2017年フローラS レース回顧

JUST競馬予想ブログ

フローラS -回顧-

読了までの目安時間:約 4分

 

京都のマイル戦に続き、こちら東京もベテラン騎手の腕比べとなった。
一連の牝馬重賞はハイレベルとされてきたが、フラワーCがファンディーナ以外は目標がまだずっと先にありそうな面々で、即クラシックへと向かえるようなレベルではなかったのと同じように、派手なレースぶりを買われたホウオウパヒュームが人気を裏切り、距離がどうかと思われたフローレスマジックも、卒なく走ってきた割に、前も捉えきれず最後も刺され…、と少し味気ないレース内容に終始してしまった。

9Rの石和特別(芝1800M)でも、馬群をうまく縫って上がってきた和田竜二騎手だが、最内枠からスムーズな立ち回りで、ゴール前に外に出しただけで、ロスの多いとされる2000Mを完璧に回ってきた技量は、テイエムオペラオーを有馬記念馬にした冷静さに匹敵する、最高レベルのものであった。
スロー見え見えで、自分でレースを作ることへの自信を自らのプライドとしているような騎乗が近年目立つ横山典弘騎手も、タガノアスワドの行き脚を全て計算するような追い回しで、終始レースの主導権を握った。
共に、長距離重賞に実績のある名手ではあるが、どう乗っても限界のありそうな予感のあったフローレスマジックよりは、この距離、この枠、この展開…。
思われているよりずっと、人気馬には死角を多かったというのを理解しているような、実に痛快な技ありの騎乗だった。

勝ったモズカッチャンとよく粘ったヤマカツグレースは、血統馬をあまり多くは扱っていないものの、重賞路線に役者を数々送り込んできた関西の渋めの厩舎の所属馬である点と、最近少しだけ日本の競馬に馴染んできたところのあるハービンジャーの産駒というところが同じだった。
これまで4戦、様々な競馬場を走らせておきながら、殊距離に関しては1800Mに一貫した使われ方をされ【2011】という戦績だったモズカッチャンは、必ずしも高速馬場ではない春の東京開幕週では昔からよく来る「ツボの小さい」キレない牝馬で、サンデーサイレンスも入っていないような馬だから、恐らくは、外枠では用なしだったはず。

ただ、これで良馬場3戦3勝の3連勝だから、何となく、同厩舎のスピード馬・ソルヴェイグのように、底知れぬ能力が下の条件では今一つ発揮されなかったけれども、上のクラスに入ると突然、今まで見せていたモズカッチャンの場合で言うと勝負強さが、見事に引き出されたような競馬であったように思う。
この手の馬は、格上相手ということも時に芝・ダートの垣根すら関係ないことがある。
歴代の優勝馬であるニシノハナグルマやヤマトマリオンなどは、その後にダートで思わぬ快走を見せたことがあった。
芝向きの配合でも、違うものが求められるケースがまま見られるのは、この時期の牝馬には苦しい競馬を強いられる条件も、一つの要因になっているのだろう。
何となく、1年後は交流競走を走っていそうな予感がする。
和田騎手もダートは得意だったりするし…。

ホウオウパヒュームは、筆者推奨のビルズトレジャーに終始ふたをされる中団のポジションからの追走で、伸び伸び走らせてあげられなかったのも敗因なのだが、上がりの脚も特別抜けていたわけでもなく、見た目にも数字の面でも平凡な結果に終わった。
ハーツクライがそういう結果をもたらした要因のようで、実際は、母がキングマンボ×エルプラドであるから、まだまだ大きなところを目指すには早かったのだろう。
デビュー以来、初めて馬体重は減らなかったが、持ち時計の更新が前走からできていなかった点でも、注目されすぎの嫌いもある。
似た配合のマジックタイムが本格化したのは、ここで人気を裏切ってから実に1年半後の東京マイルであった。

 

