オークス(優駿牝馬)予想

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本家イギリスのオークス同様、クラシック競走として牝馬戦では最も古い1938年のスタートである優駿牝馬は、無敗による変則三冠達成馬・クリフジが勝った第6回までが阪神で、
戦後の再開に合わせて、秋開催のまま東京の今の条件で固まり、1953年から春の今の時期の開催に落ち着きました。
よって、最初の阪神と東京でしか開催されていないレースで、一度たりとも開催条件に変更のない翌週のダービーと同じく、このレースを開催するために行われている東京競馬といって、過言はありません。
近年、特にここ10年での三冠牝馬の高頻度の誕生により、レース高速化と共に、ここで燃え尽きない挑戦者たちの最初のターニングポイントにもなっていて、3歳限定重賞の枠組みから逸脱するハイレベル戦へと昇華しています。

オークス 21世紀の三冠牝馬

開催年馬名成績
2003年スティルインラブ全て2番人気での勝利
2010年アパパネオークスは同着優勝
2012年 ジェンティルドンナオークスレコードで5馬身差圧勝
2018年 アーモンドアイ
後にGⅠ8勝馬となる
2020年 デアリングタクト現役の無敗三冠牝馬

オークス(優駿牝馬)の特徴

長いのは間違いないので、スローペースの年も多い一方で、昔ほどは強烈なスピード型が登場しない分、それなりの中距離適性がある先行型が登場して、締まったレースが多くなって、
極めて速い時計の決着が増えており、時にダービーよりも速い決着になる年もあるほどで、そうなると、もうダービー馬よりもこちらの勝者の方が以降で有利という構図が出来上がります。

オークス(優駿牝馬)歴代優勝馬

 1着馬
性齢
斤量
騎手
人気
前走
父名
2着馬
性齢
斤量
騎手
人気
前走
父名
3着馬
性齢
斤量
騎手
人気
前走
父名
2011年エリンコート
牝3
55
後藤浩輝
7忘れな草賞①
デュランダル
ピュアブリーゼ
牝3
55
柴田善臣
8フローラS「3」
モンズーン
ホエールキャプチャ
牝3
55
池添謙一
2桜花賞②
クロフネ
2012年ジェンティルドンナ
牝3
55
川田将雅3桜花賞①
ディープインパクト
ヴィルシーナ
牝3
55
内田博幸
2桜花賞②
ディープインパクト
アイスフォーリス
牝3
55
松岡正海
9フローラS②
ステイゴールド
2013年メイショウマンボ
牝3
55
武幸四郎
9桜花賞⑩
スズカマンボ
エバーブロッサム
牝3
55
戸崎圭太
5フローラS<2>
ディープインパクト
デニムアンドルビー
牝3
55
内田博幸
1フローラS<1>
ディープインパクト
2014年ヌーヴォレコルト
牝3
55
岩田康誠
2桜花賞③
ハーツクライ
ハープスター
牝3
55
川田将雅
1桜花賞①
ディープインパクト
バウンスシャッセ
牝3
55
北村宏司
3皐月賞⑪
ゼンノロブロイ
2015年ミッキークイーン
牝3
55
浜中俊
3忘れな草賞①
ディープインパクト
ルージュバック
牝3
55
戸崎圭太
1桜花賞⑨
マンハッタンカフェ
クルミナル
牝3
55
池添謙一
6桜花賞②
ディープインパクト
2016年シンハライト
牝3
55
池添謙一
1桜花賞②
ディープインパクト
チェッキーノ
牝3
55
戸崎圭太
3フローラS①
キングカメハメハ
ビッシュ
牝3
55
M.デムーロ
5フローラS⑤
ディープインパクト
2017年ソウルスターリング
牝3
55
C.ルメール
1桜花賞<3>
フランケル
モズカッチャン
牝3
55
和田竜二
6フローラS①
ハービンジャー
アドマイヤミヤビ
牝3
55
M.デムーロ
2桜花賞<12>
ハーツクライ
2018年アーモンドアイ
牝3
55
C.ルメール
1桜花賞①
ロードカナロア
リリーノーブル
牝3
55
川田将雅
4桜花賞③
ルーラーシップ
ラッキーライラック
牝3
55
石橋脩
2桜花賞②
オルフェーヴル
2019年ラヴズオンリーユー
牝3
55
M.デムーロ
1忘れな草賞①
ディープインパクト
カレンブーケドール
牝3
55
津村明秀
2スイートピーS①
ディープインパクト
クロノジェネシス
牝3
55
北村友一
2桜花賞③
バゴ
2020年デアリングタクト
牝3
55
松山弘平
1桜花賞「1」
エピファネイア
ウインマリリン
牝3
55
横山典弘
7フローラS①
スクリーンヒーロー
ウインマイティー
牝3
55
和田竜二
13忘れな草賞<1>
ゴールドシップ
2021年ユーバーレーベン牝355M.デムーロ1フローラS③ゴールドシップアカイトリノムスメ牝355C.ルメール2桜花賞④ディープインパクトハギノピリナ
牝355
藤懸貴志161勝クラス①キズナ
2022年スターズオンアース牝355C.ルメール
3桜花賞(G1)ドゥラメンテスタニングローズ牝355D.レーン10 フラワーC(G3)キングカメハメハナミュール牝355
横山武史4桜花賞(G1)ハービンジャー
2023年リバティアイランド牝355川田将雅1桜花賞①ドゥラメンテハーパー牝355C.ルメール2桜花賞④ハーツクライドゥーラ牝355斎藤新15桜花賞⑭ドゥラメンテ
2024年チェルヴィニア牝355C.ルメール2桜花賞(G1)ハービンジャーステレンボッシュ牝355戸崎圭太1桜花賞(G1)エピファネイアライトバック牝355坂井瑠星3桜花賞(G1)キズナ

