皐月賞 予想

スプリンターズSを予想

言わずと知れた、牡馬クラシックの第一関門。

2020年は、実に、9年ぶりの三冠馬誕生により、例年以上に重要な意味を持った皐月賞ですが、横浜競馬場で戦前から始まったレースの歴史上、今と同じ中山の皐月賞から三冠を制したというのは、
意外と少なく、前回のオルフェーヴルも震災の影響で中山競馬場が使えなかったことで、翌週の東京で関東圏での競馬再開共に、オークストライアルと同週開催が行われ、結果、その全てが歴史に残ることになりました。


横浜のセントライト、シンザンとそのオルフェーヴルが東京開催と、ダービーと菊花賞が決まった競馬場行われるのに対し、何かが起きる時に限って、中山でないことが多いのが、この皐月賞なのです。

中山開催の皐月賞から三冠達成

1983年ミスターシービー
1984年シンボリルドルフ
1994年ナリタブライアン
2005年ディープインパクト
2020年コントレイル

歴史的1番人気の勝者

開催年馬名備考
1951年トキノミノル無敗の二冠馬
1970年タニノムーティエ二冠馬/アローエクスプレスとの名勝負
2001年アグネスタキオン母仔2代無敗でクラシック制覇
2010年ヴィクトワールピサ父仔2代皐月賞制覇/翌春ドバイワールドC優勝

皐月賞の特徴

小回りの2000Mコースで、近年は雨にたたられることも増え、大昔も多かったかなり厳しい馬場状態でのレースが多くなっていますが、そうでないと、今度は究極の快時計決着になるため、
ただでさえ、力量差がはっきりしない上に、馬場読みが極めて困難な年もあって、クラシック初戦というより、世代チャンピオンが早速決定する位置づけになりつつあります。
競走能力がダイレクトに引き出されるため、どういう顛末になろうとも、弱い馬がたまたま勝つようなことはありません。

皐月賞の歴代優勝馬

 1着馬
性齢
斤量
騎手
人気
前走
父名
2着馬
性齢
斤量
騎手
人気
前走
父名
3着馬
性齢
斤量
騎手
人気
前走
父名
2011年<東京>
オルフェーヴル
牡3
57
池添謙一
4スプリングS①・阪神
ステイゴールド
サダムパテック
牡3
57
岩田康誠
1弥生賞①
フジキセキ
ダノンバラード
牡3
57
武豊
8共同通信杯⑨
ディープインパクト
<2012年>
ゴールドシップ
牡3
57
内田博幸
4共同通信杯①
ステイゴールド
ワールドエース
牡3
57
福永祐一
2若葉S<1>
ディープインパクト
ディープブリランテ
牡3
57
岩田康誠
3スプリングS「2」
ディープインパクト
2013年
ロゴタイプ
牡3
57
M.デムーロ
1スプリングS①
ローエングリン
エピファネイア
牡3
57
福永祐一
2弥生賞④
シンボリクリスエス
コディーノ
牡3
57
横山典弘
3弥生賞③
キングカメハメハ
2014年
イスラボニータ
牡3
57
蛯名正義
2共同通信杯①
フジキセキ
トゥザワールド
牡3
57
川田将雅
1弥生賞①
キングカメハメハ
ウインフルブルーム
牡3
57
柴田大知
8若葉S②
スペシャルウィーク
2015年
ドゥラメンテ
牡3
57
M.デムーロ
3共同通信杯②
キングカメハメハ
リアルスティール
牡3
57
福永祐一
2スプリングS②
ディープインパクト
キタサンブラック
牡3
57
浜中俊
4スプリングS①
ブラックタイド
2016年
ディーマジェスティ
牡3
57
蛯名正義
8共同通信杯<1>
ディープインパクト
マカヒキ
牡3

