2017年オークス レース回顧

JUST競馬予想ブログ

優駿牝馬 -回顧-

読了までの目安時間:約 5分

 

2番手追走から、同じ内を伸びてきた急上昇のモズカッチャンに自分のやりたいことを全てさせて、自分の方は、じっくり外へ出して叩き合いには持ち込ませなかった。
ソウルスターリング、大復活である。

先週日曜日のルメール騎手は、前日と一変という気配で大爆発であったが、今週は勝てそうな馬でもなかなか勝ち切れないレースが続いた。
対照的に、日曜の2時あたりからエンジン全開となるデムーロ騎手が元気になってきたので、リスグラシューではなく、アドマイヤミヤビが2番人気になって、レースは始まった。

すぐ外のフローレスマジックがいいスタートで、天性の勝負強さはそのレースぶりの安定感であるという格好でここまで大崩れのないソウルスターリングも、それをうまく使って、理想的な1角へのスムーズな運びとなった。
決して絶好調に見えなかったが、気性面での課題はとっくにクリアした馬へと成長したので、普通の出来で普通の競馬をすれば、もう後は騎手の仕事は落とされないことだけ、という血統馬らしいレースに持ち込めたので、万が一にもモズカッチャンなり、外から飛んでもない鬼脚を使ってきた馬が登場したとしても、その敗戦には納得だったはず。

いや、近年は速く流れることの多いオークスが、レース前ちょっと各馬の力差のようなものがはっきり出てしまっていたので、有力馬ほど少し気性面に課題があり、伏兵のスピードはちょっと足りない状況は、想定よりも遅い流れでの展開に繋がったから、やはり、モズカッチャンもソウルスターリングも、内枠好発の時点で勝負ありだった。

前回素晴らしい決め手を発揮したモズカッチャンは、この日の最高のイン抜け出し、最高の末脚で先頭に躍り出ようという走りを見せたが、元より競馬が上手な馬がずっと前にいて、それが外に行ってしまったというのは、恐らく、周りに馬がいてより能力が引き出されるだろうこのハービンジャー産駒には、ちょっと勝負運が足りなかった。
外差しが決まりそうな馬場の禿げ方なのに、直線の内ラチ沿いには誰もいなかった。
サンデーの入っていない同士で、こういう勝負の形になると、最後はスピード能力の差も結果に影響する。
マイル未経験のモズカッチャンは、かくして、王道路線の掟を突き破れなかったことになる。
邪道を進んだ二冠牝馬・カワカミプリンセスのデビュー2戦は、芝の1400を連勝である。

何となく、こういう形であれば着拾いまでもありそうな予感のあったアドマイヤミヤビは、出来はまずまずでも、適距離というにはちょっと長すぎた印象がある。
外が伸びるというコンディションではなかったとはいえ、正攻法のハービンジャー・ディアドラに辛くも頭差先着ということは、キレで勝負するのも限界があるというタイプなのだろう。

ディアドラはタフな牝馬だから、どんな相手でも状況でも自分の走りができる分、似たようなキャラのボンセルヴィーソがそうであるように、ベストパフォーマンスをみせたときは、大概有力馬の力が出し切れた展開となるパターンが多い。
歯痒いが、小さなことからコツコツとである。
期待したリスグラシューやレーヌミノルは、ちょっと前回がうまく行き過ぎたところもあったのか、上積みがない分、平凡な策に徹するより他なかったように思う。
レーヌミノルには内枠が欲しかったはずだが、桜花賞馬の大敗のパターンである道悪馬場の快勝馬の凡走のそれという感じで、直線はズルズル後退だった。

結果論にはなるが、最後に信ずるべきは、マイルを勝っている馬なのだろう。
牝馬戦線は、途中NHKマイルCという脇道も含め、マイルの選択肢しかない。
どの距離に適性があろうとも、4月になるまでは、マイルを戦うことを念頭に置いて戦うのみなのだ。
その主要競走を3戦2勝していたソウルスターリングは、ヨーロッパの中距離路線における最強配合であるフランケル×スタセリタというバックボーンがあった。

