エリザベス女王杯 予想

元は、ビクトリアCという秋華賞と同じ位置づけのレースだったものが、エリザベス女王の来日や、古牝馬の目標となる競走の創設に関連して、今の11月京都の2200Mに固定されたのは、1996年です。
この年はNHKマイルCも創設された重要な年。
地方との交流も実質解禁された時期と重なり、その流れから、クラシック競走の外国産馬、外国調教馬への解放のゴールへと向かっていったわけですから、単なるマイナーチェンジとは意味が違います。
よって、強い牝馬が勝つという歴史が、初期の段階から定着したため、勝ち馬のレベルは極めて高いのが特徴でもあります。

エリザベス女王杯 歴代の優勝馬

年度1着馬馬齢
斤量
騎手
人気
前走
父名

2着馬馬齢
斤量
騎手
人気
前走
父名
 3着馬
馬齢
斤量
騎手
人気
前走
父名
2010年
スノーフェアリー
354R.ムーア
4セントレジャー④
インティカブ
メイショウベルーガ
556池添謙一
2京都大賞典①
フレンチデピュティ
アパパネ
354蛯名正義
1秋華賞①
キングカメハメハ
2011年
スノーフェアリー
456R.ムーア
1ブリティッシュチャンピオンS③
インティカブ
アヴェンチュラ
354岩田康誠
2秋華賞<1>
ジャングルポケット
アパパネ
456蛯名正義
4府中牝馬S<14>
キングカメハメハ
「2012年」
レインボーダリア
556柴田善臣
7府中牝馬S④
ブライアンズタイム
ヴィルシーナ
354内田博幸
1秋華賞②
ディープインパクト
ピクシープリンセス
456M.デムーロ
51000万①
ディープインパクト
「2013年」
メイショウマンボ
354武幸四郎
2秋華賞①
スズカマンボ
ラキシス
354川田将雅
61000万①
ディープインパクト
アロマティコ
456三浦皇成
5府中牝馬S⑦
キングカメハメハ
2014年
ラキシス
456川田将雅
3オールカマー②
ディープインパクト
ヌーヴォレコルト
354岩田康誠
1秋華賞②
ハーツクライ
ディアデラマドレ
456藤岡康太
6府中牝馬S①
キングカメハメハ
<2015年>
マリアライト
456蛯名正義
6オールカマー⑤
ディープインパクト
ヌーヴォレコルト
456岩田康誠
1オールカマー②
ハーツクライ
タッチングスピーチ
354C.ルメール
4秋華賞⑥
ディープインパクト
2016年
クイーンズリング
456M.デムーロ
3府中牝馬S①
マンハッタンカフェ
シングウィズジョイ
456C.ルメール
12府中牝馬S⑦
マンハッタンカフェ
ミッキークイーン
456浜中俊
2ヴィクトリアマイル②
ディープインパクト
2017年
モズカッチャン
354M.デムーロ
5秋華賞「3」
ハービンジャー
クロコスミア
456和田竜二
9府中牝馬S<1>
ステイゴールド
ミッキークイーン
556浜中俊
3宝塚記念<3>
ディープインパクト
2018年
リスグラシュー
456J.モレイラ
3府中牝馬S②
ハーツクライ
クロコスミア
556岩田康誠
9府中牝馬S⑤
ステイゴールド
モズカッチャン
456M.デムーロ
1札幌記念<3>
ハービンジャー
2019年
ラッキーライラック
456C.スミヨン
3府中牝馬S<3>
オルフェーヴル
クロコスミア
656藤岡佑介
7府中牝馬S<5>
ステイゴールド
ラヴズオンリーユー
354M.デムーロ
1優駿牝馬①
ディープインパクト

主な勝ち馬

メジロドーベル 1998年~1999年連覇

-その他勝ち鞍-
阪神3歳牝馬S<現ジュベナイルフィリーズ> 1996年
優駿牝馬、秋華賞 1997年

アドマイヤグルーヴ 2003年~2004年連覇

※その他G1勝ち鞍なし

スノーフェアリー 2010年~2011年連覇
※英国調教馬
-その他勝ち鞍-
オークス2勝<英・愛>、香港C 2010年
アイリッシュチャンピオンS 2012年

エリザベス女王杯の特徴

その気になれば、逃げ切りも殿一気も決めることが可能なフェアなレースではありますが、牝馬には距離が長いので、力のある馬に有利である一方、
ガッツのある伏兵の登場を待つ以外に、速いペースを望むのは酷というのが当然の、スロー頻発レース。
連覇も多いレースですが、逃げ粘りの連続好走もそれと同じくらいの頻度で起きています。