57
川田将雅
3弥生賞①
ディープインパクト
サトノダイヤモンド
牡3
57
C.ルメール
1きさらぎ賞①
ディープインパクト
2017年
アルアイン
牡3
57
松山弘平
9毎日杯①
ディープインパクト
ペルシアンナイト
牡3
57
M.デムーロ
4アーリントンC①
ハービンジャー
ダンビュライト
牡3
57
武豊
12弥生賞③
ルーラシップ
<2018年>
エポカドーロ
牡3
57
戸崎圭太
7スプリングS②
オルフェーヴル
サンリヴァル
牡3
57
藤岡佑介
9弥生賞④
ルーラシップ
ジェネラーレウーノ
牡3
57
田辺裕信
8京成杯①
スクリーンヒーロー
2019
サートゥルナーリア
牡3
57
C.ルメール
1ホープフルS①
ロードカナロア
ヴェロックス
牡3
57
川田将雅
4若葉S<1>
ジャスタウェイ
ダノンキングリー
牡3
57
戸崎圭太
3共同通信杯①
ディープインパクト
<2020年>
コントレイル
牡3
57
福永祐一
1ホープフルS①
ディープインパクト
サリオス
牡3
57
D.レーン
3朝日杯フューチュリティS①
ハーツクライ
ガロアクリーク
牡3
57
L.ヒューイットソン
8スプリングS①
キンシャサノキセキ
<2021年>
エフフォーリア牡357横山武史2共同通信杯①エピファネイアタイトルホルダー牡357田辺裕信8ディープインパクト記念①ドゥラメンテステラヴェローチェ
牡357吉田隼人6共同通信杯⑤バゴ
2022年ジオグリフ牡357福永 祐一5共同通信杯(G3)ドレフォンイクイノックス牡357C・ルメール3 東京スポーツ杯2歳S(G2) キタサンブラックドウデュース牡357武豊1報知弥生ディープ記念(G2)ハーツクライ
「2023年」ソールオリエンス牡357横山 武史2京成杯(G3)①キタサンブラックタスティエーラ牡357松山 弘平5報知弥生ディープ記念(G2)①サトノクラウンファントムシーフ牡357C.ルメール1共同通信杯①ハービンジャー

良は無印・○は着順/<稍>「重」【不良】

皐月賞 過去10年のデータベース

 1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1番人気3回2回1回4回30%50%60%
弥生賞勝ち馬0回3回0回6回0%33%33%
スプリングS勝ち馬2回0回2回5回22%22%44%
共同通信杯勝ち馬3回1回1回5回30%40%50%
関東圏3歳重賞勝ち馬4回4回4回25回11%22%32%
関西圏3歳重賞勝ち馬4回2回1回12回13%19%25%
朝日杯参戦馬1回2回3回23回3%10%21%
ホープフルS参戦馬4回2回2回18回15%23%31%
トライアル2着馬1回1回2回22回4%8%15%
連対率100%6回5回4回20回17%31%43%

過去のデータを集計して調べてみると、2歳2000M重賞好走馬から狙いたい傾向にあるのがわかるかと思います。

どんなに這いつくばっても、クラシック競走である以上は、一定の格のようなものが存在していて、その一端がこの傾向に凝縮されています。
ローテーションをより丁寧に組み、押せ押せではなく、ダービーへ向けてのステップとしながら、皐月賞も狙うとすると、もう2歳の時点でクラシック適性を確定させていた馬に圧倒的に有利、
言い換えれば、強いと証明された時点で、まずは皐月賞で好走が見えているということです。
トライアルが重要でなくなってきた現状で、今まで以上に、このイメージがレースの構図を描くポイントになっています。

3歳重賞の結果はダービー以降で反映される

上記した内容と繋がる傾向は、この不安定な東西の明け3歳重賞の勝者たちの結果に表れています。
一時期より、共同通信杯という極めて余裕を持った中8週ローテも、その質にばらつきも出ていて、そこまで信用ならないという状況。
2着には来るというくらいの認識で、人気では妙味がないとするのがいいでしょう。

