ヴィクトリアマイル2025【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着アスコリピチェーノ(2.5倍)2着クイーンズウォーク(8.5倍)3着シランケド(18.1倍)
レース名 | 第20回ヴィクトリアマイル |
日程 | 2025年5月18日 |
優勝馬 | アスコリピチェーノ |
優勝騎手 | C.ルメール |
勝ちタイム | 1:32.1 |
馬場 | 良 |
3連単配当 | 26,000円 |
ヴィクトリアマイル2025 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
---|---|---|---|---|
1 | 17 | アスコリピチェーノ | 1:32.1 | - |
2 | 16 | クイーンズウォーク | 1:32.1 | クビ |
3 | 12 | シランケド | 1:32.1 | ハナ |
4 | 3 | アルジーヌ | 1:32.1 | アタマ |
5 | 18 | アリスヴェリテ | 1:32.2 | 3/4 |
単勝 | 17 | 250円 |
複勝 | 17 | 130円 |
複勝 | 16 | 260円 |
複勝 | 12 | 390円 |
枠連 | 8-8 | 1,220円 |
ワイド | 16-17 | 1,280円 |
ワイド | 16-17 | 550円 |
ワイド | 12-17 | 1,050円 |
馬連 | 12-16 | 2,710円 |
馬単 | 17-16 | 1,980円 |
3連複 | 12-16-17 | 8,120円 |
3連単 | 17-16-12 | 26,000円 |
ヴィクトリアマイル2025 - レース後コメント(騎手/厩舎)
「とてもうれしいです。今回1番人気に乗る予定があったので、勝つ自信があったけど、この馬はサウジの速い馬場からマイルの東京コースの軟らかい馬場で、どんな競馬ができるか分からなかったので、ちょっと心配でした。勝って良かった。こういう馬場でスタートからあまり進んでいかなかったし、忙しかった。自分のリズムを見つけるまで時間がかかりました。最後はすごい頑張って能力の高さを見せてくれました。(2日後の5月20日が誕生日で)自分でプレゼントをあげました。どんどん年を取りますが、経験で乗れますので、また勝つことができます。GⅠシーズンはすごい楽しいですから、毎週、競馬場に見に来てください。僕は毎レース頑張ります。できればもう一度ダービーを勝ちたいですから応援してください」
※優勝したC.ルメール騎手のコメント(アスコリピチェーノ)
ヴィクトリアマイル2025 - レース結果動画(YouTube)
ヴィクトリアマイル2025 - 回顧
アスコリピチェーノの血統
ダイワメジャー産駒の東京のマイルG1制覇はこれが初めてとなる。 彼女自身が、鞍上の不手際というか、万全の体制ではなかった昨春のNHKマイルCで2着だったことを踏まえれば、最初にこの馬が勝ったことには、必然性がある。
比較的仕上がりの早いファミリーであるから、その点で、無敗での2歳女王戴冠も納得がいく部分もあるが、総じて、欧州系のクラシックディスタンスにフィットした血統が居並ぶ、母父デインヒルダンサー、母母父サドラーズウェルズの構成からも、ダイワメジャーを父に配した時点で、スピード面で秀でた才能がクローズアップされる物語の構築は、牝馬ほど、そうした番組が多いという強みと合わせ、アスコリピチェーノの成功は、牝馬として生まれた時点で、ある程度は見えていたのかもしれない。
ただ、極端な追い込みであったことから、マイル戦への適性に本当の意味での疑念が生まれたという部分は否めない。 毎年のように、デインヒルの血を持つディープインパクト直系やスピード系のサンデー系種牡馬の産駒の活躍が目立ってきたレースであるものの、強い稽古をしたという感じでもないのに、直線でぶっぱなしたような強烈な反応の鋭さが、調教だけでなく、本番も見られたというあたり、こうした重厚なノーザンダンサーの血の重なり合いから、香港の大エース級のマイラーが登場してきた点にも留意をして、難しい面が出ている可能性にも触れるべきか。
父は晩生もいいところだったが、早い段階から結果が出なかったわけではないものの、3歳秋以降から、喉の疾患などで不調の時代があった。 その部分を覆い隠すような、余裕のローテを組みつつ、スピードレースに特化したローテーションを組む中で、1400M以下のレースを前走はギリギリでも勝ち切ったあたり、能力の発揮を継続してきた牝馬特有の、終いの見切り時が少し早まったという部分も不安材料だろう。 似たような配合のレシステンシアはより短いところで活躍した上で、5歳時にここで好走した。 それと全く同じような道を進もうとしている。
今週も展開が速くなりすぎて、先週よりもはるかにタフな馬場のコンディションであったことから、 45.4-46.7→1:32.1