エリザベス女王杯 過去10年のデータベース

 1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1番人気1回3回3回3回10%40%70%
前走オールカマー2~5着2回1回0回1回50%75%75%
オールカマー勝ち馬0回0回0回1回0%0%0%
クラシックホース/秋華賞含む1回1回3回11回7%13%33%
G1の連対馬(古馬)5回3回4回28回13%20%30%
ヴィクトリアマイル1番人気2回1回2回2回29%43%71%
府中牝馬Sの勝ち馬1回1回1回5回13%25%38%
G1の連対馬(3歳)3回3回2回14回14%27%36%
G1の未連対(3歳)0回1回1回15回0%6%12%
秋華賞勝ち馬1回1回1回3回17%33%50%
クラシックレース複数連対4回3回4回10回19%33%52%
当該年未勝利のG1馬2回0回1回9回17%17%25%
クラシック二冠以上の馬2回0回2回4回25%25%50%
M.デムーロ<4年連続・継続>2回0回3回3回25%25%63%
ディープ産駒<6年連続>2回2回5回----
岩田康誠<2着王>0回4回0回4回0%50%50%
東京の重賞に連対実績のある3歳馬2回2回2回12回11%22%33%
東京の重賞に連対実績のあるオークス連対馬2回2回2回3回22%44%67%

1番人気1勝は、裏から見た方が得策です。

勝率1割で、馬券内であることを示す複勝圏に入る確率が7割というのは、とりようによっては、1番人気を頭から狙わず、着順を固定して狙う以外は、点数を押さえて、
馬連や3連複をオッズに合わせて、強弱をつけよという掲示とするのがいいのでしょうが、本命党には頭の痛い傾向でもあります。
この前の10年と合わせて、20年で人気に応えたのは、古い順に、ファインモーション、ダイワスカーレット、4歳時のスノーフェアリー…。
これに1位入線の3歳時のカワカミプリンセスだけですから、分かりますよねということになるでしょう。
ヒシアマゾンもエアグルーヴも、あのブエナビスタも負けたレースです。

デムーロ騎手や岩田騎手に見られる傾向は、古馬解放直後からもずっとあって、武豊騎手が勝ち始めたら4連覇ということもありました。
たかだが四半世紀で、連覇もあれだけあって、そして牝馬のGⅠ。
春のヴィクトリアマイルと同じく、スペシャリストのためのレースであるという認識を持つべきでしょう。

エリザベス女王杯の攻略ポイント

距離適性以外で関門突破を可能とする要素は、勢いくらいしかないというのが正直なところです。
牝馬にとっては過酷な条件なので、オークス好走実績がある馬、2200Mが得意な馬、それ以外だと適性の判然としないGⅠ初挑戦の新興勢力などでしょうか。
いずれにせよ、人気馬ほど2000Mを超える距離での確かな実績が重要で、変に1800Mで強い馬が路線の構成上かなりいるので、
あまり牝馬限定戦で強い馬ばかり押さえるのは無益でしょう。

エリザベス女王杯2020【予想】|負けた後に強くなる名馬の血統と穴馬

エリザベス女王杯予想の特集&最終追い切り後の攻略記事になります。
過去10年の歴代優勝馬の傾向や参考レースを見ながら登録馬の中から本レースの狙い目の穴馬や外厩仕込みの軸馬を予想していきます。

トライアルの激戦にて優先出走権を手に入れてきた激走する勝ち馬や逃げ馬のサインを見逃すわけにはいきません!

荒れる傾向の中、予想オッズをチェックしつつ、過去配当を超える3連単を狙っていきたいと思います。

レース名ジャパン・オータムインターナショナル 第45回 エリザベス女王杯
グレード重賞(gi)
日程2020年11月15日(日)
発走時間15時40分出走
開催場所阪神競馬場
距離芝2200m
コース内回り
賞金1億500万円
レコード2:11.2

エリザベス女王杯2020の出馬表(馬柱)- 出走予定馬の馬体診断と想定騎手(枠順確定)