こちらのデータベースの「関東圏3歳重賞勝ち馬」「関西圏3歳重賞勝ち馬」の集計結果を見てください。

上記した内容と繋がる傾向は、この不安定な東西の明け3歳重賞の勝者たちの結果に表れています。
一時期より、共同通信杯という極めて余裕を持った中8週ローテも、その質にばらつきも出ていて、そこまで信用ならないという状況。
2着には来るというくらいの認識で、人気では妙味がないとするのがいいでしょう。

皐月賞の攻略ポイント

近10年の勝ち馬が、休み明けか前走1800重賞の連対馬ということからも、ストレスをより少なくして挑んだダービーを目指すローテを組んでいる馬が、どうしても有利な傾向がはっきり出てきました。
時代の要請と言えばそれまででしょうが、トライアルが絶対的な時代はもうやってこないとしても、今は大げさではないでしょう。
大混戦模様の年に限り、逆張りする以外は、トライアルで好内容の馬ほど疲れていると見たいところです。

皐月賞の予想 過去10年間のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り

皐月賞の予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!

歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。

レース名第83回皐月賞 (G1)
グレード重賞(G1)
日程2023年4月16日(日)
発走時間15:40
開催場所中山競馬場
距離芝2000m
コース右回り
賞金2億円
レコードタイム1:57.8

皐月賞2023の予想オッズ/出馬表(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)

