2020年エリザベス女王杯【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着ラッキーライラック(3.3倍)2着サラキア(12.3倍)3着ラヴズオンリーユー(5.5倍)ラッキーライラック連覇!

レース名第45回 エリザベス女王杯
日程2020年11月15日(日)
優勝馬ラッキーライラック
優勝騎手C.ルメール
勝ちタイム2:10.3
馬場
3連単配当21,050円

エリザベス女王杯2020 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
118ラッキーライラック2:10.3 -
213サラキア2:10.4クビ
311ラヴズオンリーユー2:10.4クビ
412ウインマリリン2:10.7 1 3/4
58センテリュオ2:10.8 3/4

単勝18330円
複勝18150円
複勝13280円
複勝11200円
枠連7/81,260円
ワイド13-18930円
ワイド11-18490円
ワイド11-131,460円
馬連13-182,290円
馬単18-133,610円
3連複11-13-184,260円
3連単18-13-1121,050円

エリザベス女王杯2020 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「今日は勝つ自信がありました。18番枠がきつかったけど、スムーズなレースができましたね。馬も冷静に走ってくれましたし、本当に強い馬です。最後はサラキアが迫ってきた? 遅すぎたね(笑)」

※C.ルメール騎手のコメント(ラッキーライラック)

エリザベス女王杯2020 - レース結果動画(YouTube)

※実況レース映像

エリザベス女王杯2020 - 回顧

序盤はちょっと掛かっているというか力みもあったラッキーライラックは、気づけば、4角の辺りで他の馬とは違うところを回ってきて、直線では完全に抜け出していた。

溜めをどう利かせるか難しいからこそ、スピードレースに活路を見出したノームコアに対し、正攻法の差しを選択させる様々な絡みの中で計算できない部分まで入る勝負の流れでも、己の力を示すのに適した運を味方につけた。

4歳シーズンこそ、阪神のレースには縁はなかったが、大阪杯も内から抜け出し、急遽、エリザベス女王杯が阪神に変更の流れに乗って、ラッキーライラックには好都合の流れに加えて、持ちうる底力をタフな急坂のあるコースでこそ発揮という父オルフェーヴル譲りの才能の出し方に繋げたことになる。

窮地に追い込まれていた三冠馬が復活した舞台でもある阪神2200Mは、ドラマチックな舞台でもある。

そのオルフェーヴルには必要な舞台で、急に中山から阪神に替わったスプリングSを制したことで、ようやくクラシック候補に上った父と同じく、最初と恐らく最後のタイトルが阪神となったラッキーライラックの数奇な運命は、どことなく、導かれるようにしてこうなった面は否めないのかもしれない。

遺伝子レベルで適性があるとなると、オークス馬や前哨戦勝ち馬でもそう簡単には追い込み切れない。

恐らく、横山典弘騎手がいなかったらここには挑んでいなかったはずのノームコアは、香港も想定していた春の使い方から、コロナ事情の進展が見られないことで、こうしたレース参戦の運びとなった面がある。

場合によっては、アーモンドアイに勝ってしまうかもしれないとした生産者サイドの懸念は、2年前とは違う臨戦過程のようで、まるで同じルートでのフレッシュさで勝負の一戦だったが、如何せん、京都だろうと阪神だろうと、きっとこの距離は合わなかったはずだ。

1000M通過1分切りが速いというよりも、普通にやっては距離実績で上回る他のライバルには敵わないと、強気に出るというところで、変なバランスになって前向きさが抑えきれなくなったのもあるが、適性の面で見劣るだけに、人気があったというだけで攻めるのもなんだかおかしい。

それなら、自在ではないけれども決め手で勝負のディープらしい追撃をしたサラキアとラヴズオンリーユーを褒めた方がいい。

仕掛けのタイミングはラッキーライラック次第だったはずの両者だが、こちらも距離に若干の問題があるサラキアは、意外なほどに阪神内回りに適性があったのだろう。

サラキアのストロングポイントは、末の持続力がどこかで出るは不明という不安定さがもたらす、一発の破壊力だったが、普段なら縁のない阪神内回りのディープには、高速馬場の利点も活かせたのだろう。