最初はその血統で人気が先行していた部分もあったが、このドイツ由来の競馬の申し子は、本来在るべきクラシックディスタンスである2400Mにおいて、他の馬よりアドヴァンテージがあることは皆知っていたはずである。
この馬に賭けた人も斜に構えて相手候補にした人も、彼女が勝ってしまうことに対して、本当が誰も疑問には思わなかっただろう。
だから、こういう結果になって、多くの人が悲しまないことが、最終的には血統の持つ底力であると今回は実感した次第だ。

血に抗うことなかれ。
誰よりも簡単にレースをしていたのが、1番人気の馬だった。
それこそが、オークス、ダービーの存在意義である。

 

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平安S -回顧-

読了までの目安時間:約 3分

 

ピオネロやクリソライトがやけに後ろの方にいたのが気になったが、結果、注文つけずとも楽に先行できたコパノチャーリーを、下げてもあまり妙味なしと考えたのだろう福永騎手のケイティブレイブがつついたので、先行グループは壊滅状態の展開に。

自分の形ではない馬が最後に突っ込んできたのとは対照的に、メンバーの割に、ちょっと人気が集まりすぎていたような気がしていた超大型馬のグレイトパールにとって、これほどやりやすい競馬はなかった。
中内田厩舎の活躍馬に共通した骨量豊かな馬体を遺憾なく躍動させた初重賞の舞台で、昨年のアスカノロマンを彷彿させるような圧倒的なパフォーマンスは、即交流重賞通用レベルの内容であり、5戦5勝の中身に後ろ指差されるような欠陥は何一つないことを、最高の結果で示すことに成功した。
単純に、ここでは役者は違ったという印象しかない。素晴らしい。

名血ビクトリアクラウンを3代母に持つ血統馬で、ダート1800以下を一度も使われたことのない、恐らく史上初のオープン馬になったこのグレイトパールは、持てるパワーをフルに発揮するために、ダートを使われた昨秋から、最初の芝→ダート替わりこそ中3週だったが、以降は、6週-5週-2か月-2か月と、大事にレースを選んできた節がある。
クリソライトの重賞連続好走で、ちょっと参戦できるか分からなくなってしまったが、帝王賞を使うにしても、ここまでの余裕のローテがあるから、あまり不安はないだろう。

何より、秋から6戦しかしていないとはいえ、ダート初勝利から体重の変動がほとんどないというのは、何より立派な強調点だ。
ダート10勝馬を送り出したキングカメハメハ。
母方に並ぶ前に行って渋とい血脈は、この大いなる魅力を感じさせる才能をどこまでアシストしてくれるのだろうか。
ひとまず、ゴールドドリームに出会うまで負けないことが、次の目標となった。

 

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ヴィクトリアマイル -回顧-

読了までの目安時間:約 5分

 

昨日のクリストフはどうなんだ?というくらい冴えない騎乗が続いていたが、かなりパワーを要する馬場状態で、非常にコース取りが難しい中で、内枠を100%活かした「荒れ馬場の正しい対処方」を用い、ロスなく決め手をフルに引き出した無理のない競馬で、アドマイヤリードが見事に差し切った。

思えば、桜花賞5着馬であり、秋以降の末脚に磨きのかかった圧倒的なパフォーマンスは、前走道悪でも怯まぬ内から伸びる競馬を確認した、そう仕向けたきらいもあるルメール騎手の、トータルで考えた完璧なエスコートも、初重賞制覇=GⅠ制覇に繋がった格好だ。
前日好結果を残していたデムーロ騎手は、本番当日に名手がよくやる騎乗数を絞って?というのとは違うだろうが、朝から一杯乗って、結果も残していたルメール騎手と比べ、芝一鞍のみというのは、さすがに痛手だったか。
雨が降っていればまだしも、内ラチ沿いから差し馬が伸びてこられるような馬場ではなかった。

