菊花賞2014 回顧

菊花賞だからこそ、こういう上がり馬による実績馬封じがあってこそ、とんでもない競馬になることがある。先週のレコード決着には、話の続きがあったようだ。

ダービーは厳しい。そして、菊の時計が速くなると、それよりもっと厳しい戦いになる。父が教えてくれた、凄まじい菊の走り方を、この馬はそんな父以上に上手に立ち回って、ハイパーレコードで駆け抜けて見せた。

トーホウジャッカルのポテンシャルの高さ、その急上昇した気運にも驚くべきものはあるが、神戸新聞杯でみることのできなかった、不利がなかったらどうだったのか、の続きがこの結果なら、ダービー前日デビューで、それも全くレースにならなかった5か月前の未勝利戦から始まったこのシンデレラボーイストーリーに妙なまとまりを感じてしまう。

「必要なものだけが欲しい」

前半が速すぎると時計が出ない。

セイウンスカイを駆った横山典弘は、長距離戦では何よりリズムが大事であることを知っている。例え前半が速かったとしても、ロスなく回ってくればスタミナ切れにはならない。この日のラップ概要は、

1000M通過 1:00.9

2000M通過 2:02.2

そして、勝ち時計が3:01.0。

最後の1000Mは58.8。外差しが決まるわけがない。

1:30.5で1500Mを走るということは、そんなに難しい試練ではないのにだ。

もうそうなったら、パドックから汗をかいていたダービー馬のツル首になった最初の下り坂での姿から、直線での失速にも納得がいく。

これも血が抗うことのできぬゾーンの話なのだろうか。10年前と同じだった。

酒井騎手が最近になって、やたらと重賞級の馬に跨って大仕事をするシーンが目立っている。

小柄なせいか、ハンデキャップ競走の軽量馬をよく委ねられる時代が長かったが、そんなのはもう昔の話なのだ。こうやって次から次へとチャンスが巡ってくるようになり、初騎乗の菊を一発で仕留めた。いい流れが続いている。

「3000Mのレースのことは知ってましたから」

万葉Sだって、京都3000Mのレースである。

必然性が詰まった乱菊。

トゥザワールドは少し気になるが、それほど今年のクラシックは終始死闘の連続だったのだ。

出来ることなら、みんなじっくり休みたい。セイウンスカイ然り、ソングオブウインドも然り…。