良は無印・○は着順/<稍>「重」【不良】

オークス(優駿牝馬)過去10年のデータベース

 1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1番人気5回2回1回2回50%70%80%
クイーンC勝ち馬0回1回3回3回0%14%57%
阪神JF勝ち馬1回0回1回2回25%25%50%
桜花賞1着3回1回0回4回38%50%50%
桜花賞2着1回1回3回3回13%25%63%
桜花賞3着2回1回1回5回22%33%44%
桜花賞4着0回0回0回6回0%0%0%
桜花賞5着0回0回0回7回0%0%0%
桜花賞6~10着11回1回0回21回4%9%9%
桜花賞11着以下0回0回1回20回0%0%5%
フローラS1着0回3回1回6回0%30%40%
フローラS2着0回2回0回6回0%25%25%
フローラS3着~5着0回1回1回14回0%6%13%
忘れな草賞1着3回0回1回6回30%30%40%
忘れな草賞2着~3着0回1回0回2回0%33%33%
スイートピーS0回1回0回16回0%6%6%
フラワーC0回1回1回30回0%3%6%
皐月賞0回0回1回0回0%0%100%
前走が上位以外のレース0回0回0回16回0%0%0%

三冠馬が出ているということは、人気のある馬が強いレースです。
理由もなく消えるわけがないので、桜花賞から登場の人気馬が圧倒的に強いのは当然のことでしょう。
それと同日開催の忘れな草賞は、2週後のフローラSより間隔が開く分、伏兵には有利。
あと気になるのが、桜花賞の真ん中あたりで入線の馬。
いつも来るわけではなく、馬券になったのが良馬場なのに大波乱だった2回に絡むオークスなので、これも古くからの傾向として、混戦の年は桜花賞の結果より人気などを重視したいところです。

シーザリオやスマイルトゥモロー、時に桜花賞の好走馬も出したフラワーCは常にハイレベルになるとされてきたものが、単なる中山重賞になりかけている傾向がこれ。
馬券になっているのがフローラSでも本番でも2着のエバーブロッサムと、皐月賞に出走後にこちらに回ってきたバウンスシャッセと、タフなローテでもめげなかった面々ばかり。
近年はフラワーCの時計が速くなっている影響もあるのでしょうが、ここでは長すぎるという感じでペースメーカーに終始する馬ばかりが目立ちます。

オークス(優駿牝馬)攻略のポイント

まず強いことが大切ですが、それ以外には、すでに1600と2000で勝ち鞍があるとか、その間の距離で全て好走実績がある、または、桜花賞の前に1800Mで強い勝ち方をしていたとか、
何となくでも、総合力の違いのようなものを見せていた馬が、先ず理由もなく崩れることはないというレースです。
ダービーも一時期、やたらと1番人気ばかり勝っていたことがありましたが、現在、それが5年連続優勝。
血統も実績も優秀な馬ばかりで、穴党はヒモ荒れに期待するしかありません。

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オークス(優駿牝馬)2024の予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り

優駿牝馬2024の予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切りの予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!

歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。

レース名第85回オークス(優駿牝馬)(G1)
グレード重賞(G1)
日程2024年5月19日(日)
発走時間15時40分
開催場所東京競馬場
距離芝2,400m
コース左回り
賞金1億5000万円
レコードタイム2:20.6

オークス(優駿牝馬)予想-予想オッズ/出馬表(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)

オークス(優駿牝馬)の予想オッズと登録馬

オークス2024の予想オッズと登録馬

枠順馬番出走予定馬騎手性齢斤量予想オッズ人気1週前追い切り最終追い切り
11ミアネーロ津村明秀牝355.019.28美浦・ウッド・稍重(津村明)
6F 85.7-69.2-53.2-37.6-11.1(G前仕掛け)
美浦・ウッド・良(津村明)
5F 68.0-52.0-36.8-10.9(G前仕掛け)
12クイーンズウォーク川田将雅牝355.09.76栗東・CW・稍重(川田将)
7F 98.0-66.4-52.0-36.9-11.5(馬なり)
栗東・坂路・良(調教師)
800m 55.9-40.3-26.4-13.0(馬なり)
23エセルフリーダ武藤雅牝355.057.812美浦・ウッド・重(助手)
5F 68.5-53.2-38.1-11.4(強め)
美浦・ウッド・良(助手)
5F 65.5-50.9-36.7-11.2(一杯)
24パレハ田辺裕信牝355.0190.717栗東・CW・稍重(見習)
7F 97.7-66.1-51.3-36.8-11.9(馬なり)
栗東・坂路・良(見習)
800m 53.9-39.7-25.6-12.5(馬なり)
35コガネノソラ石川裕紀人牝355.022.79美浦・ウッド・良(助手)
5F 70.5-55.0-40.1-12.5(馬なり)
美浦・ウッド・良(助手)
5F 66.6-51.6-37.0-11.4(馬なり)
36サンセットビュー三浦皇成牝355.0114.215栗東・CW・稍重(助手)
7F 98.2-66.4-51.6-36.9-11.9(一杯)
栗東・坂路・良(助手)
800m 53.5-38.7-24.7-12.2(馬なり)
47ステレンボッシュ戸崎圭太牝355.02.21美浦・ウッド・稍重(戸崎圭)
5F 65.8-51.3-36.9-11.1(馬なり)
美浦・ウッド・良(助手)
6F 83.6-66.7-50.9-35.6-11.4(馬なり)
48ホーエリート原優介牝355.077.614美浦・ウッド・稍重(原優)
5F 66.8-51.3-36.0-11.2(G前仕掛け)
美浦・ウッド・良(原優)
5F 68.1-52.8-37.1-11.6(馬なり)
59ラヴァンダ岩田望来牝355.043.411栗東・CW・良(田中健)
6F 84.8-67.9-53.2-37.7-11.2(馬なり)
栗東・坂路・良(田中健)
800m 51.1-37.0-24.2-11.9(馬なり)
510アドマイヤベル横山武史牝355.013.87美浦・ウッド・稍重(横山武)
6F 84.0-67.4-52.0-37.5-11.7(馬なり)
美浦・ウッド・良(助手)
5F 69.9-54.7-40.0-12.8(馬なり)
611ヴィントシュティレ北村宏司牝355.0252.2 18-美浦・坂路・良(北村宏)
800m 52.1-37.9-24.9-12.4(馬なり)
612チェルヴィニアC.ルメール牝355.08.34美浦・ウッド・稍重(助手)
7F 97.5-66.4-51.4-37.1-11.1(強め)
美浦・ウッド・良(助手)
6F 84.4-67.8-52.6-38.2-11.6(馬なり)
713スウィープフィート武豊牝355.08.22栗東・坂路・稍重(助手)
800m 52.5-37.9-24.3-12.2(末強め)
栗東・坂路・良(助手)
800m 51.9-37.6-24.3-12.1(馬なり)
714ライトバック坂井瑠星牝355.08.33栗東・CW・稍重(助手)
6F 82.7-66.3-51.3-36.7-11.3(G前気合付)
栗東・CW・良(助手)
6F 83.5-67.8-52.3-37.3-11.5(馬なり)
715サフィラ松山弘平牝355.038.5 10栗東・CW・稍重(松山弘)
6F 85.5-69.9-54.7-38.3-11.1(馬なり)
栗東・坂路・良(助手)
800m 56.3-41.2-26.3-12.5(馬なり)
816ショウナンマヌエラ岩田康誠牝355.0126.216栗東・坂路・稍重(助手)
800m 57.5-41.5-26.2-12.2(馬なり)
栗東・坂路・良(助手)
800m 55.4-40.1-25.9-12.6(末強め)
817タガノエルピーダM.デムーロ牝355.09.05栗東・CW・稍重(M.デムーロ)
6F 83.7-67.8-53.2-38.1-11.8(馬なり)
栗東・CW・良(M.デムーロ)
6F 86.8-70.2-54.5-38.3-11.7(G前仕掛け)
818ランスオブクイーン横山和生牝355.074.113栗東・CW・良(城戸義)
5F 70.4-54.0-37.8-11.2(馬なり)
栗東・CW・稍重(横山和)
5F 70.4-53.8-37.9-11.4(馬なり)
脚質1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
逃げ馬1回1回0回19回4.8%9.5%9.5%
先行馬1回5回3回62回1.4%8.5%12.7%
差し馬15回11回15回127回8.9%15.5%24.4%
追い込み馬4回2回2回88回4.2%6.3%8.3%
枠順1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1枠2回5回3回30回5.0%17.5%25.0%
2枠5回1回1回31回13.2%15.8%18.4%
3枠1回2回3回33回2.6%7.7%15.4%
4枠1回2回3回34回2.5%7.5%15.0%
5枠4回3回3回30回10.0%17.5%25.0%
6枠0回1回2回37回0.0%2.5%7.5%
7枠5回3回3回49回8.3%13.3%18.3%
8枠3回2回2回52回5.1%8.5%11.9%
種牡馬1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
ディープインパクト27回28回23回152回11.7%23.9%33.9%
ハーツクライ16回10回9回120回10.3%16.8%22.6%
ドゥラメンテ11回7回7回30回20.0%32.7%45.5%
ハービンジャー10回11回6回67回10.6%22.3%28.7%
キングカメハメハ9回7回2回49回13.4%23.9%26.9%
ルーラーシップ8回15回8回77回7.4%21.3%28.7%
オルフェーヴル7回4回5回41回12.3%19.3%28.1%
ゴールドシップ5回6回10回83回4.8%10.6%20.2%
エピファネイア5回5回6回38回9.3%18.5%29.6%
ステイゴールド4回2回2回35回9.3%14.0%18.6%