皐月賞2023の予想オッズと登録馬

枠順馬番出走予定馬騎手性齢斤量予想オッズ人気1週前追い切り最終追い切り
11ソールオリエンス横山 武史牡357.04.42美浦・南W・良(横山武)
6F 80.8-64.9-50.3-36.2-11.1(直一杯)
美浦・南W・良(横山武)
6F 83.8-68.1-53.0-37.3-11.2(馬なり)
12ワンダイレクト藤岡 佑介牡357.0131.814栗東・CW・良(助手)
5F 65.7-50.6-35.9-11.2(一杯)
栗東・CW・良(藤岡佑)
5F 66.3-50.9-36.5-11.2(強め)
23グリューネグリーン石川 裕紀人牡357.0155.716美浦・南W・良(石川裕)
5F 67.6-52.7-37.9-11.2(強め)
美浦・南W・良(石川裕)
5F 66.6-51.8-37.7-11.5(G前仕掛け)
24ショウナンバシットM.デムーロ牡357.071.212栗東・CW・良(M.デムーロ)
5F 67.3-51.9-36.9-11.4(馬なり)
栗東・坂路・良(助手)
800m 52.8-37.8-24.5-12.3(強め)
35フリームファクシD.レーン牡357.07.84栗東・CW・良(酒井学)
5F 66.8-51.6-36.7-11.4(馬なり)
栗東・坂路・良(酒井学)
800m 54.0-38.5-24.3-11.9(末強め)
36ウインオーディン三浦 皇成牡357.0100.413美浦・南W・良(三浦)
6F 83.6-67.3-51.7-37.4-11.6(馬なり)
美浦・南W・良(三浦)
6F 81.6-65.7-51.3-37.7-11.9(馬なり)
47ファントムシーフC.ルメール牡357.03.21栗東・CW・良(ルメール)
6F 80.3-65.1-50.8-36.2-11.5(稍一杯)
栗東・CW・良(ルメール)
6F 83.6-67.4-52.1-36.6-11.2(馬なり)
48トップナイフ横山 典弘牡357.08.35栗東・CW・良(横山典)
6F 83.6-68.1-53.0-37.7-11.3(強め)
栗東・CW・良(横山典)
6F 86.6-72.0-57.0-41.2-13.1(馬なり)
59ホウオウビスケッツ横山 和生牡357.027.210美浦・南W・良(横山和)
5F 66.0-50.8-36.9-10.9(直強め)
美浦・南W・良(助手)
5F 67.9-51.7-37.1-11.8(馬なり)
510ラスハンメル石橋 脩牡357.0183.818栗東・CW・良(助手)
6F 81.2-66.1-52.0-37.0-11.5(叩き一杯)
栗東・CW・良(助手)
7F 97.3-66.4-52.2-37.5-11.7(一杯)
611シャザーン岩田 望来牡357.021.89栗東・CW・良(岩田望)
7F 99.1-67.2-52.2-36.8-11.5(一杯)
栗東・坂路・良(助手)
800m 53.0-37.9-24.5-12.1(馬なり)
612ダノンタッチダウン川田 将雅牡357.017.68栗東・CW・良(川田)
7F 99.7-68.4-53.9-38.3-11.7(G前仕掛け)
栗東・坂路・良(助手)
800m 54.8-39.7-25.1-12.0(馬なり)
713グラニット嶋田 純次牡357.0161.417美浦・坂路・良(嶋田)
800m 54.8-39.9-25.5-12.4(馬なり)
美浦・南W・良(嶋田)
5F 68.2-53.4-38.9-12.0(馬なり)
714タスティエーラ松山 弘平牡357.010.37美浦・南W・良(松山)
5F 68.8-53.0-38.2-12.2(馬なり)
美浦・南W・良(助手)
6F 81.5-66.2-50.8-36.7-11.5(馬なり)
715ベラジオオペラ田辺 裕信牡357.07.13栗東・CW・良(田辺)
6F 82.8-68.3-53.7-38.2-11.6(馬なり)
栗東・CW・良(助手)
6F 84.3-68.9-53.7-38.8-11.8(馬なり)
816タッチウッド武 豊牡357.09.96栗東・CW・良(武豊)
7F 97.2-65.4-51.0-36.3-11.6(一杯)
栗東・坂路・良(調教師)
800m 53.6-39.0-25.2-12.5(馬なり)
817メタルスピード津村 明秀牡357.0141.615美浦・南W・良(助手)
6F 81.4-65.4-51.1-37.0-11.5(直強め)
美浦・南W・良(津村)
6F 82.3-66.2-51.5-37.1-11.2(馬なり)
818マイネルラウレア戸崎 圭太牡357.034.011栗東・坂路・良(助手)
800m 51.7-37.8-24.2-12.0(強め)
栗東・坂路・良(助手)
800m 52.3-38.4-24.6-12.2(馬なり)
脚質1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
逃げ馬2回2回2回19回8.0%16.0%24.0%
先行馬6回7回5回53回8.5%18.3%25.4%
差し馬12回7回11回126回7.7%12.2%19.2%
追い込み馬0回4回2回95回0.0%4.0%5.9%
枠順1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1枠2回2回2回33回5.1%10.3%15.4%
2枠2回3回2回33回5.0%12.5%17.5%
3枠2回2回2回34回5.0%10.0%15.0%
4枠3回3回2回32回7.5%15.0%20.0%
5枠0回3回3回34回0.0%7.5%15.0%
6枠3回0回4回33回7.5%7.5%17.5%
7枠5回3回2回47回8.8%14.0%17.5%
8枠3回4回3回47回5.3%12.3%17.5%
種牡馬1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
ディープインパクト29回30回23回131回13.6%27.7%38.5%
ハーツクライ23回19回16回144回11.4%20.8%28.7%
ハービンジャー16回12回16回132回9.1%15.9%25.0%
ルーラーシップ13回11回18回122回7.9%14.6%25.6%
エピファネイア12回11回12回71回11.3%21.7%33.0%
ロードカナロア10回6回7回55回12.8%20.5%29.5%
キングカメハメハ9回9回8回50回11.8%23.7%34.2%
モーリス9回8回6回50回15.0%28.3%38.3%
オルフェーヴル8回10回6回96回6.7%15.0%20.0%
スクリーンヒーロー7回9回2回59回9.1%20.8%23.4%

皐月賞2023 - 過去10年のデータ傾向

人気になって損というほど、過剰支持が不利ではない一方、割に合わないという見解が妥当

無敗馬のサートゥルナーリア、コントレイルらが勝利。
ただ、同じように負けていなかった馬や連勝中の馬では、トゥザワールド、サトノクラウン、サトノダイヤモンド、牝馬のファンディーナらが、実質的には完敗の内容。
前走内容は良かったが、ダービー狙いであったり、ファンディーナは枠を飛び越えた挑戦が実らず、いずれもが、調子今一つの感じでライバル視していた組や伏兵陣にねじ伏せられた。

