オークス(優駿牝馬)2015 回顧

あれ、晴れてるじゃないか?

ディープの仔が走る条件は整った。恐らくは、ルージュバックだって走るだろうと…。

揉まれた組が巻き返したわけでも、はたまた別路線が特別凄かったわけでもない。

ただただ、上位3頭が素晴らしい走りを見せて、仕掛けた順に苦しくなっただけのこと。

オークスで62秒以内の1000M通過だったら、正攻法でも、大外一気でも自分の脚質が決まっていれば、それを武器に目一杯戦うことができる。

惜しむらくは、ルージュバックがクラシック前にもっと厳しい競馬を経験できていれば…。結果論に過ぎない。

1、2着馬は、2月の重賞で、強気に遠征を選択した馬である。

ミッキークイーンがここまで来るとは、いや、オークス路線で台頭するとは、新馬大出遅れ、直線猛追の2着からは到底想像もつかなかったのだが、今彼女は、人気のルージュバックをも捉える強靭な末脚を武器に戦う、本格派のディープ産駒になったのである。

クイーンCも酷い競馬だったが、体がなくなってしまっても不思議じゃないほどの-20kgながら、人気くらいに走って新馬でみせた豪脚をまたしても披露した。

あの頃に…。ルージュバックが光輝いた淀のクラシック登龍門快勝の翌週、ドゥラメンテとリアルスティールが初対決し、その前日にロカを破ったミッキーとキャットコインが、クラシック路線に乗ってきたのだ。

3か月間というのは、超一流馬でも好調をキープし続けるのに、それこそ使わない中でなんとか保持することのできる最長の期間と言える。

彼女たちがその後、無理使いされず、更に言えば、消耗するような競馬をしてこなかったことが、桜花賞好走のクルミナルを超えられた理由でもある。

クルミナルは、きっとマイル近辺が向く自在型であろうが、彼女もまた2月のエルフィンS勝ちの候補。その上、年明けデビューの箔もついている。

調子を落とす間もなく、春のクラシックを戦い抜いたこの世代の功労者だ。負けてしまったが、池添騎手の異様なまでの惚れ込み様が、この結果にしっかり現れていた。

最高に乗れたが、その後ろに敵がいただけのこと。仕方ない。

何事も順調に行けば、万事うまくいくわけではないのが競馬。

クラシック戦がそう簡単に収まるわけもない。

分からないことだらけの先行争いを、ノットフォーマル&黛弘人が果敢に制した1角から、もう内の好位抜け出し組の出番は、内々強襲にしか見出せなくなってしまった。

1枠は時に、最悪の展開を強いる足かせともなる。前回うまく行き過ぎたレッツゴードンキは、今度は全て手詰まりの競馬になってしまった。

ルージュバック陣営が経験した屈辱を、今度は一心に受ける立場になってしまったが、きっとハイレベルだろうこの世代の競馬であるなら、こういう大敗も致し方なしだろう。

みんながみんな毎回力を出せるわけではないが、ミッキークイーンの小さな馬伝説が今年も引き継がれたことが、各陣営へのせめてもの慰めになるだろう。

みんな強いから、仕方ないのである。こういうのもまた面白い。

4、5着馬は、例年なら優勝圏内に入ってくる馬である。