皐月賞2024【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着ジャスティンミラノ(4.8倍)2着コスモキュランダ(15.8倍)3着ジャンタルマンタル(6.1倍)

レース名第84回皐月賞
日程2024年4月14日
優勝馬ジャスティンミラノ
優勝騎手戸崎圭太
勝ちタイム1:57.1
馬場
3連単配当29,240円

皐月賞2024 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
113ジャスティンミラノ1:57.1レコード
212コスモキュランダ1:57.1クビ
38ジャンタルマンタル1:57.21/2
49アーバンシック1:57.5 11/2
514シンエンペラー1:57.5クビ
単勝13480円
複勝13220円
複勝12390円
複勝8220円
枠連6-71,890円
ワイド12-131,460円
ワイド8-13610円
ワイド8-121,620円
馬連12-133,550円
馬単13-125,570円
3連複8-12-135,940円
3連単13-12-829,240円

皐月賞2024 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「前走も強い内容でしたので、今回も馬を信じて乗りました。3~4コーナーで戸惑っているかなというところはあったけど、またしっかりとハミを取ってくれました。初めての課題をすべてクリアしてくれたのも能力の高さだと思います」

※優勝した戸崎圭太騎手のコメント(ジャスティンミラノ)

皐月賞2024 - レース結果動画(YouTube)

皐月賞2024 - 回顧

父の血統に引っ張られることなく、母系を丹念に調べて、吟味した結果が芝の中距離向きと見た人は、勇気ある挑戦者というよりは、いかにもこうしたタフな展開に適した筆頭候補という感じで、安心して見ていられたことであろう。

母系にはトウルビヨン系の血もシカンブルも入り、母母母父のダルシャーンが、そうした性質を強化するミルリーフ系らしい底力と、中長距離のG1の厳しい展開に耐えうる持続力に富んだ末脚を、いい血統の馬に必ず与えてくれる。

キズナはズブのタイプに近いディープインパクトであるが、ナリタブライアン、ビワハヤヒデの兄弟と近親であるというだけでなく、牝馬のタイトルをいくつも勝ち取ったファレノプシスを姉に持つという背景から、早熟の性質もしっかりと受け継ぎ、そのようなパフォーマンスを早くから披露するキャラを多く出してはきたが、本格派を生むには、様々な不足分を補う必要があった。

菊花賞馬が近親にいる種牡馬であるし、ダービーで前を強引に捉えたというな=エピファネイアを差し切る豪脚 そうしたタイプのディープっぽくない部分を、思い切って、敢えて強化するような欧州系の配合をあてると、見事に、共同通信杯を楽勝するだけでなく、皐月賞レコードを大きく更新する大レコード勝ちの結果。

思えば、ナリタブライアンもビワハヤヒデも皐月賞は菊花賞と同じようにかなりの高速決着で好走していたから、当日に買いに走ったファンは、そういえば、これは康太が調教をつけていたということにも気づいて…、そうした背景は、少なからずジャスティンミラノの不安を払しょくするのに必要なファクターであったのだろうし、その通りにうまく全てがかみ合ったような無敗制覇を後押ししたのだろうと思う。

何か、感慨深げに勝ち戻る戸崎騎手の姿が印象深いレースにもなった。

それを迎え入れる名伯楽・友道康夫は、感情を抑えきれないでいた。

福永祐一のダービー初制覇の時も、そんな感じだったが、その時はみんな泣いていた。

ただならぬ牝馬・レガレイラが、当然注目された一戦だったが、乗り替わりというより、ルメール騎手でも繊細にタッチしていた馬に、難しい馬をよく託されるベテランの北村宏司騎手が騎乗するとわかった時点で、簡単なレースにならないことは予測された。

しかし、簡単ではない牡馬が多数という組み合わせ。

横山典弘騎手が、危険を察知したかのように、パートナーであるダノンデサイルの異変にいち早く気づいた後、想定内の遅延は発生したが、上位勢に伏兵とはっきり言えるメンバーは登場しなかった。

荒れる皐月賞は定番だったが、モレイラでも7番人気というトライアルホース・コスモキュランダが張り切って突っ走った以外、コントロールが実質的には出来ないくらいに止まられない状態になってしまったメイショウタバルの暴走に近い猛ペースで、面食らった馬は2歳王者両頭だったが、勝ち運が伴わなかったのはこの2頭だけ。

これらも大して負けていないのだから、両者とも、中山2000のレコード決着というイレギュラーな設定に対応の限界があったというだけで、荒れたわけではない。

そうした環境をすべて、自分の走るべきベスト条件のようにふるまったジャスティンミラノが、最も輝いたというよりも、コントレイルやディープインパクトがそうであったように、不確実性を勝機に繋げる可能性=自身は序盤で立ち遅れ のあったグループに圧倒的なスケール感の差を見せつけて、一番楽に走っていたように見えたから、こんなに素晴らしい無敗戴冠はない。