他だと、2歳王者で共通のロゴタイプ、ドウデュース、ダノンザキッドらが、妙な感じがあったトライアル負けの組は連外し、難なくトライアル勝ちのロゴタイプだけが勝ち抜け。
一応、前走朝日杯のサリオスも好走というか、普通は勝っている内容であったから、無敗の4連勝グループの誕生は望ましい展開だが、そうした馬はいないから、やはり、割に合わない。
ベラジオオペラが人気にならないと、ファントムシーフやタスティエーラらが常識的な支持を毎度繰り返す、良識派の票数を伸ばして、上位人気確実だろうが、どれも疑い出したらキリがない。
関東3大前哨戦2着グループのタッチウッド、トップナイフ、ホウオウビスケッツらが過剰に支持を落とすようなら、こちらを押さえたらいいという思考に転ずるために活用したい傾向であろう。

重賞実績に乏しいトライアル好走馬は信用できないことも多い一方、一番、穴で面白い存在

タスティエーラ、ベラジオオペラ、ホウオウビスケッツらが、主な候補。
この手の、重賞出走歴も限られ、ほぼワンチャンスで逆転を希望の旗手として、大いに存在感を示そうとする組に関しては、注意すべき部分こそ多くあれども、混戦の年ほど、意外なほど正統派は強いとされる。

トライアルで結果を残して、本番でドカンと決めたのは、過去10年では、エポカドーロぐらいなもので、そもそも、異例の積雪連続週開催順延の煽りを受け、フェブラリーSの翌日に行われた共同通信杯を制したイスラボニータの登場以降、正統派トライアル組の勝利もその一例だけ。
この2018年は、断然の2歳王者であったダノンプレミアムが、直前に回避決定で、変な感じでワグネリアンが1番人気に祀り上げられた、実に怪しげなケース。
ワグネリアンは渋馬場と精神面を理由としたバランスの悪さが重なり、無残な掲示板外し。
それがあったからこそ、福永祐一は男になれたわけだが、そこで圧勝したのが正攻法のエポカドーロだった。

実は、この手の馬の好走例は、2014、16、19年の各2000Mトライアルの勝ち馬が、人気になって、力で連続好走してきたダービーも好走の組と合致し、エポカドーロはダービーで惜しすぎる2着だから、距離延長を展望のポイントとすべきか。
勝ち切るなら、スプリングS組であるから、タスティエーラは相手。
ちなみに、3着枠はスプリングS勝ちのキタサンブラックとガロアクリーク。
負かした相手を考えたら、当然の好走だった。前者に関しては、能力という一点で説明はつくのだが。
頭は、近年珍しくなったダイワメジャー、キタサンブラック型のホウオウビスケッツかもしれない。

皐月賞トライアルらしく、急進勢力を歓迎するスプリングSの傾向

キタサンブラックとベラジオオペラが似た感じで、リアルスティールみたいになりたいのがホウオウビスケッツであり、そのどちらにも、エポカドーロのような圧勝劇を演じる資格があるといった解釈がよろしいか。

ディープインパクト記念出走馬は、ドウデュースこそ1番人気でそれなりの見せ場を作ったものの、結局、諸々の面でフィットしなかったから咲いて届かなかった。
明らかにダービーを展望しているのが弥生賞・ディープインパクト記念の組だから、それは仕方のない傾向。
最後のこの2000連戦組ウイナーは、道悪連勝で後に有馬とドバイWC勝ちのビッグネーム・ヴィクトワールピサだから、もう13年出ていないことになる。
その前年は、ロジユニヴァースが自滅で大敗。

