菊花賞 予想

アメリカジョッキークラブカップを予想

本家イギリスのクラシック体系をそのまま採用した関係で、秋に牡馬が目標とする3歳限定重賞は、この芝3000Mの菊花賞となります。イギリスではセントレジャー。
世界的に見ても、「セントレジャー」と定義した方が通りがいいので、ジャパニーズ― という表現もあります。
それは皐月賞=2000ギニー、東京優駿=ダービーにも通ずること。

特殊な距離で行われる菊花賞は、セントレジャーも牝馬が最後に目指すべき限定重賞として定義されているため、牝馬の三冠最終戦もこのレースです。
そのルールは本家だけに残っているので、牝馬三冠は牡馬三冠よりも近年ほど多いという傾向はありますが、日本にそれは当てはまりません。
今は秋華賞はその役目を十二分に果たしているので、今後も牡馬同士の争いになる年が大半であるでしょう。

馬名年度
セントライト1941年
シンザン1964年
ミスターシービー1983年
シンボリルドルフ1984年<無敗>
ナリタブライアン 1994年
ディープインパクト2005年<無敗>
オルフェーヴル2011年
コントレイル2020年<無敗>

菊花賞の特徴

コーナー6つを巡り、馬場を1周半走るため、序盤が遅いととんでもなく道中がごちゃつくために、2周目に入ると伏兵がどんどん動いていって、せわしくなく先頭が入れ替わります。
一方で、速い馬が一頭グイグイ飛ばすと、後続勢も動き出しのタイミングを遅いと捉え切れないこともあるので、騎手の判断力とペースの認識の正確性が問われ、基本的には、馬の能力だけでは好結果に繋がらないというのが定説になっています。
同時に、日本に長く腰を据えた騎手ほど、その技量が遺憾なく発揮されるため、まず若手や外国人騎手が勝つことはありません。

菊花賞の歴代優勝馬

年度優勝馬騎手人気前走父名 2着馬騎手人気前走父名 3着馬騎手人気父名
2010年
ビッグウィーク
川田将雅
7神戸新聞杯③
バゴ
ローズキングダム
武豊
1神戸新聞杯①
キングカメハメハ
ビートブラック
幸英明
13ミスキャスト
2011年
オルフェーヴル
池添謙一
1神戸新聞杯①
ステイゴールド
ウインバリアシオン
安藤勝己
2神戸新聞杯②
ハーツクライ
トーセンラー
蛯名正義
3ディープインパクト
2012年
ゴールドシップ
内田博幸
1神戸新聞杯①
ステイゴールド
スカイディグニティ
メンディザバル
5セントライト記念②
ブライアンズタイム
ユウキソルジャー
秋山真一郎
7トーセンダンス
【2013】年
エピファネイア
福永祐一
1神戸新聞杯①
シンボリクリスエス
サトノノブレス
岩田康誠
5神戸新聞杯③
ディープインパクト
バンデ
松田大作
3オーソライズド
2014年
トーホウジャッカル
酒井学
3神戸新聞杯③
スペシャルウィーク
サウンズオブアース
蛯名正義
4神戸新聞杯②
ネオユニヴァース
ゴールドシアター
吉田隼人
7スクリーンヒーロー
2015年
キタサンブラック
北村宏司
5セントライト記念①
ブラックタイド
リアルスティール
福永祐一
2神戸新聞杯②
ディープインパクト
リアファル
C.ルメール
1ゼンノロブロイ
2016年
サトノダイヤモンド
C.ルメール
1神戸新聞杯①
ディープインパクト
レインボーライン
福永祐一
9札幌記念<3>
ステイゴールド
エアスピネル
武豊
6キングカメハメハ
【2017】年
キセキ
M.デムーロ
1神戸新聞杯②
ルーラーシップ
クリンチャー
藤岡佑介
10セントライト記念⑨
ディープスカイ
ポポカテペトル
和田竜二
8ディープインパクト
2018年
フィエールマン
C.ルメール
7ラジオNIKKEI賞②
ディープインパクト
エタリオウ
M.デムーロ
2神戸新聞杯②
ステイゴールド
ユーキャンスマイル
武豊
10キングカメハメハ
2019年
ワールドプレミア
武豊
3神戸新聞杯③
ディープインパクト
サトノルークス
福永祐一
8セントライト記念「2」
ディープインパクト
ヴェロックス
川田将雅
1ジャスタウェイ
2020年コントレイル
福永祐一
1神戸新聞杯①
ディープインパクト
アリストテレス
C.ルメール
42勝①
エピファネイア
サトノフラッグ
戸崎圭太
5ディープインパクト
2021年タイトルホルダー
横山武史
4セントライト記念⑬
ドゥラメンテ
オーソクレース
C.ルメール
3
セントライト記念③
エピファネイア
ディヴァインラヴ
福永祐一
6
エピファネイア

