エリザベス女王杯2021【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着アカイイト(64.9倍)2着ステラリア(25.1倍)3着クラヴェル(46.9倍)

レース名第46回 エリザベス女王杯(GⅠ)
日程2021年11月14日(日曜)
優勝馬アカイイト
優勝騎手幸英明
勝ちタイム2:12.1
馬場
3連単配当3,393,960円

エリザベス女王杯2021 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
1アカイイト2:12.1-
2ステラリア2
3クラヴェルクビ
4ソフトフルートクビ
5イズジョーノキセキハナ
単勝166,490円
複勝161,180円
複勝5650円
複勝2810円
枠連3-82,610円
ワイド5-169,600円
ワイド2-1615,440円
ワイド2-57,450円
馬連5-1651,870円
馬単16-5137,500円
3連複2-5-16282,710円
3連単16-5-23,393,960円

エリザベス女王杯2021 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「本当にうれしいです。ゲートをうまく出せなかったが、向正面ではイメージ通りに位置を取れました。阪神の内回りなので早めに動いて長く脚を使わせたいと思いました。思ったより早く前をつかまえたし、最後は必死に追っていました」

※優勝した幸騎手のコメント(アカイイト)

エリザベス女王杯2021 - レース結果動画(YouTube)

※実況レース映像

エリザベス女王杯2021 - 回顧

面白いレースではあったが、こういうことが起きるのがエリザベス女王杯の常であるということを、どこか忘れていたファンたちへのアンチテーゼのような伏兵陣による、大逆転の競演となった。

速過ぎた展開も、怪しげな人気馬の死角も当然あったわけだが、阪神への変更も大いに影響があったということだろう。

このレースの斤量設定は、宝塚記念と同じ古牝馬56のタフな条件。

3歳馬も秋だからもう54であり、京都でやったとしても5年に一度くらいしか勝っていない。

こういう年もある、そういうレースなのである。

アカイイト。興味深いのが、ざっと牝系を洗い直してものの1分で発見した大種牡馬との繋がり。

8代母にあたるGagaは、あのTom Fool<USA産・30戦21勝/ バックパサーの父>の母であり、ちょうどその従弟にあたるのがAmbiopoise<アンバーシャダイの母父、サクラバクシンオーの母母父/ 基礎繁殖牝馬・クリアアンバーの父>という背景がある。

Gagaは3代母の父がMiswakiということもあり、その母父父がTom Foolだから、5×5というインブリードが施されている。

そのミスワキに関わってNashuaもクロスするが、母のウアジェトもロベルト系のシンボリクリスエスであるから、全体に巡るナスルーラ系の複合的なクロスで、ウオッカのようなビッグに育つ下地があったということになる。

アカイイトはキズナの産駒であり、ラヴズオンリーユーと全く同じディープインパクト×Storm Catという配合。

初めての産駒によるG1勝利は、血統の良血度合いでオンリーユーと比肩するキズナであるから、何ら不思議はないのだが、パワー全開のスピード比べでは足りず、スローからの末脚比べでは見劣るとなると、サンデーサイレンス産駒の後継種牡馬がそうであったように、B級とややA級に掛かるかというその狭間を行き来するような怪しげな性質があるとなる。

奇しくも、ラヴズオンリーユーと同じように、芝2200MのG1で小回り戦。

みんなが知っている血統のイメージの枠と外れたようなところにあるアカイイトだからこそ、荒れた展開の一戦を制した根拠を持っているのだとできる。

反対に、それがなかったのがここまでの戦績が素晴らしすぎた人気勢だったのか。

2着ステラリアも同父であり、渋くサドラーズウェルズの血を受けた伏兵らしい配合になっている。

条件が付けば強い血統だから、先達ての秋の天皇賞のような正攻法で戦う3強が集うような一戦に出番はない。

血統の方向性が似るクラヴェル共々、器用さが今回ばかりは、人気馬の死角として大きくのしかかったようなところがある。

レイパパの敗因は、最内枠であろう。

掛かるはずのないペースを、むしろ、上手に4角に掛かってからのスパートで粘り込めるような展開になってしまった時点で、序盤が速かったことになる。

人気馬であるから仕方ないが、上げても無駄だし、自分より強気に位置をとったウインマリリンがスタミナ自慢なのに、先に止まった。

展開もあるだろうが、阪神の2200Mは内枠が幾らか不利とされるから、位置取り争いで真ん中から外の馬に、特に先行型にはマイナス材料がない分、厳しかった。

力負けではないが、スタミナ不足は認めつつ、競り潰しにかかってきたアカイイトがあんなに強いとは…、誰もわからなかったのだからこれも本命馬の苦しいところだった。

アカイトリノムスメの出来は問題なかったが、古馬の一線級が集う一戦で、やけに序盤からやり合う先行勢のやる気が、スマートさで勝負したい血統馬には立ち行かない、厳しいものがあったのは事実。