スプリングS組は安定して好走馬を出しているから、余裕ローテはハマるとは絶対視できないメンバー構成の今年、敢えて、正統派皐月賞トライアル組を買うのは面白い。
道悪がどちらかのレースのキーワードになってくるから、重の経験があるトライアル好走馬は、結構、有利な点は多い。
ディープ記念組は、序列を一旦下げて、ダービーで狙いたい馬は押さえるべきか。

毎年気になる京成杯勝ちからの直行馬は、消えることはあっても、大物が時折現れては、爪痕を残していく

いいローテとはならないことが大半だが、かつてはエイシンフラッシュがここで好走した勢いで、その他大勢の人気になりすぎた面々をキレで封じるダービーへと繋げた春のクラシックシーンが印象深い。
最近は、よくわからない展開でオーバーペースでないにしても、前が行き過ぎていたようで、後ろからもさせない馬場質で、逃げグループで唯一残ったジェネラーレウーノが同じ休み明けローテで快走。
ただ、いずれも雨馬場の3着。

どうしたって、中途半端なローテになってしまう京成杯好走の連中は、トライアル好走も必要なローテになってしまい、どの道、厳しい組み立てをしていくことを強いられるから、相手はいつも楽だからこそ、本番の相手強化でアワワとなってしまうのは致し方なし。

とはいえ、ジェネラーレウーノはダービーでしくじったが、秋にはセントライト記念勝ち、エイシンフラッシュに至っては、ダービー以降も大レースで何度も好走し、5歳になった年に秋の天皇賞を勝っている。
スケール感で優にクラシック級であることは事実も、ベラジオオペラより遥かに完成度では下回るソールオリエンスを買うことはリスキーであっても、混戦ならば、中山実績を作ったホープフルS組やディープ記念組と合わせて、例年以上に注意しておきたい。
とりわけ、ホープフルSはどこにも繋がらないけれども、レースの質は古馬重賞並みでもあるUAEダービー<南半球産の実質4歳馬が我が物顔で勝つこともあった>で、デルマソトガケには歯が立たなかったが、ダート適性をちゃっかり証明したドゥラエレーデさんの快走により、ひどく低レベルのレッテル張りは通用しない。
その出走馬・セブンマジシャンを置き去りにしたソールオリエンスは、本来は、消すべき存在ではない。

皐月賞2023 - 出走予定馬の血統/成績/タイム

マインドユアビスケッツを日本に連れてきた理由が、ホウオウビスケッツの研究でよくわかったので、彼を推してみます

ホウオウビスケッツの血統

ホウオウビスケッツの母ホウオウサブリナは、マイルCとダービーの変則二冠馬・キングカメハメハの母であるマンファスを父父母と母母に持つので、その3×2を有する。
ギリギリ5代内に組み込まれるノーザンテーストも、直系祖父のニアークティックの母であるLady Angelaを母母に持つことで、同クロスが発生。
万能のラストタイクーン、ダービー・セントレジャー圧勝でスーパーサイアーでもあったハイペリオンが、各々の4×3を形成するが、ファミリー同士のクロスとなると、その濃度がより増してくる。

ホウオウビスケッツの父であるマインドユアビスケッツは、先日行われたドバイ国際競走の本来は重要戦であるゴールデンシャヒーン<ダート1200M>を連覇した名馬。
先に輸入のドレフォンに何度か負けているが、BCスプリントで彼の2着になったことはあるが、勝ったことはなかった。

繋がる北米の快速の血は、母父父オーサムアゲインで共通。
また、そのオーサムアゲインの父であるデピュティミニスターは、このマインドユアビスケッツの代で3×4。
ただ、欧州系の名馬たちのように、ノーザンダンサーが大混雑する配合ではなく、全体のイメージは、隙間という隙間にナスルーラ直系の色々な血が混ざっていることが特徴と言える。
ポッセ<・ザセカンド>の母父は、最近注目される馬に多く含まれるブラッシンググルーム直仔のラーイ。
トセットだと、馴染み深い快速のコジーンが登場する配合。