モレイラが追い詰めたから、着差はわずかだが、これが2度目の制覇となると戸崎圭太が、息も上がるほどに、それこそ、藤岡康太騎手が携わってきた馬ということで、懸命に勝ちに出たという内容でもなかった。

言わずもがな、完勝の第一冠である。

前記の無敗覇者たちは、近年ほど異常なほどに多くて、昨年のソールオリエンスの前には、後にコントレイルを破るエフフォーリアやサートゥルナーリアもいる。

無敗ではなかったのは、実は、福永祐一元騎手のジオグリフだけなのである。

今年も無敗馬は3頭。

その中で、最上位人気の馬が勝つ。

無敗なら人気になるが、3番人気以下が最高だと、むしろ、波乱ムードになるというほどに、無敗馬が今は強い。

コントレイルになれるかどうかは、さすがに決定項とはなりえぬ僅差ながら、正直、コスモキュランダの中山のタフな展開への適性を、無敗という背景にプラスアルファの熱くなる要素が隠されていたとて、それくらいしか強調するところがないのに、勝ち切ってしまうのだから、非凡と片づけられるスケール感ではない。

昨年のソールオリエンスがその雰囲気を持っていたが、トライアルホースのタスティエーラに本番で大逆転だったが、伸びしろをタフな皐月賞を経て、完全に奪われたようなその後の展開。

ダービーに命を燃やさずとも、簡単に自分たちの流れにして見せる友道康夫調教師ならば、ソールオリエンス以上のダービーが再現できる。

奇しくも、この天才として構わないジャスティンミラノは、まだ地元の関西では走っていない。

それに倣った関東所属牝馬の暮れからの活躍は、言うまでもない。

元気に北米大陸参上となったと報じられたフォーエバーヤングは、パーフェクトなスーパーマンである。

<57.5-59.6>

これで、1:57.1という歴史的レコード決着が誕生したのだが、上がりが極端に遅い前傾でも、雨に持ち堪えて、復活の芝となった中山のコースは、上がりの2秒余計にかかる展開でも、そこで60秒を超えなかった。

近年の極端なこうした傾向に、マイルG1覇者は苦しむことが多かったが、既にこのレースラップに近いものを経験していたシンエンペラーやレガレイラは、時計が3秒速かったこともあり、対応しきれなかった。

勝ち馬から、2馬身半ほど離されたレガレイラは、上がりにして33.9秒。

東京でもっと速く上がっていたが、それをホープフルSで再現は出来たが、これでは、理論上は差せない展開という時点で、自在性を求められる皐月賞は、現時点では未完成のレガレイラには厳しすぎたのだろう。

思えば、アルアイン=コスモキュランダの父 がこのレースをレコードで制した時の1番人気も、牝馬であるファンディーナであった。

同じ2歳王者のジャンタルマンタルは、速いとは理解しつつ、本質で抱える距離不安を逆手に取り、折り合えるポジションをと、川田騎手が積極的にアプローチをし、客観的には行き過ぎたわけだが、メイショウタバルがグングン飛ばすまでは、折り合いはついていなかった。

まだ若いこの元無敗王者は、奇しくも、今度は土を最初につけたジャスティンミラノにマークされる立場になったが、何となく、一昨年にルメール騎手でも引っかかったイクイノックスを見ているようにも思えた。

完成時が恐ろしい、とも思えるような、極めて濃密な3着。

ある意味、常識通りの伏兵の競馬をしたモレイラ騎手のコスモキュランダの方が、勝ちに出ているようで、最もふさわしい振る舞いのG1先方がハマったともできるから、距離をこなした時、ジャンタルマンタルはジャスティンミラノに最接近、あるいは逆転もあり得ると思った。

今の時点で、この敗れた2、3着馬は、総合的な部分で適性が似通った勝ち馬に対し、ダービーでの逆転はさすがに難しいと感じた。

ほぼレガレイラと同じとできる血統のアーバンシックは、明らかに彼女よりも幼いのだが、ここでは先着。

戸崎騎手と共に、待望のダービー戴冠が望まれる横山武史騎手は、意図して、京成杯を再現したようなところもある。

完歩の大きなレガレイラと今の時点でならび、一気に追い越していくような雰囲気もあるが、父典弘騎手がそうであったように、本番で戦法を変えて、大きな勝負に持ち込めるかどうか。

優先出走権はあるから、これがこの組最大の逆転候補。

いよいよ、青葉賞からダービー勝ち馬が出るような…、そんな気もした、少し背伸びしたレースを求められた皐月賞にも感じられた。