枠順出走予定馬騎手斤量(負担重量)馬体重(前走)
1サムシングジャスト松山 弘平56.0kg514 kg
1シャドウディーヴァ内田 博幸56.0kg482 kg
2ソフトフルート福永 祐一54.0kg470 kg
2リュヌルージュ団野 大成56.0kg480 kg
3ノームコア横山 典弘56.0kg468 kg
3リアアメリア川田 将雅54.0kg484 kg
4センテリュオ戸崎 圭太56.0kg472 kg
4ロサグラウカ幸 英明56.0kg466 kg
5ウインマイティー和田 竜二54.0kg480 kg
5カーロバンビーナ浜中 俊56.0kg408 kg
6ウインマリリン横山 武史54.0kg464 kg
6ラヴズオンリーユーM.デムーロ56.0kg486 kg
7ウラヌスチャーム斎藤 新56.0kg504 kg
7サトノガーネット坂井 瑠星56.0kg440 kg
7サラキア北村 友一56.0kg454 kg
8エスポワール武 豊56.0kg480 kg
8ミスニューヨーク加藤 祥太54.0kg462 kg
8ラッキーライラックC.ルメール56.0kg524 kg

エリザベス女王杯2020 - 血統予想から出走予定馬を分析(過去10年)

祖父グラスワンダーはG1の4勝馬というより、最強世代のグランプリハンターという位置づけで、誰からも一目置かれる素晴らしい競走馬だった。

阪神の世紀と一戦となったスペシャルウィークとの頂上決戦は制したものの、ガタガタ状態の翌年の宝塚記念では、勢い止まらない1つ下のテイエムオペラオー以下4歳世代の後塵を拝し、これが最後のレースとなった。

父スクリーンヒーローも父と同じく関東馬で、宝塚記念はドリームジャーニーの5着。

何が言いたいかというと、得意不得意がはっきりしない傾向なのだという話だ。

グランプリ連覇はロベルト系の恩恵であると証明しつつも、シンボリクリスエスが宝塚記念で輝いたわけでもない。

むしろ、主流とは言い難いミスプロ系が入っていることの方が強調材料になるか。

宝塚記念で圧勝したわけではない最近の勝ち馬には、ミスプロ系が父か母父系かという共通項がある。

母がミスワキの仔×マキャヴェリアンの仔という配合のサトノクラウンは、ロベルトやステイヤーが輝いた90年代後半からしばらくの古馬中長距離路線で、ちょっとだけ隙間を見つけて快走のサイレンススズカやスイープトウショウといった配合に似ていて、その複合体のウインマリリンは、一流競走馬にして一流半種牡馬のフサイチペガサスを母父に持つ馬だから、グラスワンダーが最後の武器に取っておいたダンチヒの血がこの代でクロスして、バリバリの正攻法抜け出しの中距離型としての形を作った最大の要因となっている気がする。

皆、少しだけ時計が速い時に持ち味を活かしている。先週のような感じでレコード決着となると、ちょっと速すぎるが…。

エリザベス女王杯2020 - 過去成績のデータベースと傾向から予想

 1着2着3着4着以下
東京の重賞に連対実績のある3歳馬2回2回2回12回
   〃   <オークス連対馬>
2回2回2回3回

まともに着外というのは、スノーフェアリーがいた時のエリンコートくらいなもので、休み明けのサンテミリオンとルージュバックなど例外とすれば、要するに全部来るという京都での主な傾向。

2着馬は1勝して2着も1回、3着も同着優勝のアパパネがいるので、勝ち馬と双璧。

回収率を上げるのは当然の2着馬の役目であって、特別な年だからこそ、こういう馬は押さえておきたい。

1着2着3着4着以下
1回3回3回3回

旧エリザベス女王杯の時代から、1番人気は沢山負けてきた。

メジロラモーヌの翌年はもっと堅いとされたマックスビューティーが、勝ちに出た分だけ、タレンティドガールの強襲に屈したのが象徴的。

何度も連覇した馬は登場しているが、3歳G1時代から、一度たりとも1番人気馬が連続勝利したことはない。

現在、スノーフェアリーが連覇した2011年以来、1番人気は8連敗中だ。

馬名ナリタブライアンマヤノトップガンファレノプシスサニーブライアンタニノギムレットフリオーソシルクジャスティスダンツフレームイブキマイカグラライスシャワーグラスワンダーアーネストリーシンボリクリスエスエピファネイア
制覇したG1レース名菊花賞1994菊花賞1995
宝塚記念1996
桜花賞1998
エリザベス女王杯2000
皐月賞1997日本ダービー2002全日本2歳優駿2006
ジャパンダートダービー2007
有馬記念1997宝塚記念2002阪神3歳S1990菊花賞1992
天皇賞(春)1995
有馬記念1998
宝塚記念1999
宝塚記念2011有馬記念2002
有馬記念2003
天皇賞(秋)
ジャパンC2014