<良は無印/着順○・<稍>「重」【不良】

菊花賞 過去10年のデータベース

 1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
皐月賞馬2回0回0回3回40%40%40%
ダービー馬1回0回0回1回50%50%50%
二冠馬<全三冠挑戦者>8回3回1回4回50%69%75%
二冠馬<全三冠挑戦者>平成以降3回1回1回1回50%67%83%
東京スポーツ杯勝ち馬0回1回0回3回0%25%25%
ホープフルS/前身重賞勝ち馬1回0回0回2回33%33%33%
神戸新聞杯勝ち馬3回1回1回1回50%67%83%
二冠馬がいる時のセントライト記念組0回0回1回4回0%0%20%
1番人気5回1回2回2回50%60%80%

グレード制導入前は二冠馬のみ

馬名年度
トサミドリ1949年
ダイナナホウシュウ<シユウ> 1954年
キタノカチドキ 1973年

グレード制導入後

馬名年度
ビワハヤヒデ1993年
セイウンスカイ 1998年
エアシャカール 2000年
ゴールドシップ 2012年
エピファネイア 2013年
キタサンブラック 2015年

これに三冠馬も入るから、ざっくり4年に一度は登場の勢い。
10年ほど前までは活躍が目立った「菊花賞がクラシックレース初出走の馬」もいれば、ダービーから本格化の馬もいるわけですが、総じて、古馬にも通用の名馬が多いので、人気に推される馬はこういう段階を踏んでいった方がよろしいと考えるのもありでしょう。

平成以降、前走が神戸新聞杯という馬は、菊花賞が11月時代のビワハヤヒデを含め、驚異の16勝。
最終トライアルに定着の20年前から15勝とした方が強烈で、関西馬隆盛時代を象徴するような傾向でもあります。
ビワハヤヒデは四半世紀以上前の名馬で、そのレベルにない馬も勝っている以上、問答無用で買い目に入れるしかないでしょう。
比較的優位に立つ皐月賞上位入線馬がコスモバルクしかおらず、この組が総崩れの2004年以外、2頭以上絡むのが普通です。

菊花賞 攻略のポイント

三冠馬たちは、もうクラシックに挑む前の時点で、セントライト以外は1800M以上の重賞を勝っているのが普通ですが、菊花賞オンリーとなると、夏に古馬と当たってそれを負かしてきたような馬も出てくるので、春までとは臨戦過程が大きく変化します。
春もこの路線に乗っているならば、必ずクラシック戦のどちらかで上位入線していないと話になりませんが、むしろ、別路線組の方は、トライアルで負けていても、古馬を負かしている実績の方が価値があることも多いので、結果的に、人気にならずに思い通りの競馬をして勝ち切るのが基本。
よって、本流路線の穴狙いは筋悪とした方が覚えやすいでしょう。

菊花賞2021予想

菊花賞の予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!

2021年のクラシック最終戦!

歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。

レース名第82回 菊花賞
グレード重賞(G1)
日程2021年10月24日(日曜)
発走時間15時40分
開催場所阪神競馬場
距離芝3000m
コース右回り
賞金1億2000万円
レコードタイム3:02.5

菊花賞2021の登録馬/想定騎手/予想オッズ(枠順確定)

菊花賞2021の予想オッズと最終追い切り

人気枠順馬番出走予定馬騎手性齢斤量予想オッズ1週間前追い切り最終追い切り
1711ワールドリバイバル津村明秀牡357.0178.7栗東・CW・良
6F 81.6-65.3-51.0-37.5-12.0(一杯)
栗東・坂路・良
800m 55.7-40.2-25.6-12.4(馬なり)
512アサマノイタズラ田辺裕信牡357.012.9美浦・南W・稍重
5F 68.8-52.7-37.7-11.6(一杯)
美浦・南W・稍重
5F 68.0-52.8-37.8-11.8(馬なり)
423タイトルホルダー横山武史牡357.08.1美浦・南W・重
7F 97.1-81.1-66.3-51.4-37.0-11.7(馬なり)
美浦・坂路・稍重
800m 52.6-38.6-25.1-12.7(馬なり)
1624ロードトゥフェイム丹内祐次牡357.0109.0美浦・南W・稍重
6F 84.9-70.0-55.8-40.1-12.4(馬なり)
美浦・南W・稍重
6F 85.6-68.7-53.4-38.5-11.8(馬なり)
335レッドジェネシス川田将雅牡357.04.4栗東・CW・良
7F 98.7-82.0-66.3-51.8-38.6-12.0(強め)
栗東・CW・良
6F 86.2-69.8-54.2-39.7-12.0(馬なり)
1536セファーラジエル鮫島克駿牡357.0114.5栗東・坂路・良
800m 53.1-38.8-25.5-13.0(一杯)
栗東・CW・良
6F 82.5-66.1-50.9-36.3-11.5(稍一杯)
647ディープモンスター武豊牡357.017.5栗東・CW・良
6F 82.2-67.0-52.3-38.8-11.6(一杯)
栗東・CW・良
6F 83.4-66.4-51.3-37.4-11.3(直強め)
1048エアサージュ藤岡佑介牡357.048.0栗東・CW・良
6F 84.2-67.7-53.2-39.2-11.9(強め)
栗東・坂路・良
800m 55.9-40.2-25.6-12.2(馬なり)
1259ヴェローチェオロ幸英明牡357.050.7-栗東・坂路・良
800m 53.0-38.7-25.3-12.6(馬なり)
11510モンテディオ横山和生牡357.065.9栗東・CW・良
6F 85.0-68.6-53.9-40.0-12.4(馬なり)
栗東・CW・良
6F 84.4-67.0-51.6-37.2-12.1(馬なり)
8611ディヴァインラヴ福永祐一牡357.023.7栗東・CW・良
6F 84.9-68.6-53.3-38.9-12.0(馬なり)
栗東・CW・良
6F 82.9-66.6-51.9-38.6-12.3(馬なり)
18612ノースザワールド和田竜二牡357.0238.9栗東・坂路・良
800m 55.5-40.3-25.9-12.5(馬なり)
栗東・CW・良
6F 81.7-65.7-50.8-37.5-12.0(馬なり)
13713アリーヴォM. デムーロ牡357.059.9栗東・CW・良
6F 79.9-64.4-49.8-37.0-12.3(馬なり)
栗東・坂路・良
800m 54.1-39.2-24.9-12.3(馬なり)
1714ステラヴェローチェ吉田隼人牡357.02.6栗東・CW・良
6F 82.3-65.6-51.2-38.5-11.9(強め)
栗東・坂路・良
800m 52.3-38.1-24.7-12.6(馬なり)
9715ヴァイスメテオール丸山元気牡357.035.1美浦・南W・稍重
7F 98.3-82.0-66.9-52.2-37.6-11.7(G前仕掛け)
美浦・南W・稍重
5F 69.4-53.9-38.9-12.0(馬なり)
14816グラティアス松山弘平牡357.080.1美浦・南W・稍重
6F 82.0-66.8-51.5-36.6-11.7(馬なり)
美浦・南W・稍重
6F 84.5-67.5-53.0-38.0-12.2(馬なり)
7817ヴィクティファルス池添謙一牡357.022.6栗東・CW・良
6F 79.6-64.4-50.6-37.5-12.3(一杯)
栗東・坂路・良
800m 54.5-38.5-24.2-11.9(末強め)
2818オーソクレースC. ルメール牡357.03.9美浦・南W・稍重
6F 84.6-68.5-53.3-38.7-12.5(馬なり)
美浦・南W・稍重
6F 85.2-69.2-53.8-38.7-11.8(馬なり)
枠順1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1枠4回2回2回31回10.3%15.4%20.5%
2枠5回3回2回30回12.5%20%25%
3枠2回2回2回34回5%10%15%
4枠2回1回1回36回5%7.5%10%
5枠1回3回4回32回2.5%10%20%
6枠1回4回2回33回2.5%12.5%17.5%
7枠3回4回5回46回5.2%12.1%20.7%
8枠2回1回2回53回3.4%5.2%5.2%