オークス(優駿牝馬)2024 - 過去10年のデータ傾向

意外と、1番人気におんぶにだっこという年ほど、実力勝負になっていない

2013年から2020年のデアリングタクト無敗制覇まで8度の期間は、全て、1番人気が好走している。

内訳は、桜花賞馬が3頭、その他桜花賞からの継続1番人気馬がルージュバックとソウルスターリング<共に桜花賞直前まで無敗>、桜花賞僅差2着のシンハライトが有力馬のローテ選択と故障に伴い自然な流れで断然支持に応えたのが1回あって、また、忘れな草賞組を含め、トライアルウイナーが2頭絡んでラヴズオンリーユーが無敗制覇、という内容。

近年も、大本線の根幹距離主要路線を形成する阪神ジュベナイルフィリーズ→桜花賞の王道から、昨年もリバティアイランドがやりたい放題の内容で独走ウインを決めていたものの、その前の2年は消えていた。

まさにその王道のグループが人気になり、フィットしないものがあったかのような完敗。

この点で、サークルオブライフとよく似たキャリア、バックボーンのステレンボッシュが乗り替わり以上の不安点を抱えることとなったが、ジュベナイルの内容を踏まえた時、リバティアイランドと時計水準に差がないから、軸としては堅いのであろう。

また、1番人気が消えた時、2着馬はトライアルなどを経て、秋華賞を制している。

不思議とそうした時に限って、阪神替わりだったりするのだが、決まって、実力勝負の中距離戦となっていたこととなる。

桜花賞組が強いということは、そのあたりの適性のレベルが不可思議なまま、ついに全貌が見えない状況が秋以降も続き、意外な躓きを招くというのが、デアリングタクトやリバティアイランドの古馬戦での苦闘からも見えてくるから、詰まる所、相手が悪いだけの三冠馬はいい意味で持ち場が決まっていない挑戦すべき立場になったことも影響するが、そこまで強い馬ばかりではないので、歴史上は、名牝決定戦とはなりづらい特殊性の部分に、1番人気が何故強いのかという補強材を加えて、穴一辺倒にならない方向で収めるべきと、但し書きを記しておく。