筆者はラッキーライラックもサラキアも、ノームコアについても色々調べたことがあるから知っていることもあるのだが、ジャパンCダートが阪神に変更されたことで生じた、直線一本勝負型の魅力は、ダラダラと坂を上って下っての中で先行馬に余計なリードを与えかねない京都よりも、展開が本当にハマる差し馬というのは生まれやすかったのかもしれない。

本当は差し馬なのに、色々な迷いがあって、ワンターンやら左回りやらを狙ったことを好機としていた筆者とすると、結局、小倉巧者が成長したのだという結論で落ち着くことになった。

残念ながら、スーパースターになれないからこそ、こういう生き抜き方が性に合っていたということも言えるわけだが、陣営からするとどう扱っていいか本当にわからなかった血統馬のために、やっと、正しい施しの仕方が見えただけでも、まだまだ若い鞍上と本当に若い調教師にとっては、いい経験になったはずだ。

筆者だけ、間違っていたのである。

ラヴズオンリーユーは本調子に戻り切る前に、本番を迎えたのだろうが、見せ場は作った。

ミルコとしても、やるべきことはした。

でも、昨年のラッキーライラックとは違って、クラシックウイナーになってしまったがために、成長力も相当奪われたことになる。

運命を分かつ何かがあったとすれば、2歳時の2勝目でも、京都の内回りで1:33.6という本番並みの時計で駆けてしまったことが挙げられる。

それに惑わされなかったのは、もっと短い距離に向く新馬戦の走破タイムがそれくらいだったグランアレグリアだけ。

どこかでおかしくなることはあっても、必ず戻ってくる。

そういうことばかり信じすぎると、ずっと戻らない。

一度、もっと違うカテゴリーでリフレッシュした方がいいかもしれない。

面白かったのは、ウインマリリンだろう。

溜めたいという希望が必ずあったから、図らずも先行の父の後ろでじっとする形になって、直線では東京の時の溜めを再現。
冬毛ぼうぼう写真を何度か見ているうちに、かなり自信を失った筆者だったが、自分の競馬で最高の粘り込みを見せた武史騎手のナイスファイトで救われた気分だ。

正しくあろうとすると、こういう不思議な戦略になるが、それはオールカマー勝ちのセンテリュオも同じで、3歳馬も含めよく頑張っていたが、上の3頭ほどの経験値も、現状の実力もないのだから、これはこれで仕方ないだろう。

先行勢で粘ったリアアメリアとウインマリリンは、外枠で台頭の上位勢と比べても、かなり我慢のいる展開だったはずだが、着順以上の価値がある。

ソフトフルートもちゃんと時計勝負に見せ場を作る結果になったわけで、4着以下の面々は、普段なら繋がらない来春のヴィクトリアマイルに、好印象を持って臨めるだろう。

時計勝負の質は違えど、どの馬も、この距離がベストには思えない。

京都巧者のトーセンラー、秋の天皇賞で強烈に追い込んだスピルバーグのいる一族で、自身はトラヴァーズS<米GⅠ>を制したというフラワーアレイを母父に持つラッキーライラックは、父系がズブいかどうかに関係なく、いつどこでダート向きに振れても不思議ではないステイゴールドの血筋であることから、マッチョ化との攻防で、色々と陣営が苦慮してきた経緯がある。

言っても、ベストは若かったまだ負けを知らなかった時代の方が、もっと体つきはラインが芝向きだったから、よくなったり悪くなったりは、ステイゴールドの系統だと態度に出るものが、彼女は体つきに出やすくなるという面がある。

母系にダート向きの可能性を秘めた血を入れたところで、サンデーサイレンス系は相殺する才能を秘めるが、原点に時計勝負向きというラッキーライラックにしかない個性が、ステイゴールド直系の割に出せていたのは、そういったスピード優先の血統の影響もある。

加えて、G1でも常に好勝負だったダイヤモンドビコーが近親という牝系もあって、勝率は低いけれども、条件が噛み合ったらそれなりになれるというマイブッパーズ系の強みも出たか。

勝ち切る条件は前哨戦の方が多いようで、大事な場面で負けた後に、本気を出すところは案外、牝系の良さもあるが、ヘイルトゥリーズン系の持つ底力とも思える。

筆者はそれをロベルト系に求めたが、21世紀の阪神2200Mと言えば、いの一番にステイゴールドが挙がるのは、皆が知っていることである。