競馬予想ブログ

競馬予想ブログ JUST

共同通信杯(2020)回顧「マイラプソディに細かい敗因を求めるのは筋違い」という話

読了までの目安時間:約 5分

 

動き出しのタイミングと勝負所の見極め。

思えば、こんなことが初夏の同じ東京稍重の1800重賞でも起きたなと、ふと記憶の一片に触れる機会となった。

 

マイラプソディに細かい敗因を求めるのは筋違いであり、武豊騎手を責めるのも少し違う。

それよりも、左回りで期待したかったミナリク騎手のビターエンダーの平凡ながら味のある道悪の逃げと、序盤の怪しい面を完璧にカバーし、3角からの唯一進出に繋げたルメール騎手のダーリントンホールに、秘めた力を出し切られてしまったというのが、トータルとしての見解。

雑に走らせたというより、どうしても、重賞を勝ってからこの季節のGⅢを使うと本番と同じ57を背負わされることで、ここで改めて、持ち合わせた瞬発力とそれがこのスローや道悪で、しっかりと発揮されて他をねじ伏せることができるかどうかを、前哨戦の段階で試しておきたかったのは事実だろう。

 

京都2歳Sの時もかなり怪しいところがあったマイラプソディだから、道悪とて、34秒台の上がりで33秒台の上がりを求められる展開は歓迎ではなかった。

スピード能力に勝る2歳王者に対して、最も対極の位置にいる実力馬。

彼はそういう才能の持ち主なのだから、むしろ、思ったのと違う09、16年の強烈な差し競馬のような場面で、かなり見せ場を作れるだろう。

となると、肝心のダービーは…となるわけだが、どちらにせよ、これまでできなかった先行策を急にどこでやるかとなった時に、もしも皐月賞を捨てるのであれば、その中で可能性を探ることになる。

下げながら、次に位置をとりに行った時にどうすべきかを考える。

 

ファンの多い馬だから、そういうことは簡単にはできないが、本当の名手と思う武豊騎手がその時、しっかりと今よりもいい成績を残していたのなら、そんなことをしてもいいわけだ。

ダービーを勝っている者同士のコンビ。早め進出の狙いが見えれば、中山でも引き続き狙える。

 

さて、気を見るに敏の早め進出から、ちょっと馬場の悪いところをついて、直線で唯一のライバルになりそうだったビターエンダーをいち早く狙い撃ちしたルメール騎手は、言わずもがな、現日本競馬のチャンピオン騎手らしい立ち回りだった。素晴らしい。

掛かるのは分かっていたから、最初は池添騎手に委ねられたような馬。

変な感じの小回り2戦で埋没しかけた厩舎期待のダーリントンホールを、そのプライドとともに、完全に取り戻して見せた木村調教師の手腕もまた、大いに称えたい。

 

九分九厘、今年こその牡馬クラシック獲りに燃える相沢調教師が育てるビターエンダーと、好アシストでついに念願の日本初重賞制覇を果たしかけていたミナリク騎手の無念は察するに余りあるが、あのレイエンダを重賞馬に導いた時も、丸山&サラキアが繰り出した奇策にいち早く対応しての好騎乗だったルメール騎手である。

すっかりの日本の騎手になった彼だからこそ、動いてはいけないところはしっかりと見極め、動き出しのタイミングだけ気を付けて、万全の態勢で直線を迎える準備がいかに重要であるかを、改めて見せつけた一戦。

 

フィエールマンでもレイデオロでも、実に魅せる競馬を伴ったベストライドを繰り返してきたが、いくらクラシックの登竜門であったとしても、あくまでもGⅢである。

例年以上に早仕掛けのクリストフの今年の大仕事は、皆想像を大きく超えたものなのかもしれない。

北村友、津村、松山ら、いい仕事をできるようになった中堅のテクニックは、より研鑽されなければならないと気づかされたレースでもある。

---
当ブログの予想
◎→△→▲ 馬単4,540円、3連単16,600円的中

 

レース回顧

クイーンC(2020)回顧【武器を隠すことができた】福永ミヤマザクラ

読了までの目安時間:約 3分

 

思ったより派手な展開で、好位抜け出しとなったミヤマザクラは正直、ちょっと苦しい展開にも思えたが、牡馬のクラシック有力候補とチャンピオン距離で対戦した経験が活きた。

