高松宮記念2024【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着マッドクール(9.6倍)、2着ナムラクレア(5.4倍)、3着ビクターザウィナー(9.6倍)
レース名 | 第54回高松宮記念 (G1) |
日程 | 2024年3月24日 |
優勝馬 | マッドクール |
優勝騎手 | 坂井 瑠星 |
勝ちタイム | 1:08.9 |
馬場 | 重 |
3連単配当 | 58,740円 |
高松宮記念2024 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
---|---|---|---|---|
1 | 2 | マッドクール | 1:08.9 | - |
2 | 3 | ナムラクレア | 1:08.9 | アタマ |
3 | 10 | ビクターザウィナー | 1:09.4 | 3 |
4 | 13 | ウインカーネリアン | 1:09.6 | 1.1/2 |
5 | 12 | ロータスランド | 1:09.6 | ハナ |
単勝 | 2 | 960円 |
複勝 | 2 | 300円 |
複勝 | 3 | 180円 |
複勝 | 10 | 340円 |
枠連 | 1-2 | 1,620円 |
ワイド | 2-3 | 2,110円 |
ワイド | 2-10 | 760円 |
ワイド | 3-10 | 1,900円 |
馬連 | 2-3 | 2,110円 |
馬単 | 2-3 | 4,920円 |
3連複 | 2-3-10 | 10,020円 |
3連単 | 2-3-10 | 58,740円 |
高松宮記念2024 - レース後コメント(騎手/厩舎)
「昨年スプリンターズSで鼻差負け(2着)で本当に悔しい思いをしたので、なんとかリベンジしたいと。勝ててうれしいです。よくしのいでくれました。3歳未勝利の頃から素質を感じて高松宮記念を目指そうと話していて、本当に勝つことができた。これからも成長の余地があります」
※優勝した坂井 瑠星騎手のコメント(マッドクール)
高松宮記念2024 - レース結果動画(YouTube)
高松宮記念2024 - 回顧
34.9-34.0という不可解な展開。
重馬場とはいえ、歴戦の名手が芝コースの直線における進路取りに四苦八苦する中で、G1とは思えないスローペース。
前走ロケットスタートのインパクトがあまりにも強烈すぎた香港のビクターザウィナーでさえ、きっと、左回りやそんなに雨馬場を経験していないという部分で、リョン騎手共々、あくまでお客様という感じの丁寧な先行であったがために、騙されなかった行きたいくちのマッドクール・坂井瑠星、ウインカーネリアン・三浦皇成らが、けしかけることもないが、しっかりと己の利する形を作り出して、そのまま残してしまった。
途中で、川田将雅・ママコチャは、さすがに機を見るに敏という途中からの好位付けに映ったが、外枠が有利ではない、妙なトラックバイアスで外の差し馬も壊滅という難しいレース。
中身は大雨が降った影響による雨馬場ではなく、大目に水を撒いたがために、時計が少し掛かる良馬場という感じの、本質的には稍重程度の馬場状態であった。
ナムラクレア・浜中俊の黄金コンビは、昨年、スロー逃げのマッドクールを差し切る、実に力強い競馬をしていたが、マッドクール自身が、その時よりも抑えての進行であるだけでなくして、35秒超えでの序盤の先行。
ロスなく追い詰める究極に近い追撃が、やはり、メンバー中屈指の底力であることを証明したが、前走1400昨年も実らず、自身にとって最も口惜しい僅差でのG1惜敗。
ことごとく、何かに負ける女…。
古豪にもそういうタイプをお手馬に持つ浜中騎手の心中は、思いやっても余りあるほど、切ない結果の連続であるが、ボッケリーニに対しては、むしろ達観しているようなスタンスでもある。
ミッキーアイルの仔で勝ちたいという気持ちは持っているうちに、運が向いてくることを願うしかないか。
果敢というよりも、予告していたかのようなビクターザウィナー潰しを敢行したものの、中身はまるで伴っていなかった楽な先行から、実は時計の掛かるスプリント戦にツボがあるようなパフォーマンスを続けるマッドクールが、ついに重賞を勝ち切った。
自身の上がりは、33.7秒と公式に発表されている。
それを猛追した唯一の存在であるナムラクレアが、メンバー最速の33.2秒。
同じように直線は伸びたが、全盛期のそれではなかった印象のロータスランドは、マッドクールと同じ上がりで5着と有終に近い健闘のさよならランとなった。
これが岩田康誠騎手。
いかにもこうした馬場状態で、また、ロスなく乗るだとか、強気に挑むスタンスを繰り返すうちに、いいリズムでG1に臨んだ馬と戦ったレースで結果を残したような騎手の馬が上位に入っている。
波乱というか破綻に近い展開でも、きっといつかはこういう好機がやってくるとどこかで思っている、引かないタイプの鞍上が上位を占めたことで、一応の面目を保った格好でもある。
再度の考察が求められる一戦となりそうだ。
