2023年オークス(優駿牝馬)予想 過去10年間のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り

レース名第84回オークス(優駿牝馬)(G1)
グレード重賞(G1)
日程2023年5月21日(日)
発走時間15時40分
開催場所東京競馬場
距離芝2,400m
コース左回り
賞金1億5000万円
レコードタイム2:20.6

2023年オークス(優駿牝馬)予想 - 予想オッズ/出馬表(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)

オークス(優駿牝馬)2023の予想オッズと登録馬

枠順馬番出走予定馬騎手性齢斤量予想オッズ人気1週前追い切り最終追い切り
11ラヴェル坂井瑠星牝355.069.313栗東・CW・良(坂井瑠)
6F 81.6-65.8-51.7-37.4-12.1(一杯)
栗東・坂路・良(坂井瑠)
800m 52.4-37.4-24.2-12.0(馬なり)
12ライトクオンタム田辺 裕信牝355.032.0 9栗東・CW・良(田辺)
6F 84.8-68.8-54.1-38.6-11.7(馬なり)
クールブロン(強め)の内0.7秒追走・アタマ先着
栗東・坂路・良(調教師)
800m 53.0-38.7-24.9-12.4(馬なり)
23キタウイング杉原 誠人牝355.0111.516美浦・南W・良(杉原)
6F 83.4-67.4-53.1-38.9-12.1(馬なり)
フライウィズミー(馬なり)の内1.7秒追走・同入
美浦・南W・良(杉原)
6F 82.6-66.9-52.4-37.8-11.7(馬なり)
アルゲンテウス(馬なり)の内0.6秒追走・同入
24キミノナハマリア三浦 皇成牝355.0134.97栗東・CW・良(助手)
4F 52.8-37.1-11.7(G前仕掛け)
栗東・CW・良(助手)
6F 87.2-71.3-55.1-39.3-11.6(馬なり)
35リバティアイランド川田 将雅牝355.01.51栗東・CW・良(助手)
5F 71.9-55.3-39.1-11.9(馬なり)
栗東・CW・良(川田)
6F 83.2-68.0-52.4-36.7-10.8(馬なり)
ベルシャンブル(馬なり)の内0.5秒追走・0.4秒先着
36ゴールデンハインド菅原 明良牝355.028.08美浦・南W・良(菅原明)
6F 82.7-67.1-52.4-37.6-11.9(馬なり)
エコロカナワン(一杯)の外0.3秒先行・0.2秒先着
美浦・南W・良(菅原明)
6F 82.1-66.4-51.9-37.7-11.6(馬なり)
ラヴォラーレ(末強め)の外0.5秒追走・0.2秒先着
47ヒップホップソウル津村 明秀牝355.061.711美浦・南W・良(助手)
7F 95.5-65.4-51.2-37.6-12.0(馬なり)
ココクレーター(直一杯)の内0.4秒追走・同入
美浦・南W・良(助手)
6F 85.1-68.6-53.3-38.5-11.3(馬なり)
ジャングルキング(馬なり)の内0.2秒追走・0.1秒先着
48レミージュ荻野 極牝355.0255.520栗東・CW・良(助手)
6F 83.1-67.1-52.2-37.2-11.7(一杯)
マラマ(一杯)の外0.5秒追走・同入
栗東・坂路・良(荻野極)
800m 57.9-42.8-28.2-14.4(馬なり)
59コナコーストD.レーン牝355.010.73栗東・CW・良(見習)
6F 79.7-65.3-51.4-37.2-12.1(馬なり)
ウィンドリッパー(一杯)の内0.9秒追走・クビ先着
栗東・坂路・良(助手)
800m 54.1-39.1-25.5-12.4(馬なり)
510ソーダズリング武 豊牝355.018.55栗東・坂路・良(松若)
800m 54.2-39.2-25.7-12.6(馬なり)
栗東・坂路・良(武豊)
800m 52.7-38.4-24.5-12.0(馬なり)
ノットゥルノ(馬なり)を0.3秒追走・同入
611ミッキーゴージャス戸崎 圭太牝355.020.96栗東・CW・良(斎藤)
6F 82.3-66.9-52.0-37.4-11.3(一杯)
ペースセッティング(馬なり)の内1.1秒追走・0.9秒先着
栗東・CW・良(斎藤)
