エリザベス女王杯2016 予想

スローが分かっているだけに、乗り替わりで心機一転を図ってきたシャルールの先行策も、騎手の意向次第ではなくはない。

しかし、速い馬がいないというのは、往々にして、意外な馬のミドルペースでレースが締まる可能性もあり…。

シングウィズジョイではそれはない。ルメールだし、プリメラアスールがいると考えると、それに任せたいと目論むはずだ。

だから、先行型の軸は、ポカもあるデムーロのクイーンズリングだろうか。

見え見えのスローで、自在性を引き出したという自負が鞍上にはある。出遅れもある馬だけに、不安材料は多いが、悪い選択肢ではない。

パールコードが強気に出られたら面白い。京都の土曜重賞を後方一気で連続快勝の川田騎手が、ノリノリである可能性はあって、日曜日のグレンツェントも、騎手のせいで負けたという内容ではなかった。

ミモザ賞くらい強気に乗ってくれたらいいのになあ、と本来の自分の型にハメてほしいと思う一方、そもそもいきなりの古馬戦で結果が出せるほど強いのかという疑問も残る。

ミッキーとマリアを軽視はできない。

ヴィクトリアマイルと宝塚記念のそれぞれの内容は、歴代の女王杯覇者と比肩するレベルのものであり、一方はすでにこのレース制している。

さて、決め手で上回れる馬はいるのだろうか。

昨秋は絶好調で、3連勝でこのレースに挑み、大混戦のゴールシーンだったとはいえ、勝ったマリアライトとは0.2秒差の7着。

アッゼニ騎手が気を利かせて普通に中団待機していたら、まさかの外差し天国の展開で穴党が大いに肩透かしを食らったシュンドルボンに、思わぬ一撃を今度は勝って食らわしてもらいたい。

昨年のマリアライトは、このレース独特の特徴で、2200・2400Mでの好走歴がある馬という括りで、2500Mでの勝利記録もあったことで、力勝負の道悪決戦を制した。

それとは違う状況で、似たように、このシュンドルボンも1600Mでは未勝利で、特殊な札幌の1500Mでの勝ち星はあるが、初勝利のダートを除き、3連勝は全て芝1800Mだった。

似たような戦績で、レインボーダリアが道悪で穴を開けた例がある。また道悪の年の勝ち馬は、大体翌年は良馬場になる影響で、ほとんど連続好走がない。

リピーターレースとして知られる牝馬には特殊な条件だから、特に、京都の中長距離実績が結果に大きな影響を与えるのだろうが、要するに、距離適性のある馬が消えるのは、リズムが悪い方に変わってしまったからなのだ。

ミッキークイーンは、大きく揉まれて力を出し切れなかったジャパンC以外、選り好みすることなく、どの距離でも好走している。

重馬場でも勝っているし、高速決着も望むところ。

しかし、マリアライトには牝馬らしい末脚勝負に脆い特徴がある。

中山・東京の2500M重賞で3戦続けて好走する牝馬は稀だが、このレースを昨年制した結果、実は、自分の得意とする距離の競馬しか使っていないという死角がある。

休み明けは苦手とはいえ、オールカマーは昨年より時計が速かったのに、着順が同じだったこと以外に見せ場はなし。

ここ数週、今までの惜敗はなかったことに…、みたいな大一番での変わり身が一つのトレンドになりかけているが、どうせなら、フレッシュで言い訳はあまりしない若い馬の方に魅力がある。

◎シュンドルボン

〇ミッキークイーン

▲クイーンズリング

☆マキシマムドパリ

注マリアライト

△アスカビレン、デンコウアンジュ、ヒルノマテーラ

ハードな展開を好む馬が多く、精神的な消耗の我慢比べは、スローでも実は同じようなものが求められ、意外と実力馬有利になるが、スロー差しの専門家であるシュンドルボンは、リヴァーマンやボールドラッドなど、中長距離戦の末脚勝負に適性を感じる血が母系に入っていて、2000M以上の出走レースは皆何故か気合いを入れ過ぎて乗り替わりで失敗してきた嫌いがある。

猛ペースは絶対にありえない展開で、我慢比べで力を見せた連下の激走も期待できる。

だからといって、実績上位の馬に不利な展開でもない。

京都の最後の下り坂が、ゴール前の勢いにどれだけ影響してきたか、歴史は証明してきた。

ただし、それはここを勝ちたいという気持ちが強かった者のためのアシストであり、ディープの2頭には、もう少し上の目標設定がある。

吉田豊騎手には、エアグルーヴ潰しに成功した、かつてのメジロドーベルのような末脚を引き出してもらいたい。