桜花賞2025【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着エンブロイダリー(5.0倍)2着アルマヴェローチェ(3.8倍)3着リンクスティップ(6.8倍)

レース名第85回桜花賞
日程2025年4月13日
優勝馬エンブロイダリー
優勝騎手J.モレイラ
勝ちタイム1:33.1
馬場
3連単配当11,060円

桜花賞2025 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
17エンブロイダリー1:33.1-
29アルマヴェローチェ1:33.1クビ
312リンクスティップ1:33.52.1/2
43マピュース1:34.02.1/2
52エリカエクスプレス1:34.21.1/2
単勝7500円
複勝7200円
複勝9150円
複勝12200円
枠連4-5860円
ワイド7-9490円
ワイド7-12690円
ワイド9-12400円
馬連7-91,000円
馬単7-92,000円
3連複7-9-122,200円
3連単7-9-1211,060円

桜花賞2025 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「また日本でG1を勝つことが出来て最高です。温かいファンの皆さんの前で勝利することが出来て嬉しいです。今日は雨と馬場の水分が多く実際走るまでは自信がなかったのですが、タフな馬場もこなしてくれて嬉しかったです。手応えが凄くよかったのですが、強い馬が多くて、(直線では)スペースが出来るかなと待っていました。瞬発力が素晴らしかったので、この馬場が合っているかと思うくらいの能力でしたね。特別な3歳牝馬になると思います。三冠を狙える馬ですし、(オークスでは)今日のポテンシャルを出せれば良い勝負が出来ると思います。皆さん、ありがとうございました」

※優勝したJ.モレイラ騎手のコメント(エンブロイダリー)

桜花賞2025 - レース結果動画(YouTube)

※実況レース映像

桜花賞2025 - 回顧

エンブロイダリーの血統

母母は桜花賞とオークス二冠のブエナビスタの一つ下の妹。 父はアグネスタキオンだから、ダービー3着のアドマイヤオーラの全妹でもある。
母ロッテンマイヤーは、メジャーエンブレムが飛んで、代わりに、ジュエラーとシンハライトがチューリップ賞のリターンマッチを行った桜花賞の直前、忘れな草賞を勝った馬。 これがクロフネの娘。
桜花賞の日の競馬に縁のあるファミリーであり、初めての関西圏を、初勝利となった新潟への長めの移動を経験した上で、状態を上げて、勝負気配のところで出てくれば、このエンブロイダリーという馬の勝利は、血統背景からしても、明らかに他よりも有利な点が多かったから、十分に確実性を証明されていたような部分もあって、押さえないといけなかったと思ったファンも多かったはずだ…。
アドマイヤマーズは香港マイルを3歳で制したような馬で、これも、スミヨン騎手がテン乗りで、締めの一戦を勝ち切ったということでも、何から何まで、想像通りに事が運んだともできる。 ダイワメジャーも孫世代が制したことになり、ディープインパクトの直系孫世代が早く勝たないと、大きく後れを取る可能性もある。 サンデーのクロスを避けた血を、来年は求めたい。 今度は、コントレイルとダノンプレミアムが有力馬を出すかもしれない。