ロベルト系の真価は負けた後に問われる

阪神ということと、秋華賞がまた極端なトラックバイアスがあったということ。

エリザベス女王杯は関西馬の天下だったものが、ちょっとずつ関東馬の浸食が見られるようになってきた…、のかなという理由に加え、前出データのオークス好走馬の信頼度も含めて、厳しい状況に置かれたG1好走馬の大逆転を期待して、ウインマリリンから入りたい。

期待も大きいが、同期にロベルト系のスターホースがいる。

これも案外、大きかったりする。

ロベルト系とは、本番を勝つために生まれてきたヘイルトゥリーズン系のタフネススターの血脈である。

そう思ったのは、古くから言われる凱旋門賞馬の血が、ステイヤーの、今回ならばロベルトの血が…、という母系におけるステータスを定着させることに成功したかつての名馬たちの名前が、今度は直系として登場するシーンが増えたからである。

面白いもので、エピファネイアの産駒から異次元の牝馬が登場したわけだが、その血の構成は、

シンボリクリスエス有馬記念 2500M/連覇達成
シーザリオ優駿牝馬 2400M/断然人気で快勝
母父スペシャルウィーク東京優駿など /2400M以上のGⅠ3勝
母母父サドラーズウェルズ世界の12FGⅠ覇者が多数輩出
-エピファネイア自身菊花賞 3000M、ジャパンC 2400M/共に圧勝

こんなゴリゴリのステイヤー血統が、サンデーサイレンス系牝馬との交配で絶妙にクロスを生むからといって、簡単に成功するわけではない。

裏を返すと、本当のところはデアリングタクト以外は大したことはないとも言えるわけだ。

本物の血の底力を十二分に受けた才能は、今年産駒がデビューしたグラスワンダー直系のモーリスにも、きっと同じ傾向が見られるのであろう。

モーリスもメジロクインの重厚なステイヤー血統から派生というか、突然変異的に登場した才能であったわけだが、ロベルト系だけでなく、一部例外を除き、ヘイルトゥリーズン系はサンデーサイレンスに代表されるような気性難と紙一重の馬ばかりが成功してきた歴史がある。

エリザベス女王杯2020 - レース展開を脚質や距離から想定してみた

気難しいのであれば、気分一つでとなるから、安定もしない。

ステイヤー血統というか、欧州型も多く出すロベルト系だから、日本でもあまり短い距離に向くタイプは出してこなかった。

一瞬、桜花賞に適性を感じさせたデアリングタクトだったが、それより若干距離の長い秋華賞の方が、馬場質同等だったから比較しやすくて、よっぽど2000Mがフィットしているなという内容に見えた。

きっと、彼女もまたマイラーではない。

さて、ウインマリリンなのだが、左回り巧者ということはないだろうが、秋華賞は酷かった。

バイアスが過酷レベルの内枠総崩れの、そこそこ厳しいラップだったとはいえ、ちゃんと自分の型に持ち込んだにもかからわず、全く勝負にならなかった。

レースそのものがデアリングタクトとその他の構図だったので、この手の競馬になってしまうと、自分の良さを出そうとすればするほど、自縄自縛ではないが人気上位グループほど不発に終わる。

そもそも、外が走りやすいというだけでなく、差しも決まりやすいと同義のトラックバイアスがあったのでは、差し馬の筆頭的存在であるデアリングタクト中心のレースで、先行型がどうにかできるとしても限度がある。

あまり強気に攻めの競馬ができるというほどの作りに見えなかったとはいえ、一定レベルのパフォーマンスが可能と窺えたから、陣営やファンにとっても残念な結果としか言えないが、一頓挫あったとも言われる中間も何とかやり過ごし、改めてのG1挑戦は、この系統独特の買い材料に溢れていると言える。

