菊花賞2023の予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り

菊花賞の予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!

歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。

レース名第84回菊花賞(G1)
グレード重賞(G1)
日程2023年10月22日(日)
発走時間15時40分
開催場所京都競馬場
距離芝3,000m
コース右回り
賞金2億円
レコードタイム3:01.0

菊花賞2023の予想オッズ/出走馬(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)

菊花賞2023の予想オッズと登録馬

枠番馬番出走予定馬騎手性齢斤量予想オッズ人気1週前追い切り最終追い切り
11トップナイフ横山 典弘牡357.027.010栗東・CW・良(横山典)
7F 95.8-65.8-51.7-37.0-12.0(一杯)
栗東・CW・良(横山典)
6F 83.6-68.4-53.7-38.6-12.4(馬なり)
12ウインオーディン三浦皇成 牡357.063.315美浦・南W・良(三浦)
6F 84.0-67.7-52.6-38.0-11.9(馬なり)
美浦・南W・良(三浦)
6F 82.5-67.1-52.2-37.5-11.7(馬なり)
23シーズンリッチ角田大河牡357.0110.016栗東・CW・良(角田河)
6F 82.5-66.8-52.6-37.6-12.1(直強め)
栗東・CW・良(助手)
6F 85.2-68.4-53.9-38.6-12.3(馬なり)
24ダノントルネード西村 淳也牡357.048.013栗東・坂路・重(助手)
800m 55.6-39.8-25.1-12.1(馬なり)
栗東・CW・良(西村淳)
7F 97.1-65.4-51.4-37.1-11.7(一杯)
35パクスオトマニカ田辺裕信牡357.0124.917美浦・南W・良(田辺)
6F 82.9-66.8-52.4-38.1-11.9(一杯)
美浦・南W・良(田辺)
6F 85.8-69.4-54.5-39.3-11.7(馬なり)
36リビアングラス坂井 瑠星牡357.019.09栗東・CW・良(坂井瑠)
7F 7F 94.8-64.5-51.0-37.2-11.8(一杯)
栗東・坂路・良(坂井瑠)
800m 53.5-38.8-25.0-12.1(馬なり)
47タスティエーラJ.モレイラ牡357.04.62美浦・南W・良(助手)
6F 80.5-64.5-50.4-35.9-11.2(G前仕掛け)
美浦・南W・良(モレイラ)
6F 81.4-65.4-50.4-36.2-11.7(馬なり)
48サヴォーナ池添 謙一牡357.022.48栗東・CW・良(助手)
6F 82.9-68.1-53.2-38.1-12.2(一杯)
栗東・坂路・良(助手)
800m 51.8-38.1-24.6-12.1(強め)
59ノッキングポイント北村 宏司牡357.016.27美浦・南W・稍重(北村宏)
7F 97.2-66.0-51.4-37.4-11.6(馬なり)
美浦・南W・良(北村宏)
6F 84.5-68.3-53.5-38.5-11.5(馬なり)
510マイネルラウレア岩田 望来牡357.052.014栗東・CW・良(助手)
6F 84.3-68.1-52.7-37.2-11.7(馬なり)
栗東・坂路・良(助手)
800m 51.8-37.9-24.5-12.4(強め)
611サトノグランツ川田 将雅牡357.05.63栗東・CW・良(助手)
6F 84.8-69.0-53.2-37.0-11.1(強め)
栗東・坂路・良(助手)
800m 52.7-38.4-25.0-12.3(馬なり)
612ハーツコンチェルト松山 弘平牡357.011.26栗東・CW・良(助手)
6F 82.4-66.6-51.9-36.8-11.4(直強め)
栗東・CW・良(助手)
6F 83.8-67.6-53.3-38.0-12.2(馬なり)
713ナイトインロンドン和田 竜二牡357.050.712美浦・南W・良(助手)
6F 83.4-67.9-51.8-36.8-11.9(一杯)
美浦・南W・良(助手)
4F 52.3-37.1-11.5(馬なり)
714ソールオリエンス横山 武史牡357.03.71美浦・南W・良(横山武)
6F 80.6-65.7-51.6-37.1-11.7(G前仕掛け)
美浦・南W・良(横山武)
6F 82.7-67.3-52.2-37.6-11.5(馬なり)
815ファントムシーフ武 豊牡357.011.15栗東・CW・良(助手)
6F 84.0-68.1-52.4-37.0-11.1(強め)
栗東・坂路・良(助手)
800m 54.4-39.9-24.9-11.9(強め)
816ショウナンバシットM.デムーロ牡357.033.111栗東・CW・良(M.デムーロ)
6F 81.1-66.1-51.5-36.9-11.6(一杯)
栗東・CW・良(秋山真)
5F 66.5-50.9-36.3-11.6(馬なり)
817ドゥレッツァC.ルメール牡357.011.94美浦・南W・良(蓑島)
5F 65.6-51.0-37.1-11.6(馬なり)
美浦・南W・良(ルメール)
6F 81.9-65.5-50.5-36.3-11.4(馬なり)
脚質1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
逃げ馬1回0回2回22回4.0%4.0%12.0%
先行馬12回7回9回52回15.0%23.8%35.0%
差し馬7回11回7回127回4.6%11.8%16.4%
追い込み馬0回2回2回97回0.0%2.0%4.0%
枠順1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1枠3回2回2回33回7.5%12.5%17.5%
2枠5回4回2回29回12.5%22.5%27.5%
3枠2回2回2回34回5.0%10.0%15.0%
4枠2回0回1回37回5.0%5.0%7.5%
5枠1回3回3回33回2.5%10.0%17.5%
6枠1回3回3回33回2.5%10.0%17.5%
7枠4回4回4回47回6.8%13.6%20.3%
8枠2回2回3回52回3.4%6.8%11.9%
種牡馬1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
ディープインパクト4回2回2回15回17.4%26.1%34.8%
ルーラーシップ1回1回0回7回11.1%22.2%22.2%
オルフェーヴル1回0回0回5回16.7%16.7%16.7%
マンハッタンカフェ1回0回0回4回20.0%20.0%20.0%
ブラックタイド1回0回0回3回25.0%25.0%25.0%
タイキシャトル1回0回0回2回33.3%33.3%33.3%
フジキセキ1回0回0回1回50.0%50.0%50.0%
ナカヤマフェスタ0回2回3回1回50.0%50.0%50.0%
キングカメハメハ0回2回3回10回0.0%13.3%33.3%
ステイゴールド0回2回0回11回0.0%15.4%15.4%

