血統予想・コラム

JUST競馬予想ブログ

2019年 ラジオNIKKEI賞 レース回顧

読了までの目安時間:約 4分

 

ヴィクトワールピサはヴィクトワールピサでも、一番人気のあったブレイキングドーンだった。

最後は外。

ペースに関係なく、力勝負に対応できる馬しか上位に顔を出せない競馬になっていた福島の午後の競馬だと、好位抜け出しの福島実績最上位のマイネルサーパスの競馬以外、策がハマるようなことはなかった。

田辺騎手らしい豪快な競馬であり、ブレイキングドーンの魅力は、父の時以上にタフな馬場状態となっていた今年の弥生賞で最後に突っ込んできた実績であった。

後から考えたら、それで55である。

カリスマ性のある策士が跨るゴータイミングやアドマイヤスコールは、あくまでも伏兵の競馬に徹しての掲示板。

今回も粘ったトーセンホマレボシ産駒でアドマイヤムーンを近親に持つダディーズマインドと、2着のマイネルサーパス以外は、上手に運べたかどうか以前に、この日のラジオNIKKEI賞にベストの状態に持っていけなかった感じだろうか。

ヒシイグアスは少しナーバスになっている感じで、ひと際目立った雄大に見せる馬体をどうにもコントロールできる状態にはなかった。

掲示板外にも、人気上位グループのブレイブメジャーなどは健闘していたが、これもマイルで勝ち上がってきた母シーイズトウショウのスピード型。

前走で1:32.9というハイレベルな時計勝負に対応してしまった能力が、今回は敗因になってしまった。

そういうことで言えば、ブレイキングドーンには有利な条件ばかりが揃っていたことになる。

京都2歳Sはぎっちりクラージュゲリエとの叩き合いを演じており、ホープフルSは適鞍のように思えたが、相手関係と同時に、末脚比べに苦手要素のある大きな馬だから、器用にエンジンをかけられずに競り負けてしまった。

どうやったってバラける道悪のコーナー4つの競馬。

ホープフルで本命にした経緯がある筆者でなくても、母系はアグネスレディーから発展したクラシック血統の正統派たるイコマエイカン系であることは既知の魅力。

加えて、ホワイトマズルにエルコンドルパサー、その奥にはトニービンであり、不良の桜花賞勝ちのアグネスフローラとの掛け合わせが3代母の構成。

一族最大の功労馬にして、早逝の天才としてカリスマ的存在へと昇華したアグネスタキオンも、2000Mを歴史的ハイスピード勝ちながら、不良馬場の弥生賞が一番強かったという印象も残している。

ちょうどいいタイミングで、雨が降って勝機が訪れた。

テン乗りでも福島の田辺。

ブレイキングドーンの未来は、この勝利で前途洋々というわけではないかもしれないが、何かを持っている馬として、長く活躍してくれるかもしれない。

そういう縁がなかったのは、唯一、出走馬確定後の乗り替わりとなったウインゼノビアだったか。

序盤の行きっぷりそのものは悪くなかったが、強気に攻めるほどの根拠が、津村騎手には見つけられなかったか。

多頭数戦は得てして、損得がはっきり出ることが多い。

 

レース回顧

2019年 ラジオNIKKEI賞 予想 軽い馬場を好みそうな馬以外を推す

読了までの目安時間:約 5分

 

例年よりはクラシック参戦組が多いようで、注目はスプリングSで負けて、本番に出てこなかった関東の名門厩舎の2頭と、少々組み立てが難しい組み合わせではある。

加えて、当日に雨がどれほど降るか、東北地方に前線が停滞したところで、レースをやっている時間は降らないと、それはそれで馬場は回復してしまって、見極めそのものが難しい側面も伴う。

雨は一定程度影響を及ぼすという前提で、軽い馬場を好みそうな馬以外を推していきたい。

牝馬で53、2勝目の格がオープンと旧500万条件ということでゴータイミングら男馬の2勝クラスと同斤はマイナス要素も、スクリーンヒーロー産駒で昨夏2勝の実績は侮れないと見て、一気の距離短縮でウインゼノビアの本領発揮とここでは考える。

当面のライバルがヒシイグアス以外は55超えの牡馬である点からも、ハンディキャップ競走への参戦の魅力に乏しい馬なのは間違いないが、陣営の狙いのどこかに、確実に湿っていそうな福島、という決断の背景があるような気がする。