菊花賞予想2021 - 過去10年のデータ傾向

混戦を読み解くカギとしては、知らないことを問われるとしても、知っている材料に不利な要素があるかを篩にかける必要があるということ。

連対する必要も人気に推される必要も特にはないが、凡走に終わったなら、前走は好走が絶対条件

春二冠戦にいずれも参戦したという皆勤賞の菊花賞好走馬のうち、菊花賞が不良馬場になった年の2着馬・クリンチャーを除いた者を選別、かつ、クリンチャー同様にどちらでも4着以下だったという該当馬はかなり限られる。

皐月賞→ダービー→前哨戦各着順

  • ・2011 3着・トーセンラー <7→ 11→ 2>
  • ・2016 3着・エアスピネル <4→ 4→ 5>
  • ・2017 3着・サトノフラッグ <5→ 11→ 2>

こういうタイプを狙うなら、前走トライアル好走馬や2勝クラス勝ちの馬を狙った方が得策という話だろう。

要は、突き抜けそうな感じで結局好走止まりなのである。

しかし、無冠でトライアル勝ちの馬はというと、もっと怪しい。

クラシック連対実績のないトライアル勝ち馬は、ここ10年では1頭たりとも馬券に絡んでいないのだ。

神戸新聞杯が本来の阪神2400開催になった2007年以降でも、無敗馬だったセントライト記念勝ち馬のロックドゥカンブが3着に入ったくらい。

神戸新聞杯が2000M時代でも、トライアルホースほど怪しく、神戸新聞杯ではなく最終トライアルが京都新聞杯時代に、トライアル連続好走馬が勝ち切った馬がたまに出てくるくらいで、いずれもダービー好走馬。

叩き一変がセオリーのタイプだから、トライアル勝ちの勲章を得つつ、初戦から全開の時代の要請に対し、どう立ち向かうかは実績馬ほど縛りが多いことになる。

ステラヴェローチェは阪神替わりに期待するしかないが、基本的には苦しいだろう。3着に拾うくらいならと、ここは穴馬軸の3連複<実質、3着の枠を伏兵としたの意>なので評価を下げた。

