたようなところのある横山典弘が<須貝調教師は騎手時代1期上で、人柄からも声をかけやすいし、福永元騎手の代打指名を受けたジャスタウェイの中山記念が圧勝という経緯もプラスに作用していた>、ゴールドシップという個性に悩みを深める海千山千ともいうべき騎手仲間や厩舎サイドに対し、自分の考えを伝えるだけでも、プラスの効果があったことは間違いない。
その年は、二度目のダービー制覇を果たし、橋口弘次郎調教師<今は息子の慎介調教師が面白い馬の開発をしている>が管理したハーツクライの仔で、当時の皇太子殿下<=今上陛下>が観戦される中で、見事な仕事をする、その最中の営業活動で結果を残したという凄まじさがあったことも付け加えねばならない。
今、最高のお手馬であるマイユニバースを失い、不振に陥ったヤマニンブークリエや故障による離脱がまた長くなりそうなリトルジャイアンツなど、重賞を勝てそうで勝てない手駒にも、少し物足りない状況で、3歳のお手馬は不足気味でも、昆厩舎<主戦級の扱い>が何頭か、北海道を中心に見所がありそうな新馬を送り出して、結果もまずまずという中で、8月からエンジン点火の兆候と思ったら、ユタカ騎手と共に、札幌開催の内に大爆発で、シリーズ優勝を決めた一戦以降勝てていないわけだが(笑)、2場開催で中堅どころと粋のいい若手に目ぼしい馬が流れる過程で、見せ場が限られることは事実。
前週、前々週のお手馬が、やけに太いという感じでもなかったが、かなり休み明けの風情で回ってくるだけに終わっただけとすると、幸運を凝縮させるかのように、見せ場で決め切るキャラが、いかにもハマりそうな雰囲気がこのレースでするのは、変に鼻が効きすぎているだけなのか。
そんなゴールドシップとも色々あって、G1を中心に騎乗する<岩田康誠騎手が前哨戦で乗るという流れは同時に出来ていた>関係で、メンタルの状態が危険な雰囲気も醸すこともあったから、ピリピリムードの時に、様々なヤンチャ行動で周囲を騒然とさせ、目に見える形ではあの伝説の3連覇の偉業を自ら辞退するようにゲート内で暴れた宝塚記念や直線の春の天皇賞にやる気がしないとゲート入りをごねて、結局、百戦錬磨の相棒にその気にさせられた上で走らさせてから、悪い流れがもう断ち切れなくなったのも事実。
本当に殺されかけたと感じるほど、嫌々走っていた時代のゴールドシップとの関係性は、実は、名コンビというよりも、正真正銘の綱渡り状態であったように、今となっては思う。
その気にさせれば、どんな立ち回りもできて、極端な競馬の形になってしまう状況では、もちろん、持ち味がフルに発揮できないこともある一方、直線に入るまで無理な仕掛けをしなくても、G1でも十分に勝負になるという期待値を現実のものに変えた鞍上ならば、意外と飛びがきれいなキャントウェイトは、丁寧なエスコートで、ペース判断の部分でも変に型にハマらなければ、自在の振る舞いで…、これはゴールドシップそのものの性質でもある。
G1級のレースでは、東京、京都の決め手比べは合わないが、そうでないと、他の馬が急坂コースを少し苦手とした時、今度は自分が有利になる立場となる本質を理解しながら、末脚の溜め方にも意外なまでに自在性もあることも知っている鞍上は、ここではかなり強力なアシストをしてくれるだろう。
キレイなフォームでも、新潟内回り、中山外回り、京都外回り、札幌の、それぞれ個性の異なる中距離戦を勝ち切る馬の万能性は、本当は感じられないが、溜めることで決め手比べにも目途を立てたこの馬は、伏兵に止まらない走りをすると期待する。
ゴールドシップは共同通信杯で上がり33.3秒を繰り出したことは、後年にも伝えられる、珍妙なエピソードであるが、キャントウェイトは、今まで上がり最速は一度もなし…、その共同通信杯も後の天皇賞馬であるスピルバーグにコンマ1秒見劣っただけで、新馬戦はヴェローチェエラに見劣ったという上がりタイムのこの馬は、メンバー最速級の脚を使えたら、まず好走する。
レガレイラマークのスタイルはあり得ない馬だけに、同じく、WASJで勝ち星を挙げた2頭のパートナーの片割・ミリオンクラウンのように、セントライト記念級の組み立てが、今回はバレバレでも、見事にハマるという、いつもの展開に期待をする。