皐月賞2016 回顧

皐月賞にしては、あまりにも猛烈な展開になってしまい、リオンディーズは、リスペクトアースの作った強烈なハイペースを半ば強引に自分の流れとすべく、桁違いの流れを3角辺りで主導権を奪っていくリスキーな競馬をしてしまったから、直線ではもう辛くなって、外の馬をちょっと弾くようなふらついた走りになってしまった。

1000M通過58.4秒。耐えきれるはずもない。

どっちで行くかわからなかったエアスピネルと武豊騎手の選択は、スピード勝負になるという読み、切れ味勝負にならないという読み、そして、マカヒキより前にいないと勝ち目はないから正攻法で戦うしかないという選択を、15番枠を引き当てた時点で考え付いたのだろうと思う。

結果は、力を出し切ったのか、うまく出し切れなかったのかわからないようなもやもやしたものだが、現状の能力以上のものが引き出される展開で、よく走ったのではないだろうか。

さて、リオンディーズと人気を分けたサトノダイヤモンドなのだが、こちらは、ハイペースにならないスピード決着は得意でも、中山のようなタイトな競馬場で、この展開は歓迎ではなかったはずだ。

3強とされた馬たちの中では、間隔も開いていたし、当然目一杯の仕上げはあり得ないのだけど、それでも光り輝き方では、他の17頭とも違うオーラが出ていた。

負けて強しという着差ではないが、器用過ぎず、変に中山の競馬にハマらないで、ただし、決め手勝負では一歩後れを取った印象のサトノダイヤモンドは、ダービーでの評価が分かれそうだ。

個人的には、距離が延びたら、尚のこと積極的に動けば、後続はついていけないと考えるのだが、こういう負け方だと、陣営が考えすぎることはよくある。

マカヒキは、テン乗りの川田騎手が、理想的ではないにせよ、当面の相手を負かす競馬はできたから、それはよしとすべきだ。

ただし、距離が延びるほどこちらはより策が限られていくような印象がある。

普通の弥生賞の勝ち馬ならば、こういう負け方こそが、ダービー、菊花賞で良いとされるが、結局、2000Mのスピード勝負に向く馬なのだろう。

この馬がダービーの1番人気になれば、騎手の乗り替わりもなくはない状況だし、正攻法で勝負したいタイプの騎手を配した今回の結果を踏まえて、もう少し前に行く可能性がある。

きっと、それだと末が伸びないはずだ。

中山2戦の内容からも、彼は瞬発力のある馬の追い込み型ではない。

でも、勝てなかった。

ディーマジェスティ、お見事。

勝ち馬を最後に回顧することは、失礼千万は承知で、やはり、中山得意の蛯名騎手のコメントから、このレースの性質を読み解くのが良いと思い、そこから結論を導き出すことにした。

単純に言えば、外枠が不利にはならない、ハイペースの展開のごっつあんですという追い込み。

スパートのタイミングを含め、既にこのレースを勝利している騎手らしい余裕のコメント、

「勝つならこのパターン」

というドヤ顔から発せられたこの言葉と、もう一つ、

「この馬は落ち着いていた」

という、聞き捨てならない言葉にも触れつつ、こんな皐月賞ストーリーを描いてみた。

・リオンディーズがあそこまで攻めていったのは、前回の掛かったレース内容とは真逆で、自分でレースを作るために自然とあの位置にまで上がっていってしまったから。

・サトノダイヤモンドの敗因は、それによるハイペースの影響で、いつも以上に早く動かしていかないと、ドンドン置かれてしまうような気がしてしまったため。

・エアスピネルはそれらの動きに巻き込まれ、伸びきれず。

・マカヒキは、脚質には合っている展開でも、時計が速すぎて差し切るところまでいかず。

・陰に隠れて、8番人気の馬が共同通信杯快勝のパーフェクト連対馬であったこと。

→これは、単独の評価を下すべき、異常な競馬であろう。

風の影響大きく。

荒天の勝者・テイエムオペラオーのような末脚を発揮したディーマジェスティは、あの七冠馬より強いと即評価はできないが、時計は2秒以上速い。

が、底力で勝ったのと、周囲の馬が自分の型で勝負できたかよくわからない謎のレースを勝った馬とでは、単純にどちらがどうとは言えない。

これで関東馬の4連勝。

負けても不思議。勝っても不思議。

今年も、裏路線組は十分出番ありのダービーとなりそうな結果だ。