筆者はそういうところが狙い目と、阪神のマーメイドSではサラスを狙って、それなりにいい思いをさせてもらったわけだが、同日、東のエプソムCでもほぼレースを牛耳ったのが牝馬のサラキアだった。

牝馬は夏に強いなどということは、データ上はあるのかもしれないが、強い牡馬が夏にあまり出てこないから、貧弱な牡馬が人気に応えきれないというだけのことだろう。

エプソムCなどは、そういうところもあった。本質的には、レベルこそ違えど、宝塚記念で人気に推された牡馬軍団がクラシック無冠のリスグラシューに完全制圧されてしまったのも、そういう影響があるか。

抜けて強いと思える条件でない限り、伏兵にまたは、同格の違う性別だとかローテの馬にねじ伏せられてしまう可能性があるというわけだ。

リスグラシューは断じて弱い馬ではないが、宝塚記念の条件が全て、彼女に味方したのは間違いない。

その上で、ダミアン君の腕もあった。

今回の期待は、松若騎手や丸山騎手のハマった騎乗を期待するのではなく、松岡正海という実績のある騎手の的確な判断に注ぎたいところ。

ウインゼノビアに乗っている彼は、積極性を発揮するわけでも、極端に差す形に出るわけでもない一方、勝負所ではしっかりと押し上げてこうという狙いがある。

しかし、まだ実力をみんな出し切れる状況になかった1年前に東京と札幌で2連勝した時は、他馬にはできない自在性のある先行力を引き出そうという狙いがはっきり見えていた。

東京10週連続開催の最終週と札幌の稍重の競馬。

タフな展開でも、極めて時計への大きな進展力のようなものが求められたこの春の東京2戦とは、明らかに求められる力が違う今回。

経験値を備えた人馬が、混戦を制するスキルは十分に持ち合わせている。

加えて、血統図からグラスワンダーの血を除くと、ノーザンテースト2本<その4×3>以外にも、構成要素の重要な面を担うサンデーサイレンスやフレンチデピュティらを組み合わせ、それらをナスルーラやハイペリオン、テディ系多めの父の母系とスワップスとプリンスジョンといった母系に入ると質の底上げに繋がる血がボトムという組み合わせが、ネアルコ同系配合のグラスワンダーのバランスの良い配合と、ある意味で、スクリーンヒーローの成功例を相似形にした狙いある配合で、興味を惹かれる血統図の持ち主でもある。

故郷となる村本牧場は、あのオフサイドトラップの生産牧場。

この馬がハイペリオンが2つ入ってクロスせず、プリンスビオやナスルーラのクロスを発生させているように、その血統の持つ重要なポイントを引き出す組み合わせで、福島から始まるサクセスストーリーを紡いだ歴史に、ここは肖りたい。

母系にホワイトマズルやバステッドが入り、実は快速というより道悪の乱戦向きの可能性を秘めるディキシーナイトを相手の上位に挙げたい。

◎ウインゼノビア

○ディキシーナイト

▲ゴータイミング

注ブレイブメジャー

△ヒシイグアス、ブレイキングドーン、レッドアネモス

 

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レース予想

2019年 CBC賞 予想

読了までの目安時間:約 3分

 

前走、初の1200M戦で理想の競馬を体現したレッドアンシェルで堅そうだ。

今回の56というのは、条件戦では背負うことはなく、昨秋などは58まで背負った実績馬。

3歳時までは主戦の福永騎手が、自ら勝負に出る形に誘ったスプリント戦で満額回答を見せ、継続騎乗。迷いはない。

同時に、重賞は久々でも、中距離まで使われたことによる柔軟性も期待できる。

雨が降ったら、稍重の札幌での新馬戦での圧勝の再現も十分に可能だろう。

血統は素晴らしい。

何より、叔父にナサニエルがいる。

ガリレオ産駒なのだが、キングジョージの渋馬場で重の凱旋門賞を勝っているワークフォースを粉砕しておきながら、対岸のビッグマッチには縁はなく、フランケルやデインドリームらの引き立て役になった、惜しすぎる才能。

ところが極端に凝ったというより、いいモノ同士を単純に掛け合わせてサドラーズウェルズの3×2という破滅的配合を施されて誕生したのが、12Fの制覇者たるあのエネイブルである。

