2020年エリザベス女王杯 予想

エリザベス女王杯予想の特集&最終追い切り後の攻略記事になります。
過去10年の歴代優勝馬の傾向や参考レースを見ながら登録馬の中から本レースの狙い目の穴馬や外厩仕込みの軸馬を予想していきます。

トライアルの激戦にて優先出走権を手に入れてきた激走する勝ち馬や逃げ馬のサインを見逃すわけにはいきません!

荒れる傾向の中、予想オッズをチェックしつつ、過去配当を超える3連単を狙っていきたいと思います。

レース名ジャパン・オータムインターナショナル 第45回 エリザベス女王杯
グレード重賞(gi)
日程2020年11月15日(日)
発走時間15時40分出走
開催場所阪神競馬場
距離芝2200m
コース内回り
賞金1億500万円
レコード2:11.2

エリザベス女王杯2020の出馬表(馬柱)- 出走予定馬の馬体診断と想定騎手(枠順確定)

枠順出走予定馬騎手斤量(負担重量)馬体重(前走)
1サムシングジャスト松山 弘平56.0kg514 kg
1シャドウディーヴァ内田 博幸56.0kg482 kg
2ソフトフルート福永 祐一54.0kg470 kg
2リュヌルージュ団野 大成56.0kg480 kg
3ノームコア横山 典弘56.0kg468 kg
3リアアメリア川田 将雅54.0kg484 kg
4センテリュオ戸崎 圭太56.0kg472 kg
4ロサグラウカ幸 英明56.0kg466 kg
5ウインマイティー和田 竜二54.0kg480 kg
5カーロバンビーナ浜中 俊56.0kg408 kg
6ウインマリリン横山 武史54.0kg464 kg
6ラヴズオンリーユーM.デムーロ56.0kg486 kg
7ウラヌスチャーム斎藤 新56.0kg504 kg
7サトノガーネット坂井 瑠星56.0kg440 kg
7サラキア北村 友一56.0kg454 kg
8エスポワール武 豊56.0kg480 kg
8ミスニューヨーク加藤 祥太54.0kg462 kg
8ラッキーライラックC.ルメール56.0kg524 kg

エリザベス女王杯2020 - 血統予想から出走予定馬を分析(過去10年)

祖父グラスワンダーはG1の4勝馬というより、最強世代のグランプリハンターという位置づけで、誰からも一目置かれる素晴らしい競走馬だった。

阪神の世紀と一戦となったスペシャルウィークとの頂上決戦は制したものの、ガタガタ状態の翌年の宝塚記念では、勢い止まらない1つ下のテイエムオペラオー以下4歳世代の後塵を拝し、これが最後のレースとなった。

父スクリーンヒーローも父と同じく関東馬で、宝塚記念はドリームジャーニーの5着。

何が言いたいかというと、得意不得意がはっきりしない傾向なのだという話だ。

グランプリ連覇はロベルト系の恩恵であると証明しつつも、シンボリクリスエスが宝塚記念で輝いたわけでもない。

むしろ、主流とは言い難いミスプロ系が入っていることの方が強調材料になるか。

宝塚記念で圧勝したわけではない最近の勝ち馬には、ミスプロ系が父か母父系かという共通項がある。

母がミスワキの仔×マキャヴェリアンの仔という配合のサトノクラウンは、ロベルトやステイヤーが輝いた90年代後半からしばらくの古馬中長距離路線で、ちょっとだけ隙間を見つけて快走のサイレンススズカやスイープトウショウといった配合に似ていて、その複合体のウインマリリンは、一流競走馬にして一流半種牡馬のフサイチペガサスを母父に持つ馬だから、グラスワンダーが最後の武器に取っておいたダンチヒの血がこの代でクロスして、バリバリの正攻法抜け出しの中距離型としての形を作った最大の要因となっている気がする。

皆、少しだけ時計が速い時に持ち味を活かしている。先週のような感じでレコード決着となると、ちょっと速すぎるが…。

エリザベス女王杯2020 - 過去成績のデータベースと傾向から予想

 1着2着3着4着以下
東京の重賞に連対実績のある3歳馬2回2回2回12回
   〃   <オークス連対馬>
2回2回2回3回

まともに着外というのは、スノーフェアリーがいた時のエリンコートくらいなもので、休み明けのサンテミリオンとルージュバックなど例外とすれば、要するに全部来るという京都での主な傾向。