しかし、そのクイーンズリングに対し、隣にいたデンコウアンジュが、前走の捲りから一転、かつてメジャーエンブレムをねじ伏せた時と同じような流れで必殺の追い込みを決まりかかったところまでいったのに、少し揉まれたとはいえ、勝負所も勝負どころの坂上でもう一つ上のギアに入らなかったミッキークイーンは、見せ場なくクイーンズリングに半馬身届かず7着。

期待したソルヴェイグが、それこそ先週のアエロリットではないが、二の脚が極めて速いスピード型らしい先行力で出たのはいいが、あまりに良すぎたスタートで、川田騎手も冷静になりすぎて抑え込んでしまったことで、しかし、ペースが緩いから5着に粘っているし、中距離型として育ててきたミッキークイーンが、全く対応不可能な展開でもなかったのに、この内容は…。

前走大いに見せ場を作ったジュールポレールが、キレの差を勝ち馬にここでも見せつけられる格好でまた3着だったから、1、2、3、5着は4歳馬。
正攻法でやれることは全てやった平常運転の武豊騎手が乗るスマートレイアーも、ある程度読めていた程度のパフォーマンスで意地を見せた。
外を回るよりほかはない、5歳の上位支持馬であったレッツゴードンキやルージュバックも、それよりは競馬のしやすかったミッキーに続いている。
馬場の影響は大きかったし、上昇力が実はピカイチだったアドマイヤリードだけではなく、みんな自分なりにできる仕事はできたように感じる。

となると…。
陣営は、特に浜中騎手は、自身の不始末のことも頭にあるのか、一時は引退危機にあったということをメディアに対し、明け透けに、正直な言い方でミッキークイーンの復活を喜んでいた。
秋華賞以来の勝利ということよりも、4歳シーズンがまるで思うようにいかなかったことがあって、阪神牝馬Sの勝ち方に、内心かなり痺れるものがあったのだろう。

が、あの重馬場の結果は、ミッキークイーンの1勝のためには必要だったが、本当に価値をもっていたのは、かつての女王に肉薄する機会を極悪馬場で得られた
4歳の2頭だったのかもしれない。
奇しくも、昨年のミッキークイーンが通ったコースから伸びてきたのが、前回力でねじ伏せたはずのアドマイヤリードだ。

皮肉なもので、アドマイヤリードが重馬場が得意であったことは、父ステイゴールドの名を見る前でも明らかな戦績を誇っていたのだが、メイショウサムソンの2頭に続く33.4秒の決め手は、ここ数戦メンバー中断トツだった末脚に比べ、中身は違えど、数字的には図抜けてはいなかった。
あの日の雨の阪神牝馬Sがあったからこそ、望外の乱戦を制する勇気をもえらえたのであろう。

とても体がもたないような体重減で、レースレコード決着で勝ち馬にミッキークイーンが肉薄したのは、この東京マイルで行われるクイーンCであった。
引導を渡されたわけではないが、こういう流れになってしまうと、立て直しはより一層難しくなる。

 

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京王杯スプリングC -回顧-

読了までの目安時間:約 2分

 

ヒルノデイバローが楽に行けてしまうような展開に加え、平成ももうじき終わろうという時期にきて、その間これが2度目となった重馬場の影響は、想像以上に大きかった。

良馬場の方が良かったはずのレッドファルクスは、こういう馬場状態への適応力というより、前半ゆったりした展開から末脚勝負に持ち込むと、その持ち味を遺憾なく発揮できるタイプ。
スロー見え見えでも、自分から仕掛けることができないタイプには、こういった走りにくい馬場を一団に進んで、外から違う脚で伸びてくることが可能な条件だから、それで見せ場なしという負け方はもうGⅠ馬なので許されなかった。

得意とする左回りで、これが8勝目。
スプリンターズSを差し切り勝ちしたことの方が不思議なほどだ。
しかし、高松宮記念の内容が案外だったから、ここは人気が集中することもなかった。
こういうときのデムーロ騎手は、とても強かで頼りになる。