インザムービーの軽快と言うよりか、目的意識のない暴走が、タイトな展開を作ったと同時に、厳しいレースの経験があった分だけ、戦績傷なしの人気2頭より、遥かに重賞で人気になって好走した記録のあるマジックキャッスルの方にも付け入る隙があった展開。

 

あのレシステンシアに食らいついていったマジックキャッスルだから、東京で鮮やかな競馬をしていた2頭よりは、違う武器があったということだろう。

戸崎騎手が乗れない状況だけに、国枝調教師としても、簡単に乗り替わる騎手を選定しづらい中、結果も求められるこの重要な場面で、フォーリー騎手というジョーカー的存在を見事に使いこなした印象もある。

両者ウインウインの結果は、連続2着3度目のアエロリット的展開なので、いいのか悪いのかはともかく、これから自由度の高い戦法の選択ができるようになった点で、プラスの方が多いかもしれない。

 

福永騎手は昨年の2着の結果を悪い内容とは考えていなかった節がある。

現に、明らかに格上相手に、様々策を労し、秋華賞で強気の先行で粘り込みを図った5着の結果が勲章にもなった。

だから、やりたいことはできなかったから、とても正直に騎乗内容への不満を口にしていたのだが、敢えて言うと、この武器は隠しておきたかったということだろう。

2勝馬ではないから、賞金加算は必要でも、2着が悪い結果ではないのはビーチサンバと同じ。

血統も結構似ていて、本番を見据えたらこういう時こそ、ダイワエルシエーロのような一転の追い込みを決めたかったのかもしれない。

 

そんな好走2頭に対し、人気の三冠馬の産駒2頭だって、経験を積めば、同じ舞台に立てるはずだが、勝負根性を養う場面がなかったのは痛かった。

 

---
当ブログの予想
◎→注 馬単1,700円的中

 

 

レース回顧

共同通信杯 2020 予想【ダーリントンホール】自分からは動かないサドラーズウェルズ系だが…

読了までの目安時間:約 5分

 

◎ダーリントンホール

○マイラプソディ

▲フィリオアレグロ

△ビターエンダー、ココロノトウダイ

 

思ったより回避馬が多かったのは、先週のきさらぎ賞と同じ。

13頭の登録数に対し、出走馬は9頭となった。

特段、大幅なレースプランの変更はないので、昨年のようなハイレベルな展開がファンの希望となるが、妙な気配漂う組み合わせでもある。

 

そもそも、ダービートレーナーが送り込むディープ産駒がキーマンになるところ、それなりに支持を集めるだろう東京で勝ち上がってきた方のディープが出走し、西の馬はいなくなった。

ステイゴールドでも33秒台の上がりを使えるのが、スケール優先の共同通信杯の特性だが、それは最初からここら辺の距離に合っていると想像がつく馬だから、そういうことが可能という見立ても筋違いではない。

 

左回りもワンターンも得意そうで、小回りコーナー4つの競馬もこなした。

マイラプソディの課題は出来というか、勝負気配にあるかどうかが問題であり、ビワハヤヒデやドゥラメンテが負けたこととの関連性だとか、案外、11月の名物出世レースとのコネクションがちょっと狂うような結果も散見されるから、絶対視することもない。

 

ダーリントンホールは札幌2戦で簡単に勝つ方法と、一番苦しい位置から立ち回ったという両方の経験を、中山で大いに活かそうと2勝目を目論むも、ハードな時計勝負と勝ち馬の自在性に翻弄される形で、札幌2歳S3着とは違う内容の同着順となった。

本来ならば、東京を使うにしても、距離延長で2000M以上の1勝クラスを使う手もあったのだろうが、陣営は至って強気。

 

順序を重んじ、成長を阻害するような使い方も調教も、レースの内容にも普通の調教師よりかなり気を遣うように、あまりはみ出たような策を打つことはしない木村哲也調教師としては、思われているよりは賞金加算が楽になりそうな組み合わせと踏んでの出走の判断だろうが、本音はうまくいかなかったという口惜しさが先行している気もしないではない。

 

自分から動けるようになってほしい馬だが、如何せん、軽いサドラーズウェルズ系など存在しないわけで、ダーリントンホールには期待が大きい分、物足りなさを一気に返上するような逞しさを示してほしいところ。

だからこそのルメール鞍上であり、上位人気間違いなしのこの中で、相手に関係なく、ハイレベルなパフォーマンスが彼には求められることになる。

 