3Fの通過に少し差があったのも、馬場状態の差であると修正を加えた時、外差しは必然の結果であったとも言える。 今週も3コーナーではほとんど殿の組が上位を占め、先週以上に、4コーナーでも後方のままという差しを決めるための究極のポジショニングとなった組の台頭。 それでいて、逃げたアリスヴェリテは45.4→46.8秒で差のない5着、それを深追いしなかったことで粘りこめたアドマイヤマツリも大差ない7着。 小回り中距離重賞勝ちの馬でも台頭なのだから、またしても差し及ばずの8着・ステレンボッシュは、ちょっとツキからも見放されて、桜花賞勝ちそのものの反動が尾を引いている気もしないではない。 モレイラは正しかったが、その選択が陣営としてプラスではない可能性を、来週以降、今年も問われることになる。
アスコリピチェーノ。 出来過ぎとも映ったシャープすぎるシルエットに、恐怖を覚えるほどの狂気を感じたが、むしろ、返し馬でスイッチ完全オンのボンドガールが、悲しいほどに直線で伸びあぐねたのに対し、強い2歳女王の走りを今度もまた見せつけた。
ただ、こうした序盤の立ち遅れにも等しいところからの追撃は、必ずしも、陣営の求めた理想の答えではないだろう。 馬場も枠順も全くもって不適のオーストラリア遠征は、最初からダメな雰囲気全開だったが、ほんの少し、速さを序盤に求められた普通の競馬をする中団グループに不利になるという幸運が巡ってきたアスコリピチェーノとルメール騎手の勝ち運は素晴らしいとしても、坂路でも凄まじいタイムを叩き出していただろうというアスコリピチェーノの稽古の内容からも、どことなく、パドック気配から、距離不安のようなものを感じさせた。
昨年の強い勝ち馬・テンハッピーローズがまさに得意とした高速の1400戦を、たまにしか本気を出さない稀有な性質を加味して、速い展開と思わない、自身だけが得意にも思えた流れを完全制圧した昨年のような展開に、見事なまでの共通項を持った今年のアスコリピチェーノは、昨年惜しくも2着だったルメール騎手の気合勝ちのように思えた。 俺の腕を見くびるなよ。 メンタル面でも他を上回る2歳女王は、この最強のパートナーの勝ち気に、しっかりと呼応するように、サウジ以上に思えた豪脚を披露するのであった。
高速の展開かどうかは兎も角、外からじっくり構えて、直線勝負に徹するオーソドックスな大型の差し馬らしい豪快な型しか持ち合わせていないことを再び証明したクイーンズウォークも、川田騎手が流石であることは言うまでもないが、金鯱賞やその前の勝利となったローズSなどと比して、内で悲鳴が聞こえそうなほどに窮屈な競馬を強いられた桜花賞と前々走で小回りのロングスパート戦を自分で決断して自滅の小倉牝馬Sなどとの比較で、どうやっても、苦手な分野に適応するだけの器用さがないとすれば、こんなに単純な軸候補は見当たらない。 あのクイーンCがあったから、たちまちのうちに、桜花賞に有力馬となったのだ。
シランケドは惜しいけれども、今回はスピード勝負で極限に近いキレ味で、直線の進路取りも絶妙。 速い馬ではないから、これ以上はなかった。 筆者は来週に期待のミルコさんである。 よく頑張ったのではないか。 流石は3場バラバラで全て休み明けの中でも実力で3連勝してきたリバティ世代の大物である。
ステレンボッシュやボンドガールなどには、言い訳できる要素は沢山あるようにも思えたが、明らかに、アスコリピチェーノのスピード能力やクイーンズウォークのようなゴージャスボディ<このレースは自己最高馬体重更新の536kg>で勝負できる馬ではない。 言うなれば、もう少しだけ紛れが起きそうな展開や、もっと言えば、時計が求められない条件の方がフィットするタイプにも思う。
とりわけ、この2頭は、序盤の不利というか不運による後方進行をよぎなくされたことで無駄にまくりをかまさざるを得なくなったクイーンズウォークが大敗した秋華賞でチェルヴィニアらに続いた組。 この時期に、そのクイーンズウォークも豪州遠征でひどい目に遭っていたアスコリピチェーノなど、いいレースの後に地獄を味わったような組が、今好調の波に乗っているというのは、いかにも因果な勝負の世界らしい流れにも思える。
決して、これに挫けることはなく、普段以上にうまくいかなかったことを素直に認めながら、こうした勝ち運に恵まれなかったことに残念な思いを抱えても、今は裏の時間帯というのはよくある話であるから、流れを再び掴んだ2頭に食らいついていけば、何とかなるはずだ。 必ずしも時計勝負ではない展開での大敗は不満であっても、桜花賞前で4強とされた面々には、いつも、コンビ連動の浮き沈みのシーンが散見される。 チェルヴィニアなどと並び、ボンドガールを含めた5頭の才能に、ある意味で、まだ1年以上は、我々も振り回され続けるのであろう。
思えば、アスコリピチェーノの父であるダイワメジャーや、クイーンズウォークの父・キズナなど、クラシックレースを勝ち切った後に背負った重い責任により、幾度となく潰されていたシーンを振り返ったら、こんなものは大したことない。