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皐月賞 -回顧-

読了までの目安時間:約 5分

 

昨年の高松宮記念のような馬場状態だった。
前週までは雨に祟られ、かなり内の方が悪くなっていたのに、週中までのレース当日の雨予報が外れたことで、高速決着連発。
結果に及ぼした影響は大きい。

想像以上に速かったアダムバローズは、先週大金星を上げた池添騎手のお手馬。
ここまで逃げを封印してきたトラストらが、ファンディーナの走りやすいリズムを見事に崩し、それらを追いかけたクリンチャーが、己の能力を振り絞って、先行勢で唯一粘り込み、4着だった。

しかし、ディープ産駒が沢山出てくるレースのこと。
途中、賭けのイン追撃を敢行しできることはすべてやった福永騎手のカデナには、少し線の細いところのある馬に辛い展開で、出番を回ってこなかった。
好スタートから早めの位置取りも可能だったスワーヴリチャードも、ハーツクライで器用ではないから、流れを見て、恐らく計画通りの外差しも、キレが足らずに伸びきれず。
双方、内枠は良くないタイプだが、これがダービーだったら結果も違っていたかもしれない組。
また内枠なら、策は変えてくるはずだ。

忘れてはいけない。
このレースは池江厩舎のシンザン記念組の競馬。
水準程度のメンバー集まり、滅多に降らない雨が大量に降った影響で、キョウヘイの一撃をまともに食らったのはペルシアンナイトの方だった。
道悪に苦しみ、最後はインをついたことを後悔するほどの脚の上がり方で、3着だった。
苦しい経験をすれば、それより更に専門家が増え、質のばらつきのあるアーリントンCは、どうってことのないレース。

そのシンザン記念の結果を、最も悲劇的に捉えていたのが、当時2戦2勝でクラシックに向けいい叩き台にしたかったはずのアルアインだった。
重で負かしたはずのキョウヘイに、今度は重で負けたのは、内回りコースとの合流点のちょっと先で進路をカットされ、立て直すので精一杯となったのが最大の理由。
インからまずまずいい手応えで上がっていったが、こういう時に不利を受けたら、もうお手上げである。

毎日杯で新境地の好位付けから、当面のライバルになるだろうサトノアーサーの賞金加算の邪魔はしないように、しかし、中身も求めた松山弘平騎手は、案外粘っこいアルアインに、思っていた以上の底力を実感していたのだろう。
混戦ながら、前走重賞勝ち馬ながら、全く人気にならなかった。
目標も分かりやすいレース。
内に入ってもがくファンディーナの精神的消耗と比べれば、そこでじっとしていた勝ち馬はシメシメであったはずだ。

最後の叩き合いは、ディープとハービンジャーのキレと、実は底力の差であろう。
血統面でも底力の根拠は、ドイツ由来の名牝系出身のディープの方が一枚上。
昨年も、南米牝系の有力馬を、底力のアイルランド血統を祖母に持つディーマジェスティが圧倒している。
時計が速くなれば、1800をこなせるくらいのスピードがないと苦しい。
1分59秒を切った年の勝ち馬には、決まって1600、1800どちらかで快勝した記録がある。ダイワメジャーは例外だが、その後の戦績は言わずもがなだ。

そういう意味では、ファンディーナの経験値の不足は、この乱戦では残念な結果も致し方なし。
ウオッカが果敢に宝塚記念に挑んだ時は雨のハイペース。
急坂コースで牝馬が過度に人気を集めると、男馬を育ててきた男たちの目の色が変わる。
すんなりの時計勝負ならもっと違った競馬だったろうが、自分でペースを作る経験も少ない。
外に張っては、1000M59秒の展開で残れる可能性はなかった。
自分のペースで59.5秒を作れることを、ここまでのレース過程で見ることができれば、結局、人気の牡馬勢は負けているのだから、皆の夢は叶ったはずだ。

