天皇賞(秋)2025【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着マスカレードボール(2.7倍)2着ミュージアムマイル(7.4倍)3着ジャスティンパレス(20.4倍)
| レース名 | 第172回天皇賞(秋) |
| 日程 | 2025年11月2日 |
| 優勝馬 | マスカレードボール |
| 優勝騎手 | C.ルメール |
| 勝ちタイム | 1:58.6 |
| 馬場 | 良 |
| 3連単配当 | 15,860円 |
天皇賞(秋)2025 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
| 着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 7 | マスカレードボール | 1:58.6 | - |
| 2 | 9 | ミュージアムマイル | 1:58.7 | 3/4 |
| 3 | 3 | ジャスティンパレス | 1:58.8 | クビ |
| 4 | 11 | シランケド | 1:58.8 | クビ |
| 5 | 2 | アーバンシック | 1:58.8 | クビ |
| 単勝 | 7 | 270円 |
| 複勝 | 7 | 140円 |
| 複勝 | 9 | 240円 |
| 複勝 | 3 | 360円 |
| 枠連 | 5-6 | 770円 |
| ワイド | 7-9 | 430円 |
| ワイド | 3-7 | 820円 |
| ワイド | 3-9 | 1,890円 |
| 馬連 | 7-9 | 910円 |
| 馬単 | 7-9 | 1,390円 |
| 3連複 | 3-7-9 | 5,020円 |
| 3連単 | 7-9-3 | 15,860円 |
天皇賞(秋)2025 - レース後コメント(騎手/厩舎)
「もちろんすごく嬉しいです。天皇賞は特別なレースです。強い馬、長距離の馬、2000mの馬、1600mの馬がいて、いいチャレンジ、いい挑戦ですから、勝つと嬉しいですね。(レースの)プランはありませんでした。この馬はジリジリとしていて、スタートはそれほど速くないですからね。(今日は)スタートが良くて、良いポジション、好きなところが取れましたが、向正面からペースが落ちて心配しました。直線で長く脚を使う馬なので、切れ味を使えるか、わかりませんでした。ダービーではクロワデュノールの2着で、秋の天皇賞を勝ち、とてもレベルが高いですから、またGIを勝てると思います」
※優勝した騎手C.ルメールのコメント(マスカレードボール)
天皇賞(秋)2025 - レース結果動画(YouTube)
天皇賞(秋)2025 - 回顧
キレ馬であったビハインドザマスクの直系孫。 母父は言わずと知れたスーパースター・ディープインパクト。 動けないところでしっかりと我慢をし、少し苦しいところから解放してあげると、とにかく弾ける…、ということなのだろうが、ダービーより走っていないはずだ。 東京で末脚比べになった妙な展開は、ルメール御大のこの馬に味方した。
その末脚を生み出す気難しさは、やはり、狂気の血が潜むドゥラメンテという天才を生み出した偉大なるエアグルーヴのファミリーが持つ、危うさと共に爆発的に発揮される天皇賞向きの末脚に転換されている。
おまけに危ない馬として知られ、それも含め、血統的価値を日本人<吉田善哉氏>に見出されたサンデーサイレンスは3×3でクロスする。 久々に、本格的にエース級を送り込んだ社台ファーム産馬であるが、どこか、ドゥラメンテへの畏怖と同時に、サンデーサイレンスの偉大さを最大限引き出すべく、たとえば、今年のオークス馬のカムニャックは、この2×4を持ち、ブラックタイド×サクラバクシンオーのまさかの成功作に倣って、やってみましたという長男の言葉も聞かれたが、いつもは弟のところの馬ばかりが勝っている中で、そのG1馬をこの配合で負かしたのだから…。
社台グループにとって、エアグルーヴ<父母母>を司るトニービン、ノーザンテースト、ガーサントは、自社で輸入したヒット作の種牡馬で、その傑作がこの馬。 大切に育てた血に、狂気の違うエネルギーを加えると、極端な展開に適性を秘める馬を生むのだろう。 あのドタバタの皐月賞の1、3着馬の快走。 想像以上に、バランスが崩れていたレースだったのかもしれないと、この馬の血統表を見ながら、山本由伸投手やフォーエバーヤング号などとは違う身震いに襲われる筆者なのであった。
メイショウタバルとホウオウビスケッツには、それぞれ、特殊な技能にも精通する、競馬界きっての名手が跨っていた。 だから、戦前から駆け引きが始まったいたわけだが、本音はどうやれば自分たちが生き残れるのか…、であったことは間違いがない。 メイショウタバルは6着、ホウオウビスケッツはブービーの13着だったから、大いに失敗なのだが、こんなレース、着差が開くわけもない。 勝ち馬から殿負けのソールオリエンス<皮肉なことにこれも社台レースホースの持ち馬>まで、何と0.7秒だ。 そんな元気のなさげなかつての無敗の皐月賞馬も、上がり1位でも何でもないが、極限に近い32.9秒で上がっている。
