2023年オークス(優駿牝馬)【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着リバティアイランド(1.4倍)2着ハーパー(8.8倍)3着ドゥーラ(103.4倍)

レース名第84回オークス(優駿牝馬)
日程2023年5月21日
優勝馬リバティアイランド
優勝騎手川田 将雅
勝ちタイム2:23.1
馬場
3連単配当34,140円

2023年オークス(優駿牝馬) - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
15リバティアイランド2:23.1-
212ハーパー2:24.16
313ドゥーラ2:24.1クビ
41ラヴェル2:24.23/4
517シンリョクカ2:24.43/4
単勝5140円
複勝5110円
複勝12180円
複勝131,090円
枠連3-6490円
ワイド5-12300円
ワイド5-132,610円
ワイド12-138,810円
馬連5-12590円
馬単5-12680円
3連複5-12-1316,840円
3連単5-12-1334,140円

2023年オークス(優駿牝馬) - レース後コメント(騎手/厩舎)

「リズム良く走ることが出来ました。何より東京への輸送もあり、桜花賞に使ったこともあり、テンションがだいぶ上がっている状況でもありましたので、そこを何とかなだめながら、まだだよという事を伝えながらという所でした。無事に春二冠をとることが出来ましたので、本当に無事に次のレースに向かっていけたらと思いますので、この馬が走る所が決まりましたら、そこに楽しみを持って待って頂ければと思いますし、またしっかり応援してあげて頂けたらと思っています」

※優勝した川田将雅騎手のコメント(リバティアイランド)

2023年オークス(優駿牝馬) - レース結果動画(YouTube)

2023年オークス(優駿牝馬) - 回顧

近年で三冠全てを勝ち取った、2012年のジェンティルドンナ<テン乗りの川田将雅騎手>、2018年のアーモンドアイ<謎の顕彰馬選考で落選の最強牝馬>との、まさにミックスというのような理想のレース運びで、当たり前が当然のことであるというような競馬で、圧勝。
リバティアイランドにとっての同性の敵は、スローの瞬発力勝負におけるラヴェルのような、何か普通ではない何かを持っている馬でなければ、太刀打ちさえもできないということだろう。

ダービーを勝っている川田騎手であるから、その前に、プレッシャーのかかる桜花賞馬で圧勝のこのレースを制した経験も含めれば、普通の立ち回りをすることは難しくなかったのかもしれない。
決して、理想の桜花賞というレースの経過ではなかったかもしれないが、厩舎を含め、全体的にこの馬で勝たねばならないという空気が、妙な具合で、ただでさえ慎重な好漢・中内田充正調教師は、負けても不思議はないというような感じで、漠然とした距離不安を口にしたほどだたったが、これは完璧に、わざわざオークス仕様に仕上げたという、普通くらい出来に映る、現時点で長めの距離をこなすためのできる範囲の策をすべて講じた結果ということになる。

アーモンドアイは、マッチョになっていった晩年は完全に中距離で怪しいくらいのパワフルさを誇ったが、このレースを勝った時の馬体重は、466kgであった。
奇しくも、マイラー説に逆転の根拠を求めたあの時の筆者と同じ論法を繰り出した、正攻法のアンチで立ち向かった穴党を絶望させるように、桜花賞でもその馬体重だったリバティアイランドは、このオークスという厳しい大舞台でも同じ目方。
敵は有力馬ほど、実際は内在するスピード能力の反作用効果で距離限界を示すというレースの歴史からして、間違いの起きない状態であったという点で、苦手であっただろうこうした距離の競馬も制したのだから、世界に名を轟かせること間違いなしの中内田調教師には、自信をつけてもらいたい1勝になった。
体が出来てから、違う作り方をするのが常道。
ファンもその点を学ぶ、とてもいい機会であった。

大本命馬徹底マークに適した、フルゲートの6枠を引き当てたハーパー・ルメール騎手は、少し前のダービーで、コントレイルの無敗二冠を阻止するための理想の追撃を行ったが、その際は、反応の差が大きすぎて、パートナーのワーケアの方がギブアップだったが、出世レースのクイーンCで接戦を制した、少し危ない面も秘める若々しいこの牝馬には、底力全開の手法にこれが最も適したものだったのだろう。
ハーパーの走破タイムは、勝ち馬とちょうど1秒離された2:24.1。
奇しくも、ペースこそ少し異なるが、無敗の三冠馬と同タイムでオークスを走っているのだから、不運以外の何物でもない。
ルメール騎手はおそらく、これ以上はないことを理解した上で、ハーパーを絶賛するのだろう。

褒めても仕方がないというレベルで、まさに別次元の景色を展望するリバティアイランド&川田騎手の黄金コンビに対し、一度は途切れた信頼の手綱が、大舞台で復活となった斎藤新騎手とドゥーラは、大敗に等しい結果でも、ファンを喜ばせた。
無論、穴党が大喜びなのだが。(笑)