人気馬総崩れの高速決着との年のダービーは、上位争いできなかった組か別流組から。
レイデオロの馬群強襲の5着には期待は持てるし、サトノアレスも上がりはメンバー中唯一の33秒台の脚。
横一線にまた戻った皐月賞後、一気の成長を望めそうなのは、念願のダービー獲りを目論む藤沢軍団かもしれない。
流れが同じでも遅くなっても、東京であればもっと自分らしく走ることができる。

 

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アンタレスS -回顧-

読了までの目安時間:約 3分

 

今週のミルコは、速く出し過ぎて先行して失敗するほど、スタートからやる気満々の騎乗が続いていた。
良馬場とはいえ、週に2度は雨が降るような天候がずっと続いているので、3歳500万の同じ距離で1:51.2という快時計が出るような馬場状態。

先行馬が数多くいる組み合わせでも、結果として1000Mは1分1秒程度の軽いレース展開になって、競馬が上手なモルトベーネを好位のインに誘った時点で、ほぼ勝負あり。
筆者の期待した追い込み連中は、スパートのタイミングを逸して、直線は伸びあぐねた。

ロングスパートの利かないロワジャルダンや57のレースを1度経験した中でのロンドンタウンのスムーズな競馬で、途中まではいいところを見せていたが、ゴール前では1頭だけ伸びていたモルトベーネの末脚が光った。
世代レベルは歴代屈指の4歳は、強い5歳世代と芝もダートも伍して戦っている状況はここも同じ。
当時4歳のアポロケンタッキーが6歳世代の強豪を封じた後は、中央、地方問わずにそのどちらかに凱歌が上がっている。

東海Sで突如としてオープン好走と果たした5歳モルトベーネは、器用な脚を使う競馬に向くのだろうが、道悪に良績が集中しているように、名古屋の良馬場で見せ場なく人気を裏切った前走とは、まるでそのレース内容が違った。
トータルの時計が遅ければ、人気の4歳グレンツェントでも勝負になっただろうが、前述の通り、アウォーディーが良馬場快勝の昨年よりペースは遅かったのに、同じ1:49.9だったので、適性も勝ち馬に味方した。

だからこそ、大井では雨が降って欲しいところ。
パワーアップしたところで、本質までは変わらない。
中央ダートでのコンビで3戦全勝なので、ミルコの気分も雨でしょげてしまわなければ、伏兵の快走もあるだろう。
あとオジュウ&石神コンビ。もうルドルフ&岡部レベルの信頼関係で、怪我しない限りは負けそうもない。

 

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桜花賞 -回顧-

読了までの目安時間:約 6分

 

4角の手応えは、レーヌミノルとソウルスターリングでは、その差は40倍超の馬と1.5倍の大本命とで、そっくり入れ替わったように思えた。

加えて、思われたよりは馬場が回復し、誰でも走れるような1分34秒中盤の決着になった。
ここはソウルスターリングであろうと誰だろうと、勝った馬を褒めるべきレースだと思っていたから、前走の馬以外に対する失礼千万な批評への謝罪の意味を込めて、大絶賛したい。
レーヌミノルは3歳のチャンピオンマイラーである。

前走にテーマがあまり見えなかったレースぶりと直線の粗相は、ここまでのレーヌミノルの実績を考えると、その参戦そのものが全くの無意味にも思えたのだが、こうして桜花賞を見ると、道悪のハードな展開でベストポジションからの抜け出しという形になれば、突出したスピードで、単純な総合力勝負にならない時にこそ出番があったということだろう。
さすがに、良馬場で1:34.5という平凡な勝ち時計に収まるようなチープなリーグ戦の組み合わせではない。

そういうことになると、もはや、これ以上ないローテーションで挑んだソウルスターリングは、その敗因は馬場がまず最初に挙がるのだ。
キレ味勝負は歓迎ではないが、まだ経験のなかった道悪での戦いに、ここまでタフな展開を自ら作ってきたことが、この大舞台でリズムを崩す要因にもなったのか。

