2022年宝塚記念【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着タイトルホルダー(4.2倍)2着ヒシイグアス(9.5倍)3着デアリングタクト(7.3倍)
レース名 | 第63回宝塚記念 |
日程 | 2022年6月26日(日) |
優勝馬 | タイトルホルダー |
優勝騎手 | 横山 和生 |
勝ちタイム | 2:09.7 |
馬場 | 良 |
3連単配当 | 25,220円 |
2022年宝塚記念 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
---|---|---|---|---|
1 | 6 | タイトルホルダー | 2:09.7 | - |
2 | 10 | ヒシイグアス | 2:10.0 | 2 |
3 | 7 | デアリングタクト | 2:10.3 | 2 |
4 | 15 | ディープボンド | 2:10.3 | ハナ |
5 | 9 | マイネルファンロン | 2:10.6 | 1 3/4 |
単勝 | 6 | 420円 |
複勝 | 6 | 180円 |
複勝 | 10 | 250円 |
複勝 | 7 | 240円 |
枠連 | 3-5 | 2,520円 |
ワイド | 6-10 | 780円 |
ワイド | 6-7 | 710円 |
ワイド | 7-10 | 840円 |
馬連 | 6-10 | 2,060円 |
馬単 | 6-10 | 3,420円 |
3連複 | 6-7-10 | 5,150円 |
3連単 | 6-10-7 | 25,220円 |
2022年宝塚記念 - レース後コメント(騎手/厩舎)
乗せていただいて4回目でしたし、タイトルホルダーの走りとかリズムはつかめていたので、しっかり出して行って、それでも来るなら来いというつもりで行きました。ペースが速かったかもしれないですけど、この子とリズム良く走れればきっといい結果がついてくると思ったので僕がヒルまないように馬を信じて一緒に走ってきました。すごい今、タイトルホルダーは成長している途中だと思うので、もちろん世界は甘くないと思いますけど、一緒に頑張って僕も成長していかないとと思います」
※優勝した横山和生騎手のコメント(タイトルホルダー)
2022年宝塚記念 - レース結果動画(YouTube)
※実況レース映像
2022年宝塚記念 - 回顧
菊花賞のみならず、春の天皇賞までも制したこの異能の先行型について、父ドゥラメンテや直系を形成した偉大なるネイティヴダンサー<22戦21勝>の秘めるスピード能力を、どう逸脱していったのかを無意味に考察してみたのだが、高速の春二冠馬であるドゥラメンテと母父にあたるMotivator<その父Montjeuが出走しなかったザ・ダービーのウイナー>との関連性を踏まえた時、他の馬にはない中距離適性があったと、事前に予測できた面はある。
似たような配合で、横山和生騎手の実父である典弘騎手のお手馬・キングオブコージも、ロードカナロアのスピードにモンジューではなくガリレオ肌の強みを含めて、中京以上に向く末脚勝負型として完成を見せている。
サンデーサイレンスを排すると、スピード能力の限界のようなものが末脚の限界と同等になりやすいから、その性質がはっきり見えるものだが、超万能のサンデーサイレンスが入り込むと、むしろ、タイトルホルダーのようなバテることのない長距離砲は珍しい。
なぜなら、武豊騎手がそうであるように、仕掛けのタイミングを待って他を置き去りにし、接戦ならば勝負根性を発揮するというサンデーサイレンス系やその血を受けた馬たちの適性は、ダービーで散々証明されてきたからだ。
こうした非根幹距離重賞で邪魔になるその血を、凱旋門賞馬・トニービンのタフさをも受け継ぐドゥラメンテが、キレの相殺ではなく、決め手を繰り出す切り札として残されたサンデーにもトニービンにもクロスのない配合だからこそ、鮮やかにサドラーズウェルズ系のスタミナ能力が発揮されるように作られたのである。
普通はそうはならないものだが、だから、品質保全の切り札としてサンデーサイレンスの底力が入った、スタミナの化け物が出来て、実は本質では他の大勢と同じように、中距離にも適性のある<無論、展開の条件は付いてくるが>才能を見せつけることに、勢いと完調の出来により可能となったのであろう。
いずれも、普通のミスタープロスペクター系の能力発揮の流れとは異なり、何となく、デアリングタクトやエフフォーリアのロベルト系の分野のようで、そちらにはサンデーのクロスが入っている。
その分の差が、間にハーツクライ×ストームキャット系のヒシイグアスが堂々の2位入線としたことで、判然とした。
ヒシミラクルが勝った時も、人気のエピファネイア産駒のまた父にあたるシンボリクリスエスが苦しみながら、5着に入ったのがこのような展開の宝塚記念だった。
わずかに揺るぎそうな綾の部分の影響ようなところで、ヒシミラクル同様、全て自分の糧にしたタイトルホルダーは、あの時と同じような多頭数の乱戦を力で制した名うてのステイヤーとして、レース史に名を残すこととなった。