右回りに適性を求めても、必然的にハイレベルになる左回り戦の方が基本的に優勢の構図は当たり前と思える

面白いもので、2009年のスリーロールスが参考材料から消えることで、面白い傾向が顕在化したと言えるだろう。

右回りの条件戦組は、ほとんど用なし状態。

代わりに、新潟であるとか、ここ2年当然の開催増である中京組が台頭。

ただし、勝っているわけではないということで、秋華賞のように、春の実績馬やトライアル組が圧倒的有利の傾向が出ている。

それでも、妙味は上がり馬の方にあって、どんなに人気があっても10倍を切る即買うべき有力馬の単勝オッズではない点は、穴党ならずとも拾っておくべき対象となる。

で、それをよく分析していくと、ざっくり札幌とか中山の長距離戦を使っていた組よりは、新潟、中京の2200戦を古馬相手に快勝の構図が望ましいと出ている。

そもそもが、古馬でも将来性がまだまだありそうな馬がローカルカテゴリーの上位付けになる左回り戦には登場する。

だから、相手も強い。だから、同期の争いではその実績はかなり有利な要素になる。

惜敗のアリストテレスもユーキャンスマイルも、それなりの出世をしている。

裏を返せば、最近ではほとんど馬券外の札幌2勝クラス勝ちから直行のゴールドアクタークラスにならなければ、脈なしということだろう。

エースになれそうなタイプは、彼のような距離実績、コース適性に加え、前走1800戦圧勝のスリーロールスのような爆発力をキープの伏兵に限られる。

牡馬ではいないような気もするが…。

前走2400以上の馬に関し、前々走も2400以上だった場合、菊花賞で連対の連続好走馬はG1馬だけ

神戸新聞杯を使ってきた馬が菊花賞を制したというのは、神戸新聞杯2400M時代に入ってから、すでに11頭も誕生している。

加えて、ダービーからずっと連対を続けている馬は、中間に宝塚記念を使ったアサクサキングス<ダービー馬のウオッカの参戦が決まって、行きがかり上の追加登録と出走で共に完敗>まで加えると、

  • 2007・アサクサキングス
  • 2011・オルフェーヴル
  • 2013・エピファネイア
  • 2016・サトノダイヤモンド
  • 2020・コントレイル<神戸新聞杯は中京2200>

いずれもが皐月賞前に重賞を制している王道路線組で、ほとんどが皐月賞でも勝ち負けであった。

この例を2、3着の惜敗のグループに当てはめると、G1馬であったローズキングダムは連続好走に成功するも、オルフェーヴルとセットの追撃手だったウインバリアシオンがちょうど10年前の好走馬であり、着順が下がるほど該当馬が減る傾向。

皐月賞もダービーも、何だか別のレースだったような一昨年のような展開になっている今年、当然好走馬の性質も変化して不思議なしという感じもする。

今年、皐月賞2着馬のタイトルホルダーは登場するが、ステラヴェローチェとは違って、連続好走のタイプではない。

そもそも、そういう馬は人気になりすぎるレースだから、G1を勝てるという確信がない限りは、押さえに止めるのが賢明だろう。

その他の上がり馬はもっと来ないのだから、前走で長距離の馬ほど警戒が必要であろう。

出てくれば好走する可能性があるという潮流に逆らう理由など、もはやない環境にある牝馬への評価

昨年は牝馬の年が明らかだったわけで、春の天皇賞に出走馬がいなかったものが、より厳しい阪神開催の今年は、JC好走歴もあるカレンブーケドールと前後でG2勝ちのウインマリリンと、A級牝馬が登場して、距離相応に健闘を見せた。

意地を見せた牡馬勢はさすがだったが、牝馬の方が今も順調に使えているのは皮肉である。

勝ち馬のほとんどが牝馬だった芝戦線は、24の平地G1のうち、牝馬限定の6レースを除き、棲み分けくっきりの2、3歳牡馬混合G1の6つとダートの2つを取り払った所謂古馬G1では、その10レース中、例外の春天をオートマチックカットすると、残りは全て牝馬の優勝。