菊花賞2023 - 過去10年のデータ傾向

他を圧倒する極上トライアル組の選抜法

ダービー→神戸新聞杯使っていた馬は、京都開催の菊花賞に限ると、半数に及ぶ5頭が勝利であり、上がり馬についても、ワールドプレミアは、若葉Sの2着馬、トーホウジャッカルはダービー馬に肉薄したというより、前がフラフラ走っていた影響で、直線での進路変更があった上での3着で、本番でも大いに期待されたような馬。

後者に至っては、神戸新聞杯が単勝60倍以上の9番人気馬だったものが、高速馬場の内枠を引いた本番が、7倍をわずかに切る3番手評価のオッズだったから、当然、人気になりそうなタイプは見極め可能。

キセキに関しては、トライアル2着というより、その前の新潟で強烈な時計を苦もなく繰り出した総合力を、桁違いの雨馬場でフルに活かしたという結果であり、これは広範なデータ上の例外にならないとしても、この環境は異状というべきレベルだったから、参考までに。

ダービー組で人気に応えた5頭は、トライアルから連勝がパッケージになっているものの、二冠馬が三冠達成の流れも2つであると、一応、疑いを持ってもいい雰囲気にある。

ダービー上位組のハーツコンチェルト、その上を行ったクラシックウイナー2頭は、一応、どういう経緯があったとしても、軸には据えられるレベルの水準にあり、むしろ、ファントムシーフ、サトノグランツ、札幌に回ったトップナイフなど、大きく着順を挙げた組の方が、レース環境が普通と違ったため、反動は気になる。

走らなかった順、レース間隔を踏まえ、ダービーを経ている馬は、叩けたことを重視する方がいいとする見解が常識であり、求められる中身が過酷ではなければ、その通りに受け取ればいいのだが…、という一捻りは今年に限っては採用できる。

西のトライアルは大接戦のゴールであった。

東に回った関西馬は悪くないのだが…

キタサンブラックだけが勝って、2着であると、ゴールドシップの2着になったスカイディグニティやヴェロックスがポンコツ化したことが明らかになってしまった残念な菊花賞で連続2着としたサトノルークスなど、多様なタイプがおり、ダービー組は他では、トーセンラーやミニ改修前最後の年のサトノフラッグなど、どうも、2着だった馬が主役になる傾向。

