2023年皐月賞【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着ソールオリエンス(5.2倍)2着タスティエーラ(9.0倍)3着ファントムシーフ(3.8倍)

レース名第83回皐月賞
日程2023年4月16日
優勝馬ソールオリエンス
優勝騎手横山 武史
勝ちタイム2:00.6
馬場
3連単配当24,780円

2023年皐月賞 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
11ソールオリエンス2:00.6-
214タスティエーラ2:00.81.1/4
37ファントムシーフ2:01.11.3/4
417メタルスピード2:01.1アタマ
54ショウナンバシット2:01.33/4
単勝1520円
複勝1220円
複勝14270円
複勝7160円
枠連1-71,280円
ワイド1-141,290円
ワイド1-7560円
ワイド7-14620円
馬連1-143,510円
馬単1-145,520円
3連複1-7-143,770円
3連単1-14-724,780円

2023年皐月賞 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「馬場がかなり特殊だったので、外の馬場を走りたいと思っていました。スタートで思った以上に行き脚がつかず、もう少しポジションを取る予定でしたが切り替えてこの馬のリズムで運ぶことに決めました。とにかく走る、走る馬です。とてもいい馬です。久しぶりにGIを勝ちましたし、これを超える喜びはないですね。日本ダービーは2年前も去年も、その前も良い結果を得られていません。僕は間違いなく1年ずつ成長しているはずなので、技術を上げた姿を、さらに大きい舞台でこの馬と一緒に皆さんに披露することができたらなと思います。」

※優勝した横山 武史騎手のコメント(ソールオリエンス)

2023年皐月賞 - レース結果動画(YouTube)

2023年皐月賞 - 回顧

1着入線したソールオリエンスの父はこのレースで無敗でのトライアル勝ちながら、上位と離された4番人気で挑み、3着に止まったキタサンブラック。

ちなみに、その年の1番人気は今年2着に入ったタスティエーラの父であるサトノクラウン。

こちらも無敗馬として挑戦したが、何の因果か、直線ぶち抜きのスター・ドゥラメンテの前に完敗であった。

ソールオリエンス自身は、半兄にドバイターフで何度も好走し、今年のその一戦で終焉の場所としたヴァンドギャルドをもつ。

ディープインパクト産駒はどの国でも需要があるはずで、外国での種牡馬生活でも、いずれ産駒の中から素晴らしい才能が出てくることだろう。

一応、母スキアの従妹に世界中の中距離G1に挑んだオブライエン厩舎のラヴもいるから、サドラーズウェルズ系との相性も抜群であり、サンデーサイレンスの血を取り込んでも、当然、それなりに走る。

ソールオリエンスの決め手の根源は、ディープインパクトこそ入っていないが、その全兄で皐月賞は人気になるもダイワメジャーに遥か置かれた後方ゴールで、故障にも泣いたブラックタイドの影響力もあるのかもしれないと思う一方で、ライアン・ムーアを目指しつつ、馬乗りの家系の血がここぞの場面で疼く、横山武史騎手にはまだ抗えない血の特性、父譲りの柔軟な対応に適した柔らかさを活用できる、恐らくは、重厚な欧州系からではなく、元は英国血統だったプリンスリーギフト系から、しっかりと受け継いだのであろう。

キタサンブラック産駒ではお決まりの、父が持つリファールをもう一本重ね、激しい競馬にもスピード戦にも適応していく継続クロスを、昨年2着のイクイノックスと同じように秘め、底力に溢れる芝血統ながら、実際はジャパニーズスタイルの差し馬であることが、この大舞台で証明された。

プリンスリーギフト系はグレード制導入前の皐月賞でよく勝ち馬を送り出していたが、快速トウショウボーイから、泥田のような皐月賞を勝ち切り三冠にまで到達した直仔・ミスターシービーのような躍動を、早くも期待できる。

最内枠で、それも道悪の皐月賞を勝った馬といえば、あのコントレイルがいる。

派手さでも破壊力でも、今度は鞍上のフィーリングなども含め、それを倍する激しい争いを制するための条件を、今年が人馬とも満たしていたということなのだろう。

先週と同じように、このレースをやる前からすでに、勝ち馬が決まっていたかのような強烈すぎる一気の末脚だった。

コントレイルという馬は、皐月賞が道悪で行われた際のレコードタイムを叩き出した異能の存在。

前々走では、恐らく、しばらくは並ぶ者さえ現れないだろうという芝1800Mにおける世界レコード級の1:44.5という快記録を作っていたから、その後の展開も必然性が伴っていた。

横山武史騎手のサクセスストーリーに欠かせない無敗制覇者・エフフォーリアは、翌年、ちょっとだけその前年のコントレイルの時よりはハードではなかった馬場だったが、同じ稍重で、2:00.6というレコードを作った。

