2022年安田記念【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着ソングライン(8.2倍)2着シュネルマイスター(4.9倍)3着サリオス(15.7倍)

レース名第72回安田記念
日程2022年6月5日(日)
優勝馬ソングライン
優勝騎手池添謙一
勝ちタイム1:32.3
馬場
3連単配当64,140円

2022年安田記念 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
113ソングライン1:32.3-
29シュネルマイスター1:32.3クビ
317サリオス1:32.3アタマ
415セリフォス1:32.41/2
57ファインルージュ1:32.5クビ
単勝13820円
複勝13260円
複勝9210円
複勝17520円
枠連5-7720円
ワイド9-13830円
ワイド13-172,770円
ワイド9-171,470円
馬連9-131,740円
馬単13-93,740円
3連複9-13-1711,810円
3連単13-9-764,140円

2022年安田記念 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「まずはスタートをしっかり集中して、いいスタートを切ることができた。あとはポジションをしっかり取ってというふうに頭の中に入れて進んでいったけど、サリオスが斜め前にいて、少し気になるポジションだったので、引くか引かないかどうしようかと思ったけど、プレッシャーのないところで思ったので、サリオスの後ろを取った。道中はリラックスして走ってくれていたし、いい形で進めているなと思った。前回のレースが自分自身ふがいないレースをしてしまったので、自信をもって4角手前からこの馬の末脚を信じて、外を回して動かしていった。直線もステッキに応えてくれたし、ほんとによく頑張ってくれた。僕の方はどうでもいいと言ったらおかしいけど、それよりも厩舎がいい状態に仕上げてくれた中で、前回応えることできなかったので。その期待に応えたい一心でレースに臨んだ。ソングラインがそれに応えてくれたし、厩舎の期待にも応えることができて、ほんとにうれしい。サウジを経験して精神面でも、肉体面でも成長してくれている。完成の域に達してきているんだろうなと前回も思っていた。あとはタイトルだけだと思っていた。きょう獲ることができて、ほんとに良かった」

※優勝した池添謙一騎手のコメント(ソングライン)

2022年安田記念 - レース結果動画(YouTube)

2022年安田記念 - 回顧

父キズナはすでに、3世代にわたり重賞勝ち馬を送り込み、初年度からバリバリのスプリンターとして現在も活躍するビアンフェから、消耗戦のエリザベス女王杯・阪神開催を激走勝利したアカイイトなど、多様な産駒をすでに輩出済み。

ところが、クラシックディスタンスの根幹をなすG1となると、2着などが多かったマルターズディオサ、ディープボンドらに代表されるような、完敗の掲示板内快走が悪目立ちする結果が続いていた。

4歳世代はちょうど2年目の代であり、産駒の成長などを踏まえた配合の工夫などは施されていたはずだが、肝心の競馬における傾向のようなものが見えない段階での生産をする際に、手探りの中で結果を求めた中から誕生した馬たちだから、初年度以上に傾向というところで、思われたよりははっきりした結果が表れてきていた。

何より、高速桜花賞となった昨年のレースに、休み明けでフェアリーS勝ちのファインルージュと指定オープンに準ずる位置づけにあるリステッド・紅梅Sを独走ウインしたこのソングラインらが、人気の中心にこそならずとも、注目される伏兵として参戦。

ファインルージュは内を巧みについて3着として、以降もトップ戦線で活躍したが、こちらのソングラインは不利を受けたことで、NHKマイルCへと転戦し、お互いは成長を見せたところで、前走のヴィクトリアマイルで共に不利を受け、ソダシに再度完敗だった。

血統の印象より少し長めの距離をこなしたファインルージュも今回安田記念を快勝することになったソングラインも、守備範囲はほぼ丸被りで、マイル近辺に適当な条件があるという牝馬らしい性質を誇るが、母父にシンボリクリスエス<2012年安田記念優勝のストロングリターンを出している>が入り、皐月賞まで4戦無敗で突き進んだアグネスタキオンが母母父というソングラインは、他のサンデー系よりも芝のスピード勝負に特化したパワーはあった。

ファインルージュはボールドルーラー系のボストンハーバーが肌であるから、その奥にダンスインザダークやらブラッシンググルーム系なども入っていたところで、日本の根幹距離における重要戦では、わずかにアドヴァンテージでソングラインが上だったということになる。

ファミリーには、ロジユニヴァースというダービー馬もいる名血・ソニンク由来のパワー優先型の系統。

馬格で両者とも、牡馬に伍して戦えることを超大型のサリオスを挟み、僅差の勝負で覇を競ったのだから、基本的に能力の差は大きくないものの、牝馬限定戦とわずかに着順を入れ替えたあたり、ソダシとの能力差を踏まえたところで、シュネルマイスターとの2年連続の接戦でもあるから、本格派のソングラインが今後が優勢になる構図となりつつ、ソダシが普通に走ると…、という限界点のようなものも見えた一戦ともなった。