また、ヘイルトゥリーズンの薄っすらクロスし、ヘイロー・ロベルト・ストップザミュージックがそれぞれ入っていないのが強み。
繋ぎの血がメインに含まれる日本の馬産の事情に鑑みて、北米の快速系統を改良する芝向きへのシフトを本気で狙う素地がしっかりある環境であるからこそ、この血を好んで先行投資し、導入した馬産の未来は、意外と明るい気もしないではない。
欧州圏の怪しげなサドラー・デインヒル地獄からは距離を置き、サンデーサイレンス系の独自発展が進行する裏で、また別の主流を成す芝血統が、今度は日本から発進される可能性が出てきた。
サンデーサイレンスもキングカメハメハ一派も、ヴァイスリージェント系とは抜群の相性を誇る。

 

筆者、血統やこれまでのレース内容を吟味して、妙味たっぷりのトライアル2着で人気落ち確実のホウオウビスケッツ推しを決めた直後、ふと思い出したことがある。
皐月賞というのは、大型馬が強かったな、と。

三冠馬が小柄なまま、少なくとも3歳春までは中型を超えてしまうというケースがまずないことはよく知られる。
近20年の皐月賞馬で、440kgという最軽量の体重で制したのが三冠達成のオルフェーヴルだ。
ディープインパクトは皐月賞が444kgで、ダービーはそれより4kg増えても、大した目方ではなかった。
やんちゃなところというか、ずっと飛び跳ねていたダービー直前の彼は、今や、あまり語られることのないシーンとなったが、幼さを残す面立ちとは対照的に、武豊騎手に大外へと誘われたあとの彼は、誰にもその勝利を奪われることがないことを皆が確信するほど、楽し気に余裕のある独走で全てを魅了した。

その産駒たちも数度皐月賞を制したが、三冠の名跡を受け継ぐとともに、ジャパンC制覇の恐らく唯一の産駒となる事が確定的なコントレイルの場合、父よりひと回り大きかったとはいえ、皐月賞が462→ダービー・460kgという変遷だったが、面白いもので、完成後の4歳、お互いが確勝級のジャパンCを制した時は、それよりもっと少ない馬体重。
コントレイルに至っては、矢作調教師曰く、ほとんど仕上げいなかった新馬戦の456kgで、三冠直後のジャパンCも、オーラスの引退戦も走っている。
3歳時も例年ならば勝っていた内容なので、目方だけなら、これがベストだったのであろう。
父の最少馬体重は、そのJCの436kg。

一方、皐月賞親子制覇も、ディーマジェスティこそ差し馬だったから大きくなかったが、皐月賞完勝の日は476。
翌年のアルアインが518という目方。
サートゥルナーリアの無敗制覇時が496kg。
ちなみに、半兄のエピファネイアは486、リオンディーズも500kgであったので、資格はあったが、例によって、さまざまなことがかみ合わず、サートゥルナーリアだって、ルメール騎手が降着処分を食らわなかっただけで、すぐ後のNHKマイルCでグランアレグリアと共に接触事象を引き起こしたことにより、ダービーで乗れずひどい目に遭ったが、サートゥルナーリアも真っすぐ走っていなかった。
明らかに、シーザリオの血を引く馬の呪縛が関わっている。

小柄な方が、先には続くが、ここを勝つための武器としては、タフさを得た有力の候補の中で抜け出す何を見出せない今年のような混戦のレースで、ギアは軽くなくとも、持続力に富んだいかにも10Fのチャンピオン戦に相応しい馬力を、馬体重というあまりアテにはならない数字でもって、ひとつの可能性を提示することは可能。
ゴールドシップは滅多に体重は減らなかったが、このレースに出てきた時だけは、マイナス8の498kgで出走し、雨馬場のインを突き抜けた。
東京とはいえ、前年のオルフェーヴルが前記の通りで、まるで別のタイプ。
ダービーでは明暗を分ける要素にもなった。

