マイルチャンピオンシップ2025【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着ジャンタルマンタル(1.8倍)2着ガイアフォース(8.6倍)3着ウォーターリヒト(130.2倍)

レース名第42回マイルチャンピオンシップ
日程2025年11月23日
優勝馬ジャンタルマンタル
優勝騎手川田将雅
勝ちタイム1:31.3
馬場
3連単配当52,470円

マイルチャンピオンシップ2025 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
115ジャンタルマンタル1:31.3-
26ガイアフォース1:31.61.3/4
33ウォーターリヒト1:31.6ハナ
411オフトレイル1:31.7クビ
59
エルトンバローズ1:31.7クビ
単勝15180円
複勝15110円
複勝6230円
複勝31,370円
枠連3-7340円
ワイド6-15340円
ワイド3-153,930円
ワイド3-69,530円
馬連6-15640円
馬単15-6870円
3連複3-6-1523,090円
3連単15-6-352,470円

マイルチャンピオンシップ2025 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「前回は敗れてしまいましたが、とても良い雰囲気で前哨戦を終えて、馬が良くなることを想定して、ここに向かいました。とても素晴らしい状態で連れてきていただいたのを返し馬で感じました。レースも、彼の気持ちを優先しながら、リズムを取りながら、とても良い感じで走れていました。手応え通り、とてもスムーズでした。とても良い動きができていて、西日が後ろから差していましたので、影で後ろの馬を確認したのですが、迫って来られる馬はいなかったので、勝つことを確認しました。2歳のGIを勝ち、NHKマイルカップも勝ち、日本において牡馬が出走できるマイルGIはすべて勝ちましたから、しっかりと胸を張って、この馬がこのカテゴリーのチャンピオンだと自信を持って言える競馬でした。まずは、何よりここを絶対に勝ちたいという思いで、富士ステークスも、ここも準備しましたし、こうして勝ち切れたことを褒めてあげたいと思います。繰り返しになりますが、すべて、マイルのGIすべて獲ることができました。これは一重に彼の能力の高さと、関わる関係者の日々の努力のおかげなので、またこうして勲章を手に入れることができて良かったなという思いです」

※優勝した騎手川田将雅のコメント(ジャンタルマンタル)

マイルチャンピオンシップ2025 - レース結果動画(YouTube)

マイルチャンピオンシップ2025 - 回顧

前半の半マイル・45秒台のラップについていった面々は、ジャンタルマンタルのエネルギッシュな走り、何より、凄みを増した漲るばかりの鋼の肉体に対抗するために、勝負を挑んだのだが、川田将雅からすれば、それはありがたいですね…、という直線で魅せたエンジン性能の違いは、まさに、火を見るよりも明らかという内容。 結果、何も起きなかったのは、1着の枠だけとなった。
アスコリピチェーノも、ソウルラッシュも、もう敵ではなかったと思わせる、その伸び脚の違いに、往年のマイルチャンピオンシップを沸かした名馬たちの中で、圧巻の連覇を決めたタイキシャトルの姿が、そっくりそのまま、生き写しの様に見えてしまったのは、安田記念の鮮やかな好位抜け出しの姿をもう見ていたからなのかもしれない。
ジャンタルと同期のウォーターリヒトや、オフトレイルなど、末脚自慢の面々もレースを盛り上げたのだから、それはそれで褒めないといけないのだが、今回は、ジャンタルマンタルと同じくらいだけ、2着を死守したガイアフォースを称えねばならないだろう。
少し前向きさを出した後なので、ジャンタルマンタルより先の組み立てで押し切った富士Sの内容を踏まえ、横山武史騎手は一計を案じ、押してはいったものの、無理な序盤からの踏み込みはしなかった。 このため、彼の持ちうる全ての能力を出し切ることに成功した雰囲気もある。 すっかり真っ白になった、かつてのワシントンカラーだとか、ごね得を完全理解した迷える二冠馬・ゴールドシップのような風体は、人気に拍車をかける面もあるだろうが、杉山晴紀厩舎の実力を示すように、菊花賞1番人気の転身に、4歳春の時点で成功してから、ダート移行期もあったが<昨年はチャンピオンズCで穴人気になって、筆者と共に大撃沈>、これまで見せていた末脚勝負の形から、一つ成長してくれたような、極めて濃密な、好位付けの完全マークからの2着獲りに、芯が入った印象を持った。
どこか、飛び道具的なスピード能力が魅力の中距離型の変則バージョンという印象は、春に若武者・吉村誠之助騎手を背に、最後のびてきた時以上の、迫力を見せつけていた。 ある意味、正しい伏兵の組み立てで追い上げてきた人気薄のウォーターリヒト<安田記念は5番人気>を、辛くも制した2着争いは、成長の証にも思える。 キタサンブラックはイクイノックスの父である同時に、雄大な馬格を誇ったブラックタイドとサクラバクシンオーのかけ合わせから生まれた、マイラー的な種牡馬という本質がある。 イクイノックスは母系が重厚だから、それがフルで嚙み合った。 牝系が北米系の中であたりを生んだあたり、同期のこの馬が、また人気者の後継を出す可能性も感じる。 ジャンタルマンタルの種牡馬成功は、ほぼ見えているからこそ、この馬にもそう感じるのかもしれない。
ウォーターリヒトも惜しかったが、オフトレイル同様、ひどい後方からの競馬ではなかったからなのか、とてもスムーズに運び、普段以上に高杉騎手が気合いを注入した分、大混戦の2~5着争い<1強の短距離戦の場合、レベルが高くなるにつれ、こうした光景をよく目撃する>に、ソウルラッシュに昨年決定的な差をつけられたエルトンバローズ<次の春にはもっと良くなりそうな気配であったが、よく立て直してきた・杉山晴紀厩舎>共々、今できることをすべて尽くした印象。
特に、追い込み特化のスター型になりつつあるオフトレイルは、普通に近い立ち回りをほぼ成功に等しい形で収めたウォーターリヒトなどと違い、当たりハズレはある分、ガイアフォースの様に、長く活躍してくれるはずだ。 ウォーターリヒトの次戦の戦法は難しくなった一方、前残りは難しいものの、実力者が全て、ジャンタルマーク<当たり前ではあったが、この手の面々には、トウシンマカオの男らしいペースメイクが厳しかったから、裏目であったとも言える>の恩恵を受けつつ、その他の少しだけ抑え気味の攻めの手に出て、高速の展開を凌ぎ切った組が残っているのだから、かなり、このタイプの差し馬とすれば、厳しい展開でもあった。
前走のスワンSの内容は、いかにも、素晴らしい1400巧者の豪脚に見せておきながら、もう、この結果で、来年の安田記念は狙いの中に入る。 何となく、サウジアラビアの1351Mのアレは合っていそうな感じもするが、調子が合うなら、その後の安田記念は最高の出来で迎えるはずだ。 伏兵陣に見所があったということでも、この2馬身ほど前に勝ち馬がいたということは、それだけ、ジャンタルマンタルは完成されたエースの姿を見せつけたとも言い換えられる。 ただ、荒れたという2着争いではなかったのは、とても面白いレースであったという回顧できる、最大の根拠にもなろう。