最速は、新潟記念よりも更に決め手を繰り出した、お馴染みの追い込み型であるシランケドが記録した31.7秒。 この馬だけ、アイビスサマーダッシュみたいなラップ傾向になる、超アンバランス型の典型でもあって、大概の馬が32秒台中盤以上で上がってきたこのレースは、異様でもあったが、そんなことはあの天覧競馬となった2005年も見られたし、武豊逃げのパターンではエイシンヒカリの2015年にもあった…。
おやおや、ではないか。 こんなことになるとは、つい忘れていたかつてのドスローが、見事に10年のスパンで発生し、必ず、武豊が絡んでくる。 ちなみに、サクラチトセオーが差し込んだ1995年も、59.6秒の1000M通過。 2秒半以ほど今年の方が遅かったが、タイムはそれを0.2秒超えた1:58.6。 しかし、もう旧コースの記録ではあるが、ヤエノムテキや5歳で勝ったこのレースの記録はこれを0.4秒上回っている。
こうした歴史を全部、当事者として記憶する武豊が、まともな組み立てをするはずはなかったと、まず思い起こすところから始めないと、本当はダメなのだろう。 これはこれは、やはり恐ろしい。
ついでルメールさんも無双。 気付けば、アーモンドアイ・フィエールマン・レイデオロで2018年に決めた、10月のG1・ロイヤルストレートフラッシュ状態の3タテを、今年また再現という既視感は、もはや、春の不満爆発だった昨年のレジェンドのことを思い起こすようなものであった。
そのパートナーとなったマスカレードボールは、本当は危険な馬である。 ホープフルSも豪快に吹っ飛んでいる。 ただ、巧みに仕上げつつ、あまり無理をさせなかったものの、不安感を漂わせるマスカレードボールの佇まいは、まだ若い馬であると思わざるを得なかった。 まだ少し太かったタスティエーラや、メンバー中ぶっちぎりで大きい牝馬のクイーンズウォークらの方は、出来そのものでは大差なかったのかもしれないが、見た目の雰囲気ではずっとお兄さん、お姉さんの方がよかったが、トンデモナイスローであったから、組み立ての方は重要だった。
しっかりとスローで折り合わせるテクニックに長けたルメール騎手と、兄と実績で大差をつけつつ、どことなくまだ粗忽なところは見せる<前日の新馬戦は若馬だけに少し工夫が足らない騎乗と見た>クリスチャン・デムーロ騎手のミュージアルマイルなど、フランスで実績のある騎手が、アーバンシックのプーシャン騎手など、まとめてセットで来るのだから、そういうことだったという話。 最初から行かせようなどとは考えなかったのは、メイショウタバルがどう逃げるか、その辺りを窺っていたからだろう。 結果、ベストの仕掛けで、上がり勝負に気を遣ったヨーロッパの騎手が全部来て、スパート絶妙でも香港の予行演習をしたタスティエーラは、高速のラップが2000Mでは、スピードが足らないから、休み明けでは苦しかったが、これを、レーン騎手を使ったのがクリストフとクリスチャンだった気もする。 頭脳戦で欧州の騎手にも勝てるのは、前にいた2人だとか、また国から表彰された今週やけに多かったあのポツンおじさんだけのように思える。
その中で絶賛されるべきなのは、団野騎手に手が替わって、恐らくは最終シーズンの立ち上げから、内容如何では最後まで…、という流れをある意味で断ち切って、もしかしたらまたカタカナの…、というところまでも持ち込んで見せたジャスティンパレスへのアシスト。 とにかく、リズムはいいから、いつもどんなペースでも追い込みばかりだったのが、普通のレースで、昨年のイン強襲<坂井騎手は重めの制裁スレスレではあったがキレた>を今年も再現で、結果良し。
乗り手として、ベテランであろうとも、苦しい時期を経ているようなG1馬から学ぶことは多いわけだが、惜しいレースを久々、日本人騎手で決めて見せたあたり、最年少の騎乗者と今回なったタイミングが引退のカウントダウンが始まったレースとも重なり、価値は大きい。 明らかに斤量差の2kgが、決め手の破壊力に影響していた。 上がりのタイムが3歳の2頭と同じだったから、実は、マスカレードボールに半馬身はつけている計算になる。 自身の評価が上がるとともに、ジャスティンパレスの種牡馬として可能性、買い手が受ける印象もよくなる。 案外、こうした大物種牡馬の仔が、また意外なスターホースを出すことも多い。
そういえば、これは人伝に聞いたこと<報道ベース>なのだが、ルメールさんがブリーダーズCのメインのアレを勝った例のコンビを絶賛していたという。 結局、朝からいい気分のルメール騎手は、最終も勝って、もうリーディングが見えている状況。 なぜか、クリストフもポツンしていたが<百日草特別は天皇賞のブラフであったが、殿負けには理由がありそうでルメールの問題ではないだろう>、こういうメンタリティーを持てば、今日は最高のレースを組み立てられたクイーンズウォークの川田騎手は、更に素晴らしい騎手になれるだろう。 同じ嫉妬でも、その辺りで気分が良くなれば…。 いや、川田将雅はこの天皇賞にひと鞍入魂だった。 出来も悪くなかったが、この馬が一番、妙な展開の割を食った印象もある。 あの新潟の悪夢は、もう払拭していたように窺えた。