唯一の敗戦は3歳初戦の芝も初めてという条件戦での3着。

2着ラッシュの父や【4244】で条件戦複勝率100%のレッドアンシェルとは、明らかに性格が違う。

黄金ニックスに近いとされるサンデー系とダイレクトにストームキャットが入った配合は、雑な配合にも思えるエネイブルとは一線を画す一方、ヘイルトゥリーズンはしっかりとクロスし、トムロルフが6代目とボトムの5代目に入るレッドアンシェルは、ニアークティックの継続クロスのあるなしの差だけで、サドラーズウェルズのクロス以外には共通項も多い。

難しい配合ではないないから、完成期も正規のものであろう。

これからが楽しみの馬らしく、ここは通過点にしたい。

無論、雨が降れば降るほど、休み明けでもセイウンコウセイの底力は発揮される。

この馬も父アドマイヤムーンの中にトムロルフが入っている。

◎レッドアンシェル

○セイウンコウセイ

▲メイショウケイメイ

注アウィルアウェイ

△アレスバローズ、ビップライブリー

 

レース予想

レコードタイムの意義

読了までの目安時間:約 3分

 

今年、何かしらのレコードタイムの更新があった重賞は、以上のレース。

<タイム/前レコード比(・GⅠのみ記録保持者)>

【GⅠ】

・桜花賞:グランアレグリア

1:32.7/-0.4秒・RR・18アーモンドアイ

・ヴィクトリアマイル:ノームコア

1:30.5

/WR -0.2・12レオアクティブ<京成杯AH>/NRも同じ

/CR -0.8・12ストロングリターン<安田記念>

/RR -1.0・16ストレイトガール

・優駿牝馬:ラヴズオンリーユー

2:22.8/-0.8・RR・12ジェンティルドンナ

・東京優駿:ロジャーバローズ

2:22.6/-0.6・RR・15ドゥラメンテ

【その他重賞】

東京新聞杯<1:31.9/-0.1・RR>

フローラS<1:59.5/RTR>

京王杯スプリングC<1:19.4/-0.1・CR>

目黒記念<2:28.2/-1.3・WR>

安田記念<1:30.9/-0.4・RR/+0.4・WR>

オーシャンS<1:07.1/OP特別時代の記録と-0.2・RR>

フラワーC<1:47.4/RR(阪神)+0.4/中山CRR-1.3>

ダービー卿CT<1:31.7/-0.5・RR>

ファルコンS<1:20.9/-0.2・RR>

備考程度に、

京都牝馬S<1:21.0/過去4回のみも最速/コースレコードと+2.0秒>

*比良山特別:京都2200M

ネプチュナイト<-0.2・WR/NR>

今回のレコードは関東圏に集中している。

天候との関連もあるから、馬場作りのマニュアルを再考すべきだろう。

きっと、芝が伸びすぎるから、こまめに刈っているのだけど、それは雨が降った時にレースをするとちょうどいいぐらいになるはずで…、みたいなことのミスチョイスが、判断の際にあったものと見るが。

馬そのものは、人間の判断でスピードを優先して優劣を決めてきたつけが、アーモンドアイやノームコアなど、スピードベースの中距離型の牝馬が快速決着で躍動。

これも必然だろう。そもそも、牝馬はスピード能力を優先して、牝馬同士では力の出し合いをしているのだ。

今年も牝馬がほぼ確実にレコード決着に顔を出している。

 

コラム

レーンが止まらない

読了までの目安時間:約 2分

 

26日大井競馬場で行われた第42回帝王賞は、3番人気のD.レーン騎手騎乗・オメガパフュームが、直線で外から一気の追い込みを決め、暮れの大井で行われた東京大賞典以来の勝利を挙げると同時に、今回はローカル格のGⅠ<JpnⅠ>となるが、2つ目のビッグタイトルをゲットした。

勝ちタイムは2:04.4。重馬場。

芝の注目されることになったGⅠを2勝。

いずれも牝馬だったこともあり、本来の体に戻して448kgで出走となったオメガパフュームとは、十分に手が合う下地はあったわけだが、淀みない流れをインティではなく、好発を決めた浦和のシュテルングランツが作ったことで、勝負所の争いがかなりタフな展開にはなったものの、途中まで後方待機だったオメガなので、さすがに馬場状態を考えると…。