簡単な話、牡馬は騙馬でもいいのだが、牝馬を倒さないといけない環境にあるわけだ。

人気になって好走しやすいのは、今では当たり前に牝馬であるから、エース級もまた牝馬。

そうした馬が登場するずっと前からの近30年分の総記録が、滅多に牝馬の登場しない主要国のクラシックレース最長距離戦の成績に反映されているわけだ。

ざっくり総括すれば、牝馬も牡馬もないのだから、ラグストゥリッチーズ<ベルモントS>が1世紀ぶりに登場の牝馬優勝馬になったということと三冠馬が続々登場のトレンドからも、北米圏のスピードマッチに、かなりの血統的な影響を受けるその他の主要生産国のサラブレッドは、その潮流にすんなり乗ってしまって何ら不思議ないのである。

ダンスパートナーの参戦の衝撃は、マヤノトップガン優勝でややかすみがちだが、流石に相手が強かっただけという印象。

明らかに格下のメロディーレーンも、何だかんだで遅いタイムでの決着に乗じて好走している。

レースの質がより締まる阪神で、スタミナ比べにやや不安のある牡馬も多いとされる状況において、セントレジャー<菊花賞の手本となった競走>でも、かなりの好走確率を出しているのだから、10頭前後が当たり前の米英の最終戦と比べタフな頭数の競走になる菊花賞とて、もう十分に機は熟したとできる。

混戦であるからこそ、敢えて狙わないのも手だが、今は堂々狙うべき場面で買いたいのが牝馬。

今年は幾らか牡馬が盛り返しているから、その牙城がもっと危ういこの場面で、現3勝のディバインラヴを敢えて狙っていきたい。

菊花賞予想2021 - 出走予定馬の血統/成績/タイム

知己を得たと確信するその瞬間、普通以外のことも理解したパートナーがすぐそばにいるケースが圧倒的に多いという真実。

母系に入って映える種牡馬が輩出した一族というのが、一つの特長。

8代母であるMumが、その象徴といえる。

彼女の配合時に、直系3代父のMenowと3代母Hippareteが全兄妹クロスを3×3で強烈に生じる配合は、構成上、バックパサー×ナシュアの超優良な組み合わせにより発生のクロスであるから、極めて高水準の血統図を形成する。

Menow・メノウはファラリス直系であるが、超A級にはわずかに届かない戦績ながら、直仔でトムフールという30戦21勝の名馬を出し、4歳時は10戦無敗の記録を残している。

種牡馬1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1位ディープインパクト1回1回1回3回16.7%33.3%50%
2位キングカメハメハ1回1回0回5回14.3%28.6%28.6%
3位ステイゴールド1回0回0回2回33.3%33.3%33.3%
4位マンハッタンカフェ1回0回0回1回50%50%50%
5位キズナ1回0回0回0回100%100%100%
6位ハーツクライ0回3回0回6回0%33.3%33.3%
7位ディープスカイ0回0回1回1回0%0%50%
8位ハービンジャー0回0回1回1回0%0%50%
9位ディープブリランテ0回0回1回0回0%0%100%
10位ダイワメジャー0回0回1回0回0%0%100%

またその産駒には、前出のバックパサーがおり、これもトラヴァーズSを勝つなど31戦25勝とし、3代母ラトロワンヌ<コントレイルからみて遠い牝祖>の威光も借りつつ、母父は米三冠のウォーアドミラル、大種牡馬テディのクロスも有し、父系でも母系でもその名を多く残した。

ベガ<1992年牝馬二冠>の母母父はトムフール、スクリーンヒーローの母系にも、ひっそりとその名は残り、存在感を示している。

またバックパサーは、Woodman<ティンバーカントリーの父>、Seeking the Gold<ドバイミレニアムの父>ら、ミスプロ直仔の大種牡馬の母父に入った名血でもあり、そのミスプロ<Mr. Prospector>の母父はナシュアであり、ディヴァインラヴの直系4代父ロベルトとも共通のBMS。

ロベルト系でもあるディヴァインラヴは、母系に両方の血が入った基礎繁殖が入ると同時に、3代母がミスプロ系という狙いのある配合でもある。

見た目はエピファネイア×ディープのアリストテレス配合ではあるが、これに関わるディープインパクトの母父Alzaoのまた母父系に、ディヴァインラヴと同じ牝系の種牡馬がいる。