直前の準オープン戦でも、人気を背負っていながら、縦長の展開にも焦ることなく、今までにないくらいの末脚を引き出して快勝した。
何故来たのかよくわからないクラレントも、一応は3年前の2着馬。
やや折り合いを欠いた先行グループの一団後ろでゆったりと追走し、レッドファルクスとの叩き合いに持ち込んだのは、乗り慣れた岩田騎手ならではのテクニックがあってこそ。
終日地方出身の騎手の腕が光り、いいところを獲っていくいつものミルコがそこにはいた。

こういう日のクリストフは、案外大人しい。
全て人気馬に乗っていたが、騎乗できた6鞍は皆人気より上に馬を持ってこられなかった。
キャンベルジュニアに関しても、前に行こうという意思はあったのだが、内からヒルノデイバローに行かれてしまった後は、ズルズル後退。
馬のキャリア不足を補ってほしかったのだが、最後まで道悪攻略のポイントを掴めなかった。

 

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NHKマイルC -回顧-

読了までの目安時間:約 5分

 

これは現状の3歳マイル戦線における力通りの結果だろう。
3Fから34.5-46.1-57.9。
この流れで好位から抜け出してきた上位3頭は、このレースに関しては文句なしのGⅠ級の走りをしたことになる。

アエロリットはロケットスタートから、ボンセルヴィーソに先行馬の仕事をさせ、終始手応え十分の構えから、直線は完全に自分たちの競馬に持ち込んだあたり、横山騎手の理想とする勝利の形であり、こういう馬に育ってほしいという青写真通りに、獲るべきタイトルをもらったようなところもある。
直前のブリリアントSでは、前走まで手綱を執っていたミツバが人気に応え、見事なオープン3勝目を上げていたが、この追い込み秋に騎乗した際に馬を逃げさせた<それもハイペースで>という戦法は、自分の型にもう一つか二つ引き出しを加えさせるために、自分流の魔法の掛け方というよりは、普通の競馬もできるようにするための準備をする中で、結果がうまいこといったというだけのこと。

主戦のパートナーたるアエロリットの弱点は気性であり、燃えすぎることをコントロールすることには、横山典弘ほどのベテランであれば、いくらでも対応策はあった。
ダシにされる形ながら、逃げたボンセルヴィーソも力を出し切って3着。
ただ、オッズは結構正しい評価をしていて、スピード能力はそのまま結果に反映されることになった。

外の方がいいのでは?
そういう声があったというが、単純な話、内が特別いいという馬場状態ではなかっただけだろう。
最近は高速化が度を越したところもあるから、そういうことに騎手の側もまた記者も敏感になっているのかもしれない。
外差しが連続して決まって、それがバイアスの掛かった馬場状態であるとは限らない。
今は新潟の方が、よっぽど外差し傾向にある。

揉まれないのはいいと思っていたリエノテソーロは、鞍上吉田隼人騎手曰く、勝たなきゃ意味がない。
ちょっと感動した。
でも、最後の坂上でアエロリットとの一騎打ちに持ち込めなかった辺り、北海道で示した通りのスピード型であり、川崎はメンバー手薄、不良馬場で平凡の時計だったように、いくらかライトな芝のマイル戦はこのようにこなせても、本質はもっと本格的な快速馬なのだろう。
坂を上って、少し外へ寄れていた。前も苦しいが、あの辺りに距離の壁があったように思う。
芝適性は、この先に関しては何も言えないが、似たような時計で乗り切ったメイショウボーラーのように、行ったり来たりする馬になるのかもしれない。
タイプ丸被りである。

レースの勝ち時計でも判るように、勝ち馬と2着くらいまでは、このレースの水準くらいのレベルの競馬ができたように思う。
衆目の一致するところだろう。
ただ、1分33秒台になると途端に、10頭が入線しているというのは、既知の牝馬戦線のレベルの高さが証明されたと同時に、割れたオッズが示す通りの展開次第、であったことも明らかになったように思う。
前回のような競馬をするつもりはなかったにせよ、アエロリットが後方にいて、リエノテソーロが内枠であったとすれば、それはぞっとするようなメンバーである。