2着馬は1勝して2着も1回、3着も同着優勝のアパパネがいるので、勝ち馬と双璧。

回収率を上げるのは当然の2着馬の役目であって、特別な年だからこそ、こういう馬は押さえておきたい。

1着2着3着4着以下
1回3回3回3回

旧エリザベス女王杯の時代から、1番人気は沢山負けてきた。

メジロラモーヌの翌年はもっと堅いとされたマックスビューティーが、勝ちに出た分だけ、タレンティドガールの強襲に屈したのが象徴的。

何度も連覇した馬は登場しているが、3歳G1時代から、一度たりとも1番人気馬が連続勝利したことはない。

現在、スノーフェアリーが連覇した2011年以来、1番人気は8連敗中だ。

馬名ナリタブライアンマヤノトップガンファレノプシスサニーブライアンタニノギムレットフリオーソシルクジャスティスダンツフレームイブキマイカグラライスシャワーグラスワンダーアーネストリーシンボリクリスエスエピファネイア
制覇したG1レース名菊花賞1994菊花賞1995
宝塚記念1996
桜花賞1998
エリザベス女王杯2000
皐月賞1997日本ダービー2002全日本2歳優駿2006
ジャパンダートダービー2007
有馬記念1997宝塚記念2002阪神3歳S1990菊花賞1992
天皇賞(春)1995
有馬記念1998
宝塚記念1999
宝塚記念2011有馬記念2002
有馬記念2003
天皇賞(秋)
ジャパンC2014

ロベルト系の真価は負けた後に問われる

阪神ということと、秋華賞がまた極端なトラックバイアスがあったということ。

エリザベス女王杯は関西馬の天下だったものが、ちょっとずつ関東馬の浸食が見られるようになってきた…、のかなという理由に加え、前出データのオークス好走馬の信頼度も含めて、厳しい状況に置かれたG1好走馬の大逆転を期待して、ウインマリリンから入りたい。

期待も大きいが、同期にロベルト系のスターホースがいる。

これも案外、大きかったりする。

ロベルト系とは、本番を勝つために生まれてきたヘイルトゥリーズン系のタフネススターの血脈である。

そう思ったのは、古くから言われる凱旋門賞馬の血が、ステイヤーの、今回ならばロベルトの血が…、という母系におけるステータスを定着させることに成功したかつての名馬たちの名前が、今度は直系として登場するシーンが増えたからである。

面白いもので、エピファネイアの産駒から異次元の牝馬が登場したわけだが、その血の構成は、

シンボリクリスエス有馬記念 2500M/連覇達成
シーザリオ優駿牝馬 2400M/断然人気で快勝
母父スペシャルウィーク東京優駿など /2400M以上のGⅠ3勝
母母父サドラーズウェルズ 世界の12FGⅠ覇者が多数輩出
-エピファネイア自身菊花賞 3000M、ジャパンC 2400M/共に圧勝

こんなゴリゴリのステイヤー血統が、サンデーサイレンス系牝馬との交配で絶妙にクロスを生むからといって、簡単に成功するわけではない。

裏を返すと、本当のところはデアリングタクト以外は大したことはないとも言えるわけだ。

本物の血の底力を十二分に受けた才能は、今年産駒がデビューしたグラスワンダー直系のモーリスにも、きっと同じ傾向が見られるのであろう。

モーリスもメジロクインの重厚なステイヤー血統から派生というか、突然変異的に登場した才能であったわけだが、ロベルト系だけでなく、一部例外を除き、ヘイルトゥリーズン系はサンデーサイレンスに代表されるような気性難と紙一重の馬ばかりが成功してきた歴史がある。

エリザベス女王杯2020 - レース展開を脚質や距離から想定してみた

気難しいのであれば、気分一つでとなるから、安定もしない。

ステイヤー血統というか、欧州型も多く出すロベルト系だから、日本でもあまり短い距離に向くタイプは出してこなかった。

一瞬、桜花賞に適性を感じさせたデアリングタクトだったが、それより若干距離の長い秋華賞の方が、馬場質同等だったから比較しやすくて、よっぽど2000Mがフィットしているなという内容に見えた。

きっと、彼女もまたマイラーではない。

さて、ウインマリリンなのだが、左回り巧者ということはないだろうが、秋華賞は酷かった。

バイアスが過酷レベルの内枠総崩れの、そこそこ厳しいラップだったとはいえ、ちゃんと自分の型に持ち込んだにもかからわず、全く勝負にならなかった。

レースそのものがデアリングタクトとその他の構図だったので、この手の競馬になってしまうと、自分の良さを出そうとすればするほど、自縄自縛ではないが人気上位グループほど不発に終わる。

そもそも、外が走りやすいというだけでなく、差しも決まりやすいと同義のトラックバイアスがあったのでは、差し馬の筆頭的存在であるデアリングタクト中心のレースで、先行型がどうにかできるとしても限度がある。

あまり強気に攻めの競馬ができるというほどの作りに見えなかったとはいえ、一定レベルのパフォーマンスが可能と窺えたから、陣営やファンにとっても残念な結果としか言えないが、一頓挫あったとも言われる中間も何とかやり過ごし、改めてのG1挑戦は、この系統独特の買い材料に溢れていると言える。