今のレーン騎手に、そんなくだらない心配事は無用であった。

東京大賞典のメンバー構成より、速い馬が多くなった今回は、同期のチュウワウィザードも強敵。

これがインから渋とく脚を使って格好をつけたが、前走で59という今の日本馬ではまず背負うことのない斤量を、4歳馬の身で経験した強みが、最後は活かされた格好だ。

全く知らない世界に飛び出し、道悪は得意そうだというくらいの情報しかないパートナーの性質を、いきなりの大一番でほぼ全て引き出してしまった天才の登場に、インティやチュウワで堅そうだと思ったファンの虚脱感は、容易に想像がつく。

日曜日だってそうだったか…。

オーストラリアの騎手だけに、いずれ、日本のダービーも勝つのだと、皆が確信した瞬間であった。

インティは直線の反応が悪く、1番人気も6着に終わった。

 

ニュース

古馬王道路線 春総括~アーモンドアイの海外初戦圧勝など

読了までの目安時間:約 3分

 

アーモンドアイの海外初戦圧勝、シャケトラの重賞連勝、ダノンプレミアムの復活。

が、彼らの欠員は、思わぬ展開を生んだ。

前走は雨馬場の休み明けであまり得意とはいえない左回りで、急な乗り替わりのあったアルアイン。

メンバーより強化の大阪杯でも、苦戦はある程度見えていたが、キセキは休み明けで…、には大きな勝機があったのである。

内枠でちょっと揉まれた方がいいけど、トータルの時計がどうではなく、急坂のあるコースらしいタフな展開が望ましい。

4歳世代も万全の出来になく、正攻法の内抜け出し。

何故か外からキセキが迫る展開で、勝負あり。

右回り、少頭数、瞬発力勝負にならず。まるで、ステイゴールドの個性派が得意としそうな条件が、彼には合うのだ。

天皇賞は一点。

フィエールマンの充実とそれとは違うルートで菊戴冠を目指した5着馬・グローリーヴェイズとのマッチレースに、何故持ち込まれてしまったのか、ということ。

シャケトラ急死、逃げ馬がヴォージュ、エタリオウの気分が乗らない…、理由は後からならいくつでも見つかったが、最大のポイントは、そもそも、ドライにここをしっかりと狙っていたか、ということに尽きる。

春の目標を外国に置けなくなった時から、ローテはどうあれ、現状のゴールはここと決めていたフィエールマンの陣営。

グローリーウェイズも、ダービーを使えないとわかってからは、ずっと余裕のローテ。

血統的にはズブくて、長い距離向きだが、前哨戦からそういうところを使って本番でも勝てるようなタフさまではない。

普通が通用しない時ほど、名馬がいるものだ。

宝塚記念に関しては、逆に、目標にしていた馬が多かった半面、想定された以上の馬場の高速化で、瞬発力勝負ではない時計レベルの高い決着がキセキに向きすぎていたところはある。

が、3歳シーズンくらいしか勝てていない馬が、急に勝てる馬になるわけでもない。

その点、最近になって勝てるようになったリスグラシューには、消耗もまだ少なかったか。

ハーツクライは勝てなかったが、5歳時に娘が優勝。

その年の父は、7月のアスコットで3強対決に臨んでいる。

そういう血筋としか、説明はつかないが、納得感はある。

 

コラム

Vピサ産駒のパフェムリ他 新馬回顧<6/22・23>

読了までの目安時間:約 3分

 

雨の土曜函館では、牝馬限定の芝とダートの短距離戦が行われ、菱田祭りとなった。

芝はVピサ産駒のパフェムリを好位に誘い、伏兵ながら、本命馬の抜け出しで3馬身差快勝。

ダ1000Mは稍重で、この距離の下級戦では珍しい3頭の叩き合いを、パイロ牝駒のヤマメで制した。

芝戦は1分10秒台の決着で上でもやれる。

阪神も芝1200戦。

高い支持を集めたリアルインパクト産駒・ラウダシオンが、いやいやのゲート入りだった割に、大人びな競馬で人気に応えた。白老ファームのシルクレーシングとは面白い。

一方、道中がいかにも怪しかった東1800登場のグランアレグリア全弟・ブルトガングだったが、こちらも直線に入ってからは、ルメール騎手のゴーサインにきっちり応えて、きっちり突き抜けた。