思えば、ライスシャワー<京都新聞杯も使ってこれも2着>もトーホウシデンも、カーネギー産駒のホオキパウェーブなども、東の組は2着であった…。

マンハッタンカフェだけ4着から巻き返しで、阪神で久々、2着から巻き返した悲運の英雄・アスクビクターモアまで、ほぼ、勝ち馬を送るために機能していないので、正規の京都開催では、まず勝てないというのが通説。

関東馬で、かつ初関西圏のソールオリエンスは、キャリアアップをさせる前にクラシックを勝ってしまった死角が、どの程度影響するかは不明も、ディーマジェスティの諸々失敗問題を踏まえていないローテだと、突き抜けるには相当な破壊力が求められる。

よもや、ウインオーディンの逆襲に遭っては、沽券に関わる。

どの程度、パフォーマンスを落とさないで乗り切れるか。

真のライバルが実は少ない組み合わせという意味で、ダービーより戦いやすいが、関西馬は巻き返す傾向に逆らうだけに根拠は、末の鈍ったダービーでは見つけられなかった。

絶妙な穴を生み出すワイルドカードの札幌組は、G1経験があれば…、の条件がつく

別枠扱いの、札幌記念、同コース中長距離2勝クラス好走組からの参戦数は年々減少傾向で、9月開催がなくなった影響ははっきりと出ている。

現実的なニュートレンドに則した、8月のレースから、再鍛錬込みの調整十分のローテーションはいいものがあると認めつつ、トレセンからは東西どちらも大分遠く、また、9月はおろか、10月も暑いのでは、移動のストレス以上に、トレセン内でのリカバリーにも気を遣うから、それなら、小倉か新潟で思い切った経験をさせた中で、結果を出した馬を買うのは理に適っているのかもしれない。

今年は珍しく、ノンオープンキャリア4勝のドゥレッツァさんが、大きな野望を抱いて、5勝目で天下取りを目指す新潟組筆頭の組み合わせ。

ただ、札幌記念を使った1頭は、直行ローテのレインボーラインが好走。

ディーマジェスティの不発に対し、見事、脚を掬うように結果で2着を頂戴した。

モーリスと接近し、ネオリアリズムに完敗も、自身のその後の盾獲りに向けたステップとしては…。

トップナイフがそのクラスになれるかは、いざ知らずとて、ダービーとその前にNHKマイルC好走の実績があったレインボーラインに、G1連対馬=ホープフルS2着の確かな結果で対抗するより他ないが、同じ渋馬場の札幌記念で勝ち馬にこそ圧倒されつつ、大勢の古馬一線級相手に先着したというこの結果も、やはり馬鹿にはできないか。

他に、あのゴールドアクターがいるから、これが高速戦の3着なので、G1経験の差として捉えると、合点の行くことは多い。

北海道を経て、トライアルも使った馬というのは、今でもいるが、近年は力及ばず、ガス欠なども含め全滅。

人気に応えたのは、近年はコントレイルのみという現実を直視したい

三冠達成、無敗のおまけつきでコントレイルが勝って以来となる京都開催。

見事に、トライアル快勝馬が消えた高速レース後の反動こそが、問題の本質ではあるが、阪神でも勝った馬は、京都のそれと同じくらい本物の菊花賞馬だったことだけは、しっかりと記しておきたい。

そして、その阪神2回分を含めて、近10年とした時、不良馬場のキセキ、その前年のサトノダイヤモンドら、関西の大物を名伯楽が送り込んだというその前に当てはまるのが、他にキセキと同じ角居厩舎<久々にこのフレーズを採用>で、より危ない気性だったエピファネイアだから、1番人気はまともに走らない傾向。

とすると、本当は語弊があって、ここ2年は3着外し連発で忘れていたが、自滅に近いヴェロックス、リアファルなど、神戸新聞杯組は走っている。

4回は飛び過ぎなのかもしれないが、皐月賞以上に想像しないといけない要素が増える舞台で、トライアルホース人気先行だったと踏まえれば、十分に買えるレベル。

クラシックウイナー同士の買い被り現象はあっても、どちらもこの中では格上なのは間違いないので、どちらかは残る…、そうあってほしいと思うくらい、実は、危険な要素が詰まった一戦なのだが、どうなるかがそれだとわからないので、ドゥレッツァが人気になりすぎるのはさすがに怖い、というくらいで、重馬場の大舞台経験馬を重視するのがクラシックの常道であると、ここは突っぱねておく。