引き出しとして正しいとは思わないが、G1級レースを地方所属馬としては異例の6勝と大活躍したフリオーソは、決まって、その前走で負けていた。

スターダムにのし上がるきっかけとなった全日本2歳優駿も、前走は負け。

南関東の三冠戦は地元勢同士の戦いには敗れ、中央所属の人気馬も登場のジャパンダートダービーでは快勝だった。

ナリタブライアンも京都新聞杯で連勝が止まった後、どこ吹く風と菊花賞をレコード勝ちしてみせた。

これはブライアンズタイムに限った話ではなく、グラスワンダーもエピファネイアの父シンボリクリスエスも同じだった。

変則開催ではなかったG1を制する時、有馬記念を制した数少ない外国産馬だったロベルト系の名馬2頭は、ハンデ重賞で完敗後の有馬を制したグラスワンダーとJC3着後に挑んだ有馬と、順調に使えた時ほど直前のレースは負けていたのだ。

互いに連覇でも、グラスワンダーは4歳の秋、JC参戦が流れて、万全ではないとされた有馬でスペシャルウィークを下している。

グラスワンダー直系のウインマリリンは、トライアル勝ちのオークス参戦で結果を残したが、決して悪くはない直行ローテの秋華賞は、全て噛み合わずに惨敗。

しかし、毎日王冠以上にアルゼンチン共和国杯は残念だった祖父グラスワンダーに学ぶとしたら、機が熟した瞬間、全ての流れをモノにするのに必要な勇気を与えられる、という血の系譜がある。

父スクリーンヒーローは、三世代ダービー馬が揃った豪華なジャパンCで、一世一代の快走で唯一の主要タイトルを得た。

東京で短期間に輝いたスクリーンヒーローだが、2歳時のグラスワンダーは東京でも破壊的なまでに強烈なパフォーマンスを見せていた。

得意だったはずの右回りG1に縁のなかったスクリーンヒーローは、自身と似たような成長曲線を見せたモーリスとゴールドアクターを送り込んだわけだが、彼らの初タイトルの瞬間が連勝でのものだったから、その辺りがグラスワンダー直系らしさのように見えて、やや復活というG1快走の前はモーリスが札幌記念、ゴールドアクターは春の天皇賞で共に完敗だったことを思い出しておきたい。

負けた後に強くなる名馬像

九分九厘、今年のジャパンCでは無敗馬は一頭、この世界から消える瞬間を迎えるが、真逆のアプローチでらしさを示すロベルト系の良さは、ここぞの場面での底力の体現ではないだろうか。

同じコースの宝塚記念で、

  • マヤノトップガン
  • グラスワンダー→アーネストリー<親仔制覇>
  • ダンツフレーム

この4例全て、前走はG1で人気を裏切ったか、馬場合わずで好走止まりだった傾向は、今こそ乗っかっておきたいところがある。

案外早熟も多いロベルト系だけに、古馬になるとハイパフォーマンスの発揮する機会をなかなか得られないこともある。

加えて、フローラSレコード勝ちの実績とオークス好走のパターンは、普段の京都ではあまり芳しくない結果をもたらす傾向に見えて、そうではない可能性も感じさせるウインマリリン向きの流れにあるように思えなくもない。

このコースだからこそ、ステイゴールド系のラッキーライラックが適性で上位と思えて、オルフェーヴルそのものが異例のキレ馬だったから、時計限界も案外の道悪下手の性質も、今の彼女に、変な高速馬場こそ合わない可能性も踏まえねばならないと考える。

ならば、実質立場逆転のノームコア<こちらは小回りでタフな勝負は歓迎>と、実は渋った京都の好走実績が買いにも思えるソフトフルートといった伏兵にも目が行く。

エリザベス女王杯2020 - 最終予想

そもそも伏兵のウインマリリンは、これまで1番人気はおろか、6走して3番人気以内1度のみという伏兵なのだ。

当然、あの結果を知った上で買う人間は、変態的思考に囚われる筆者以外では限られる。

今まで一番評価が下がった時にこそ…。

グラスワンダーは初めての古馬G1戦となった有馬記念で、唯一の4番人気評価を受け、見事にその低評価を裏切った。

単勝オッズ30倍以上の時、5戦して全て重賞レースばかりを好走していたスクリーンヒーローは、グラスワンダーの屈辱を最も知る後継種牡馬である。

モーリスにそれは受け継がれなかったが、その仔はきっと、グラスワンダーが味わったそれを覆す底力の見せる能力を必ずどこかで魅せる。

スクリーンヒーロー産駒の牝馬として、最初で最後のの出世馬になるかもしれないウインマリリンに、そういう期待を寄せるのは、全くもって筋違いではないだろう。

大体、サンデーサイレンス産駒が全盛時代にあって、グラスワンダーやシンボリクリスエスは、それらを歯牙にもかけないほど横暴なまでの振る舞いを見せていたことを、筆者はずっと見てきたのだから、それに引っ張られるしまうのも無理ならぬことである。