6F 85.3-69.4-54.2-38.7-12.0(馬なり)
エクロジャイト(馬なり)の内0.9秒追走・同入
612ハーパーC.ルメール牝355.010.32栗東・CW・良(助手)
6F 84.8-69.0-53.7-37.3-11.2(一杯)
ジュンフカリ(馬なり)の内0.5秒追走・0.4秒先着
栗東・坂路・良(助手)
800m 56.2-40.7-26.3-12.7(馬なり)
713ドゥーラ斎藤 新牝355.089.915栗東・CW・良(斎藤)
7F 99.0-66.8-51.4-36.1-11.1(一杯)
プラチナリボン(一杯)の内1.7秒追走・0.8秒先着
栗東・坂路・良(斎藤)
800m 55.2-39.9-25.4-12.3(馬なり)
714ペリファーニア横山 武史牝355.017.44美浦・南W・良(助手)
5F 69.1-53.4-38.1-11.1(馬なり)
キングストンボーイ(馬なり)の内0.6秒追走・0.1秒先着
美浦・南W・良(横山武)
6F 84.3-67.8-53.0-38.3-11.7(馬なり)
トロワシャルム(馬なり)の内1.4秒追走・0.1秒先着
715エミューM.デムーロ牝355.062.612美浦・南W・良(助手)
6F 80.1-65.1-50.8-36.9-12.0(強め)
美浦・南W・良(見習)
6F 85.5-69.0-53.0-38.1-11.7(馬なり)
816ドゥアイズ吉田 隼人牝355.024.77栗東・CW・良(吉田隼)
7F 99.5-67.5-52.4-37.0-11.6(末強め)
カンチェンジュンガ(馬なり)の内1.1秒追走・同入
栗東・坂路・良(吉田隼)
800m 53.4-38.8-24.7-12.1(一杯)
817シンリョクカ 吉田 豊牝355.045.810美浦・南W・良(調教師)
6F 83.9-67.4-52.6-37.5-11.6(馬なり)
グッドルックス(強め)の内1.1秒追走・同入
美浦・南W・良(吉田豊)
5F 68.7-53.8-39.2-11.5(馬なり)
ユイノダンディズム(馬なり)の内0.7秒追走・同入
818イングランドアイズ横山 和生牝355.085.214栗東・坂路・良(調教師)
800m 58.1-42.5-27.9-13.7(馬なり)
栗東・CW・良(調教師)
6F 84.6-67.8-52.5-37.3-11.5(馬なり)
テネールスエルテ(馬なり)の外0.8秒追走・同入
脚質1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
逃げ馬1回1回0回19回4.8%9.5%9.5%
先行馬1回5回3回62回1.4%8.5%12.7%
差し馬15回11回15回127回8.9%15.5%24.4%
追い込み馬4回2回2回87回4.2%6.3%8.4%
枠順1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1枠2回5回3回30回5.0%17.5%25.0%
2枠6回1回1回30回15.8%18.4%21.1%
3枠0回2回3回34回0.0%5.1%12.8%
4枠1回2回3回34回2.5%7.5%15.0%
5枠4回3回3回30回10.0%17.5%25.0%
6枠0回0回2回38回0.0%0.0%5.0%
7枠5回3回3回49回8.3%13.3%18.3%
8枠3回3回2回50回5.2%10.3%13.8%
種牡馬1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
ディープインパクト33回30回26回171回12.7%24.2%34.2%
ハーツクライ15回10回10回113回10.1%16.9%23.6%
ルーラーシップ14回12回6回70回13.7%25.5%31.4%
ハービンジャー8回9回5回66回9.1%19.3%25.0%
キングカメハメハ8回5回2回45回13.3%21.7%25.0%
ステイゴールド7回7回3回64回8.6%17.3%21.0%
オルフェーヴル7回6回7回43回11.1%20.6%31.7%
ドゥラメンテ5回4回3回21回15.2%27.3%36.4%
ロードカナロア5回3回1回14回21.7%34.8%39.1%
ゴールドシップ4回6回10回57回5.2%13.0%26.0%

