エリザベス女王杯2015 予想

最近は、GⅠレースといえば重賞馬ばかりが出てくる競馬になり、おまけに多頭数<毎年20レースくらいはフルゲート>のレースで、厳しい競馬になるかと思えば、まさにその理想形とは180度違う凡庸な展開にヤキモキさせられるという何とも評し難い日曜日を、ここ数週過ごしている。

ほとんど波乱のレースはないし、1番人気の馬もちゃんと結果を出しているのだから問題とはならないという向きも確かにあっていい。

でも、それがファンの期待と通りの格の高い重賞競走のあるべき姿であるかといえば、断じて違っていると言わざるの得ないのである。

スローペースで分かるものは、既に顕在化している能力の再演という色合いが強く、決まったレースの括りの中にある、言うなれば型通りの底力勝負の一端を示しただけに過ぎない。

90年代に、ハイペースの時に荒れに荒れた秋の天皇賞や秋華賞などのように、あまりにとてつもない展開で苦笑いすることもあったが、それは皆がほぼ平等に力を出し切れる2000Mというカテゴリーで、何だか不思議なレイアウトの難解な競馬へと誘うかのごとき高速コースで、皆がまた、早々は仕上げの面で言い訳のできない時期に行われるGⅠであるからびっくりしてしまう結果も出るわけで、至極単純に、では日本で2000Mの競馬をどこでやったら一番正しい結果になるのか?という問いに対し、必ずしももう一つの2000Mチャンピオンコースである中山を挙げる人があまり多くない状況が、これでいいのだろうかという波乱の競馬を定期的に目撃する最たる原因なのだから、ある種の不幸な環境に置かれているとみた方が現実的なのだろうと思う。

ハイレベルの秋華賞を勝ったミッキークイーンはジャパンCへ向かう。

アンビシャスの秋天5着を物差しにすれば、データ上は、古馬重賞に2連続以上で出走し、秋の天皇賞でもその前の古馬重賞を含め全て単勝一桁人気の3歳馬が、きっちり掲示板に載った年は、絶対に秋の古馬3連戦のいずれかのGⅠレースをその世代の馬が勝つという記録がある。

オグリキャップ、バブルガムフェローは、その代表的な存在。

世代のレベルも高い年は、マヤノトップガン、ローズキングダム、ジェンティルドンナなど、比較的能力値通りには決まらないとされる長めの距離のビッグレースで結果を出し、おまけに彼らの同期には、ヒシアケボノ、ヴィクトワールピサ、ゴールドシップなど複数の古馬タイトルホルダーが誕生するなんとも景気のいいオプションもついてくる。

個体能力が抜けていれば、古馬の層が薄ければ…。

が、ヌーヴォレコルト、ラキシスらは、古牡馬に伍して、時に不意を衝くのではなく、明らかに充実度で上回っていることを示す内容で主要競走を制し、秋天でもまずまずいい内容で4着だったショウナンパンドラを昨年全く相手にしなかったのである。

加えて、岩田、ムーアといった仕事人を得て、今年も(今年こそ)と意気は上がっている。

が、牝馬というのは移り気なもの。

春よりは、彼女たちの迫力は感じられず、宝塚記念の次第では、秋天に回っていてもおかしくなかったのではというほど、今年の古馬勢は魅力的な素材が少ない。

あまり中心視するだけの魅力も足らないのではというところに、アンビシャスのこともある。

九分九厘スローだろうけど、積極策に活路を見出したウインリバティには松山騎手、最近何だか積極的な小牧騎手は少しは器用になったリメインサイレント�に跨る。

双方、差して味が出るタイプでもない。

平均ペースくらいになれば、ローズSの再現は可能と考えて、タッチングスピーチを中心馬に推す。

ルメールの秋に。デムーロ兄弟のいない京都で、やや渋った馬場を迫力のストライドで駆け抜けてもらいたい。

上位争いは、今週も人気馬だろうから、前記の実績馬に3歳春に梅雨時の府中の重馬場で勝っているマリアライトなども加え、抜かりなくいく。牝馬相手だと流石に格上のヌーヴォレコルトを対抗に据える。

このメンバー、国内外問わず、皆GⅠ勝ちの騎手がパートナー。面白い競馬を見せてほしい。