その中でも、やはり、芦毛の大物候補として、修練の日々を自らの進化に必要な課題・ドリルとするように、不遇とも真摯に向き合った坂井騎手の日ごろの行いが、似たような戦歴を辿るマッドクールのしっかりと伝わったかのようなレースであったことは、記憶に残る部分だった。
レースぶりは強気でも何でもなく、さすがにプラスの18kgなので、パワーアップはあっても、お釣りは少しだけあった印象のこの大型馬は、確実に、ここまでのキャリアに対し、明快な回答を実力通りに示してきた、名馬の鑑のような側面を覗かせている。
1200Mを使われ出してから、オープンクラスでのレースを中心に騎乗する坂井騎手は、自身が一度はスピード優先の逃げに活路を見出したあとから、少しずつ下げる形を教えてきた。
結果、スロー逃げでナムラクレアの底力を引き出した時も、その後、昨年はここに出られなかったので中山に回った時に差し切り勝ちを決めたところでも、自分は乗っていなかったものの、結果は、王道に近い好位抜け出しの形を実践した時に好走するパターン。
だから、理不尽に斤量を背負わされたCBC賞や前走の香港が、大いに体調不良がのちに伝えられたから、敗因しっかりというところで、自身の中で最も苦しい競馬をした中山の前々走・スプリンターズSで、それこそ、この日のナムラクレアのような追撃で勝者になるママコチャを逆転しかけた時、見事に内枠で起こり得る、様々な減速の要素を複数抱える道中であったにもかかわらず、あの脚で追い詰めたなら…、と口惜しいところまで追い詰めたのが、その日のナムラクレアのように、外からではなく、高松宮記念のマッドクールと同じように、インからの急追としたことが、結果的に、高松宮記念でお互いに初タイトルを競うゴール線に至るまでの過程で、影響を及ぼした部分はある。
真っすぐマッドクールに突っ込んでいきそうなほどの加速を、鞍上が少しずつ促す過程で実行できた浜中騎手が、その目の前の目標を内から交わせるような展開でないから、外へと少し持ち出したところで、いくらか減速を強いられた。
斜めに走ることも時に求められるマイル以下の大レースの直線で、本格的にインからの抜け出しを試みた経験の有無が、極めて僅差の争いになった時、勝ち負けの差として顕在化した印象もある。
ナムラクレアはいつも強いが、いつも誰かに負けてしまう。
器用なようで、いくらか要領が悪いところもあったりして…。
ダービージョッキーだから、敢えて言ってしまおうと思うが、人馬共に、似た者同士なのかもしれないと、少し考えさせられるところもあった。
面白い決勝線での争いになったことがせめてものの救いだった、今年の高松宮記念直後に感じた、違和感の正体が少しだけ理解できた分だけ、伸びしろがある人馬であると、ここは叱咤したい。
前の方にいた馬に本命馬がいたせいで、レースの進行する中では、全く気が付かなかったのだが、ゴール寸前で映ったトウシンマカオとルメール騎手の新コンビが、わずかに掲示板を外し、ビッグシーザーはそれに続く格好。
奇しくも、この順番は前走のオーシャンSと全く同じという、日本というより、自身の系譜がどこまで継続されるかを、今自分自身が試されているというプリンスリーギフト直系の2頭は、健闘も結果は伴わなかった。
思えば、トウシンマカオだけでなく、ビッグシーザーも坂井騎手がずっと乗っていた中で、吉田隼人騎手への変更を余儀なくされていた。
父ビッグシーザー自身が、妙に時計の速いこのレースを完勝で初G1制覇を初の重賞戦優勝という時であるだけでなく、福永元騎手への初コンビでの戴冠を陣営が託した格好で、それに応えたというレースにもなっていたが、父とは同じというわけにはいかなかった。
元より、こうした鞍上の変更が起きやすい、ドバイミーティングとの開催時期丸被りの事情で、普段は毎年騎乗しに渡航する、坂井騎手も川田騎手も、当然ルメール騎手も皆がいるところで、今年は、まさかの同レース参戦となった武豊、横山典弘両ベテランが、来週はドバイターフで騎乗することが決まったところで、ここにも参戦。
どの馬にも死角が多くあって、ママコチャは休み明けがなかなか来ないこのレースで<無論、良馬場であればもっと走っていたというその筆頭>、国内組、もっと言うと、前走が暮れの阪神Cであると、馬の動きが悪いというその典型のような結果で、この6勝の川田騎手は少し気の毒であったほどだったが、「ビッグアーサー兄弟」を筆頭に、距離短縮で実を求めた大ベテランコンビの不発に、何より、あのルガルは一体…、というレース。
前走の上がりも素晴らしかったが、振り返れば、そこはハンディキャップ競走であり、その前はルメール騎乗でも人気になっていたトウシンマカオに置き去りにされていたとすると、気力も体調も満点に近い状態だった人馬ながら、踏み込んでいきたい場面で3→5番手と公式に記録が残された位置取りに、未完成の部分を残していたという印象もある。
この状態で負けたならば…、まだそう思えない若いコンビだが、来年だけでなく、再来年もあるし、そもそも、秋もあるのだから、何も焦ることはない。
もっと強くなればいいだけのことである。