アドマイヤミヤビと奇しくも並んでのパドックの歩く姿には、まだどことなく幼さを残すラインに母父クロフネの姿を思い浮かべたが、もうGⅠ馬であるソウルにはその隙はなかった。
気性に隙があるならば、奇しくも、こちらもフランケルで華奢なイメージから道悪は不得手そうに見えたミスエルテや勝負の差し切り策を理想のポジションから繰り出して惜しくも敗れたリスグラシューらの方が、遥かに不安定さを秘めていたのである。

強引な論法かもしれないが、かつてまるで用なしの評価を受けていたドイツのランドが、ジャパンCで猛然と追い込んで快勝したことがあった。
近年は凱旋門賞の常連となりつつあるドイツ由来の血統だが、意外なほど、血統に見合わず鋭さを持っていることで、鈍重なノーザンダンサー系を負かしているケースが多い。
シロッコは別として、その複合体たるソウルスターリングは、あまりにも進化してしまって、他と同列の戦いを強いられた時に、案外の脆さを露見したように感じる。

自分はもっと走れるのに…。
生涯初めて弾けなかったのが桜花賞だった。
関東馬のみならず、1番人気が信じられないほど飛んできた近年の傾向は、本来道悪は無敗馬には優しいはずの旧コースの歴史をも覆してしまった。
思うのだが、阪神牝馬Sのような馬場状態であった方が、もしかししたら、ミッキークイーンともいい勝負ができたような気がしてならない。

稍重の競馬は、前日のニュージーランドTや2週前のドバイターフでも、難しい結果をもたらす可能性があると、皆よく知っていたはずなのだが、サクラの女神は咲き時を遅らせるだけではなく、スター誕生の最大の障壁になってしまった。
これでは、来週の皐月賞の方が簡単なのではないのか。
そう思ってしまうほど、意外すぎる展開にびっくりさせられたファンたちであった。

配合の狙いがハーツクライとダイワメジャーの違いこそあれど、レーヌミノルは母父タイキシャトルということで、ちょっと時計の掛かった時に台頭するワンアンドオンリーと同じようなキャラクターである気がする。
皆が望む方向とは、少し違う結果が出た時に出番をモノにする伏兵ということか。

体は華奢でも、ハーツクライ×アメリカンポスト<ベーリング産駒>×ミラーズメイト<ミルリーフ産駒>という、小さくても力持ち血統に愛されたリスグラシューも、正直、最高の内容であったように思うのだが、今のユタカ騎手で差し切れないのであれば、納得せざるを得ない。
同じ厩舎にはリアルスティールという素晴らしい馬がいるが、そのことをここで記すのは良くないか…。
オークスでは頑張ってもらいたい。

カラクレナイ、アエロリットは、多くのファンがそうであったように、田辺、横典騎手もライバルが誰であるかを考えて乗った結果だから、これも良しとするしかない。
策があるようでないのがカラクレナイで、アエロリットは落ち着いていたら下げての一発を考えていてそれを実行したが、GⅠ経験組の強さが半端ではなかった。

アドマイヤミヤビも道悪だろうが…。
ダートではよかったが、過剰人気を加味しても、前日のクイーンズリングの件もあり、芝では1勝のみだから、ミルコの気持ちが今一つだったということもあるだろう。
大阪杯は万全を尽くして、最後は馬が音を上げてしまったが、今週は本人が花散らしの雨に影響されてしまったようなリズムであった。
筆者は土曜日から諦めていた。

 

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ニュージーランドT -回顧-

読了までの目安時間:約 3分

 

結果的には、中山マイルらしい内を卒なく回ってきた好位より前につけた組の上位独占。
とりわけ、重馬場巧者たる欧州のベテラン・シュタルケ騎手の勝負勘は、この日の中山では傑出していた。