気配だけならトップ3のガンサリュートは、穴馬評価とはいえ、それなりの流れに乗っても殿負け。
外がいいのに、ほぼ万全の仕上がりだったのに…。
実は、カラクレナイとアエロリットが距離に不安があって、ミスエルテやリエノテソーロの方が適性があるような気がしていたのだが、結局総合力を問われる時に結果を出せなかったわけだから、残念ながら、基本距離でこの結果は力不足を認めざるを得ない。
枠がよかったとはいえ、皐月賞2着のペルシアンナイトに前走で全く歯が立たなかったレッドアンシェルが、体調はともかく、メンバー中唯一の大幅体重減で4着だった。

牝馬は気性で走るところもあるが、桜花賞で疲れるほど走ったわけではない。
関西馬には苦しい番組ではあるが、この先どうすればいいのか、意外と迷うところだ。
特にカラクレナイの次走には、要注目だろう。
苦心の仕上げで体重増でも、大柄な牡馬が少なかったのに、今まであったスケール感の大きさのような気配がなかった。
失敗のローテにならないことを祈るしかない。

 

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京都新聞杯 -回顧-

読了までの目安時間:約 2分

 

行って持ち味を活かすしかなかったウインベラシアスが単騎先行するも、見た目よりずっと遅い1000M62秒台の通過。
が、ここでも馬群を牽引した組の能力は今一つで、伏兵は伸びきれなかった。
その流れを読んだかのようなサトノクロニクルは、どうやっても決め手比べでは見劣ってしまう馬だから、まだ1勝しかしていないということもあり、勝ちを狙った策のように映った。

しかし、序盤から少しストレスをかけた影響なのか、直線では大きく空いた内<京都外回りのスローではよくみる光景>にかなりもたれるように切れ込んで、ハーツクライ産駒でそこから立て直すのは少し時間がかかるから、時計のないダノンディスタンスくらいなら競り落とせたのだが…。

上手さを買って、それなりの自信をもって推したプラチナムバレットだが、これが意外と外枠からということもあって、すぐ隣のウインベラシアスの行きっぷりの良さを見て、大分無難な中団待機策となった。
京都外回りあるあるの前残しのパターンではあったが、そこはスマートレイアーの弟。
いつになく下げてからの直線勝負でも、ディープがいないのをいいことに、ただ一頭大外から前を捉えきって見せた。
黒光りこそ我が誇りという、サンデー系の継承者たるマンハッタンカフェの仔には珍しいこの芦毛馬は、やる前から結果は分かっているよ、と言わんばかりのわがままな差し切り勝ちで、ダービーへの出走をほぼ確定させた。

キレでも勝負できると分かった以上、一連の主要路線が異常な好時計決着になっている点からも、余力という面での魅力がある。
キャリアもある馬で、今回は中2週ながらプラス体重での出走。
弥生賞のダメージを感じさせない、鮮やかな勝ち方で優先出走権を得た東のダイワキャグニーともども、上手さを武器に戦えるこの中距離型の才能は、アドミラブル同様、侮れない伏兵となった。

 

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天皇賞(春)-回顧-

読了までの目安時間:約 6分

 

歴史に残るようなハイペースを作ったヤマカツライデン。
それを離れた2番手で、いつ自分の出番になるかと分かっているかのように上がっていったキタサン&武豊と、今年こそは勝てそうな気配で順調に使われてきたシュヴァルグラン。
レースの流れを牛耳ったのは、全て5歳馬だった。