熱量で上回るジュベナイルフィリーズ組は、最終的に、ここが終着点になってくる傾向

桜花賞までは、意外と、明けの主要オープンを使われた組と互角以上に戦える王道組が、さすがに振り分けしやすい東京のワンハーフマイルか短距離かの2択を迫られた時、絶対数の面でも、年明けから路線に乗ってきたグループの圧に、今ではイメージ通りの形で押し込まれることが増えた。

しかし、3勝3度の2着の着度表から、ソウルスターリング・ユーバーレーベン・リバティアイランドなど、ジュベナイルフィリーズ上位入線組が抜きん出た才能を発揮するような勝ち方をしたのと同時に、ハープスター・リリーノーブル・スタニングローズという川田コネクション<年々、福永祐一化してきた名手はスタニングローズとも2戦2勝で好相性だった>など、ほぼ、最初から主要路線に乗ってきて、うまいこと陰に隠れて、距離適性を磨いて、桜花賞パスで成功パターンを作った再挑戦組など、元より、才能のあったグループの負けられない戦いがハマるケースの多さも少し恒常化の傾向であるから、見逃せない。

完全に終わったわけではないが、ソウルスターリングやユーバーレーベン、リリーノーブルに本質的にはここがオーラスに近かったハープスターなど、牝馬らしい振る舞いをして、儚く散っていった名牝の名もある。

ここまでは持ち堪えられるものの…。実力発揮の有無にかかわらず、最後の大舞台となる牝馬の多さにも留意をしておきたい。

圧倒的に物量で押しているようで、結局、王道である阪神から転戦組が軸にブレのないことを途中加入組が証明している

ほぼ無敗のアーモンドアイと無敗のデアリングタクトの他、シンハライトとモズカッチャンなども加わってくる年明け重賞参戦のグループは、遅まきなのではなく、むしろ、丁寧に好機を自らの選択によって作り出した実力を伴ったグループばかり台頭するので、トライアル勝ちか、はたまた、桜花賞上位人気などの理由がつかない限り、ここでの好走はない。

桜花賞組に関しては、計6勝のうち、桜花賞連対馬が4頭。

ハープスターがいなければ、チューリップ賞と桜花賞も連対だったヌーヴォレコルトは3着であったが、血統を買われた=ハーツクライ産駒の当たり年 2番人気馬。

もう一頭は、クイーンCで大幅体重減の連対も桜花賞除外で忘れな草賞勝利を味方に、桜花賞もここも1番人気のルージュバック撃破のミッキークイーンが例外に近い存在。

その後の活躍は皆が知るところだろう。

簡単に言えば、クラシックに相応しい格のタレントが、単純な能力値の高さで順当に台頭してきたというだけのこと。

2着はルージュバック、チェッキーノ<チェルヴィニアの母>、モズカッチャン、カレンブーケドール、ウインマリリン、アカイトリノムスメ、ハーパーなど、ほぼ確実に古馬相手に戦えることをここで示した大物ばかり。

よくレースを見ている人なら、誰でもわかる存在だったわけで、普通に能力を評価すべき馬を2頭、少なくとも買い目に加えることが重要なのだと、ここら辺の経験則を活かしきった狙いの絞り方を推奨したい。

忘れな草賞勝ち馬でありながら、フローラS惜敗組であったユーバーレーベンに近い実績を持つタガノエルピーダ

桜花賞組でもなければ、まして、朝日杯挑戦でジュベナイルフィリーズ非参戦<単に除外されただけだが…>となったタガノエルピーダは、グランアレグリアのようで、まるで違うキャリアをもって、レガレイラの代わりにオークス参戦のような形で、牝馬の王道戦線にようやくの本格参戦と相成った。

忘れな草賞組は、ミッキークイーンやラヴズオンリーユーなど、その昔のチョウカイキャロルやエリモエクセルなどのように、多少の格や適距離の調整をしておけば、牡牝に関係なく、どんと来いという男勝りばかりで成功してきており、3着でも、秋以降にG1で肉薄、何度かG1でも好走する格上だった2頭に敗れたウインマイティーも、調子が戻っていったら、牝馬相手よりも道中のプレッシャーが厳しい牡馬相手の方が、いくらか戦いやすい性質を示すようにして、エリザベス女王杯大敗後の有馬記念で、イクイノックスがレースを破壊した後とはいえ、6着に入るという結果を残していた。