ディープ産駒の人気馬を、絶妙の仕掛けで勝ち切らせた2勝の内容は、是非とも、若手の参考教材にしてもらいところだ。
このレースは、父ジョーカプチーノが勝ったファルコンSで、重賞3戦目にしてやっとこの路線で戦える目途の立ったジョーストリクトリを、スペースの空いた内で折り合わせ、馬場を意識し過ぎて外に張っていた先行有力馬の内を最後はついて、鮮やかに重賞馬にさせてみせた。

ジョーストリクトリは母父キングヘイローで、母系にはアメリカンなパワフル系の種牡馬が居並んでいるというのも味方した。
シュタルケ騎手のような、自分でペースを作るというよりは、相手に合わせて走らせるタイプにとって、直前の阪神でまたしてもやってしまった動きたがるデムーロ騎手の出番ではないシーンでは、強かな戦術が勝機を呼び込むということをよく理解しているのだ。

さて、問題はこちら。
正直言って、これをNHKマイルCにどう関連付けたらいいのか、何もヒントが得られなかったという印象しかない。
混戦の年はそのペースに拘わらず、中山-東京という全く繋がりのないコース同士で、互換性を見出す要素がないことも多く、上位組全切りでもいいのだが、ファルコンSともそこまでコネは強くないここで、連続して好走したメイソンジュニアやボンセルヴィーソは、意外と平均ペースで前に行ければ、結構渋とく粘り込める可能性はある…、ということしか見えたような、そうでもないようなといった具合。

差し馬勢の殆んどに重賞好走歴がない以上、2、3着馬の分析をしっかりするしか、今のところは手を付ける事柄は見つからない。
GⅠ級は果たして現れるのだろうか。

 

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大阪杯 -回顧-

読了までの目安時間:約 4分

 

サトノクラウンがいい位置につけていたので、これが負かしに行くと思ったのだが…。

勝負所で後ろを見る武豊というのは、あまり見たことがない。
マルターズアポジーの行きっぷりはよかった。
でも、リードホースの逃げ方というよりは、存外、後ろがややけん制し合う流れになったから、これは楽過ぎるよなあ、とユタカ騎手は感じたのだろう。
近くには、昨年キタサンブラックを一頭マークしに行った横山騎手のサクラアンプルールがいたくらいで、ペースは厳しくなかった。

バランスラップのレコードがよく出るパターンに近い。
ただ、楽過ぎるのがよくないというより、ここまで激走を続けてきた精神的な消耗もあったのか、マルターズアポジーの方が先に音を上げてしまった。
差し馬も簡単には届かないだろうし、前も勝手に消えてくれたし…。
こんなに楽でいいのか。
本音はきっとそうだったはずだ。

2000MGⅠをこんなに楽な手応えで上がってきて、名うての中距離馬であるステファノスやヤマカツエースを封じる。
自分で思っている以上に、あまりにスムーズな展開に見せてしまうのは、流石はジャパンC逃げ切りの名馬である。
武豊騎手、これで中央GⅠ22レース目の勝利。引退はまだ遠い先となる。
だって、またJRAはGⅠを作るかもしれないし。

内枠スタートから終始、キタサンブラックをピタリとマークしたステファノスは、惜しいといえば惜しいし、結局いつもポジションに収まってしまった。
いくらか軽い流れを好むヤマカツエースと共に、自分の仕事をしたのは間違いないが、理想の展開が望外だったことと、やはり、キタサンブラックが強すぎたというのも、好走の要因であり、敗因にもなってしまった。
最後は、決め手の差でも劣っていた。

サトノクラウンは精一杯の4着争いというゴールシーンが、ちょっと残念。
1:58.9の勝ちタイムは、やや修正は必要でも、自身が皐月賞で出遅れ、追い込んだ6着時の走破時計と同じ。
0.1秒差で皐月賞3着のキタサンブラックに、この日はもう少し離されてしまった。
堀調教師の思う以上の仕上がりは、-12kgという馬体重の変動以上に感じたしなやかな走りをするのに向くパドックで見せたフォルムからも納得できるものがあったが、肝心の適性を超えたところで戦う底力の部分に、まだ課題を残した格好だ。
正直、ステファノスにもついていけなかったのは、結構辛い。