2023年オークス(優駿牝馬)予想 - 過去10年のデータ傾向

重賞3回連対の馬は、大体マイラー

桜花賞連対馬が、過去10年で6頭該当する。
その中に、来年以降のデータとして、G1独占状態のリバティアイランドが加わってくる。

単純な話になってくるこのデータのトリックは、一点で収束される当然の見解があるのみ。
桜花賞に向けた一連のクラシック向けの選定に活用される重賞は、基本的にマイル以下。
だから、そこで強い馬はマイラーである確率が、相当に高いと言える。

つまらない話のようで、明らかに中距離適性の方がずっと上というスターズオンアースに、三冠のジェンティルドンナがそうであったように、桜花賞と見違えるようなオークスの走りという展開には、昨年二冠馬と同父のリバティアイランドは味方につけたいところ。
大威張りのマイル戦線、桜花賞までの路線でのリバティアイランドは、他の6頭と違い、王道を突き進み続けた点に強みと弱みの両面を抱えるが、ソダシとは異なり、今にしては、無駄に勝ち続けるほどに完成度が高いというわけでもないから、大きな死角にはなってこない。
重箱の隅をつつくなら、マイラー説で押し切るしかないという実例を列挙したまで。
アパパネ以来、2歳女王で桜花賞馬の無敗ではないスター登場で、前年ブエナビスタ同様、ここまでは勝負強さが光ったという歴史を踏襲すべきだろう。

桜花賞馬は総合力で一枚上

ベガに始まり、少し間をおいて、スティルインラブ、アパパネ、ジェンティルドンナ、アーモンドアイ、デアリングタクトらは三冠。
ブエナビスタ、スターズオンアースらが秋華賞が2位入線の降着と3位入線で同じ3着。

ベガも旧エリザベス女王杯で3着。
ハープスターもマイルで弾け過ぎていた割に、今にして思えば、よく走ったという2着。
この辺り、例年の桜花賞馬のスケール感ではないリバティアイランドの好走を後押しする要素であろう。

ここらで相手探しのポイントを、一点に絞る形で狙いのパターンを数種探り当てていく作業を始めたい。
三冠馬ばかりの近年は、桜花賞馬誕生の近辺に相手がいるケースはほとんど。

近年ではむしろ珍しい、春二冠に止まったスターズオンアースだけ、フラワーC勝ちから直行のスタニングローズが絡んできたくらい。
ソダシが敗れた一昨年でさえ、札幌の時から一緒に切磋琢磨してきたユーバーレーベンの順当な巻き返しなのだから、デアリングタクトの相手が、フローラS勝ちのウインマリリン<結局、昨年の香港ヴァーズを勝ったエース格>ということでも、柔軟に捌く技術をファンは問われているとはいえ、アーモンドアイやジェンティルドンナの年のように、相手が確定している世代となって、何ら不思議ない。

オークス→秋華賞も、昨年がそうであるように、固定化の流れが出来ている。
勝ったに等しい桜花賞2、3着か、その後ろのオークス待機組にするか、リバティアイランドを知っているグループの方がいくらか優勢とここは読み取る。

人気になってもいいタイプに入るのかどうか

桜花賞馬が1番人気4度というのだから、過去10年で半分もないこの傾向は、意外な穴の狙いを呼び込むファクターにもなっている。
何しろ、春二冠の牝馬は同期間で3頭、昨年はいずれも1番人気ではないスターズオンアースだったが、その他の2頭も、桜花賞は2歳女王に人気を譲っていた。

1番人気が2度しか3着を外していないから、そのソダシとサークルオブライフを検証すればいいとなるのだが、ジョーカーも多い2歳女王の枠に含まれる。
ソウルスターリングが桜花賞の汚名を雪いだだが、この例の方がレア。