菊花賞2023- 出走予定馬の血統/成績/タイム

中距離向き種牡馬が晩年、絞り出すように生み出したイレギュラーな才能は少し見逃せない

ハーツコンチェルトの血統

ディープインパクトを返り討ちにしてやろうと画策し、英国遠征後のジャパンCで発覚した喉の疾患による、現役続行断念が、サンデー二大後継同時スタッドインの直接的要因となったわけだが、これほどの不運にもめげず、初年度産駒誕生の2008年から2年後、その組がクラシック世代になった2011年から事実上のお披露目となり、3年目辺りにはリーディング上位につけるようになった。

2年目の産駒から、ジャスタウェイという化け物が登場したわけだが、初年度にもウインバリアシオンやキョウワジャンヌらがいたから、ずっとエース級というよりは、偏った性格の爆発的な才能発揮を得意とする一発屋が基本的に多い。

ジャスタウェイや4年目の世代になるヌーヴォレコルトはずっと活躍したイメージだが、前者はG1を3つも勝った割には少ない6勝と、これはヌーヴォレコルトだけでなく、スワーヴリチャードという完成度の早さから期待の大きい後継と同じ。

リスグラシューやシュヴァルグランも似たり寄ったりの7勝。

思えば、ハーツクライ自身が20戦近く走って5度しか、トップでゴールを決めていない部分で、勝てそうなところは全部勝って、その勢いが止まるとほとんどおしまいというディープインパクトの産駒傾向とは大違いとなってくる。

トニービンやアルザオという、日本ではキャラ強めの濃厚な欧州型は、後者がノーザンダンサー系である影響で、親和性を前面に押し出し、サンデーサイレンスらしさを体現することに特化させることに成功したのだが、トニービンは自身が凱旋門賞馬であることで、存在感がサンデーサイレンスと同格レベル。

種牡馬としての能力差はあっても、競走能力まで格差大というほどではない。

よって、まだ1勝のハーツコンチェルトに悩ましい要素は満載ながら、時計勝負に一定目途の前走を経て、豊かな将来性を再度みせつける、同期同士の長距離戦において、初めての…。

長距離重賞そのものは得意だが、G1は2400M以下に集中するサンデーらしいハーツクライの産駒傾向を、今ここで変化させるために、スピード豊かな北米系で、ジャパンナイズされたヘイロークロスも味方に、地味な末脚で、底力を見せつけたい。

菊花賞2023 - レース展開と最終予想

前走も残念、前々走はダービーで僅差の3着だから、無念さを慮るまでもなく、一目瞭然の惜敗は結構辛い。

ダービーに関しては自滅に近い、スタートの不発はあったが、妙にイケイケに映った松山騎手のパートナーへの信頼が、好結果をもたらしたと評価する。

新馬戦をほぼ大差に近い内容で制した、それも異例に近い、新馬から関西ローカル・表開催の中京に赴き、堂々の圧勝劇を演じた関東馬・ハーツコンチェルトは、幸運にも、重賞2着が一回あるだけでも問題なく出走可能な17頭の登録しかなかった菊花賞という好機が生じ、ついに順調な仕上げで、万全で挑める態勢に恵まれるという、少し神懸かったツキっぷり。

抽選対象の3勝馬がその中を潜り抜け、その上、ゴールでは先頭に…、ヒシミラクルやデルタブルース、スリーロールスに普段なら除外でも不思議はない立場だったフィエールマンなどなど、一発回答の伏兵はいつの時代にも潜んでいる。

表向き、正攻法の出走であるようだが、立場上は、後の菊花賞馬の多くがそうであったように、抽選なり、相手関係の優位性で一発勝負をモノにしたその手の上がり馬とよく似ている。

ハーツコンチェルトは、認められるのに時間を要した、あたかも晩成型のそれのようで、新馬戦の内容から、東京スポーツ杯の断然人気馬になったほど、みんなの推し候補だった。

その一端は、ダービーで遺憾なく見せつけたわけだが、これが案外強いと思える内容。

だから、神戸新聞杯ではまた人気になったが、また、流れと関係ないところにいた。

試走とするには余裕のない立場だったが、鞍上の思惑を斟酌すると、大体の感じで3着は外さないだろう、という結果的には奢りがあったことになる。

どの道、高速の中距離戦は得意ではない。

それを考えた時に、展開そのものは凄まじいスローではないが、単騎のパクスオトマニカだけが平凡なスローで、逃げるべき1頭だったホウオウビスケッツが大人しい先行だったが、その影響で、極端な上がり勝負になった。