エリカエクスプレスが逃げる可能性は、誰にでも想像がついたが、ここまで3戦、その全ての馬体重が456kgというのは、ある意味、異様である。
その反面、今年もいくらか出だしであまりいい感じとはならなかったモレイラ騎手の騎乗馬・エンブロイダリーは、昨年以上のリカバリーと、安定のターゲット捕捉の展開に持ち込んで、タイトな雨馬場の激しい競馬を、ロスのない当たり前の立ち回りから、脚勢上回った2歳女王・アルマヴェローチェの伸びに負けないどころか、もう一度差し返して、最後まで交わさせなかった。 昨年のステレンボッシュでアスコリピチェーノを制した、暮からの逆転の構図とそっくりだったが、雨馬場でのエスコートに、いくらかはプラスすべきテクニックが多かったことで、昨年以上に、このマジックマンは喜び爆発だった。
クールであるが、本質では陽気なブラジル人の一面を覗かせるその一瞬が、こうした、クラシックの重要戦であることに、モノの本質を押さえることをモットーにする、競馬人としてのクレバーさが凝縮されているように思えた。 その血統の価値が変わるという、大きな視点で捉えようとも、そうでなかったとしても、各国のクラシックレースを勝つことの意味に、日本で深く理解する過程で、大きな蓄財を得たことへの感謝が、モレイラの表情から受け取れた。 エンブロイダリーの母馬としての価値は本来不変であるが、ブエナビスタを経ない、このビワハイジのファミリーの中で、違う流れから、本格はマイラーとしての道を開いたことで、モレイラの期待する以上の評価を得る。 もう、この血が絶えることはないだろうと、生産者の多くが確信を得たはずである。
今年も惜しい結果に終わった2歳女王・アルマヴェローチェは、現時点で、この難しい京都→阪神へのステージ変更の局面で、出来る限りのことをしたものの、本気のモレイラさんにはかなわなかった。 この才能について、ある意味の逆説を唱えるならば、あれだけ速い中距離やマイルでの時計を持っている馬と同格の競馬を、休み明けでは特に苦しいとされる道悪での本番を接戦に持ち込んでの好走。
基本的に本気を出すタイプには思えない、わずかに人気で譲ったエリカエクスプレスに対し、本格派の能力が再度評価されると同時に、岩田望来という、皆が期待するワンダーボーイに、更なる飛躍を期待させる、見事な立ち回りに思えた。 何一つ、悔いるものはないはずだが、それでも納得しないからこそ、この世界は断ち切り難いほどの快感を得ることができる面があったりする。
明らかにスタイルの良さが目立ったリンクスティップは、見事にスタートでやってくれたが、それ以上に、リカバリーで怪しい振る舞いになって、一旦は先頭まで行ったはずだが、止まったというよりも、エネルギーを使う配分が阪神と外回りとフィットしなかった印象を受けた。 筆者とすれば、あの出でも、本質は外差しで前の各馬をなぎ倒していくイメージをどこかに抱いていたが、妙に品の良く過ぎた姿が、完全に、端からオークス狙いの陣営の思惑通りだった、という結果にも映った。 スタミナを証明する必要はもうないはずだが、再びのオークス制覇を前に、ミルコ自身が、G1を戦えるような自分のコンディション作りに、しっかりと取り組んでいきたい。 さすがにオークスで動くとは思えないが…、正攻法での勝利は十分に可能なほど、他の馬にない末の持続力を示した3着だった。
逃げもそれの要因を作った内枠も、雨馬場もペース作りの全てで、フェアリーSと大して変化もなかった感じがあったエリカエクスプレスを、次にどこに連れていくか、悩ましい。
サドラーズウェルズのクロスを持つ本格派クラシック血統の馬を、高速の東京・NHKマイルCで走らせるのは、エンブロイダリー以上に難しい。 彼女との再戦は、もっと先になる可能性があるものの、古馬相手に、軽い斤量で戦える、サマーマイルシリーズを経て、進化を促すのも手だろう。 急に体重が増えたり、その逆もあまりないタイプだろうから、本人が走る気がなければ、勝手にやめるタイプなのだろうし、無理に使わない程度に、中身のブラッシュアップを狙った使い方が、変に桜花賞で連対しなかったことで、やりやすくなったはずだ。 何時まで経っても、名前の通りに、女王様気質の面が抜けないタイプであろう。
マピュースも穴党の評価の通りに走ったが、上位勢はさすがに世代屈指の実力者ばかり。 賞金加算にこれもひと働きが必要な立場だけに、秋華賞も今のままだと出られるか怪しいから、上手に使いたい。 この馬が一番出世して不思議はない。 何だかつかみどころのないこのマインドユアビスケッツの産駒は、早熟ではないことを、先に証明している活躍馬が多いから、無理に磨き上げることも今はしない方がいいのかもしれない。
阪神ジュベナイルフィリーズで不運が重なったブランラチェットに期待をしていた面はあるのだが、後ろからの競馬で、今日もダメ…。 しかし、不利ばかりで、何もいいところのなかった、似たようなキャリア形成のチェルヴィニアは、この後、本来の評価通りに結果を出し続けた。 これを信じたい。
父はキズナで、兄が燃えまくる闘争心をドバイでは隠しきれず、何か違うことで怒りを持っていたような感じだった世界のフォーエバーヤング。 ダートに今から赴くのも、この日で体を戻して、その上に余裕を作ったところで、兄とちょうど100kgくらい身軽である妹に、突如の砂適性爆発はもっと先であると思いつつ、その体つきがいかにもオークス向きのようで、雨馬場で屈した面があるこの桜花賞は、再びの悲運に見舞われたと思えてしまった。 勝ち運を取り戻すには、自分自身が自信を備えることだと、戦い続ける兄が教えてくれているが、もしかすると、もう一回、立て直す時間があった方がいいのかもしれない。 キズナはなんだかんだ言っても、5歳まで走っていた。
苦しい経験をしてきた父や兄に見習うには、もっと、屈辱的な経験があった方がいいのかもしれないが、そこは華奢な牝馬。 非常識な回答の手段を選択するとも思えない手塚調教師は、その引き出しの中から、最適解をこれから探し当てる困難な作業を求められる。 いずれ彼女は期待に応えてくれるのかもしれないが、それをG1に求めることを無理強いすることだけは避けていきたい。