一族には、自身が進路選択で生じた不利で3着に敗れた札幌2歳Sの後、一気にGⅠ馬の誇りを取り戻したマジカルがいて、従兄弟には一昨年のメルボルンCを制したクロスカウンター、日本の代表馬の一頭にダーリントンホールの5代母と3代母が共通のオークス馬・ヌーヴォレコルトがいる。

底が浅い薄さを武器とした牝系ではないし、1800M戦はこういうタイプにこそ向く面もある。

同時に、平成以降の1勝馬の勝利は、彼と同じように重賞未連対馬でも4頭存在するが、ビワハヤヒデを負かしたマイネルリマーク、ドゥラメンテを負かしたリアルスティールと共に、人気過剰の1番人気が消えた時に勝ったヤマニンアクロとメイケイペガスターらも含め、皆ネアルコ系同士の配合。

 

何かを武器にするかと問われた時に、絶対能力以上の可能性を引き出すものが、激しさを持つ配合だったりする。

マイネルリマークはテスコボーイの4×3を持ち、ダーリントンホールにとって絶妙なスペシャルのクロスを作るのに必要なヌレイエフの血を、あのリアルスティールも母系に持っている。

無理に強気に行かずとも、策に拘りがない方が吉と出るのが東京の1800Mコース。

その割に、必ずしも実力通りとはならないレースだからこそ、ダーリントンホールにもぴったりだったりすると思うわけだ。

 

レース予想

クイーンC 予想【ミヤマザクラ】このレースと因縁があるクロフネの血は見逃せない

読了までの目安時間:約 3分

 

翌日行われる京都2歳S覇者マイラプソディが出走する共同通信杯の展望において、このレースの結果がオッズに与える影響は大きいのかもしれない。

2着馬ミヤマザクラは完封されているからだ。

 

彼女がデビューした札幌1800の新馬を制したのは、その日のメインである札幌記念を制することになるブラストワンピースの半妹であるホウオウピースフル。

そこで1番人気だったミヤマザクラは、最終週に勝ち上がって、今度はクラシック候補のマイラプソディを真っ向負かしに、わざわざ京都2歳Sという格のあるレースを選択し、距離に不安を感じさせる内容の2着に終わった。

 

その間にホウオウピースフルは、東京で2勝目を挙げた。

レース間隔は似たようなもので、東京の経験の差と、ルナシオンが気になりすぎる存在であるがために、ミヤマザクラはそこまで過剰に支持を集めることはないだろう。

本質的な決め手はともかく、上の牡馬陣のほとんどが1800M以上に向く、軽快さを欠く馬ばかりなのに対し、札幌の対照的な2戦の内容ともまた違い、やはり牝馬らしさが武器のように見えたミヤマザクラは、より伯父のクロフネに適性が似ているところがありそうだ。

 

馬格がまるで違うし、こちらはサンデーサイレンスの血が入った牝馬。

そもそも、母父がミスプロ系とデピュティミニスターの流れとでは、性質も大分違う。

それでも、早い段階で2000M戦を連続好走。

特段早熟ではない系統だから、軽いレースに向かないことはあっても、近年の高速化の冬の東京は、底力勝負を希望する彼女にはフィットするかもしれない。

 

雨の影響が残っても不思議はない予報でも、それに関係なく、クロフネの血がこのレースで何度となく活躍馬を生んだ歴史は見逃せない。

重厚な配合や見た目より軽くは見せない血統馬がライバルであり、ミヤマザクラは、福永騎手以外の武器も有しているように思う。

 

◎ミヤマザクラ

○ホウオウピースフル

▲ルナシオン

注マジックキャッスル

△シャンドフルール、アールクインダム、チアチアクラシカ

 

レース予想

オイシン・マーフィー&キズナ / エネルギー満ち溢れる男たち

読了までの目安時間:約 3分

 

マーフィーに関わった幸運な男たち

27勝の内訳について、ちょっと調べてみたのだが、ああ、あのオイシンさんのことです。

調教師別で興味深い傾向が現れた。

関東

木村
戸田・4勝
国枝・6勝<最多/ジュニアC等>
高橋文
田島
中舘
大竹
大和田
矢野
伊藤大(9番人気・24.3倍)/27勝中最低支持での勝利<3牝1勝・菜の花賞>
古賀史
栗田
田中博(4人・12.9倍)
藤沢<カーバンクルS>
古賀慎

関西

吉村(8人・17.1倍)<白富士S>
鮫島
安田隆・<トウカイエトワール2勝>(うち1勝4番人気)

 