引き出しとして正しいとは思わないが、G1級レースを地方所属馬としては異例の6勝と大活躍したフリオーソは、決まって、その前走で負けていた。

スターダムにのし上がるきっかけとなった全日本2歳優駿も、前走は負け。

南関東の三冠戦は地元勢同士の戦いには敗れ、中央所属の人気馬も登場のジャパンダートダービーでは快勝だった。

ナリタブライアンも京都新聞杯で連勝が止まった後、どこ吹く風と菊花賞をレコード勝ちしてみせた。

これはブライアンズタイムに限った話ではなく、グラスワンダーもエピファネイアの父シンボリクリスエスも同じだった。

変則開催ではなかったG1を制する時、有馬記念を制した数少ない外国産馬だったロベルト系の名馬2頭は、ハンデ重賞で完敗後の有馬を制したグラスワンダーとJC3着後に挑んだ有馬と、順調に使えた時ほど直前のレースは負けていたのだ。

互いに連覇でも、グラスワンダーは4歳の秋、JC参戦が流れて、万全ではないとされた有馬でスペシャルウィークを下している。

グラスワンダー直系のウインマリリンは、トライアル勝ちのオークス参戦で結果を残したが、決して悪くはない直行ローテの秋華賞は、全て噛み合わずに惨敗。

しかし、毎日王冠以上にアルゼンチン共和国杯は残念だった祖父グラスワンダーに学ぶとしたら、機が熟した瞬間、全ての流れをモノにするのに必要な勇気を与えられる、という血の系譜がある。

父スクリーンヒーローは、三世代ダービー馬が揃った豪華なジャパンCで、一世一代の快走で唯一の主要タイトルを得た。

東京で短期間に輝いたスクリーンヒーローだが、2歳時のグラスワンダーは東京でも破壊的なまでに強烈なパフォーマンスを見せていた。

得意だったはずの右回りG1に縁のなかったスクリーンヒーローは、自身と似たような成長曲線を見せたモーリスとゴールドアクターを送り込んだわけだが、彼らの初タイトルの瞬間が連勝でのものだったから、その辺りがグラスワンダー直系らしさのように見えて、やや復活というG1快走の前はモーリスが札幌記念、ゴールドアクターは春の天皇賞で共に完敗だったことを思い出しておきたい。

負けた後に強くなる名馬像

九分九厘、今年のジャパンCでは無敗馬は一頭、この世界から消える瞬間を迎えるが、真逆のアプローチでらしさを示すロベルト系の良さは、ここぞの場面での底力の体現ではないだろうか。

同じコースの宝塚記念で、

  • マヤノトップガン
  • グラスワンダー→アーネストリー<親仔制覇>
  • ダンツフレーム

この4例全て、前走はG1で人気を裏切ったか、馬場合わずで好走止まりだった傾向は、今こそ乗っかっておきたいところがある。

案外早熟も多いロベルト系だけに、古馬になるとハイパフォーマンスの発揮する機会をなかなか得られないこともある。

加えて、フローラSレコード勝ちの実績とオークス好走のパターンは、普段の京都ではあまり芳しくない結果をもたらす傾向に見えて、そうではない可能性も感じさせるウインマリリン向きの流れにあるように思えなくもない。

このコースだからこそ、ステイゴールド系のラッキーライラックが適性で上位と思えて、オルフェーヴルそのものが異例のキレ馬だったから、時計限界も案外の道悪下手の性質も、今の彼女に、変な高速馬場こそ合わない可能性も踏まえねばならないと考える。

ならば、実質立場逆転のノームコア<こちらは小回りでタフな勝負は歓迎>と、実は渋った京都の好走実績が買いにも思えるソフトフルートといった伏兵にも目が行く。

エリザベス女王杯2020 - 最終予想

そもそも伏兵のウインマリリンは、これまで1番人気はおろか、6走して3番人気以内1度のみという伏兵なのだ。

当然、あの結果を知った上で買う人間は、変態的思考に囚われる筆者以外では限られる。

今まで一番評価が下がった時にこそ…。

グラスワンダーは初めての古馬G1戦となった有馬記念で、唯一の4番人気評価を受け、見事にその低評価を裏切った。

単勝オッズ30倍以上の時、5戦して全て重賞レースばかりを好走していたスクリーンヒーローは、グラスワンダーの屈辱を最も知る後継種牡馬である。

モーリスにそれは受け継がれなかったが、その仔はきっと、グラスワンダーが味わったそれを覆す底力の見せる能力を必ずどこかで魅せる。

スクリーンヒーロー産駒の牝馬として、最初で最後のの出世馬になるかもしれないウインマリリンに、そういう期待を寄せるのは、全くもって筋違いではないだろう。

大体、サンデーサイレンス産駒が全盛時代にあって、グラスワンダーやシンボリクリスエスは、それらを歯牙にもかけないほど横暴なまでの振る舞いを見せていたことを、筆者はずっと見てきたのだから、それに引っ張られるしまうのも無理ならぬことである。

エリザベス女王杯2020【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着ラッキーライラック(3.3倍)2着サラキア(12.3倍)3着ラヴズオンリーユー(5.5倍)ラッキーライラック連覇!