距離が短いとも、やはり気難しいともとれるが、差す形で大舞台と制する図は見えてこないから、まずは、完成するの待つしかないか。

器用ではない。

土曜の最終の馬場と大きく変化することのなかった日曜日前半の競馬。

稍重の函館、ギリギリここまで重馬場の東京、雨降らずの阪神は良のまま、それぞれで芝の新馬戦が組まれ、前の組が勝ち切った。

案外見どころのあったのは、函館1200。

淀みない展開から、番手抜け出しで2番人気馬を封じ込めたレッドヴェイパーが、ハナ勝ちの割には強く見えた。

先週の除外対象馬になったのだが、1:09.8は結構なタイム。ロイコン系のキンシャサ牝駒で、ガッツのある小兵。

東京は波乱。武士沢騎手が早め抜け出しを敢行、マジェスティックウォリアーらしさを引き出したこともあり、荒れ馬場を味方につけたサナチャンが快勝。名血ラトロワンヌと同族で、近いところにオールザットジャズがいるくらいだから、条件付きのマイル、小回り1800は合うかもしれない。

阪神1800は名物戦ながら、今年も人気馬は奮わず。

一応、良血のディープ・レッドベルジュールが勝ったものの、期待のシルヴァースカヤの仔・シルヴェリオが不発で、ちょっと盛り下がった。

勝ち馬は完成度が高く、シルヴェリオはハーツクライだからまだまだなのかもしれないが、それぞれに課題が多い。

 

レース回顧

リスグラシューの底力 宝塚記念回顧

読了までの目安時間:約 5分

 

前日圧倒的なパフォーマンスで、自身の東京競馬の掉尾を飾ったレーン騎手だったが、同期の男馬に最も己の進化を見せたことを示したリスグラシューの底力が、ここではまるで違ったようだ。

パドック気配でも、雄々しさを誇示するかのような優越感があった。

堂々の大外枠12番。

伝説になったあのゴールドシップと横山典弘のコンビで外から悠然と1角までで正しいポジションを得たように、最も走りやすい先行の位置を取れる可能性は、傾向的にも、コースレイアウトの特性を考えてみても、彼女というか彼には十分にあった。

もう置かれるリスグラシューでも、差し届かずのハーツクライらしい馬でもない。

金鯱賞も香港のQEⅡCも、いつもの感じに見えたかもしれないが、休み明けは走らず、2戦目はGⅠだと牝馬限定でないとダメ。

そして、3戦目は適鞍なら来るが、ダメなら消耗してアウト。

疲れやすいのに、叩かれることを望む牝馬。

勝ち切れない理由も、二つ目のビッグタイトルがまた2200M戦だったことも、合点がいく。

しかし、まあこれは、リスグラシューのキャラがどうこうではなく、馬場状態であるとか、相手の動きであるとか、それぞれの事情が少ない頭数なりに影響し合った結果なのは間違いない。

そもそも、出負けで危ない感じだったキセキは、昨年は後ろの方で何もできなかったが、やる気を取り戻してから動いていけるようになったので、1角までの距離が取れるこのコースと、リスグラシューよりも素晴らしく映った完成期の古馬の迫力ある体躯を理想の流れに誘っていく自身の底力と、行く馬が結果的に登場しなかった幸運も重なった。

さすがに、リスグラシューは序盤は動いていけないから、それも好走の要因。

5F60秒で始まり、後傾ラップに持ち込み、総合力を出し切る、またライバルにも出し切られることができると、いつでも走る。

そういう馬場だったのだ。

JCほどは高速ではなかったが、どの距離の芝のレースも、秋のトライアルシーズンほどではないにせよ、雨仕様の馬場作りをした影響で、3週間見てきた馬場とは別物。

それでいて、上がりはそれなりにかかる。

非根幹距離型のリスグラシュー、根幹距離戦では勝ち切れないキセキ。当然の出番であった。

筆者は馬場が重く、キセキがこんな感じでモタモタする可能性まで読んで、3番枠を引き当てたエタリオウの勝機は濃厚と見た。

が、二つ外れてしまっては、1勝馬では勝ち負けには持ち込めない。

馬場は速くなり、課題のスタートはそこそこだったが、ゴールドシップのような総合力勝負で相手を潰すような迫力の競馬はできないから、坂にかかる前では、もう外からの追走に横山騎手は切り替えていた。