計19の厩舎で、約1カ月で27勝。

特別戦がほとんどないのも特異だが、特別戦ばかりで穴をあけたことが実に妙味深い。

まだムラなところはあるのだけれども、昨年と複勝率がアップしたことは当然としても、勝率と連対率が1割以上アップした。

昨年は2、3着と1着の数が横並びで、今年は好走の2、3着の数を足した27が勝ち数である。

ビュイックがちょこっとオフに乗りに来た後、ロイヤルブルーがよく似合う男になったように、ついに、マーフィー騎手に全盛期の時代が訪れようとしているのであろう。

キズナブームが3、4年後再び起こるのか

エピファネイア産駒がキズナ産駒に負かされるというダービー現象が、3歳の出世レースでもう2度も再現されている。

思えば、明けてからは立場逆転、しかし、産経大阪杯以降は共に尻すぼみで、秋に一発花火を打ち上げたエピファネイアも、以降は扱いに再び悩む難儀な良血馬に成り下がってしまった。

 

血統のイメージよりもずっと柔軟に、一定の早熟性も担保されている上に、キズナにはダービー馬という特別な箔がついている。

周期的にブームが来るのは、当然、最初の結果に影響が出るものだから、初年度産駒の2年目くらいで、もう種牡馬としての立ち位置はほとんど決まってしまうのが常。

次が来るとすれば、それは3年か4年した後。

その間にどれだけ走る仔を送り出せるか。特別な後継馬になるために、従兄弟のパシフィカス兄弟も天国から応援してくれるはずだ。

 

コラム

今買っておきたい、川田将雅、幸英明、団野大成ジョッキーの狙い方

読了までの目安時間:約 3分

 

ジャストナウ・2月中に買っておきたい騎手

デムーロ・ルメールの次は混沌としているが…、それなら川田と行きたいけれども、実は、武豊騎手同様、高い複勝率に対し、2着と3着の割合がややいびつに、着拾いの失敗が目立つ③の方が少し多いという傾向が、ちょっと恐ろしくもある。

 

勝率をまだ高い数値にまで持っていけていないルメール騎手に対し、圧巻の3戦につき1勝ペースの勝率と6割の複勝率である川田騎手の序盤の好発ぶりは、本当はすでにマーフィー超えなのに、どうもパンチ不足の昨年のGⅠでのやや寂しい結果を引きずっているような面も見え隠れする。

 

数字は所詮数字だが、昨年の今頃、全く勝てていなかった超鉄人・幸英明騎手が、相変わらず今年もリーディング上位組に伍す騎乗数ながら、既に10勝以上挙げている。

芝・ダート、距離不問の名手なのは言わずもがなだが、人気の馬で特別戦を2勝している。

道悪競馬が多かったのもプラスだったのかもしれないが、ヴェンジェンスの出世に最も貢献した彼が、新たな役者を作り上げる可能性に、今は期待したい。

もちろん、勝ち星の方もこの調子で行ってほしい。

 

あと、若手でも活躍している面々で出てきているから、これは買っておきたい。

どうしても注目される藤田騎手や横山武騎手は、色々と派手に映るシーンがクローズアップされるので、過剰人気にもなる。

一方、先々週の活躍により勝ち鞍で互角の2年目なりたての団野大成騎手は、昨年から引き続き、人気の馬で狙える傾向が出ている。

小倉での4勝は全て、単勝5倍内の馬で、前2者はすでに、かなりの穴馬券を勝利でファンに提供している…、と記そうと思っていたら、先週は単勝40倍弱の馬で単穴をあけて、その直後に3番人気で勝った団野騎手。

 

しかし、それが珍しいタイプの騎手なのは間違いない。

勝てそうな馬で結果を出すことの方が、本来は騎手として重要なはずだから、びっくりするような結果は重賞戦だけで魅せてくれればいいのだ。

こういう育ち方をしてくれると、後々楽しみが多い。

 

コラム

高馬サトノフラッグ、次走ユタカと ~ ディープインパクト記念(弥生賞)へ

読了までの目安時間:約 2分

 

国枝厩舎所属の里見オーナーの馬はよく見かけるから、サトノフラッグという1億超で取引された高馬がクラシック路線に乗って来るということ自体、大きなトピックとはならない。

ただ、剛腕郷原の訃報に、ちょっと怖い感じの松岡騎手の落馬負傷のシーンと合わせて遭遇すると、どうしても少しはプラスのイメージが湧くニュースに触れてみたくなった。

 