ただの単純に、タイトルホルダーによるワンマンショーだった。
序盤から速く流れ、行き脚一歩の影響が乱れを生んだ形作りのハイペースに留まったパンサラッサの逃げは、ハロンごとに、稍重の重賞競走における勝ちタイムに相当するゆるみないラップを形成し、気が付けば、皐月賞の時にエフフォーリアにされた追い上げをパンサラッサにかました4コーナー最終盤の攻防により、事実上の終戦となってしまった。
得意とするハイペースながら、中距離の激しい消耗戦で、いくら終いが他の中距離重賞よりかかるとしても、
- ・1800M→ 1:45.3
- ・2000M→ 1:57.3
- ・2200M→ 2:09.7
12秒のラップを最後まで乱さなかった勝ち馬であるタイトルホルダーの上がり36.1秒の脚で、レースの締めはレコード決着となってしまった。
もはや、時代は横山和生でありタイトルホルダーのもの。
一年前とは大違いである。
逃げたい馬でも、死ぬ気で行くという中距離の猛者相手に、前走も超消耗戦ながら、最も道中で疲れていなかった印象のタイトルホルダーなのだから、やりたいようにやらせればいい。
しかし、相手がどう追い上げてくるかが重要であり…、という面だけ、父のまねをしたという菊花賞の武史騎手や自身の春の天皇賞で示した、気持ち早めに動くための長めの溜めを実行できたことで、結果的には、天皇賞以上にタフで強かった宝塚記念とした人馬に、形容するに相応しい言葉は、むしろ限られてくる。
他が全て狂わされていった。
まさに、天皇賞圧勝の結果に対するファンのための一戦における恩返し。
なすべきことをやりきったタイトルホルダーと和生騎手に敵うような、信頼の絆までは、エピファネイア産駒の傑作に跨った両騎手を除き、他にはいなかった。
もはや、凱旋門賞行きは既定路線だったが、この結果のもたらすインパクトは、想像を超えて、ユーラシア大陸を駆け巡るほどのレベル。
誰が倒しに行くのか。
もはや、ディープインパクトの時のアレとそっくりの構図となりそうだ。
故に、鞍上の選択肢は限られる。陣営の正確な判断力が、すでに問われている。
頑張ってもらいというか、勝ってもらいたい筆頭となった黄金コンビのリターンマッチが、この宝塚記念の肝だった。
速い馬の中でズブさもセンスも、逆境にも負けない強さが、2、3着の人馬にはあった。
ダミアン・レーンの良さを完全にヒシイグアスの走りに加えたこのレースは、主役級間違いなしを確信させる4コーナーまでの勢いに見えたが、愚物でも思い浮かぶ相手が悪かった…、というやつにハマりこんだ。
大事にこうしたビッグボーイを育てることにかけて天才的な一面を持つ堀調教師の仕事は、まだまだ細部まで行き渡っていなかった、という自身の解釈により、ヒシイグアスの再成長をきっと可能にする。
それはレーン騎手も同じだろう。
デアリングタクトも戻りかけたが、終始手ごたえが怪しく、さすがに彼にして下げすぎの中団にいたエフフォーリア&横山武史コンビと、妙なところで鍔迫り合いをしていた時点で殊更危険なにおいを漂わせていたが、ふらついた直線でも、渋とさで天皇賞連対馬に比肩する粘り込みで、同期のディープボンドを最後の最後にねじ伏せた。
出来ではディープボンドの方がいいに決まっているから、エフフォーリアが本物に戻っていないから何とも言えないとしても、何なら、お姉さんもオペラ賞でいいから連れて行ってあげて…、と言いたくなるほど、しっかりと復元しつつある。
一時期よりかなり乗れてきた松山騎手のアシストは完璧であり、牝馬がインを抜け出せるようなスローの中距離戦でもない。
止まらない馬とロスなく走れた馬を前に残しただけで、完調でもないのにここまで走れるデアリングタクトは、改めて強い馬だと皆が思ったはずである。
エフフォーリアに関しては、子供だましのブリンカー<エフフォーリアの実力に対し、これで戻るだろうと安易に指摘するのは失礼>効果で、一定の追い込みは出来たが、やはり、気力までは回復していなかった。
不甲斐ない大阪杯よりはいくらかましだが、エピファネイアの両巨頭がタイトルホルダーを呑み込むのか…、というシーンまで作ってほしかったものの、少し、兄和生騎手と執念のパンサラッサが作ったハイレベルすぎる展開が、まだ厳しかったようだ。
レースで走った分の疲れは想定されるが、レース除外のオーソリティと同じくらいこの馬も走れていない。
広い東京の高速の上がり勝負で完全体として甦るとも思えないが、少なくとも、秋の天皇賞での復活はある程度のレベルで期待できる。
前を追いかけるまでは至らなかったが、ギブアップしたというところまではない。
やけに元気だったマイネルファンロンに競り負けてしまったというだけで、一足飛びに出世の天才には、この程度のタイムロスもあるだろうと今は信じたいところ。
まあ、日本の高速馬場への適性やロベルト系全体の早熟性も当然影響しての結果であるあるものの、心の回復に時間を要したキセキの今頃の体調と似ているとすれば、夏負けの可能性まで含め、能力発揮の場面を地元に求めるローテーションを作ることが肝要。
この点では、まあ阪神でばかり走るタイトルホルダーも同じことが言えるのだが…。