5勝しているうち、2頭は桜花賞馬であり、ソウルスターリングは前記の通り、あとは、桜花賞馬がいない年の1番人気馬が実力通りに走っただけ。
桜花賞馬がいると、軸はむしろ定まらないとした方がいいのだろう。

リバティアイランドはさすがに、不良馬場だとか怪我でもない限りは、連を外すとは思えないが、3着の馬がトライアル勝ちのデニムアンドルビーという、後の惜敗女王だから、対極の馬であろうリバティアイランドは、勝ち負け必至。
1番人気5勝の裏で、2着に来た馬の前走は、トライアル勝ち馬が4例、ずっと一緒だよムードが秋にはあっさり瓦解のリリーノーブル・ラッキーライラック同盟がアーモンドアイに食らいついた2018年だけ例外。

ゴールデンハインドは買うべきだろうが、アーモンドアイやジェンティルドンナ<桜花賞2、3着→2、4着となったのみ>のようなこともあるので、まあ、無難に安全な買い目に絞って買いたい人は、この筋読みで手堅くダービーへと歩を進める道を探ればいいとしたい。
筆者はへそ曲がりなので、そんな手は考えない。(笑)

速い馬の可能性はあっても、マイル重賞で負けている馬はむしろ、オークスでこそ買いたい馬

ソダシが壮絶に散ったのは2年前。
全力で白毛のヒロインを追っていたみんなが、もうじきお別れになる<常識的に考えて、来年のヴィクトリアマイルには出てこない>5歳馬の再興と、新たなる進撃を期待するのは、オークス至るまでの安定飛行が影響していることは間違いない。
勝負強く、また見た目以上にスター性のある確かなスピード能力は、クラシックウイナーに相応しい才能の持ち主だと証明こそされた桜花賞だったが、もうこの時点で、長い距離を戦う伸びしろはなかった可能性がある。
秋華賞もゲート内の粗相でレースにならなかった。

一方、新馬で牡馬クラシック連対に屈しただけで、マイルでは無敗だったブエナビスタが、リバティアイランドと近いようで、オークスが僅差。<ここも秋華賞も、最後までレッドディザイアと接戦>
宿命のライバルがコナコーストなのか、はたまた血統馬でそれと双璧のペリファーニアなのかで、こうした名牝物語から学ぶ買い目は見当もつくが、そういう桜花賞ではなかった。

マイル負けの経験のあるニシノフラワーは、スプリンターとして資質を活かしたクラシックの戦略があったが、結局、秋に有馬記念前週開催時代のスプリンターズSを凄まじい決め手で制して見せた、早熟の姫君。
アパパネとは速さで双璧、4歳時にはブエナビスタをヴィクトリアマイルでねじ伏せたから、これらの間。
危険な匂いのするテイエムオーシャン的な展望も・3着、一応、彼女が1200でキャリアスタートすると、マイルで負けていた馬の中で、超名牝の未来展望をすることは、実はできないのである。

ただ、ソウルスターリングやその前のシンハライト、ジェンティルドンナもそう、アーモンドアイなども、マイル以下の競馬で1度は敗れている。
無敗ではない桜花賞馬だから、歴史上のその他大勢の中に加わるリバティアイランドだが、中身は無敗に近いブエナビスタと同じで、マイルのパフォーマンスは高水準で上回っていても、本質は中距離型。
桜花賞好走の組より、中距離指向のハーパー、ドゥアイズに、フローラSで権利獲得の2頭が相手に相応しいだろう。
マイラーとしての資質を打ち消す必要がある、近年のオークス独立化傾向からも、準備する時間があったかどうかが、桜花賞2、3着馬には問われる。

