エリザベス女王杯2025【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着レガレイラ(2.3倍)2着パラディレーヌ(10.0倍)3着ライラック(32.7倍)
| レース名 | 第50回エリザベス女王杯 |
| 日程 | 2025年11月16日 |
| 優勝馬 | レガレイラ |
| 優勝騎手 | 戸崎圭太 |
| 勝ちタイム | 2:11.0 |
| 馬場 | 良 |
| 3連単配当 | 24,680円 |
エリザベス女王杯2025 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
| 着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 7 | レガレイラ | 2:11.0 | - |
| 2 | 1 | パラディレーヌ | 2:11.3 | 1.3/4 |
| 3 | 12 | ライラック | 2:11.4 | 1 |
| 4 | 16 | リンクスティップ | 2:11.4 | アタマ |
| 5 | 13 | ココナッツブラウン | 2:11.5 | 1/2 |
| 単勝 | 7 | 230円 |
| 複勝 | 7 | 130円 |
| 複勝 | 1 | 280円 |
| 複勝 | 12 | 460円 |
| 枠連 | 1-4 | 690円 |
| ワイド | 1-7 | 610円 |
| ワイド | 7-12 | 950円 |
| ワイド | 1-12 | 3,430円 |
| 馬連 | 1-7 | 1,280円 |
| 馬単 | 7-1 | 1,720円 |
| 3連複 | 1-7-12 | 8,920円 |
| 3連単 | 7-1-12 | 24,680円 |
エリザベス女王杯2025 - レース後コメント(騎手/厩舎)
「ホッとした気持ちと、一番人気の期待に応えられて、嬉しいです。毎週、毎週、スタッフから具合が良いと聞いていましたが、それは今日跨った時にも感じました。返し馬でも落ち着いていて、良い状態でした。ゲートの中ではじっとしていませんでしたが、ゲートが開くと自分から出ていってくれました。道中は、馬場の良くない内に閉じ込められないように気をつけました。手応えも良く、リズムを取って行けました。直線、他の馬を交わす際、私は必死でしたが、馬はしっかりと反応して伸びていってくれました。レガレイラにはたくさんのファンがいると思います。これからますます活躍すると思いますので、応援よろしくお願いします」
※優勝した騎手戸崎圭太のコメント(レガレイラ)
エリザベス女王杯2025 - レース結果動画(YouTube)
エリザベス女王杯2025 - 回顧
父スワーヴリチャードには全く縁のなかった京都の重賞であるが、関東のトップホースであるレガレイラ自身も、これが2度目の挑戦。 変な詰まり方をした経緯に、ルメール騎手が中団から普通の競馬をした影響が、直線の捌きにマイナスの要素を生んだ遠因であったのだから、馬自身もそうだが、古馬になってから活躍した父、またその父ハーツクライだけでなく、母父のハービンジャーも唯一のビッグタイトルとなったキングジョージは4歳になってからという、血の縛りが関係しているのだろう。
2歳で走った記録は、母が阪神ジュベナイルフィリーズで1番人気に推されるほど、惚れ惚れするような新馬戦の内容であったからであり、そうした悪い面<一族に伝わるゲート難>は、スケールアップが自然成長の中で、無理のないものであるとすると、問題なく育つ傾向は、まさにハーツクライの成長曲線そのもの。
3代母は偉大なるブラックタイド、ディープインパクト兄弟の生みの親となったウインドインハーヘアで、どうもこの兄弟も、京都で具合の悪い競馬をしてしまうことが多かったように、全ての局面で不利な条件を持った馬がグランプリホースであった場合の突破力に、満点の結果で示した当たり、中山が得意な理由はないはずなのに…、という血統的な視点で捉えた不器用さの正反対な戦績の傾向に、実は、京都が一番合っていたのではないという、一つの仮説も立てたくなった。
武豊騎手がスピードに勝る馬を前に行かせるケース<まず、ほとんどの場合が下げることが多かったが、このタイプは少し工夫が必要と言っても、逃げ方のアプローチの仕方に変化をつける以外にはない>では、スロー逃げはまずない。 だから、競りかけるつもりはない先行勢は、楽なペースは作らせたくなかったが、そこは1分程度の1000M通過に留めた時点で、エリカエクスプレスのペースを乱すまでには至らなかった。 ただし、これにより動かされたのはむしろ、外国人騎手や外国出身のルメール騎手など、G1で仕事をしようよ、それなりのクラスの騎乗馬を託された側。