内枠からのスタートは買い目ということで、かなり人気を集めることになったシャケトラは、3角下りに入る位置取り争いの後、かなりの行きっぷりで折り合うまで苦労した。
秋天でも見習ってほしいというような超ハイペースで、キタサンブラックの位置でも推定1000M60秒そこそこの流れで掛かってしまっては、どうにもならない。
外枠ということが、直前のレースになればなるほど、大きな死角になるとされたサトノダイヤモンドは、追い上げることには負担の大きくない中団待機策は、あまりにも速いこの流れであれば、普通は勝ったも同然なのだが、キャリアというより、守備範囲の中にあるスピード勝負での優位性は、この展開では活かせなかった。
昨年の春の天皇賞は、決して、ハイレベルではなかったされたが、冗談じゃないと言わんばかりの、1、3着によるワンツーであった。
もっと、平均的な時計の勝負であれば、恐らく、シュヴァルグランくらいは交わせたはずである。

勝負を分けたポイントも何も、スタートからスムーズに、昨年より出していかなかったのに、細かいラップではほとんど昨年の比ではないハイレベルの超先行力を見せたキタサンブラックと、それを恐れることはないと誰よりも知っている武豊騎手のリズムが、普通の長距離戦に対応するように作られてきた他の馬には、どうにも崩すことができなかったことにある。
この流れで、余程のことをしない限り楽なポジションなどない展開では、勝負勘と経験値の多さが結果に大きな影響与えることはよくある話だ。
その点で、日本競馬の根幹を成す競馬を全て知っているキタサンブラックと、その全てを色々なパターンで勝っている武豊が、このレースにおける最強コンビでないはずがない。

もはや、ディープインパクトの禁断のレコードは過去の話。
あれはスローペースから、強烈な決め手で突き抜けた直線での爆発力の出方が数字に反映されただけのものであり、今回のレコードは、日本競馬史上に残る金字塔である。
かつて、大井のダート2000Mを2分そこそこで逃げ切ったスマートファルコンに乗っていたのは、何を隠そう武豊騎手である。
人間の知らない世界を教えてくれる、誘ってくれるこの人を、腕が落ちただ、らしくないなどと見下した言い方をしていると、こういう目玉が飛び出るような新世界を、皆の共有財産にしてくれる。
それをいとも簡単にやってのけることを、口惜しいと思うのは勝手だが、それができる人は大分限られる。

すでに何度もGⅠで複数回好勝負をしている馬だけの争いになったが、こういう普通ではない展開では、必ずしも能力通りの結果になるとは限らない。
ただ、今回だけは、1番人気馬がディープインパクト以来勝利したように、長距離実績に対する正確な能力判断が可能だったから、時計勝負で崩れることは有り得なかったというだけのこと。

コース取り云々は2、3着の入れ替わりには影響するが、サトノダイヤモンドが脚を余したなどと誰も言うことはないはずだ。
ジャパンCを逃げ切った馬が相手である。
先行馬の有利な馬場ではあったが、差し馬がらしさを出すにはあまりにも過酷な追撃が必要だったわけで、キレる差し馬は今回全滅だった。

展望は開けた。
この距離は長いと、有力候補ながら大分下手に出たサトノ陣営が、この敗戦を完敗だと認めたところで、目標は変わらないはずだ。
多少は馬の作り方を変えるというだけで、変化がありすぎても、今度はまた掛かること以外の課題が生じかねない。
小回りの宝塚など使わない方がいいと思うが、今の出来なら、適距離の底力勝負は大歓迎だろう。

距離は長い方がいいという馬だったキタサンは、ずっと死角であった持ち時計の課題を、満点の回答でクリアした。
ローテ通りに宝塚を使った方が、後の仕上げは楽だろうが、レース間隔にさえ囚われなければ、別にアイリッシュチャンピオンを叩いても面白い。
この馬は意外と、2000M近辺では血統の字面通りに時計勝負歓迎である。
菊花賞馬より秋天好走馬の方が信用できるところのある春の天皇賞は、時に、2400Mよりもスタミナ勝負にならないことも多い。
今年それは当たらないが、スピード馬としての挑戦は、近年の高速決着の多い凱旋門賞で、意義あるものになる。