2023年オークス(優駿牝馬)予想 - 出走予定馬の血統/成績/タイム

その他の馬脚を見極めていくうちに、確信を得た二冠達成の証拠、となりそうな競馬の真理

リバティアイランドの血統

速いけど、距離をこなせるモンスタータイプだったドゥラメンテは、内面は違っても、シンボリルドルフであるとか、コントレイルなどのように、適当な部分が結構あったと記憶する。
確かに、新馬戦も4戦目の共同通信杯もひどい内容であったが、連は外さなかった。
粗削りなのではなく、走り方への執着というか、人間がそこに介在しないことが最も重要であったとする性質は、一族の性質のみならず、その産駒にも多分に伝わり、確かな進化を遂げるという面がある。

今後、コントレイルからまた素晴らしいクラシックホースが誕生するはずだが、シンボリルドルフはたったの1頭、無敗二冠のトウカイテイオーを残すことで、その存在価値をほぼ移行するだけの種牡馬成績に止まった。
平凡と言えばそうだが、そういうことではないのかもしれない。
走りたくて仕方のないトウカイテイオーしかり、コントレイルだと父がそういうタイプのディープインパクトであるとか、親仔でも似て非なる天才性がそれでも継続されることが、こと、この世界では重要とされる。

牝馬の大物は、すでに前年のクラシックに投下済みであるドゥラメンテなので、リバティアイランドに求める結果は、繫殖牝馬としての存在意義ではなく、アスリートとしての発展性の証明ではないだろうか。
あわや、大クラッシュを起こす寸前にまで追い詰められた天皇賞のタイトルホルダーは、クラシックウイナーであるからこその、古馬戦線における上がり目の限界のようなものが、4歳時の再成長で露見しただけのこと。

速さを上手に抑えられるリバティアイランドは、ドゥラメンテの後継に相応しい。
しかし、牡馬ではないから、沢山の産駒は残せないが、女性アスリートとしての活躍が最も盛んな競技である競馬では、牡牝の垣根をあっさり超えることが当たり前。
父の母母であるエアグルーヴ・1996年勝ち馬がそうなのだから、リバティアイランドもきっと、スターズオンアースもそうだったのだから、牝馬の壁を取り払っていってくれるからこそ、このオークスは通過点。
超えられない壁ではないこの舞台で、自分自身が壁を作った時、未来は奪われるが、それは競走馬として宿命でもある。
ここで死なずば、多くの実を残す母になる道が相応しいとなるだけのこと。
そう思っているはずもない本人が、走りたくないと思っても、それはそれでいいが、きっとドゥラメンテ産駒への興味も奪われる。
だから、勝つべきレースを勝っておきたい。
今のところ、怪我をしない限りは厳しいレースにもならないとできる環境が整っている。

2023年オークス(優駿牝馬)予想 - レース展開と最終予想

日本のオークス・優駿牝馬というレースは、極端な脚質的バイアスの発生するレース。
昨年、あの大逃走事件による発走時刻の大幅繰り下げにより、半分くらいしか力を発揮できなかったとされるレースを、あっさり外から差し切ったスターズオンアースは、直前の桜花賞の方がよっぽど苦しい競馬だったとはいえ、中団外から悠々と抜け出した。

これでさえ、大体中位待機の8番手前後の追走だが、前年のユーバーレーベンは、4コーナーこそ同位置でも、その前は後ろの方でソダシマークの厳しいレースを読み切ったデムーロ騎手が、急かさずに走らせた。
一応マッチレースだが、2着のアカイトリノムスメよりスムーズな仕掛けだったから、1馬身前に出ていた。

ユーバーレーベンは桜花賞に間に合わなかったが、昨年は二冠馬の誕生。
実は、彼女が桜花賞の方が後ろにポジショニングしていた、典型的な巻き返しのパターンだったのである。
桜花賞出走の勝ち馬といえば、近年では三冠頻発なので、ジェンティルドンナもアーモンドアイも、無敗のデアリングタクトもといるが、知られるように、アーモンドアイやデアリングタクトはかなり強力な2歳女王を撫で切るように、実に豪快な一気。
とりわけ、誰も追い込めていないのに、一頭だけ突っ込んできたということでは、この三冠馬で桜花賞前からの連勝が止まらなかった超名牝たちと、現時点で、似た結果が期待できるとなる。
ハープスターは殿一気だったが、これはハイペース。
今年はそれより、序盤は2秒近く遅いが、上がりは全く同じ32.9秒というリバティアイランドに、極端な不運の荒天による馬場悪化やアクシデントでもない限り、常識的に、出てきて負ける図は想像できない。