1968年の英二冠馬・Sir Ivorである。

このサーアアイヴァー産駒にはLady Capuletという当地の1000ギニーウイナーがいるのだが、その代表産駒があのEl Prado。

日本にはサーペンフロが種牡馬として輸入されているし、Sir Tristramも直系もオーストラリアを中心に根幹系統を作った成功の直系。

ただ、目立ったところに出てくるのは母父に入ったAlzao<ディープのBMS>のような存在であり、サーアイヴァーの半妹の娘が、後にオークス馬シャダイアイバーの母になるサワーオレンジとすると、もはや、疑う余地はない。

牝馬で強い馬は少ないが、母のすぐ下の弟に、春の名物G3を制したサンデーウィザード、ヒーズインラブの兄弟がいるから、ここらで連勝してきた勢いには侮れない何かがあるとできる。

母系で映える種牡馬が入った有力な牝馬というのは、伏兵であろうとも、牡馬相手に打ち負かしてしまう何かを秘めていて不思議はないと言っても、差しつかないだろう。

お世辞にも、お行儀のいいタイプの良血馬ではない。

しかし、才能はある。十分に足りるし、ステイゴールド系やエピファネイアに関する血統馬ほど、我は強くないように窺えた。

普通の昇り馬の扱いで十分に問題なしの条件を揃えた、牝馬のディヴァインラヴを推したい。

様々な懸念材料はあったのだが、逆説的に捉えると、距離適性を裏付ける要素となりそうな血統面の特性を発見した。

実は、彼女のようなサンデーサイレンスの4×3が生じる「エピファネイア×母父父サンデーサイレンス」の牝馬の重賞実績に、ある種のミスマッチのようなものが出てきたのである。

本賞金が現在までに1500万円以上という同配合馬は、10頭ほどが誕生している。

現2歳世代では、まだ長めの距離が行われる時期ではないので、そこまで賞金加算はできないだろうが、年平均で4、5頭は出ていることになる。

その最下位付近に、現3勝クラスのディヴァインラヴ号がいるわけだが、上にいる重賞勝ち馬であるエフフォーリア<皐月賞>、アリストテレス<菊花賞2着>、オーソクレース<ホープフルS2着>らG1好走馬に対し、一つ上の世代のムジカ、シーズンズギフトらが惜敗の多い馬で、現在は不振。

で、同期の同3勝クラスにいるスパークルは、重賞2戦で結果が出せずに秋華賞は未登録。

しかし、このラインを境に2勝クラス以下にいる牝馬は獲得賞金そのものでは上位に入るから、当たり外れの大きい牡馬と比べると、幾らか信頼感を抱かせる要素くらいはあることになる。

ただし、ムジカもシーズンズギフトも、また3歳世代の面々にしても、牝馬は重賞では勝てていない。

当然である。

牡馬がいずれも、2000M以上のレースで結果を出しているのに対し、牝馬はそのレース数、限定重賞も特別戦そのものも限られ、サンデーのクロスは入っていても、その他の血統であったとして、牡馬よりは反応いい牝馬ではその切れ味は目立たいのであるから、苦戦するのは当然なのだ。

牝馬が走らないというよりは、特性上、牡馬と伍して戦えるように、デアリングタクト<同父の母母父サンデーも傾向は同じ>ほど迫力はなくてもいいが、底力を大舞台で示すくらいの気合いは見せる必要がある。

脚質1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
逃げ馬0回1回2回22回0%4%12%
先行馬12回6回9回50回15.6%23.4%35.1%
差し馬8回11回7回131回5.1%%12.1%16.6%%
追込馬0回2回2回92回0%2.1%4.2%

同系ロベルト系のスクリーンヒーローからもウインマリリンしか、牝馬の一流どころは出ていないが、何故活躍しているかと言えば、苦しみながらも2000M超の重賞での牡馬相手でも好勝負し続けているからだ。