展開的に軽くなったレースの質も、結果に大きな影響があったと出来よう。

中団追走から、外を伸びる競馬。

それでソングラインを勝たせるのは、さすが牝馬の池添謙一である。

うまくは乗れなかったという類になるだろうソングラインと同期のじゃじゃ馬・メイケイエールを駆ったあの負けられない京王杯スプリングCが、前回の重賞勝利。

ダービーにも出たプラダリアとのトライアル獲りも好結果になるが、その前もまた、サブライムアンセムやグランアレグリアなどが登場するというのが、この名手の重賞実績となっている。

最初の重賞制覇は、ローズトウショウ系のトウショウオリオンであり、数年後の久々重賞制覇が、後の2歳女王であるタシロスプリングと制したファンタジーS。

とうの昔に牝馬の重要戦はほぼ制していて、前出シラオキ直系のローズトウショウ系の復権に役目を果たすシーイズトウショウで何度も重賞を勝っているうちに、真打・ウオッカが出現。

強い牝馬の時代となる直前には、宝塚記念をスイープトウショウと制したのが、池添謙一騎手である。

決まって、途中から手綱を執る経緯を踏んでいることの多い彼だからこそ、桜花賞で最初のコンビを組んだソングラインが、因縁のメイケイエールを敵視しても仕方ないものの、少なくとも鞍上である池添騎手自身は、メイケイエールに助け舟を出した救世主になったくらいで、ソングラインの今にも、あの理不尽な斜行があったから…、という今であるかような戦績ともなっている。

そういう前段がありながら、中2週の牝馬の気配が丸出しであったソングラインは、パドックからでは買えない感じだったが、同じようにいくら何でも減りすぎのサリオスと、いくらか気分も含めて、完調に戻す前に段階にあったようなシュネルマイスターらは、いずれも好気配にあった面々ではなかったという共通項があり、でも、苦しい競馬の経験で前に上がってきた点でもおなじだった。

マーク対象になって残念なサリオスではあったが、恥ずべき内容ではなく、いい頃の自分を明らかに取り戻していた。

レーン騎手とはこれで【1・2・2・0】とはなったが、勝ったのは目をつぶっても勝てただろう新馬であり、2着時の勝ち馬が三冠のコントレイル、3着の際は、香港のゴールデンシックスティと今回の洋行帰りだった面々が上位に来た安田記念での結果。

手が合うというよりも、互いの信頼関係が密であるということが好走の理由になっているのかもしれないが、秋はどうするのか。

ここまで来たら、オーストラリアに行けばいいのではないのか。

そんな良血のハーツクライ産駒でもいい。

現に、それによってあのリスグラシューは、衝撃の有馬記念を体現するきっかけを掴んでいる。

気配抜群のダノンザキッドは、よく言われるローテの死角にハマり、ぼちぼち好走止まり。

外伸び馬場は明らかの、昔の東京を思い出させる今の馬場質で、斤量がもろに反映されたかのような4着セリフォスのにじり寄りに対し、まだまだ若いハーツクライ→ジャスタウェイのラインという印象も残った。

一つ上の齢に達し、否、4歳秋になると目を覚ますこの系統の性質は、ハーツクライの母父トニービンが4歳時2着、5歳時優勝の凱旋門賞好走の流れになぞられる、同じ流れを作るリズムからなかなか逃れられない面がある。

世界的評価を受けたのは、父も父父もトニービンと同じで、この後である。

イルーシヴパンサーに関しては、死角はダノンザキッドと同じでも、皐月賞でもっと走れていれば、何かが変わっていたのかもしれない。

お互い、エフフォーリアの威光を眼前とし、かなりメンタルから崩壊状態の完敗を経て、ここに至る。

自分の庭を探し当てたイルーシヴパンサーには、強敵との交錯する機会を自ら捨ててきたような面があって、前走のファインルージュらを完全撃破の一戦も、結局、出来の差は大きかった。

同期のシュネルマイスターであり、結果をサウジで出したソングラインなどは、にっちもさっちもいかない感じになったサリオスが香港で自信を少しだけ取り戻したように、揉まれた経験を経て、今に至る。

痛い思いをして、何かを得るのが安田記念。

このレースを苦手とするダイワメジャーの産駒たちという傾向が出ているが、彼も皐月賞勝ち馬ながら、6歳の時にこのレースを2年完敗後に制している。

彼もまたハーツクライの産駒。

即戦力型のキングマン<シュネルマイスター>やキズナ<4歳牝馬の両者>などと違い、血は争えないと思える何かに囚われながらも、脚を痛めなければ、まだまだこれからが活躍の季節になってくる。

2歳王者らと共に、再来年まで見ていい。