これが一番不利だったように思う。 それに加えて、直線の短いコースでこそ、末脚を極限に引き出してあげられるようなタイプのココナッツブラウン。 レガレイラと同じタイミングでは持ち味は半減だが、流れが読めていたのか、ルメールを差し返そうとする戸崎圭太が冴えているのか、全ての有力馬の動きを自然な形で視野に捉えることのできる、中団後ろからの構え。 ある意味、昨年は挑戦的にアプローチせねば、今度どうにも立ち行かないことが見えていたルメール騎手の思考に対し、元の形と、今の充実の気配からして、これはむしろ周りに勝手に動いていただいて…。
例年通り、秋の雨が馬場を徐々に進捗していく、ここ10年の京都の名物化した光景に比して、まだ高速を維持する意地のようなものを見せつつ、大方、外差しの傾向が出ている中で、実力がもう勝負できそうにないステレンボッシュが、やや燃え尽きた4角過ぎから、ゆったり外へ持ち出す余裕を見せたレガレイラに、もはや敵となりそうなライバルは見当たらなかった。
圧倒的な決め手を、今回はオーロラエックスに期待したが、急にも元通りというか、ゲート難の死角が再び顕在化し、そのために、前に行くことが正しい道であると信じる、クリスチャンが乗るリンクスティップとの接触、逃避に近い動作のようなこともあって、もう諦めるしかない後方待機。 これは残念だったが、全ての支配を、全盛期の武豊騎手がそうであったように、後方からでも可能にした時、レースは勝手に自分たちの、本命級有利の展開に落ちていていく。 ステレンボッシュが対抗馬でなくなった時、3歳の浮き沈みの激しいパフォーマンスを客観的に判断すると、もう独走のゴールシーンは予測されたものであったような気もする。
ただ、レガレイラは少し、細身ではなくなった馬体から、アンブライドルド敵というか、どことなく、母系に欧州系がひしめくウインドインハーヘアのファミリーらしさというよりは、スワーヴリチャードの母方に入ったパワフルなスピード系<これとサンデー系の芝の長距離砲との相性がすこぶる良かった>の本質的な肉体の構造に、少し近づきつつあったようにも思えた。 出来が良かったが、どうも、軽さはというか、牝馬らしさが売りのレガレイラは、パワフルさを増して、もっとスピード能力を全開にする、いわば、マイルチャンピオンシップ向きの何かを持っているように思えたのだ。 ハービンジャーの血は、こと、このコースのG1に向く適性を示すことが多い。 意外なラスト、難なら、ドバイシーマクラシックではなく、ターフでの快走が期待されるような雰囲気を醸していたのは、いい変化なのかどうか、まだ筆者に分からなかった。 きっと、目一杯ではなかったのかもしれないが…。
パラディレーヌとライラックは、血統も含め、岡田一族の相馬眼が導き出した特殊な組み合わせの難解なパズルを解いていく中で、今回の伏兵として、皆が挙げていた面々。 キャラがノーザンファーム産を中心とした良血の社台系と一線を画すから、当然、守備範囲も異なるわけだが、どういうわけだか、このレースというのは、1着に納得の勝ち馬が登場することが多い一方で、2着は前残りの伏兵というケースがまた同じくらい多いせいで、全体傾向のズレを如実に示すケースの典型の様に、今年も誘われていったようなところがある。
キズナにクロッシングアーギュメント肌の繁殖を掛け合わせるという、ダート狙いにも見える配合は、実は、母系にハイトップやヴァルデロワールなど、欧州の重厚な母系で効果絶大の血を含む、そんな特異な構成の配合でオークス好走のパラディレーヌが、未来のリピーターとして、まず名乗りを上げたようなレースにもなった。
岩田望来騎手は、デビューから3戦続けて騎乗して2勝。 ただ、その後に2歳女王、それも世代の中心になっていきそうな雰囲気を示していたアルマヴェローチェを抱える関係で、関東遠征を機に、一旦は関係が途切れていたが、個人馬主としてこの馬を所有する岡田牧雄氏は、あまり縁が切れたら、新しい関係を優先する傾向に反し、温情なのか、珍しく手を戻して、この結果を出して見せた。 千田輝彦厩舎の躍進も見逃せないが、一時期ほどのノーザンファームの勢いではない今、岡田家の勢いもまた確実に復活している気もした。
格の差を見せつけられたココナッツブラウンやリンクスティップなど、外枠も敗因となったところで、決め手で勝負の藤岡佑介替わりの妙な炸裂したライラックは、3年前の2着同着の一頭であるから、適性を示したと同時に、毎年のように出てきては、ついに、自己ベストに等しい2:11.4で駆けているのだから、陣営は堪らない。 さすがに日高の馬で、スカーレット一族の杵臼牧場産<テイエムオペラオーに、最近はトップナイフが著名な生産馬>で個人の持ち馬だが、ダート馬ではないし、何より、スターズオンアース隙を突いて重賞を勝った一頭なのだから、そろそろ、ラストシーンは近づいているのだろうが、レガレイラも、3歳で納得の競馬をして見せたパラディレーヌ同様、こうして、どんどん変わり身を見せる馬に、楽しみをもたらしてもらうことは、我々にも幸せになれるような気がする。
ピカイチの海外産の良血牝馬をとってくることが重要なのは間違いないが、こうした牝馬たちが、中興の祖となって、ファミリーを持ち上げる存在となりそうな気もした。 レガレイラの2、3着という箔は、日高の生産牧場にとって重要。 勝負手で成功する種付け相手を見つける勇気を与えてもくれるはずだ。