展開上、無理は承知でもせめて、レイデオロくらいのポジショニングは必要。

理想はリスグラシューのような形だったが、それができるような状況ではなかったということは、今回自己最高馬体重での参戦になった点からも、まだ誰かに気付かれていない不満等を、横山騎手辺りでも汲み取れなかったということだろう。

疲れもあるだろうし、気持ちもついていかなかった。

去年のキセキに学ぶなら、ヘコたれるな!である。

レイデオロは元々出が甘いし、高速化も考慮したら、伏兵の外差しには転じづらい内枠は仇となった。

同脚質、似た者同士のスワーヴリチャードは、スムーズに立ち回ることで、しっかりと形作りに成功している。

リスグラシューやキセキも、レイデオロと同じように叩いた方がよくなる要素は多分に含まれているが、前に行けないことが明らかな状況で、荒れた内ラチ沿いからの追走で、キセキの流れになっていたから、もう出番はなかった。

出来はともかく、目標でないレースでの全力の競馬は、5歳のダービー馬には難しい。

凱旋門賞を目指すとか、そういう段階にも立ち位置にもない馬の宝塚記念参戦には、やはり、大きなリスクがあるということだろう。

でも、大きく負けたから、秋のレースは主導権を握りやすくなった。

しかし、下の世代の方が上がり目はあるから…。

 

レース回顧

異常なほどのラップだったアハルテケS回顧

読了までの目安時間:約 3分

 

午前中までは予報はどうなっているんだという感じだったが、地球は最近おかしいのだと再認識させられるように、新馬戦が終わってから、馬場の質が大きく変化した。

快速自慢のナムラミラクルでさえおかしな手応えになっていたくらいのペース。

レッドゲルニカとルメール騎手の作った流れは、45.9秒の展開で、上がりは48.9秒と異常なほどのラップだった。

道悪ではまず崩れないワンダーリーデルは、この時期のダートのオープンクラスで必ずいい馬に乗って、結果を出し続けてきた戸崎騎手を背に、直線ではまるで違う手応えで突き抜けた。

1年ちょい前の東京1400の重馬場でも勝負強さを見せていたような馬であり、前走は良馬場ながら、東京で1:23.8と、重で勝った時と大きく差のないタイムで3着だった。

急な雨による競馬の変容は、ここ4年続けて晩春に勝ち星を挙げているこの馬にとって、吉兆でしかなかった。

マイル戦はフェブラリーSに出ているような馬で不得意なわけではないが、これが4戦目で、今回初勝利。

6歳の春に目覚めたとしても、遅すぎることはないだろう。

この前の東京オリンピックの開催年に三冠馬に輝いたシンザンは、5代血統外にいる第五バッカナムビューチーから分岐し、その孫にあたる。

8代母ジツホマレは、シンザンの母ハヤノボリの妹だ。

祖母オカノスピカも条件馬ながら、ワンダーリーデルのように長期間活躍した馬。

そういう馬が、スピード勝負の根幹距離のオープン戦で活躍するのは、実に痛快である。

今どの国のトップホースにも食い込むストームキャットの直系である点も、ビューチフルドリーマー系の懐の深さを実感する要素になっている。

シンザン以降、牡馬の三冠馬は5頭登場しているが、5代母がようやく輸入繁殖という馬は、他にはいない。

アストニシメント系の人気馬・ゴライアスも来てくれたら、もっと面白かったが、こちらはまだ4歳である。

 

レース回顧

活きのいい4歳馬が1頭のみ! 宝塚記念予想

読了までの目安時間:約 6分

 