本質は軽い馬という血統のイメージ以上に、スムーズに走れる条件が狭いという傾向は、多種多様な条件に適応せねばならない日本のチャンピオンロードでは輝けないということとイコールである。

マカヒキの出来は平行線で、2000Mなら、もっと前崩れになってくれないと、本質的なスピードが引き出されないタイプでもある。
シャンティイの2400Mよりは遥かにフィットした条件ではあるが、2000MGⅠで力勝負をできる馬ではない。

5着アンビシャスも同じで、この結果は案外、キタサンブラックだけが強い競馬をしたときは、あるあるの結末であったように感じる。

マルターズアポジーには、その穴をついてもらいたかったのだが…。
流石に完調までは仕上げていないキタサンブラックに対し、よく言われる「刺客はフレッシュな組から」の格言に倣えば、彼のパワフルな競馬を支える条件は、ノーマークであるかではなく、自分が走りたいと思う気持ちの方が重要で、パドックではそこまでのやる気は感じられなかったので、ちょっと諦めムード。

差し馬ならば、首を前に伸ばしてリラックスするようにする仕草はむしろ歓迎なのだが、逃げ馬のそれは、ややのんびりムードが過ぎるという危険性があった。
逃げっぷりは良かったのだが、その中身が少し平凡すぎた。

 

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ダービー卿チャレンジT -回顧-

読了までの目安時間:約 2分

 

最後は外の方がいいと傾向は、明けの中山開催でもあったが、この日は春先の気候でない上に渋った馬場状態。
Bコース替わりで内目が残るという展開が、あまり想定されていなかったことで、スローペースなのに、みんな外を目指して直線は3分どころより更に外を回る馬も出てきた。

結局、キャンベルジュニアはいい位置を取りながら、外に振った分前を捉えきれず、馬場はいいところだったかもしれないが、何故か大外を回ってきたマイネルアウラートも、わずかの差ではあったが、本来の粘り腰を活かせる叩き合いに持ち込むところまでが行かず…。

これ以上外を回ってしまっては…、という戸崎騎手の判断は間違ってはいなかったように思うが、真っ直ぐ走らせてあげないといい決め手を発揮できないグランシルクは、見た目にはイン強襲の進路選択も、ステイゴールドらしい根性のある馬ではないので、流れに合わせて何とか連を外さないようにと踏ん張ったキャンベルジュニアは捉えきれなかった。

元々大柄な馬で、変則開催の9月の新潟で32.2秒というとてつもない末脚を記録したこともあるロジチャリスが、内田騎手の言うところの「ダイワメジャーなので」というキャラそのままに、これまで結果を残していた先行抜け出し策で、初重賞制覇を果たした。
母父ロックオブジブラルタルで、マイルではこの上ない配合でありながら、日本では時計を求められる競馬になることで、晩成でも何ら違和感の血統の影響もあり、こうして1:34.7という高速ではない勝ち時計の決着も味方したのだろう。

しかしここにきて、15年ラジオNIKKEI賞組がやけに元気なのは、ちょっと痛快である。
グランシルクの芸風に1ミリも変化が見られないのに対し、先行力で勝負できるオープン馬になった3頭には、まだこの先の重賞路線での活躍に期待が持てる結果が続いているのは、何とも頼もしい。

 

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高松宮記念 -回顧-

読了までの目安時間:約 5分

 

前夜のヴィブロスの末脚にも驚かされたが、有力GⅠ馬が策を講じてインをついてきたにもかかわらず、筆者推奨のセイウンコウセイは、終始理想的なポジションから、シュウジらきたくて仕方のなかったグループを見やりながら、最後は外に出す余裕。
GⅠ馬が穴馬のように見えるくらい、全く危なげのないレースぶりで完勝してしまった。