レース名第45回 エリザベス女王杯
日程2020年11月15日(日)
優勝馬ラッキーライラック
優勝騎手C.ルメール
勝ちタイム2:10.3
馬場
3連単配当21,050円

エリザベス女王杯2020 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
118ラッキーライラック2:10.3-
213サラキア2:10.4クビ
311ラヴズオンリーユー2:10.4クビ
412ウインマリリン2:10.71 3/4
58センテリュオ2:10.83/4

単勝18330円
複勝18150円
複勝13280円
複勝11200円
枠連7/81,260円
ワイド13-18930円
ワイド11-18490円
ワイド11-131,460円
馬連13-182,290円
馬単18-133,610円
3連複11-13-184,260円
3連単18-13-1121,050円

エリザベス女王杯2020 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「今日は勝つ自信がありました。18番枠がきつかったけど、スムーズなレースができましたね。馬も冷静に走ってくれましたし、本当に強い馬です。最後はサラキアが迫ってきた? 遅すぎたね(笑)」

※C.ルメール騎手のコメント(ラッキーライラック)

エリザベス女王杯2020 - レース結果動画(YouTube)

※実況レース映像

エリザベス女王杯2020 - 回顧

序盤はちょっと掛かっているというか力みもあったラッキーライラックは、気づけば、4角の辺りで他の馬とは違うところを回ってきて、直線では完全に抜け出していた。

溜めをどう利かせるか難しいからこそ、スピードレースに活路を見出したノームコアに対し、正攻法の差しを選択させる様々な絡みの中で計算できない部分まで入る勝負の流れでも、己の力を示すのに適した運を味方につけた。

4歳シーズンこそ、阪神のレースには縁はなかったが、大阪杯も内から抜け出し、急遽、エリザベス女王杯が阪神に変更の流れに乗って、ラッキーライラックには好都合の流れに加えて、持ちうる底力をタフな急坂のあるコースでこそ発揮という父オルフェーヴル譲りの才能の出し方に繋げたことになる。

窮地に追い込まれていた三冠馬が復活した舞台でもある阪神2200Mは、ドラマチックな舞台でもある。

そのオルフェーヴルには必要な舞台で、急に中山から阪神に替わったスプリングSを制したことで、ようやくクラシック候補に上った父と同じく、最初と恐らく最後のタイトルが阪神となったラッキーライラックの数奇な運命は、どことなく、導かれるようにしてこうなった面は否めないのかもしれない。

遺伝子レベルで適性があるとなると、オークス馬や前哨戦勝ち馬でもそう簡単には追い込み切れない。

恐らく、横山典弘騎手がいなかったらここには挑んでいなかったはずのノームコアは、香港も想定していた春の使い方から、コロナ事情の進展が見られないことで、こうしたレース参戦の運びとなった面がある。

場合によっては、アーモンドアイに勝ってしまうかもしれないとした生産者サイドの懸念は、2年前とは違う臨戦過程のようで、まるで同じルートでのフレッシュさで勝負の一戦だったが、如何せん、京都だろうと阪神だろうと、きっとこの距離は合わなかったはずだ。

1000M通過1分切りが速いというよりも、普通にやっては距離実績で上回る他のライバルには敵わないと、強気に出るというところで、変なバランスになって前向きさが抑えきれなくなったのもあるが、適性の面で見劣るだけに、人気があったというだけで攻めるのもなんだかおかしい。

それなら、自在ではないけれども決め手で勝負のディープらしい追撃をしたサラキアとラヴズオンリーユーを褒めた方がいい。

仕掛けのタイミングはラッキーライラック次第だったはずの両者だが、こちらも距離に若干の問題があるサラキアは、意外なほどに阪神内回りに適性があったのだろう。

サラキアのストロングポイントは、末の持続力がどこかで出るは不明という不安定さがもたらす、一発の破壊力だったが、普段なら縁のない阪神内回りのディープには、高速馬場の利点も活かせたのだろう。