今年からディープインパクト記念に改称する弥生賞へ、サトノフラッグが向かう。

鞍上は、今年序盤から勝ち星を重ねるディープインパクトの主戦だった武豊騎手を予定。

ディープインパクトの産駒でクラシックに挑むこと自体、あれだけの数の活躍馬を送り込んできた伝説の名馬だから、何も不思議ではないことだが、もう2年もすれば、それもなくなるわけだ。

 

思えば、サトノフラッグは戸崎騎手と共にデビュー戦を走った馬。

その戸崎騎手も、あの浦和での落馬事故から、とてもではないが復帰できるような状況には至っていない。

皐月賞やダービーの頃には、もしかしたらの可能性はあるが、ちょうどマッチしたマーフィー騎手に乗り替わってからの2連勝だから、ユタカ騎手も内心期するものがあるはずだ。

 

キズナは佐藤哲三元騎手のお手馬だった。

ワールドプレミアはずっとユタカ騎手が乗っているが、あとディープの仔でGⅠを勝ったというのは、コンビ2戦目だったトーセンラーと制したマイルCSだけ。

 

ダービーをいっぱい勝っている騎手と共に、史上恐らく最初で最後の2頭の三冠牝馬を育てた国枝栄調教師に足らない牡馬クラシックのタイトルをプレゼントすることになるのか。

まあ、それは連続年重賞勝利記録は伸ばしてからの話か。

 

ニュース

新馬勝ちレッチェバロック「母系の奥行きの深さ」は魅力たっぷり

読了までの目安時間:約 3分

 

USAブランドの集積体のような配合の牝馬

勝ったのは外国産馬というか、USAブランドの集積体のような配合の牝馬・レッチェバロックだった。

見た目も派手だが、序盤から自在性をうかがわせる相手に合わせないでも自分の型にハメられる完成度を示し、直線入り口まではライバルがいるという状況にありながら、彼女を猛追するもう一頭の人気の牝馬・プレシャスガールが、関西のバリバリの砂巧者血統の馬でスペイツタウンの仔であったから、そこからスパートするとみるみる差は広がり、2着のプレシャスガールとは2秒の差がついた。

位置取りの差があるから、上がりの3Fだけでも大差はついているのだが、そこから0.5秒トータルのタイムが速いということは、詰めに入った分、最後はもっと突き放されて倍返しされたような結果だったと言えよう。

まあ、若駒の争いに数的根拠を書き連ねていくのも、少々滑稽である。

見たままを感じ、信ずることが正しい見解へと繋がる。

レッチェバロックの興味深い血統を掘り下げる

レッチェバロックの牝系には、近親は余白だらけという物寂しさを感じさせる背景がある一方、興味深いのは、3代母のジェッティングエンジェルにおいて、ピラトの5×4と共に生じるディナータイムの5×5がボトムラインでクロスし、レッチェバロックからみて7代母エイトオクロックは、その半弟で後にエクリプス傍流の雄として君臨するエイトサーティーとファミリーのクロスを有している点。

ここからもう少し遡ると、三冠馬のウォーアドミラルが出ている牝系と判る。

ジェッティングエンジェルはトムフール直仔で父父のジェスターの母父にエイトサーティーを持つことで、マイバブーやネイティヴダンサーの血が側にあるというストロングポイントをより強め、前向きさを高めていった面を秘める。

早熟のアンクルモー産駒であり、希望的観測が過ぎると至らぬことが目に余る現象に出くわす可能性もあるが、母系の奥行きの深さは魅力たっぷりである。

母になってからの期待も大きい。

 

レース回顧

東京新聞杯 2020 回顧【超出世レース化の流れ】に乗って存在感を示した人馬

読了までの目安時間:約 3分

 

出たなりで好位の外を狙える位置につけたプリモシーンと、最初から間隙をついて内の方が脚を使わせる狙いが横山騎手にあったように思えたクリノガウディーの好位のイン獲り成功で、筆者、左団扇のゴールシーンを期待したが、気持ち、理想の展開を狂わせてくれた岩田騎手のシャドウディーヴァの追撃には痺れた。

いや、切ないなとも思うゴール前強襲であった。やはり、前には誰かがいた。

 

大半の馬が33秒台の脚を使えるとわかっていたからこそ、人気馬のほとんどが差し馬の動きや位置取りに注目が集まる中、こういうときこその江田照男を示すべく強かな逃げの手に出たモルフェオルフェを、まるで先入観のないテン乗りフォーリー騎手のクルーガーが楽をさせなかったことで、異様なスローの展開にはならなかった。