アロゲートの有り得ない勝ちっぷりを目撃してしまったから、今日もとんでもないことが起きそうな予感はあったが、誰も想像をしていなかったセイウンコウセイの完勝に、競馬はやってみないとわからないものだなと、改めて考えさせられた。
推挙理由を安定したレースぶりとしたが、変な話、勝ち方とすれば、前述のアロゲートであり、昨秋の天皇賞を楽勝したモーリスの類のレースぶりなので、道悪適性、周到なローテーション等々、後から挙げれば勝因という諸々の要素は全く関係ない。

ティーハーフが内から伸びて4着するくらいなので、上位入線馬の馬番を見るまでもなく、最後は内を突くしかなかったのである。
外から内に併せていったセイウンコウセイに、それは当てはまらないわけだから、レッツゴードンキも自分の能力は出し切ったし、歩様も固く、9割まではまだ仕上がっていないレッドファルクスも、得意コースで善戦したというレースなので、勝ち馬に相手にされなかったというのが事実であろう。

中山を使うなら多少は揉まれる経験をしていれば、メラグラーナも違ったのだろうが、昨夏の福島同様、セイウンコウセイに今回も完敗。
パドックの歩き方からして、あの京阪杯の馬場で見せ場なしでは、この結果は走る前から見えていた。
南半球産ということでいえば、今回は行きっぷりが良すぎて終いアラアラのシュウジの父・キンシャサノキセキと同じで、想像よりお遥かに完成が遅いケースは、ごく普通のことでもあるし、馬体増に怪しい雰囲気は感じなかった。
まだキャリアが浅く、外差しが信条の馬にこの特殊な馬場はこなせなかったというだけのことだ。

それにしても、競馬は面白い。
基本のスピード能力が違えば、スタート直後の挟まれる不利で終始バタバタのレースになっても不思議ではなかったアロゲートのように、何でもできてしまうのだ。
この日のセイウンコウセイにも、想像を超える進化を今後も期待したい。

タイキフォーチュンやクラリティスカイが近親にいる、大種牡馬・ゴーンウエストが代表馬となるアメリカの名牝系の出身で、南半球で熟成されるにつれ、スピード能力を凝縮させて、それが古馬GⅠにステータスを求めたアジア圏やオーストラリアで力を見せる流れに、何となくこのセイウンコウセイは乗れた気がする。
JCやドバイの当時デューティフリーなどを制したチャンピオンホースである父アドマイヤムーンが、その気性の影響で、ほとんどその父のエンドスウィープが本質的に得意とするスピードレースで強さを見せる能力に特化した馬を、時折出すことはもう周知の通り。

キングカメハメハだって、怪物級にまでのし上がったロードカナロアを、世界レベルの良血・ドゥラメンテに先んじて輩出している。
ドゥラメンテだって、アドマイヤムーンのような性質を十二分に秘めているのである。
母父サンデーサイレンスも共通している。

ハクサンムーンがロードカナロアを負かしたセントウルSで感じたのは、一定のボーダーラインに縛られるのがフォーティナイナーで、それを乗り越えられるのがキングマンボだと感じた。
本番のスプリンターズSでは、たちまち立場逆転である。
総合的なスピード能力では、きっとビッグアーサーや南半球血統のメラグラーナにも劣るかもしれないセイウンコウセイは、今後、時計の壁をどれだけ切り崩していけるかが、最大の課題となった。

でも、そうでない条件であれば、今は6歳のビッグアーサーより前途洋々なのである。
このレースは、セイウンコウセイのポテンシャルの高さを、ほんの一部分チラ見せしただけのような気がしてならない。

 

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日経賞 -回顧-

読了までの目安時間:約 3分

 