筆者はラッキーライラックもサラキアも、ノームコアについても色々調べたことがあるから知っていることもあるのだが、ジャパンCダートが阪神に変更されたことで生じた、直線一本勝負型の魅力は、ダラダラと坂を上って下っての中で先行馬に余計なリードを与えかねない京都よりも、展開が本当にハマる差し馬というのは生まれやすかったのかもしれない。

本当は差し馬なのに、色々な迷いがあって、ワンターンやら左回りやらを狙ったことを好機としていた筆者とすると、結局、小倉巧者が成長したのだという結論で落ち着くことになった。

残念ながら、スーパースターになれないからこそ、こういう生き抜き方が性に合っていたということも言えるわけだが、陣営からするとどう扱っていいか本当にわからなかった血統馬のために、やっと、正しい施しの仕方が見えただけでも、まだまだ若い鞍上と本当に若い調教師にとっては、いい経験になったはずだ。

筆者だけ、間違っていたのである。

ラヴズオンリーユーは本調子に戻り切る前に、本番を迎えたのだろうが、見せ場は作った。

ミルコとしても、やるべきことはした。

でも、昨年のラッキーライラックとは違って、クラシックウイナーになってしまったがために、成長力も相当奪われたことになる。

運命を分かつ何かがあったとすれば、2歳時の2勝目でも、京都の内回りで1:33.6という本番並みの時計で駆けてしまったことが挙げられる。

それに惑わされなかったのは、もっと短い距離に向く新馬戦の走破タイムがそれくらいだったグランアレグリアだけ。

どこかでおかしくなることはあっても、必ず戻ってくる。

そういうことばかり信じすぎると、ずっと戻らない。

一度、もっと違うカテゴリーでリフレッシュした方がいいかもしれない。

面白かったのは、ウインマリリンだろう。

溜めたいという希望が必ずあったから、図らずも先行の父の後ろでじっとする形になって、直線では東京の時の溜めを再現。
冬毛ぼうぼう写真を何度か見ているうちに、かなり自信を失った筆者だったが、自分の競馬で最高の粘り込みを見せた武史騎手のナイスファイトで救われた気分だ。

正しくあろうとすると、こういう不思議な戦略になるが、それはオールカマー勝ちのセンテリュオも同じで、3歳馬も含めよく頑張っていたが、上の3頭ほどの経験値も、現状の実力もないのだから、これはこれで仕方ないだろう。

先行勢で粘ったリアアメリアとウインマリリンは、外枠で台頭の上位勢と比べても、かなり我慢のいる展開だったはずだが、着順以上の価値がある。

ソフトフルートもちゃんと時計勝負に見せ場を作る結果になったわけで、4着以下の面々は、普段なら繋がらない来春のヴィクトリアマイルに、好印象を持って臨めるだろう。

時計勝負の質は違えど、どの馬も、この距離がベストには思えない。

京都巧者のトーセンラー、秋の天皇賞で強烈に追い込んだスピルバーグのいる一族で、自身はトラヴァーズS<米GⅠ>を制したというフラワーアレイを母父に持つラッキーライラックは、父系がズブいかどうかに関係なく、いつどこでダート向きに振れても不思議ではないステイゴールドの血筋であることから、マッチョ化との攻防で、色々と陣営が苦慮してきた経緯がある。

言っても、ベストは若かったまだ負けを知らなかった時代の方が、もっと体つきはラインが芝向きだったから、よくなったり悪くなったりは、ステイゴールドの系統だと態度に出るものが、彼女は体つきに出やすくなるという面がある。

母系にダート向きの可能性を秘めた血を入れたところで、サンデーサイレンス系は相殺する才能を秘めるが、原点に時計勝負向きというラッキーライラックにしかない個性が、ステイゴールド直系の割に出せていたのは、そういったスピード優先の血統の影響もある。

加えて、G1でも常に好勝負だったダイヤモンドビコーが近親という牝系もあって、勝率は低いけれども、条件が噛み合ったらそれなりになれるというマイブッパーズ系の強みも出たか。

勝ち切る条件は前哨戦の方が多いようで、大事な場面で負けた後に、本気を出すところは案外、牝系の良さもあるが、ヘイルトゥリーズン系の持つ底力とも思える。

筆者はそれをロベルト系に求めたが、21世紀の阪神2200Mと言えば、いの一番にステイゴールドが挙がるのは、皆が知っていることである。

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