これも実力よりは結果が伴わなかったわけだが、ステラリアに差されたこと以外は、全く後ろめたい結果ではない。

秋華賞を休み明けで勝てば、クロノジェネシスも大いに不発であったような厳しい舞台。

中距離のハイペースを真っ向受ける競馬を経験したことで、ある意味で、牡馬との対戦にも一定の目途を立てたようなところがある。

血統背景からも、渋った宝塚記念などむしろ歓迎の口だろう。

ウイン勢は序盤が速過ぎた。

もう少し長い距離に向く性質もあるが、順調さを欠いたマリリンは、あまりにも前走が素晴らしかっただけに、故障も心配になるほどの失速。

枠はアカイイトと何も変わらない外であったキートスも、猛烈な上がりのラップで目黒記念独走の特殊能力の持ち主。

皆が期待した、伏兵が伏兵らしい戦法に徹し、力を出し切らせてくれる流れを作ってくれたら…。

それでは言い訳であろうが、オールカマーで走りすぎたから、上がり目はなかったではないかという考えはある。

ウインキートスは、ちょっと前にあった「レース前に本番をやってしまった」というような稽古の質で敗れた2005年のヤマニンアラバスタを思い出した。

上位勢は全て、前走はソフトフルートを除けば、全員3着以下である。

それにしても、アカイイトというか牝馬の幸が素晴らしすぎた。

誰も知らないタフな能力を、前々走の阪神外回り・1800Mの垂水Sで、マーメイドS除外のうっ憤を晴らすような直線一気を決めたあれが、牝馬の大一番で再び炸裂である。

それも、そんなに得意そうではなかった内回りコースで、昨年のラッキーライラックのような捲りを敢行して、実に男前なレース振り。

上手さで同期の実績者にも、若き挑戦者にも大いに見劣っていたはずなのに、この結果は衝撃に近い。

幸英明騎手は、この勝利により牝馬限定G1は、2003年の牝馬三冠<スティルインラブ>、2018年ヴィクトリアマイル<ジュールポレール>らに続く勝利で、全て人気面は他に譲る幸騎手らしい?結果となっている。

中でも最大の伏兵であるアカイイトとは、これが初コンビ。

桜花賞を初コンビで2勝の池添謙一騎手も著名であるが、様々な騎手からその騎乗に対する意欲と、各陣営からの信頼感それぞれで、関係者すべてから尊敬される名手だからこそ、こうした幸運も巡ってくるのであろう。

九州男児にしても男前な幸騎手だが、流石に中身は男の中の男、といったところ。

そんなパートナーを求めていたアカイイトには、運命の人であったことになる。

ステラリアは、着差が開いてしまったから惜しいというまではいかないが、たかがリステッドの忘れな草賞勝ちの伏兵としては、言うことのない2着。

あのレースもハイペースで、展開は似たような感じ。

3歳馬の争いがレパートリーに富んでいるからこそ、こういう才能に出番があったのだろう。

イン強襲のノリ流を完遂のクラヴェル、もはや説明不能の伏兵であるソフトフルート、準オープン馬であるイズジョーノキセキらの台頭は、血統的な特性の差も影響してのことだろう。

サンデー直系かそのクロスを持つロベルト系が上位に入り、僅かにその規格のようなものから弾かれた人気勢と4、5着馬には、いくらかハイペースへの適性は足らなかったようなところがある。

みんな止まったところからの踏ん張り合い。

これはあのラヴズオンリーユーというよりは、ディスタフ勝ちの大金星を成したマルシュロレーヌのような適性を持った馬たちの頑張りであろう。

どこでも通用するのは、人気になった面々より、意外とこのような場面で激走の伏兵であったりする。