出負けの上に、早めに追撃しようにも動き出しを制約される、ほとんど裸馬になっていたドゥラエレーデの挙動があまりにも危険な状況で、1コーナー辺りではまだ後方で並走状態は、仕方なしだった。

ただ、執念に燃える松山弘平は、あまりにも遅いと誰でもわかるこのダービーで、向こう流しでは中団まで押し上げ、丁寧に相手関係を見定める過程で、動いて勝ったあのルメールとスキルヴィングが追ってきた。

彼らが並んだ時、すぐ内に、間もなく先頭ゴールを決めるレーン&タスティエーラが、スパートのタイミングを図るように、じっと我慢の競馬。

事実上、この構図から結果は読めるわけで、直線入り口では、はっきりと好位グループ狙いを決め打った横山武・ソールオリエンスもいたのだから、凡戦のダービーではないと、これで証明完了という具合。

展開にピタリと決めたような段取りの良さを見せつけた、勝ち馬と鞍上の黄金コンビが完璧に過ぎて、その他は敗れた影響で下手な感じに映るが、ハーツコンチェルトでされ、首と鼻の差で半分と遅れていない。

青葉賞での試走をしっかりと決めたことで、松山騎手は、本来のハーツコンチェルトに戻っていることを確信し、確かな成長をくみ取ったのだろうが、それでもここまでは今年の4戦全て未勝利。

合っている距離も舞台設定もあったのだろうが、ギアの上げ方に対し、展開が不釣り合いというか、不運も重なった印象がある。

実力通りとするなら、神戸新聞杯の評価通り、ダービーでの好走、押し上げていく過程に無理はありながら、バテるどころか、最後は皐月賞馬と一緒に、完璧すぎたタスティエーラを追い詰めた内容。

高速展開すぎて、外差しには無理があった神戸新聞杯も、みんな一生懸命に頑張った結果のレコード決着で、モンスター級になりつつある川田将雅&サトノグランツの勝ち馬コンビに対し、3/4馬身ほど遅れただけ、このレースもまた、唯一外から差してきた掲示板内の馬で、裏路線組のロードデルレイに競り負けはいただけないが、距離適性やここ2走の結果を踏まえた上で、余裕の仕掛けは間違いではない松山騎手の判断に、高速決着の強烈なものが予測した以上で出たという誤算があった影響も大きかった。

京都の長丁場で、少し前走掛かり気味だった部分に、少し気を遣えば、長く脚を使えるタイプはやはり有利。

さすがハーツクライの仔だ。

まるで長距離重賞に縁のないハーツクライだが、有馬記念を自分と同じように制したのが、奇しくも、現役最強とされたディープインパクト・アーモンドアイの出走時に、少しこじれたことをすべて味方につけるように、今までにない自分を体現したリスグラシューと酷似する幸運が裏にはあった。

どこか一方が崩れるシーンと踏まえた時、実力は一番に思えるソールオリエンスが、ダービーもそうであったように、キレ鈍るそれで今回も同じだったときは、今度こそ、粘り強い末脚でねじ伏せる。

何かから解放されるように、突然目覚めるそれは、ハーツクライの親仔揃った十八番のようなところがあったが、これだけステイヤー的要素に満たされるこのハーツコンチェルトは、本質がそうでなかったとして、同期同士では大きな武器を持つ有力馬となる。

ここぞの爆発力は、新馬戦で証明済み。

あれが中山であれば、きっと、ダービーでタフに立ち回れなかっただろう。

管理する武井亮調教師は、シュトラウスで勝ちそびれたというか、ややこれも奢りに近い油断が経験値相応に<相手は堀、手塚といった勝負の表も裏も知る名伯楽の管理馬だった>、恐ろしいほどにうまくいかないことを苦く味わい尽くしたばかりで、好機に負けられないハーツコンチェルトを今度こそと、狙い通りに勝ちに出る手段を見事に講じるところまで行った。

ダービー以上のリカバリーはいらない。

誰もが掛かる菊花賞で、トライアルで少し前向きだったことを理解し、正しい位置に早めに取り付ければ、今度は相手が苦しくなる。

どの道、原稿を仕上げる段階では結果の知れぬ、例の秋華賞の結果というものが、多少なりとも影響を及ぼすだろう。

怖いのはクラシックウイナーであるが、本当に恐れるべきはあのお方、となりそうな情勢も、今回ばかりは、人馬一体でないと立ち行かない。

信じられるだけの結果を残してきたことを、調教師、騎手共々、しっかりと思い出して、前向きに闘ってもらいたい。