しらさぎステークス2025 予想 - レース展開と最終予想
チェルヴィニア推しに転じた理由は、強いからに他ならないのだが、能書きをもうひとつ、これもついでに、という感じで付け加えておきたい。
ハービンジャーという種牡馬は、自身がアスコット最大のイヴェントであるロイヤルアスコット<今年は今週の開催>でハードウィックSを制し、1か月後のキングジョージでは、主戦ムーアがダービー・英を制したワークフォースに乗る関係で、同じマイケル・スタウト厩舎であるこちらにオリビエ・ぺリアを配した時、2着に11馬身差をつける、ほとんどベルモントSのセクレタリアト<31馬身差の伝説的大勝、調べ直して初めて知ったのだが、ダートではクラシック前にも3敗していたのに、キャリア最後の方で、使うところもなくなって芝を2戦して、いずれも勝利という、芝無敗で北米三冠を成した化け物、大井の怪物・無敗の皐月賞馬のハイセイコーとは同じ歳>のような大レコード勝ちで、これが唯一最大の、一発屋による大仕事だったからこそ、高速馬場の日本では、トレンドのサンデー系との相性も踏まえ、三顧の礼で迎え入れられたのである。
ちなみに、キングジョージで2着だったケープブランコと1番人気も古馬に圧倒されて5着とした後の凱旋門賞馬でもあるワークフォースは、日本のファンにもお馴染み。
何しろ、種牡馬として彼らも日本に連れてこられたのだ。
しかし、成功したのはハービンジャーだけである。
一方、チェルヴィニアという馬は悲劇のヒロインになりかけていた季節もある。
あの桜花賞直前に起きた、ルメール騎手の大骨折事象<凄惨な落馬事故からの早期復帰に藤岡康太騎手とその家族を思いやったオークスの優勝騎手インタビューが、密接に関わることを皆が理解する。そうした人間性のせいで、フランスではトップオブトップに上り詰められなかったとも思われるのは心外だろうが…>により、主戦を欠く事態に見舞われたものの、その不運に関しては、阪神ジュベナイルフィリーズ回避の段階で、悪循環であったことは間違いない。
奇しくもその年に落馬事故に見舞われるムルザバエフ騎手とは、正直、手が合わなかった印象もある。
その上で、直線の大きな不利…。
だから、アルテミスSは力勝ちしたのに、マイルでは一度も、適性の証明ができていないのである。
少なくとも、
同父の2歳女王である一つ下のアルマヴェローチェと、
同格かそれ以上のマイルへの親和性があることは、
血統背景からも明らか。
クラシックに縁のなかった外国産馬だったシンコウラブリイに、その半妹で、テイエムオーシャンがいた年<桜花賞、秋華賞二冠>に、オークスで見せ場を作れず7着<トライアル組のレディパステル、ローズバドなど、その後に仔や孫が活躍する名牝が、前進気勢旺盛なテイエムオーシャンを呑み込んだ>だったハッピーパスが祖母。
母もシンハライトに敗れて、実質、そこで終わったオークスとしたチェッキーノは、復帰後の2戦はマイルに拘った。
大きな成果を上げながら、チェルヴィニアには不運が続いたが、それもこれも、ある種の勝ち運。
高速の1600で、命かながら、うまいこと勝ち切って、尚も成長力まで旺盛とはなりえない。
また、そうしたタイプではない総合力勝負のチェルヴィニアは、今後はまだ見えないものの、少なくとも、ドバイシーマクラシックで同期のダービー馬・ダノンデサイルに完敗であった以上、軌道修正を図らねばならなくなったが、ベリーベリーホース<戸崎圭太は自厩舎のカピリナにもこう激賞していたが…>の未来は誰にもわからない。
いずれにせよ、競走生活を続けるにあたって、ストレスの解放と戦績の瑕を最小限に留めたいという陣営の思惑<木村調教師というよりもサンデーレーシングの方だろう、ここぞとばかりにルメールの悪口を表に漏らしたら、賢明な多くのファンが黙ってはいない>は、栄えある第1回のしらさぎSでの優勝馬に名を刻むという落としどころだったのであろう。
馬のせいではもちろんないが、ルメール騎手の腕に頼って、折り合わせることが総じて難しいシンコウラブリイ一族に、無理をさせてきた負い目があることも窺わせる今回の参戦は、同期負け組筆頭だったメイショウタバルとショウナンラプンタの宝塚記念激走についで、熱いニュースになってくれること、ここでは信じておきたい。
同じようにマイル戦では、不運に見舞われているタガノエルピーダが、東のメインに使ってくる。
本当は入れ替わりでもおかしくないが、間違いなく、ハンデ戦に戻った府中牝馬Sでのチェルヴィニアは、59以上を背負わされている。
古牡馬の基本斤量と呼べる57は、クラシックホースと言えでも、かなり厳しい斤量であるが、力は二枚以上は上と考える。