タガノエルピーダは、今や天下の世代エース級となったジャンタルマンタル独走の朝日杯フューチュリティSで、堂々、5番人気の3着馬。

後述する厳しい新馬戦で退けたクランフォードは、マジックマンの手を借りながら、東京の1400で平場戦のレベルではない好タイムで快勝したから、オークス狙いとは本来言い難かったこのタレントも、忘れな草賞快勝により、憑き物を振り払ったようなところもあって、ここでは期待。

思えば、2歳の条件戦を走っていた頃から派手に目立ったところのあったウイナーたちと比べ、キャリアの割に案外地味なタガノエルピーダは、2勝目がここであったユーバーレーベン<ジュベナイルフィリーズとフローラSが3着>と同じデムーロ兄を迎え、万全の態勢。

桜花賞回避、未登録組で2勝し、直近の6年で3勝目を今年挙げた時、いよいよ快挙達成となるミルコを目撃した時、新オークス男<定期的に出現する>の誕生も同時に祝うこととなるのだろうが、果たして。

オークス(優駿牝馬)2024- 出走予定馬の血統/成績/タイム

また、モレイラ・ルメール絡みの乗り替わりが発生する状況で、その手の変化に強い、頼りがいのある未来の女傑候補に一票を投じたい

タガノエルピーダの血統

キズナは2013年のダービー・東京優駿ウイナー。

この約10年前にダービーを制したのが母父のキングカメハメハ、2着は種牡馬としてもライバルとなったハーツクライだった。

さらに、年号や干支がひとつ巡るほどの時間を経て、このタガノエルピーダが、桜花賞ではなく、オークスの有力候補として、大舞台に戻ってきたのは偶然ではない。

ファミリーというか、上の兄弟に男馬が多く、また大変に個性派が多いのは、非社台系の日高産の馬であるという影響が肝の部分に関わっているのだが、ケイムホームから快速ダートマイラーのタガノトネール<事故死が悔やまれる晩成の大物>、気難しいブラックタイドからはデイリー杯勝ちの後に障害重賞3勝のタガノエスプレッソ<得意には思えなかった大障害コースでも健闘するのだから、本物のジャンパーであった>、G2で2着2回も2勝のみという定期的に出現する勝ち味に遅い中長距離型のタガノディアマンテはオルフェーヴル産駒。

ある意味では、キングカメハメハの万能性を証明している母タガノレヴェントンの有能さを示した結果ともできるが、もっと内面的なことを探っていくと、きっと複雑な要素が絡んでいそう。

また、その母から3代辿ったところにいるライクリーエクスチェンジというのが、フェアリードールの母母にあたるというバックボーンは、このような繁殖牝馬選定レースでは重要なファクターとなって来そうだ。

その娘は、基礎繁殖牝馬としても非凡な活躍を見せてきたトゥザヴィクトリー。

オークスで微差2着というこの名牝は、5歳時にドバイワールドCで2着に入り、休み明けのエリザベス女王杯で、ケンタッキーダービーもびっくりの5頭大接戦の大一番を武豊の正確な状況判断で、一計を案じた差しの作戦により、唯一のG1制覇を成し遂げる。

何となく、この心身の大物とそっくりな性質持ち合わせていることが、朝日杯健闘やチューリップ賞不発の原因にもなっている気がする。

トゥザヴィクトリーの場合、母母父がエタン系の怪しい性質を伝えるシャーペンアップなので、何となく、そうした面に納得感があったわけだが、トゥザヴィクトリーの女王杯戴冠を1年遅らせたファレノプシスを姉に持つキズナの娘であるタガノエルピーダは、補強材代わりに、トニービンの血を母母父に抱え、絶対的な東京コースへの適性を武器としそうな雰囲気にある。

スワーヴリチャードの仔であるアドマイヤベルやスウィープフィートらはもちろん有利なのだが、ダービーウイナーの血を抱えながら、ダービー馬もオークス馬も複数出したトニービンが入ることで、母母フィバリッシュがジャングルポケットと同じ構成になったことは、究極のオークス戴冠の後押しになる。

スワーヴリチャードもエピファネイアも直系2代で惜しいダービーだったのとは、少し毛色が違うし、最後はこうしたものが後押しするのも不思議なことに多かったりする。

オークス(優駿牝馬)2024 - レース展開と最終予想

近年では、無敗三冠のデアリングタクトが新馬を制し、豪華絢爛な新馬戦で1番人気に応えられなかったブエナビスタ=牝馬二冠 が2戦目を楽勝した舞台でもある京都内回りの1600戦を勝ち上がったタガノエルピーダは、栴檀は双葉より芳しを地で行く、かなりハードな新馬戦を制していた。