掲示板の5頭は「ディープ超え」を果たしたが、関東の不発弾と化しているディーマジェスティとゴールドアクターは、それと同格程度の時計で駆け抜けた。
復活の糸口くらいは掴めただろう。
共に、春天に縁のある名手が乗っていたから、いいものを引き出した部分もある。
これも期待だ。

 

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青葉賞 -回顧-

読了までの目安時間:約 3分

 

思われているより、この世代にはスピード勝負向きのタイプが多いのか、皐月賞に続き、この青葉賞もレコード決着となった。

中でも、人気にあっさり応えたアドミラブルは、もはや、デムーロ騎手が相手を見下ろすかのような最後方待機から、ある意味大事に乗って、しかし自分のタイミングで仕掛けて、これまた自己ベストの走りで、勇躍、ダービーの刺客、いや、主役を張るに相応しい迫力のフットワークで、これはドゥラメンテ級なのでは?と見紛うほどの好内容を、初の東京見参ながらファンに見せつけた。

しかし…。
余裕のよっちゃんで青葉賞を楽勝する馬は多いのだけれども、アドミラブルの祖父に当たるシンボリクリスエスやゼンノロブロイが出世したのに、最高の走りで無傷の4連勝を決めたペルーサはダメだったのかというと、ペルーサは2:24.3という本番並みの時計で圧勝してしまったダメージを引きずったまま本番を迎え、歴史的凡戦の異様なペースに呑み込まれ、自分を見失ってしまったからである。

シンボリクリスエスの時は、まだスパイラルカーブのない直線500Mの旧コース。
これはもう参考にならないかもしれないが、この年は2:26.4。
ゼンノロブロイの時も26.3秒である。
これらに続くダービー2着馬のウインバリアシオンが2:28.8で、フェノーメノは2:25.7。
ダービー通用の水準時計があるようで、これと同等の時計の馬はいっぱいいるのだ。

2:23.6は、皐月賞の1:57.8よりも過酷かもしれない。
これまでのレコードホルダーだったハイアーゲームが2:24.1。
歴史的外差し競馬の本番は、この時計を縮めても3着だった。
楽には勝ったものの、関西馬である。
意外と2000M以上では反応のいいことを示したベストアプローチは、トライアル2着の優先出走権保持者。
実は、こちらの方が距離適性では上のような気もする。

 

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マイラーズC -回顧-

読了までの目安時間:約 2分

 

ペースは速くはなかったが、マイルCSの時よりずっと消極的な作戦ながら、インを突くことを冷静に選択したルメール騎手がさすがという騎乗を見せた。
イスラボニータにすらキレ負けするエアスピネルというのは…。
今の東京は、持ちうるスピード能力の全てを求められる競馬になりやすいが、京都でスローになっても、先行勢が一定以上のラップを刻まない限りは、中距離ベースの総合力の競馬になりやすい。

マイルでこそ期待という組であったブラックスピネルや出負けから巻き返す時間を作れなかったプロディガルサンは、マイルのチャンピオンを目指すということでは、まだまだ迫力は足らないということだろう。
ベテランのサンライズメジャーや、きっと右回りではそこまで強くないヤングマンパワーのテクニックに翻弄されてしまった。
クラシックを戦い抜いたエアスピネルやイスラボニータはそれに加え、古馬のチャンピオン路線にも挑んだ馬などには、あまり苦労の少ない競馬であったように思う。

しかし由々しきことに、このレースは遥か昔にノースフライトが勝って、続く安田記念を制してからというのも、全く本番に繋がりがない。
阪神で長く行われていたこのレースを、秋にも目標のある京都で施行することは、長いスパンで捉えれば意味はあるのだろうが、結果は伴っていない。

鋭さとか器用さとかではなく、末の持続力の阪神と助走のつけ方の巧みさが求められる京都は、スパイラルカーブ以外の末脚自慢に対するアシストがない東京の競馬とは、本質的な面で求められる能力の質が違うのであろう。
上手さで京都で連続して好走した上位2頭には、底力勝負という重い課題をクリアする目標が、高くそびえることになりそうだ。
昨年のようなスローはまずあり得ないわけだし、プラスアルファまではない。
相手が軽くなる分の浮上はあるだろうが。