登録馬の発表時点からは定かではないが、活きのいい4歳馬が1頭しか出てこなかった宝塚記念というのは、気づけば長い期間行われてきた中で、今回が3度目のようだ。

最近の例は、06年の京都で行われたこのレース。

勝った馬があのディープインパクト。凱旋門賞の壮行レースであった。

あとの一回は、78年に天皇賞馬が3頭で競ったときに、重馬場で再び快走したエリモジョージが勝った年。

後に重賞を3勝するハシコトブキという馬が出ていたのだが、こちらは惨敗。

シンザン産駒だったというのも影響したのだろう。

今年もここ10年程パターン化した、宝塚記念仕様の重い馬場になる。

その4歳馬。今年は、よりによってエタリオウさんである。

2着がもう7回。父ステイゴールドがここで7度目の2着に入るより早く、父も出ていた日経賞ですでに記録している。

異例の1勝馬の挑戦。

初勝利は2戦目であり、和田騎手が初めて乗るも、全く前半から進んでいかず、道中は殿からの追走。

しかし、やや強引に捲りを敢行し、京都の2000Mを力で勝ち切ろうとする。

一度は、人気のムーンレイカー<現2勝>の競り落とされそうになるも、見事に二枚腰を見せ、差し返した。

あれから1年と9か月ほど…。

うまく流れに乗れば最後は差され、4戦目以降、友道調教師が好むことと出が悪い性質をカバーするように、2400M以上の競馬を使うこと実に9戦。

ダービーと天皇賞の4着、追い込み切れずの内容以外は、どうやっても2着だった。

きっと、一番惜しかったのは初めて純粋に直線勝負に出て、メイショウテッコンなどがいた4戦目の梅花賞だったのではないだろうか。

その後も好勝負を繰り返すメイショウに、際どく迫るも差し切れなかった。

だから、あのまずまず理想の競馬になった菊花賞もあるし、父のように、また似たような戦績のサウンズオブアースとはちょっと違うのだ。

いいところまで来るけど勝てないというより、勝てるはずのレースが勝てなかったのだ。

フィエールマンと3歳秋と4歳春で極端に力の差が出たのではない。

デムーロ騎手なりに、色々考えたが、考えすぎてしまったのが影響した前走の残念な結果がある。

実は、その前の日経賞で、今まではなかったことだが、少々スタンド前で気が逸って行こうとしている面が見られた。

その伏線が、極端な追い込みという狙いに誘ったという捉え方もある。

距離が今までは長かった。

自分のパートナーよりは、相手との力関係に案外詳しいことが、意外な作戦の成功パターンの下地にあることの多い横山騎手が騎乗するから、その辺りの感覚は掴んでいるかもしれない。

癖がないというのは、ステイゴールドでなくても困るもの。我が強いわけではないことは、相手に合わせてしまう可能性を秘めることとイコールなのだ。

しかし、距離が短縮されれば、その辺りは軽減する可能性がある。

母系はアメリカン丸出しながら、非常に緻密な配合が繰り返され、この代では5代内クロスなし。

エタリオウの5代母クリアセイリングからは、自身のラインであるインフィニットの妹・ピュアプロフィットから、17戦14勝のインサイドインフォメーションが登場する。

GⅠは7勝。ベルモンドパークで3歳時はエイコーンS、古馬になってBCディスタフをそれぞれ圧勝。

これが両方重馬場だった。

また、引退レースのBC戦で粉砕した面々に、コロネーションS勝ちのソフィスティキャットを送り出すセレナズソング、人気で惨敗のマライアズストームがあのジャイアンツコーズウェイの母であったりと、ストームキャット×ラーイの配合で、欧州型マイラーや10Fホースを生むニックス系形成のきっかけも見てとれる。

インサイドインフォメーションはボールドルーラーが母母父。

母父がリボー系のキートゥザミントでプライヴェートアカウント産駒。

米の芝の重でGⅠ勝ちのホットチャチャを母に持つエタリオウは、母父系がリボーのブロードブラッシュとマジェスティックライトが入り、母の代でリボーはクロス。

ネアルコとの絶妙な距離が、見た目はアウトブリードで殺風景のように映すが、ナスルーラなども薄くクロスしていたり、大変にバランスがいい。

ステイゴールドが6代父ネアルコを4つ持っていることが、最も理想的に活用されるパターンが、エタリオウなのではないか。

ここに登場する父以外の名馬たちが、全て10F以下のGⅠ勝ちしかないことでも、妙なストームキャットと重馬場のリンクが念を押す。

2勝目を挙げる条件があまりにも整っているような気がする。

下げない手で一つの理想の形を見つけようと格闘してきたデムーロ騎手のスワーヴリチャードも、本質2400戦は厳しいことを踏まえ、渋馬場の適性なども考えたら、彼が対抗一番手だろうと考える。

◎エタリオウ

○スワーヴリチャード

▲レイデオロ

注リスグラシュー

△キセキ、マカヒキ

 

レース予想