3Fからのラップが、 34.2-45.9-57.7
ただ、川田騎手は自信を持って、何も考えていないかのような組み立てで、下げるようなこともしなかったから、人気を背負った、特に外国人騎手たちは、高速戦を予期し、総マークの手に出た。 しかし、それはありがたいですね…、と、冒頭に短評で回顧したように、上がりで使える脚があまりにも違っていたのが、結果に大きく影響した。
牝馬のハイレベル戦も、中山の高速競馬になる京成杯オータムHにも勝っているアスコリピチェーノは、上がりでは33.5秒。 その少し前に入ったディフェンディングチャンピオンは33.2秒で、オフトレイル以下、高速の上がりを使った中で目立たないが、走り切った結果であったのに、わずかにコンマ1ほど速かったジャンタルマンタルに、瞬く間に突き放されてしまった。
勝ちタイムの1:31.3は、コースタイレコードであると同時に、あの肉薄したダノンシャークとフィエロの争いのレースレコードをコンマ2秒超えている。 単純なスピード競馬になったというよりは、高速の展開に乗じて、一つの死角とされたジャンタルマンタルの持ち時計・1:31.8<=それも富士Sで記録した負けタイム>への、大いなる反逆を見せたのだから、これかこれで、絶対王者を無理に絶賛することもないのだが、これによる、競馬界全体の評価さえも、ジャンタルマンタルは己の底力で変えて見せたのだから、もう褒めるところもなくなってきた。
朝日杯フューチュリティS→NHKマイル→古馬混合春秋マイルG1と連なる、日本では最高のマイルG1ハンターは、その全てを一撃で仕留めている。
このレースで輝いたデュランダルもダイワメジャーも、連覇はしているが、その前に負け星がある。 タイキシャトルと見比べてしまうのは、その姿が、まるぜそっくりであるから、まさに、全て最初の挑戦でしっかりと実力の全てを見せつける内容で完勝しているから、そう思えてくるもの仕方がない。
マイルの主要タイトルで結果を出した馬の中で、そのタイキシャトルの他、他の距離でも結果を出したオグリキャップやウオッカが、複数マイルタイトルゲットで、殿堂入りを決めているが、もう彼はその域にいる。 4歳秋でG1を4勝、皐月賞のメイショウタバル暴走のペースに展開に乗り切って、無理くり3着もあったが、香港以外で、自分の力を出し切れなかったことなど、実は、一度もないジャンタルマンタルは、そんな栗毛の怪物と同時に、果敢な挑戦を続けたオグリキャップとも印象がよく似る。 今なら、9Fや10Fのチャンピオン競走でも…。
来年は、この夏に渡仏を決めたマイル戦線というより、ロイヤルアスコットやあるいはダートのビッグタイトルを視野に入れた雰囲気。 そう意味では、阪神で連覇達成のグランアレグリアも参考になる。 タイキシャトルでできなかった中距離戦線への挑戦と同時に、そのスピードを活かしたスプリントへの挑戦を決めた藤沢和雄元調教師のように、高野調教師が柔軟な発想で、吉田照哉社長を口説くのか、またオーナーサイドから働き掛けがあるのか…。 香港マイルで満足する馬には止まらないはずだ。