 

強烈な上がり勝負が懸念されたから、クリノガウディーの使える脚を考慮した横山騎手の策は、これでボチボチの成功に留まる展望が見えた。

一方、人気のレッドヴェイロンや相変わらずの危険性を秘めるヴァンドギャルドは、厳しい競馬の経験が若いなりにもたくさんある面々に、全く太刀打ちできずに惨敗。

 

そんな中、ゴール前の手応えが一頭抜けていたようなところのあるプリモシーンの快勝は、デムーロ騎手としても会心の騎乗と言えよう。

アドマイヤマーズにも乗れなくなり、オメガパフュームも今後どうなるかわからない状況で、筆者の思ったように、相手が形を作ろうとしないのなら、僕が行ってしまうよと思わせただけでも、伏兵陣にはプレッシャーになったはずだ。

 

結果的に、自分の前にクリノガウディーが入ったから、いつもの外からの差しに転じたが、今までならそれではダラダラと脚を使ってしまって持ち味が活きなかった戦法で、勝ち切ったのだ。

言わずもがな、実力と実績通りの結果。

近年の超出世レース化の流れに乗って、再度存在感を示したこの人馬の実力は、やはり侮れない。

 

レース回顧

きさらぎ賞(2020)回顧 ~ スロー見え見えの舞台で差しに拘ったアルジャンナ不発

読了までの目安時間:約 4分

 

人気馬がパッとしなかったというより、持っているスケール感の違いみたいなものが大差なかったとすべきだろうか。

前走で改めて差して結果を出しても、全く支持が集まっていなかったコルテジアは、未勝利戦の勝ち方がそれまでと一変であったから、デイリー杯でも期待したのだが、まだ繊細なところがあったのと、ローテが詰まった3戦勝ち上がりの過程ではなかったが、道悪2度経験の中での重賞戦で、上がり目がなかった感じの失速だった。

 

ところが、差してもなかなか結果が出なかったのに、キャリア3戦目となるマイル戦となった前走のシンザン記念で、素質を改めて感じさせる内容の3着で、距離延長となる今回は少しだけ期待していたのだが、明らかに相手強化にも拘らず、軌道に乗ったロベルト系のそれを再度証明するように、自在の立ち回りからあっさりとゴール前で抜け出して見せた。

 

褒められた内容であっても、連対した2頭から大きく離された3着であったことと、そもそもあまり注目されるようなこれまでのパフォーマンスではなかったことが、人気面での盲点であったことは確か。

 

筆者も期待していたグランレイが、首の曲がり方が明らかにおかしいというくらいに引っ掛かって池添騎手に抑え込まれていたのと、やんちゃさを丸出しで成長があまり感じられなかった人気でも実績でも最上位だったアルジャンナが、あまりも残念な直線の雰囲気だったので、大半のファンがこれは凡戦となると思った瞬間、アルジャンナだけは前を追いかけてきた。

 

それがいいことなのかどうなのかは、今のところはっきりと断言できないのだが、もしも、他の騎手に乗り替わって勝ちに出ることを選択するタイプの、特に短期免許の外国人騎手だったら、この結果ではなかったように思った。

同時にそれは、川田騎手が背負っている責任の面で、今回は主戦としての仕事を果たしたのだとも感じた。

これまでと同じようにスピードを抑えて競馬させるというより、差してどこまでやれるかを、スロー見え見えの舞台でどこまで証明すべきかという必要に迫られた今回、結果が見えたと思う。

 

差す余裕が生まれたコルテジアがレースを制し、未知の魅力満載のストーンリッジがそれに迫った。

オープンの実績があるその他の面々に、課題を与える方が優先した関東馬のギベルティなど、リスクをとった時に馬自身がどういう展望をこの出世レースで見せることができるかとなった時に、アルジャンナらにはクラシック向きの万能性はないと理解できた。

 

コルテジアが途端に世代のトップホースになるわけではないが、フラフラしながらもギベルティは粘って4着、アルジャンナは最後だけは走った3着。

位置取りやペースが違えば、彼らの立ち位置は人気の通りだったように思うし、自分を武器を磨くために必要な時間やレースでの経験をどう陣営が考えるか、腕の見せどころではないだろうか。

 

サトノゴールドはこういう時ほど頑張らなきゃいけなかったのだが、父のような雄々しさで勝負できるタイプではない。時間をかけて、一流に育てたい。

 

レース回顧