菊花賞2019 予想

相手関係を見る限り、ヴェロックスに逆らう手はないと考える。

何しろ、マンハッタンカフェと同じ一族。他にも選択肢があるように見えて、時計が足らないとか、圧勝した経験がないとか、北海道だけで良績のある馬に辛いとか、マンハッタンカフェの頃は大丈夫だったけど、それから18年も経てば変わる、最低限必要なスキルという面も、根幹距離GⅠでの実績などで、十分にカバーできる。

そして、筆者は前走の川田騎手の狙いを評価している。

賞金が足りているかどうかが戦略の柔軟性を生んだとは思わないが、少なくとも、勝ちには出ていない。

自分より前にいたのは、その後に古馬戦を控えるサートゥルナーリアと好位抜け出し形で休み明けの3勝馬・シフルマンだった。

どの道、進むべき方向へ容易に進める賞金があった。

ペースは大分破綻に近いスローだったが、サートゥルナーリアにはスタートの課題が、こちらには行きたがる悪い面があり、次を考えたら、こうするしかないという手だった。

展開が向かなかった分、サートゥルナーリアの豊かなスピードがヴェロックスの死角を顕在化させると同時に、距離延長への足掛かりとしては、十分に予行演習ができたのではないか。

ここで我慢させれば、次は自由に動けるようになる。

向こうに行けば速い馬で、逃げさせないように工夫を凝らした札幌記念のルメール的思考である。

それよりオーソドックスなものだが、効果は十分にある。

コーナーごとにペースダウンがある長距離戦。掛かるとパワー自慢のヴェロックスの変なスイッチが入ってしまう。

高速馬場にはなりそうな雰囲気のない天気の状況もある。

軽い競馬は歓迎ではないヴェロックスの初戴冠は、もうすぐそこまで来ている。

トニービンはイメージと違い、3000M級だと脚の使い方が難しくなって、差し切れないことが多い。

直系では菊花賞と春の天皇賞で1勝ずつのみ。

ヴェロックスの祖父ハーツクライの産駒も、自身が粉砕されたように、その産駒も長い距離では力を発揮できていない。

ただし、どういうわけだか、トニービンの血が入った長距離GⅠウイナーには、妙な共通項がある。

菊花賞

ソングオブウインド

オウケンブルースリ

キセキ

天皇賞

ジャガーメイル

ビートブラック

みんな重賞初勝利がGⅠだったのだ。

ヴェロックスも重賞となると、これまで【0211】であり、ノングレード戦では【3100】だ。

ソングオブウインドは2度重賞で好走した後のレコード勝ち。

ただ、どの馬もGⅠを使った経験というのは、ビートブラックが菊花賞3着の実績をみんな忘れた時に激走したくらいで、全くない馬ばかり。

要するに、適応能力があったとしても、それを活かすここに至るまでの賞金加算やスキルアップに必要な経験を養うことが難しいから、変わったローテだとか、物足りない結果の中で、爆発的に長距離の舞台で能力を発揮するのだ。

ハーツクライにはその能力は乏しく、産駒も父の得意ゾーンより少し短いところにツボがある感じもするが、代を経ているジャスタウェイのキレは、持続力を発揮する欧州型の血とのマッチングで、仔の代では本質的なトニービン感を取り戻している。

やや怪しい気性で、溜めると爆発する。

最後のコーナーを目掛けてスパートをかけるスタイルは、京都外回りでの理想の戦法とはならないが、決め手の爆発力を活かすための舞台装置は、長距離の2戦では、我慢のための休止スポットであるから、その前から我慢していた馬には、実はもっと仕掛けのタイミングは難しいのである。

ごくごく当たり前の話、実力のある中団より前で動けるタイプには、概ね有利な舞台。

無理に溜める競馬をする必要はないから、外枠は揉まれないことでも、有利に働くだろう。

ハーツクライ産駒で同時期にデビュー戦を圧勝のホウオウサーベルと、GⅠ2戦で力を出し切れなかったようで、あのダービーでロジャーバローズと途中まで前で競馬をしていたサトノルークスの秘めるスタミナは、京都向きの雰囲気がある。

この2頭を相手筆頭に、穴馬もうまく押さえていきたい。

◎ヴェロックス

○サトノルークス

▲ホウオウサーベル

注メイショウテンゲン

△ザダル、カリボール、ヒシゲッコウ、レッドジェニアル