唯一、ジェンティルドンナだけが時計も平凡、おそらくは直前のチューリップ賞で調子ガタ落ちの中で3着外しから中4週の桜花賞だったから、オークスでは上がり目しかなかったのだろうが、その時、縁あってオークスで騎乗した川田騎手は、武者震いを覚えるような戦慄の5馬身差圧勝の記録を残し、主戦岩田康誠騎手に三冠のアシストを十二分にして見せた。

恐れるものなど、そもそも、馬任せ状態である展開のユウガにとって、リバティアイランドが走りたいように走らせるのが筋と、基本的なテーマは、調整をすべて行って、正攻法抜け出しの阪神ジュベナイルフィリーズで、馬の状態に合わせてアシストを適度にすることが重要なことを、しっかりと心得ている。
どこにいても負けないと思ったのは、本当は大勢だったはずの桜花賞だが、そっちね、と序盤から行きたがらない彼女の姿勢と、川田騎手の考えそうなことを斟酌し、桜花賞はともかく、オークス、いやダービーもきっと…、と確信を覚えたのは、そんな名牝史を瞬時に思い起こしたからである。
まず負けない、というレースは本来存在しないが、翻弄される側が挑戦者の方であれば、主役は何もせずとも、ヴィクトリーロードは一本筋になって、直線上に見えてくるもの。
引退レースのグランアレグリアやコントレイルは、まさに展開関係なく、相手が勝手にリズムを崩して、簡単なレースにしてしまった。
無論、他の平均的G1馬のスケール感ではそうはならない。

牝馬同士で、キャリアも似たり寄ったり。
上がりの脚に、才能の全てではなく、他にその能力をオークスで求められたとき、果たしてどれだけ耐えきれるかという話。
もう、桜花賞をある意味勝ちに出なかった黄金コンビはその時点で、二冠を視野に入れるどころか、どう勝つべきかを想定し、馬が勝手にそれを予行演習した格好になり、勝ってしまったというわけだ。
桜花賞組でも、トライアル組でも、さすがにオープンキャリアなしでは苦しいが、2戦負けなしのミッキークイーンの娘・ミッキーゴージャスなども、忘れな草賞勝ちのグランベルナデットが理想の正攻法で制した候補であったのに、その勝ち馬含め、出走馬全て回避では、こちらのやりくりも手が限られる。

差し馬有利の裏をかけるのは、今年はもうゴールデンハインドだけだし、目標があって、後ろを気にする各馬の動きは制限される。
前に行っても、後ろに行っても不利を見えた時、確勝級の桜花賞馬には、勝ち筋の選択しか残されない。
末脚自慢ではあるが、父ドゥラメンテがそうであったように、自然と流れに乗って、恐らく、前は高確率で掃除されるだろう。
それを察知し、NHKマイルCのような仕事をできる騎手<差しの手に妙味ありと、多くのG1ジョッキーは外差し展開を見切った順に、上位に入線した>は、ケンタッキーダービーが残念過ぎる立ち遅れだったルメール騎手のハーパーくらいしか、馬のレベルからしても見当たらない。

これが人気に応えられないと、相手はいくらでも穴馬タイプが台頭する。
筋読みとして、ルメールだけは確実としたいが、こちらの方がセコく乗らないといけないので、不測の事態は十分にあり得る。
このレースの博奕の妙味は、ルメールに賭けるかどうかにかかっている。
近年は1番人気も順当に来るので、適性さえあれば…、ここはもうダービー3勝の友道マジックに期待するのみであろう。
こちらに関しては、対抗しておいてなんだが、絶対的な存在では当然ない。