 

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フローラS -回顧-

読了までの目安時間:約 4分

 

京都のマイル戦に続き、こちら東京もベテラン騎手の腕比べとなった。
一連の牝馬重賞はハイレベルとされてきたが、フラワーCがファンディーナ以外は目標がまだずっと先にありそうな面々で、即クラシックへと向かえるようなレベルではなかったのと同じように、派手なレースぶりを買われたホウオウパヒュームが人気を裏切り、距離がどうかと思われたフローレスマジックも、卒なく走ってきた割に、前も捉えきれず最後も刺され…、と少し味気ないレース内容に終始してしまった。

9Rの石和特別(芝1800M)でも、馬群をうまく縫って上がってきた和田竜二騎手だが、最内枠からスムーズな立ち回りで、ゴール前に外に出しただけで、ロスの多いとされる2000Mを完璧に回ってきた技量は、テイエムオペラオーを有馬記念馬にした冷静さに匹敵する、最高レベルのものであった。
スロー見え見えで、自分でレースを作ることへの自信を自らのプライドとしているような騎乗が近年目立つ横山典弘騎手も、タガノアスワドの行き脚を全て計算するような追い回しで、終始レースの主導権を握った。
共に、長距離重賞に実績のある名手ではあるが、どう乗っても限界のありそうな予感のあったフローレスマジックよりは、この距離、この枠、この展開…。
思われているよりずっと、人気馬には死角を多かったというのを理解しているような、実に痛快な技ありの騎乗だった。

勝ったモズカッチャンとよく粘ったヤマカツグレースは、血統馬をあまり多くは扱っていないものの、重賞路線に役者を数々送り込んできた関西の渋めの厩舎の所属馬である点と、最近少しだけ日本の競馬に馴染んできたところのあるハービンジャーの産駒というところが同じだった。
これまで4戦、様々な競馬場を走らせておきながら、殊距離に関しては1800Mに一貫した使われ方をされ【2011】という戦績だったモズカッチャンは、必ずしも高速馬場ではない春の東京開幕週では昔からよく来る「ツボの小さい」キレない牝馬で、サンデーサイレンスも入っていないような馬だから、恐らくは、外枠では用なしだったはず。

ただ、これで良馬場3戦3勝の3連勝だから、何となく、同厩舎のスピード馬・ソルヴェイグのように、底知れぬ能力が下の条件では今一つ発揮されなかったけれども、上のクラスに入ると突然、今まで見せていたモズカッチャンの場合で言うと勝負強さが、見事に引き出されたような競馬であったように思う。
この手の馬は、格上相手ということも時に芝・ダートの垣根すら関係ないことがある。
歴代の優勝馬であるニシノハナグルマやヤマトマリオンなどは、その後にダートで思わぬ快走を見せたことがあった。
芝向きの配合でも、違うものが求められるケースがまま見られるのは、この時期の牝馬には苦しい競馬を強いられる条件も、一つの要因になっているのだろう。
何となく、1年後は交流競走を走っていそうな予感がする。
和田騎手もダートは得意だったりするし…。

ホウオウパヒュームは、筆者推奨のビルズトレジャーに終始ふたをされる中団のポジションからの追走で、伸び伸び走らせてあげられなかったのも敗因なのだが、上がりの脚も特別抜けていたわけでもなく、見た目にも数字の面でも平凡な結果に終わった。
ハーツクライがそういう結果をもたらした要因のようで、実際は、母がキングマンボ×エルプラドであるから、まだまだ大きなところを目指すには早かったのだろう。
デビュー以来、初めて馬体重は減らなかったが、持ち時計の更新が前走からできていなかった点でも、注目されすぎの嫌いもある。
似た配合のマジックタイムが本格化したのは、ここで人気を裏切ってから実に1年半後の東京マイルであった。

 

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