実は、その前の非良馬場皐月賞の好記録は、30年以上遡った1991年、あのトウカイテイオーが記録した2:01.8であるとか、グレード制導入後最初の道悪皐月賞を勝ち切ったミホシンザンの2:02.1という基準に対し、意外にも、無敗や連勝のファクターを取り込むことで、そのほとんどが、出世を約束する大いなる証明としてきた歴史がある。

トウカイテイオーの道悪記録を破ったのは、岩田騎手と共にガッツでインを抜け出してきたヴィクトワールピサの2:00.8。

新馬戦でローズキングダムに敗れてからは、ずっと王道路線を勝ち進んできた馬だった。

トウカイテイオーと同じタイムで走ったのが2000年のエアシャカール。

奇しくも一族のベラジオオペラが登場してきたが、未完成の分、また再びの鞍上変更で、良さが出し切れなかったが、主戦の武豊騎手が乗ってもあまりいうことを聞いてくれなかったエアシャカールは、しかし、ハナ負けのダービーの後にはキングジョージに挑み、トライアルを叩いて、菊花賞を鞍上の神懸かったアシストで勝ち切り二冠。

ヴィクトワールピサは有馬を勝っただけでなく、翌年、ドバイワールドカップウイナーとなった。

トウカイテイオーのドラマについては、皆が知るところ。

人によって、シンボリルドルフよりよっぽど強かったという評価を下すほどの才能に恵まれた、真の天才であった。

キタサンブラックとは違うローテでも、こうしてソールオリエンスをアシストするレジェンドホースたちが残した確かな記憶と、約束手形にも等しい今後の明るい展望は、日本のクラシックで3代続けて走った血脈であることからも、ほぼ確定的。

道悪の皐月賞でさすがに、驚異の捲りで勝ち切ったコントレイルにこそ及ばないが、その走破タイムはわずかにリード。

そのコントレイルを、皐月賞で走った分だけ先着したのがエフフォーリアなのだから、上がりが重馬場でも35.5秒なら、今のところは敵なし…。

さて、そう簡単に評せるかどうかという話である。

父典弘騎手が駆るトップナイフが、突如として、不穏な動きを見せた刹那、ゲートが開くという悲運もあったし、同じようにレジェンド騎手が騎乗のタッチウッドは、自分自身のメンタルコントロールが不完全で、立て続けての自滅で、さすがに今度は疲弊してしまった。

実は、雨馬場の年もかなりある皐月賞というのは、不良馬場で80年代にシービーやドクタースパートは勝った年を除くと、稍重の年が圧倒的に多く、今の時代で上がりの数字で見える馬場の本質からして、直前の雨の注入で、明らかに重馬場らしい質だったことが見えていて、雨が降っていた時にインを抜け出したゴールドシップがそうであったように、東京で良馬場になった瞬間、何から何まで変化する可能性も大いにある。

重馬場の最後の記録は、実に、50年も前に同じく無敗で制したハイセイコーの勝った1973年まで遡らないとない。

ダービートライアルを制し、ただ、そこで余力を失った彼は、大本番でタケホープらにねじ伏せられる。

イクイノックスがそうであるように、スピード勝負が向いているほどではないにしても、キレ味比べの中距離戦で持ち味を出すキタサンブラックの産駒が、スローのダービーでどうなるか。

その後に期待であるソールオリエンスをどう評するかは、実に難しい面がある。

年明けのレースを使わずとも、サートゥルナーリア、イクイノックスらは、このレースに関係なく、ダービーで最高の出来にまでは持って行けずに敗れたが、レースの最少キャリア記録である3戦目での戴冠がどう出るか。

この皐月賞の謎解きが難しいのと同様、ダービーもまた難解極まりない。

とりわけ、道悪戦を派手に勝ったソールオリエンスと、正攻法で完全に父を皐月賞時点のスキルを上回ったタスティエーラらの評価大きく変える必要はないが、ゴールドシップとワールドエースが、皐月賞で負かしたディープブリランテに敗れたシーンの方が、現実的なデジャブの構図に思える。

普通ではないローテの馬と、かなり古典に近いローテで皐月賞好走の2着馬。

皐月賞が年明け2戦目だった、賞金も足りている、3着ファントムシーフ、7着トップナイフに、裏路線組で9着のフリームファクシらは、キャリアもある程度ある中距離型なので、鞍上の性格などを加味すると、本流組ではこの3頭の巻き返しが怖い。

ダミアン・レーンには、サートゥルナーリアでの厳しすぎる悲しき結末の経験があり、今の彼は、とても怖い騎手に成長している。

ルメール、横山父らは、言わずと知れたダービージョッキーでもある。