GⅠ馬ではなく、密かに若手の非重賞勝ち馬に狙いを絞っていた人にとっては、当たり外れに関係なく、気分は悪くない結果となった。
阪神大賞典の上位2頭は抜きとすれば、有力候補である。

田辺騎手がうまく決め手を引き出して、厳しい流れに合った中団からの末脚比べで大物感を示したシャケトラには、小さなことを気にしない大物になってもらいたい。
伸びあぐねるGⅠ馬相手に、かつてテイエムオペラオーを一刀両断にした父マンハッタンカフェの末脚を想起させるような、我々にワクワク感を与える豪快な差し切りは、正直驚いた。
ただ、折角の天皇賞の前哨戦で、長距離型として大事に育ててきたのである。
-6kgの勝負の仕上げは、何とかもぎとった出走権ではあったが、まだ伸びしろを感じさせる末脚のようにも映った。

前走は速い流れ、距離適性は問題なしでも、相手がタフすぎたミライヘノツバサの充実ぶりも、この前以上に目を惹いた。
ヤマカツライデンを突けば自分もつらくなるが、それで最も被害を受けたのはゴールドアクターだ。
マイペースで仕掛け、うまく相手を競り負かすのがスタンスである本命馬は、決死の強気のスパートを追いかけざるを得なくなり、伸びあぐねた。

レインボーラインはこの距離で力比べの流れでは、どう乗っても人任せの競馬になってしまう。
GⅠ馬は負かしたので、これは次も展望できる。
一方、馬が軽くなってしまったように正攻法で、得意の条件でもパワー負けのゴールドアクターは、距離が魅力でという理由の春天参戦は、あまりお勧めできない。
ここでガッツの差で負けることは、作戦変更以外で上位入線は難しい。また、それができるタイプでもない。

ディーマジェスティに関しては、もう2つ季節を跨いでからの方が、皐月賞の疲れは抜けるはずで、時間を与えるより他ないか。
スタートで安めを打ったのは事実だが、皐月賞よりはハードな展開でも相手でもなかった。

 

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阪神大賞典 -回顧-

読了までの目安時間:約 2分

 

ウインスペクトルの正面スタンド前からの逃げは、相手がオープン馬ということもあって、単純にいきなり先頭に立てるほど甘くはなかったという結果。
おかげで、スローになってからのスムーズな先行策は、自力がまるで違うツートップからすると、これほど楽なことはなかったという、予定調和の流れに繋がっていった。

パドックから上々の気配であったサトノダイヤモンドにとって、ステイヤーが目の前にいる展開というのは、ほとんど勝ちをプレゼントしてもらったに等しい状況であった。
結果的にではなく、ウインスペクトルの刻んだハイラップの副産物が、何故だか、心地よい気候になった今週辺りから芝の生育が促進されたのか、時計が一気に平均的に速くなることに起因する高速決着を誘った格好だ。

前半の流れは、勝ったダイヤモンドが後々に、ヨーロッパ流のレース展開に対応するためには重要なシーンでもあった。
やや行きたがった。
だから、少し前と詰めた。
その時先に動いたのが、武豊だった。
穴馬ではないが、正しい目標を目指しての進出は、たとえ、自分がマークされる側になっても、力を出し切れない結果をもたらさない副因となる。
快時計を出したことよりも、ずっと勝ちのある経験だった。

とりあえずGⅠを獲りたいシュヴァルグラン。
死角であった持ち時計をここで大きく更新。
そうなったら、後ろのディープに敵うわけない。
トーセンバジルに2馬身半、という結果は明らかな力量差。
GⅠ馬に今負けることは、大きな問題ではない。
キレの再確認はできなかったが、今年こそ、ロングスパートを本番では決めたい。
やはり、時計勝負は得意ではないだろう。

人気馬がただそれに応えただけではあるが、それぞれに秘めた死角は、昨年より多く打ち消すことに成功したように思う。

 

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