牡馬がごついと、今は反応の差にやられてしまうのは致し方ないとして、そんなグラスワンダーの血を引くスクリーンヒーロー産駒のモーリスから、それも初年度産駒でスプリンターズS勝ちのピクシーナイトが登場し、業界を騒がしている。

牝馬も短距離馬も上手に乗りこなす福永騎手をして、驚きの成長を遂げたその馬は、自身の成長に大きく影響を及ぼしたキングヘイローの血を持っているのだから、感慨も一入であろう。

福永騎手は前週の秋華賞に引き続き、これまで重賞路線にすらあまり縁のなかった血統馬を任せられることになった。

今度はシーザリオ−エピファネイアの黄金ラインを直系に抱える、ディープインパクトの孫娘。

一族の血統特性、出世のパターンからしても、そろそろ大仕事をやってのける天才が登場する頃である。

菊花賞予想2021 - レース展開と最終予想

ディヴァインラヴを任せられるようになってから、福永騎手は様々工夫を凝らし、勝ちながら成長と課題克服を同時進行で促してきたが、直線の横に吹っ飛ぶ性質だけはどうにも収まらない。

人気1着2着3着4着以下勝率
連対率複勝率
1番人気8回1回4回7回40%45%65%
2番人気0回4回0回16回0%20%20%
3番人気2回0回6回12回10%10%40%
4番人気1回4回0回15回5%25%25%
5番人気2回2回1回15回10%20%25%
6~9番人気6回5回6回63回7.5%13.8%21.3%
10番人気1回4回3回167回0.6%2.9%4.6%

反応はいいのだろうが、まだ体を使いこなせていないのかもしれない。

長距離戦はメリハリの競馬だから、あまりクセ強のキャラは門外漢でもあろうが、「漢」ではない。

「娘」だから吹っ飛ぶのかもしれないが、どうも底力を持て余しているようなパワー優先の性質が、難しさを考慮した1600戦からのキャリアスタートで、いい方向に出始めている印象を受ける。

伸びしろもあるし、前走では京都新聞杯3着のマカオンドールを、ほとんど遊びながら、おいでおいでの楽勝。

集中力が続く時の破壊力は、まだ秘めているし、開放していない。

だからこそ、その辺を大事に乗ってくるだろうが、一昨年の秋華賞で乗り慣れた上手に走れるビーチサンバを敢えて行かせて、ハイペースに逃げ粘らせた積極策に、一部で、凄いことをやってのける騎手になったなと、感心させていた記憶がある。

キングヘイローでのダービー暴走事案は、自身の成長を大いに促す反省事項であったわけだが、上手さが取柄とはならない可能性を測りつつ、本番でより強い策を講ずるのが、今の福永祐一である。

知っている自分を知らしめるための場面は限られるとされるが、それを引き出してくれるのが馬自身であるのか、また騎手であったりするのかはまだ判然としないディヴァインラヴ号ではあるものの、クロノジェネシスの斉藤崇史調教師が敢えて、福永騎手に託した理由は今後よくわかっていく一戦のように思う。

筆者はより高い所を望めると感じていないので、適鞍に一球入魂の狙いを立てたが、ここを外してもいいと思えるコンビだから、期待値はかなり大きい。

今年のクラシックの中心を支える吉田隼人騎手は、バゴ産駒のステラヴェローチェで挑み、その代表産駒を管理するのが秋華賞を好相性の斉藤崇史調教師。

相手の武器をそれぞれ吟味して強い意志を示したビーチサンバの主戦騎手が、今度は斉藤崇史厩舎の伏兵牝馬で仕事をする。

バゴ産駒には穴は多かったが、底力だけは大いに示してきた。

その穴を似たような性質のエピファネイア産駒が埋めあわせた時、素晴らしい直線の攻防が展開されることとなる。

 

菊花賞 過去の予想と結果