逃げ込んだ西村淳也騎手のクランフォードは、後にスプリント戦線やマイルでも大物に育って不思議ないような振る舞いで、超スローの半マイルから、4段階の11秒台高速の後傾ラップを作り、後半を45.5秒で上がったのだが、それを真っすぐに追いかけ、先輩よりも先に大きなタイトルを得た団野大成騎手のタガノエルピーダは、終いが11.0秒が連続する超高水準のスピードマッチを難なくこなし、逃げたクランフォードをコンマ3秒上がりタイムで差をつけ、ゴール寸前は涼しい顔で駆け抜けていた。

勝ちタイムの1:34.3は、12-12オーバーのラップが最初続いたことを踏まえると、開幕2週目の土曜日とはいえ、かなりのハイレベル。

坂の下りだけはある内回りに、大きな上りの障害はないものの、コーナーワークは極めてタイトで、ローカルのそれと同等。

立ち回りもさることながら、足さばきの軽やかさに、このキズナ産駒が秘めた非凡な才能に、多くのファンが目を付けた。

それを証明するかのように、それなりの質のメンバーが揃った朝日杯フューチュリティSで、ジュベナイルフィリーズ不遇の除外もなんのその、ファンが5番目に高く支持した期待の一頭として、勝ったジャンタルマンタルの独壇場であったと同時に、正攻法でモーリス産駒の2頭が自滅する中を、直線でもうひと踏ん張りして粘り込みを図った、終いの脚には見所があった。

2着のエコロヴァルツが、負傷明けの武豊騎手ならではの高度な展開の読みと、即時の的確は判断で、安定の追い込みを炸裂させたという、名手だからこそ可能だった対抗手段の実行が目立ったのに対し、伏兵陣で最も評価を受けたのは、団野騎手が能力を引き出したタガノエルピーダであった。

ところが死角もあったのであろう。

少し渋った稍重馬場のトライアル・チューリップ賞で、いつもの好位付けの策をとったものの、朝日杯と前半のラップは同等でも、イケイケドンドンの巧みなリードでレースを作った藤岡佑介騎手のセキトバイーストが、次のラップで再び11秒台を続け、ここでの溜めがなかったことで、正攻法のタガノエルピーダは前も1頭残し<決まって、逃げ馬以外の先行勢が潰れやすい典型的な前傾>、追い込み脚2発もまともに食らう4着で、断然ではない支持<朝日杯とジュベナイルの勝ちタイムの差が引っかかっていたファンが多くいた証拠>とはいえ、崩れずはずのない舞台で、よもやの敗北を喫したのだった。

想像だにしていなかった陣営は、仕方なしに、基本的な1勝馬の進路として、初手では極めて順当な、リステッドの忘れな草賞を選択。

万が一を防ぐべく、桜花賞もその忘れな草賞もいっぱい勝っている川田将雅騎手を配し、負けられない8頭立ての一戦に挑んだ。

ところが、想像以上に先行勢がやり合って、前半の1000Mだけは、前の2頭が直後の桜花賞と全く同じ58.1秒で飛ばす展開となってしまった。

しかし、妙な具合にラップが落ち着く、朝日杯の経験があるタガノエルピーダ自身がその後、12.8→13.1秒と、破滅的なラップで自壊してしまったグループを徐々に追い詰める鞍上の巧みなレースコントロール技術<その一面がNHKマイルCに凝縮されていた>で、後続の動き出しを早めることで、自信を楽にさせ、格上のタガノエルピーダにも自分らしさを出すのにうってつけの展開に持ち込むことが可能な状況をアシストしてもらったから、追っ手として一番怖い、本命マークでこその岩田康誠・ステラクラウン<川田騎手にもデムーロ騎手にも縁のあるキセキの近親馬>の伸びを奪う、直線の再加速で、想像以上の中距離適性を示した。

終いを自身のラップとしてレースの記録に残した11.9-11.4秒の加速の記録に合わせ、終いが12.1秒は相手が止まったことで自分が楽になった分の減速は、明らかに、展開上の勝負のポイントがその遥か前にあったことを示す証拠。

レースセンスがあるマイラータイプから、総合力勝負の牝馬の選手権距離への挑戦権を、堂々と得るどころか、中弛みも再加速も両方経験したこの2000M=出世レースでの勝ち星は、怪我の功名にも等しい、大きな副産物となり、王道戦線を突き進むステレンボッシュなどの人気勢に挑むには、お釣りが付いてきそうなほど、今度はアドヴァンテージを作って、暑さと長距離輸送の負担にのみ、主眼が置かれる最低限の心配事を残すだけの、有力な新規加入組となった。