当日どんなに減っても、前走が494kgだから、デビュー戦の488kgを大きく減らさない限り、大型の中距離馬として参戦が出来そうなホウオウビスケッツは、昨年の勝ち馬・ジオグリフとの共通項も多く、彼が490kg台の3頭による肉弾戦を制したことで、その血統的な特性もまた影響してくる気がした。
過去10年で480~520kgの範囲で出走した皐月賞馬が、実に、7頭誕生。
同期間で究極の仕上げをするダービーで、それが一気に減るわけではないが、500kgをわずかに超えたマカヒキ以外は、皆、大型とするには躊躇する400kg台中盤にかかる馬が多い。

皐月賞2023 -レース展開と最終予想

今年出走しそうな大型の部類の馬では、明らかにパーツが大きいダノンタッチダウンだけが520kg以上での出走が濃厚で、タッチウッドも似たようなもの。
クラシックの枠に当てはめると、さすがに大きすぎるか。
ダイワメジャーだけ図抜けて528kgと超大型であり、510kg以上で勝った馬は、これとアルアインだけ。

あとは似たり寄ったりで、ほとんどが500kg前後20kgのスイートスポットに含まれる。
ただし、ホウオウビスケッツは新馬戦が中山マイル、次戦が東京2000、で、前走は中山1800といずれも似たような3完歩目には好位につける、或いは単騎先行してしまうという器用さで、機動力が違う。
ハイペースでも潰れず、新馬戦はいくらか余裕がある感じだったが、追い詰められそうなところから、もうひと踏ん張りを自然とできていた。
陣営がクラシックを意識するのは当然だった。

結果、トライアルで期待したパクスオトマニカの中山適性にも屈することなく、いくらかグラニットが作ったペースは速かったかもしれないが、やや脚を測っていた部分も見られる。
今の横山和生騎手は、それくらいのことはいとも容易くやってのけるほど、馬乗りの技術を極めつつある。
若干、弟の武史騎手に差をつけられそうになったが、そのトライアルで最も次に役立てる結果を残したのは、ベラジオオペラを無敗で皐月賞へと導いた弟ではなく、兄だったような気がする。
その後の日経賞、大阪杯でも、しっかりと仕事をしているのだから、いい流れを掴んでいるのは兄…。
いや、あの日経賞は逆転の布石だったのではと、どこかで、燃えるアスクビクターモアとその陣営を後押しするテン乗りでのリベンジ完遂を決めそうな気もしないではないが…。

中型のソールオリエンスという、また何とも怪しげな父キタサンブラックとは似ても似つかない才能を駆る武史騎手の焦点は、再びのビッグチャンスとなるダービーにあるか。
いや、そこは3度目の戴冠を圧倒的なレースコントロールの技術を駆使し、完全制圧する形でトップナイフか、それに何かあれば別の馬か、いずれにしてもやってくれそうな環境を自ら整えてきた父典弘騎手も、意外と好結果が少なく、セイウンスカイでのテン乗り快勝のみというのでは物足りないから、ここでもう一丁というのはあるが、こちらも昨年のドウデュースを完全にダービー馬として仕上げた武豊騎手のように、本当の狙いは次か。

多士済々と言うのは簡単だが、ただ単に、掴みどころのない男馬18頭による争いが見えている一戦。
中には、思い切った策に出たものが制する、という関係者の見立てもあると言われるが果たして。
結果的に、元祖フリー騎手とされる横山富雄一族を推すこととなったが、ビッグ&ワンダーボーイであるダノンタッチダウンも、川田騎手が乗り続けている以外にも、前走の溜めをその後のビッグレースに繋げる経験値とし、大外へ振らなかった、馬場状態から振れなかったのもあるが、プラスアルファもありそうな距離延長で、まあ、ヴァイスリージェント系を推すならば、キングマンボ×ストームキャット・デインヒル×エタンという配合で、もっと濃いアウトサンデーの選択肢の狭さを物語るようなファントムシーフ推しをいくらか揺るがすくらいの根拠ある血統の持ち主として、この馬も拾っておく。

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2019年 マーメイドS 馬単33,680円、日本ダービー 馬連11,200円、CBC賞3連単16,300円などを的中。

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