暮れのジュベナイルフィリーズでは、ペースが危険なレベルのハイペースで馬も戸惑ったのだろうが、序盤で大きく置かれてしまって、リバティアイランド以外に出番のない外からの抜け出しを選ばなかった主戦であった斎藤騎手の、正しい判断がここで活きた印象もある。
置かれてもいい脚を使ったという経験は、まだ若く、挑戦を続けねばならない鞍上のキャリアからして、この一手で勝負という穴評価でかえって強気になれる要素にもなった。
少しもたつくところがあるのは仕方ないが、先に抜け出して、もう着差の判別が不能レベルで独走態勢の勝ち馬よりも、見た目の他馬との接近度合いでは、むしろ、末脚がこのコンビほど目立っていたから、おじさんは何だか楽しくなってくる。
リバティアイランドが勝つだけでは物足りない、ドラマ性を求めるコアなファンは、こうしたストーリーに心を打たれるが、下ろされたことを恨みに思わないからこそ、この3着がある。
斎藤新の今後に期待するしかない。

ライトクオンタム・田辺騎手、イングランドアイズ・横山和騎手に加え、またG1奪取に向けてのリスタートを切った三浦騎手のキミノナハマリアなどが、いくらか外行きの先行。
おかげで、正式記録は1000M通過では、何と60秒ちょうど。
59秒台で通過するレースになってしまうこともあるが、正攻法で挑んだリバティアイランドとハーパーは、総合力と若干の本質的な距離適性で、両者、他とは別格の印象。
その中で、徹底マークも直線だけで1秒離された連対両者は、自身の上がりでも0.8秒違う。
距離適性やどうこうは、ドゥーラなどと同レベルであるかが重要なのであって、秘めるスタミナが望外に豊かだった正攻法組の頑張り屋・ラヴェル<ジュベナイルフィリーズからドゥーラなどと共に不発続きの2歳S勝ち馬>は、絶賛すべき4着。
シンリョクカもさすがにまともな本命格マークでは、総合力で及ばないが、ラヴェルとの位置取りの差の分で5着という結果。

牡馬は怪しいが、牝馬は今年も才能豊かな面々が多く揃いそうという期待感は、リバティアイランド1強で何だか水泡に帰したものの、桜花賞とのかなり違うレース展開で、勝ち方まで違うリバティアイランド以外も、今後は楽しみ。
とはいえ、上がりがまたしても最速のリバティアイランドは、平均的中距離G1の展開から、3Fも脚は使っていないだろうに、最後も瞬間移動するがごとき34.0秒という究極に近い決め手を繰り出している。

同父で昨年二冠のスターズオンアースが、上がりは33.7秒で時計はリバティアイランドより0.8秒劣る。
昨年のイメージ通りにルメール騎手が乗ったのなら、スターズオンアースがハーパーと同格である可能性さえある。
恐ろしいが、この結果により、スターズオンアースやイクイノックスなど4歳のスターに跨るルメール騎手は、リバティアイランド倒しの秘策を練っていくことになる。
勝った経験もあれば、負けた経験もある名手との、至極の頭脳戦がいよいよ本格化するのであろう。
ファンの視点は、こうした対ルメールの川田将雅が考えるであろう戦略の読みが、様々な場面で重要となってくるが、天下の川田は、いよいよリーサルウェポンを手に入れて、さあどうする、となってきた。

コントレイルを倒すために、福永元騎手と同じくらい様々な策を繰り出したルメール騎手は、最初のG1であったホープフルSと最後のジャパンCまで、いつも何か期待できる馬に騎乗しては、本当に強い馬でしか勝てなかったという記憶をたどると、イクイノックスあたりが本当のライバルになるのでは…。
キレで負けない馬といよいよ出くわすこととなった名手が、暮れ辺りに彼女と対戦することになった時、何を画策するのかどうか。
このオークスがもたらした豊かな可能性は、彼女自身だけではなく、日本競馬そのものを動かすインパクトはあった。
決して、言い過ぎではないだろう。
何しろ、リバティアイランドはまだ未完成なのだから。

もうひとつはっきりしたのは、ハーパーあたりでも、この日は出番なしのコナコーストやペリファーニアにもいくらでもチャンスがあるということにもなってくるということ。
桜花賞ではほとんど同じ位置でゴールした面々に、川田騎手も絶賛のファンによる逆サービスが徹底された好レースには、様々な新時代に向けた独特の競馬文化を持つこの国の大レースの負のスパイラルが、ようやく途切れたことで、ますますの進展が望まれる。
川田騎手の大切にしたい思いが伝わっただけでも、相互理解できた信頼関係が、もっと素晴らしいレースとの出会いに繋がることは間違いない。