無理やりという感じもあった鹿戸厩舎のビッシュを正攻法に近い中団前からの強気の抜け出しで3着に持ってきて、翌年の桜花賞惨敗のクイーンC勝ち馬であるアドマイヤミヤビも同じ着順に連れてきたミルコ・デムーロ騎手は、単騎免許で欧州に主戦場を置く騎手としては稀である、4月後半まで日本で騎乗するスタンスをとり、出稼ぎムードの秋参戦のグループとは異にする存在であった関係で、2003年のネオユニヴァース三冠全騎乗<1、1、3着=ダービー、菊花賞は免許制度の特例措置をJRA側にとらせたほどの異例の挑戦は成功>を果たし、後に血統のイメージ通りに種牡馬として大きな仕事を果たすスクリーンヒーローでジャパンCを勝つなど、節目節目で、日本競馬の根幹にかかわる重大な場面における好騎乗を繰り返してきた。

その最たるものが、極めつけの血統馬にして、天下のじゃじゃ馬だったドゥラメンテ。

キングカメハメハもアドマイヤグルーヴもその母であるエアグルーヴも、競馬史に残るようなパフォーマンス、結果を残した名馬だったが、そうした血統背景を凝縮したような激しいクラシック二冠のパフォーマンスは、当時、通年免許取得初年度のデムーロ騎手にとっては、追い風に乗った中での快挙ともなった。

しかし、意外にも、さすがに5月には本国に帰っていたミルコが、ダービーをよく勝っている、皐月賞は毎年来ていたイメージに反し、日本で騎乗することがメインになってから、この優駿牝馬競走では【2・0・2・4】、加えて、昨年のエミューがかなりの低支持だったのに対し、その他は基本的に5番人気以内の結果であり、毎年このレースでは好結果が求められてきて、そのような確かな実績を残してきている。

同年にJRAに入った友人でありライバルでもあるルメール騎手は3勝もしているが、桜花賞馬で2勝、もう一頭も無敗の2歳女王での勝利で、特異な桜花賞回避組の2勝であるデムーロ騎手には、思われている以上の適性がある。

絶妙な陣営の采配であり、朝日杯で悲惨な最期を迎えたタガノテイオーから続く、G1での呪縛から<タガノトネールも似たものがある>解放されたい八木良司オーナーにとっても、大きな挑戦、前哨戦最強という影なるイメージを払しょくするうってつけの舞台に、斉藤崇史調教師共々、堂々参戦してきた点で、不安はほとんどない状況。

王道が強いのは、当然、皐月賞→ダービー・東京優駿の路線が、揉まれた経験によって、結果が大きく左右されることを示す歴史の積み重ねが繰り返されてきた影響も関わっているから、ある意味、多頭数のオークス、ダービー<ケンタッキーダービー、オークスとは少しポジションは違うが、芝では毎年15頭以上集まる12F以上のクラシック戦が恒常化している国は稀なのであり、こちらの特異な傾向に偏った日本ならでは事情が絡む話。

キャリアの浅い馬の本番での全能力発揮を基本とするのが、3歳王道戦線の本筋であるなら、負担の少ない馬の方が、今風のローテに合わせてもっと活躍するはずだが、東京や多頭数の主要重賞の経験がどこかで必要な2400の第二冠戦は、経験豊富なテクニシャンのタガノエルピーダに味方しそうな状況である。

ジュベナイルフィリーズも桜花賞も時計がすごかった。

ステレンボッシュは関東馬、国枝厩舎を味方につける以外に、勝ち筋は見えず、その下の組は、少し同格とは言えない。

層が薄いのではなく、G1では2強体制だったことも影響してくる。

ステレンボッシュは崩れないはずだが、まだ余力のあるタガノエルピーダは、暮れの時点で、もうジュベナイルフィリーズ組と互角と評価されていた。

実力だけでは負かせない相手だが、妙なレースを沢山経ているタガノエルピーダは、デムーロテン乗り以上のタフな戦いを身をもって、そして、負けることで力に変えてきたという前走結果が決め手。

十分に期待に応えてくれるだけの才能も、鞍上からのアシストも受けられるほど、タガノエルピーダには豊かな可能性がある。

オークス(優駿牝馬) 過去の予想と結果