チャンピオンズカップ2025【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着ダブルハートボンド(7.3倍)2着ウィルソンテソーロ(7.3倍)3着ラムジェット(12.8倍)

レース名第26回チャンピオンズカップ
日程2025年12月7日
優勝馬ダブルハートボンド
優勝騎手坂井瑠星
勝ちタイム1:50.2
馬場
3連単配当36,790円

チャンピオンズカップ2025 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
12ダブルハートボンド1:50.2-
28ウィルソンテソーロ1:50.2ハナ
37ラムジェット1:50.62.1/2
43メイショウハリオ1:50.6アタマ
59アウトレンジ1:51.02.1/2
単勝2730円
複勝2250円
複勝8230円
複勝7320円
枠連1-41,420円
ワイド2-8910円
ワイド2-71,680円
ワイド7-81,010円
馬連2-82,300円
馬単2-84,160円
3連複2-7-88,700円
3連単2-8-736,790円

チャンピオンズカップ2025 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「本当に素晴らしいの一言です。牝馬でここまでなかなか順調には来られなかったのですが、一歩一歩ステップアップして、GIにたどり着くだけでも凄いことですが、勝つことが出来て嬉しく思います。追い切りでは反応が今一つかなと思いましたが、おそらく馬がレースで本気で走ればいいと分かっていたのではないかなという感じで、強いダブルハートボンドの力を見せてくれました。レースではそれほど位置を決めていたわけではなかったのですが、内の馬の出方と外の馬の感じを見ながら進めました。3、4コーナーの雰囲気が良かったので、しっかり自分の力で走ってくれるのではと思いました。しっかり脚を使ってくれましたし、力を出し切れたかなというところで、内からウィルソンテソーロが来ましたが、そこからもう一踏ん張りしてくれて、本当に彼女の頑張りのおかげです。僕の3連覇というより、この馬がGIホースになれた、牝馬で10年ぶりに勝つことが出来たということは大久保厩舎のみなさん、牧場を含めた関係者のおかげだと思います」

※優勝した騎手坂井瑠星のコメント(ダブルハートボンド)

チャンピオンズカップ2025- レース結果動画(YouTube)

チャンピオンズカップ2025 - 回顧

60秒ほどの1000M通過は、予想された範囲の中の、少々期待外れに近い、いくらか遅めの展開に思えたが、にしても、どう考えても、疲れが残っていることは明らかな紅一点・ダブルハートボンドが、一応はスタートを決めて、流れにも乗ってきたのだから、それはそれで驚きである。
ただし、筆者のダブルハートボンドをデビューの未勝利戦から見てきた総合的な評価とすると、門別で武豊に、前回は川田将雅に…、かなり苛め抜かれた中で、それには屈しなかったという凄まじい闘争心を見てきていたものだから、もはや、個の能力に関しては、注文を付けるところが見つからないほどのレベルであったというところも見られたので、どう考えても、前の捌きが悪い歩様であったものの、陣営は、調教の動きが思わしくないという匂わせの負けフラグを立てていたほどで、本番の返し馬での準備運動にかなりの重きを置いた予定を、早い段階で立てていたように思われたから、当然、そうなると思った。 まさに、坂井瑠星騎手の所属する矢作厩舎の三冠馬・コントレイルがジャパンCで負けることになった時のパドックから、返し馬の雰囲気がこれだった。 もっと動きは悪かったが、結局終わってみれば、普通の年なら勝っているくらいのパフォーマンスである。
結果として、何かに追いつめられることになったわけだが、外から、とんでもないところで、メイショウハリオ=武豊騎乗が押し上げ来た。 百戦錬磨の騎士でもあるレジェンドは、戦う形を、より古馬有利な消耗戦に転ずることで、ラストシーンをより美しいものにしようと、ファンも納得の速攻で、一気に攻め落とそうと、いわばアドリブをかましたわけである。 が、ダブルハートボンドは動じなかった。 4コーナー馬なりで、直線ほとんど先頭で、日本の、世界のダートの混合G1を勝てそうな手応えで上がってくる牝馬はなかなかいない。 さすがに、手応え通りの伸びではなかったが、そこでそのように振る舞うのだから、完調ではないことは明らかな牝馬のそれの常識は、もうその時点で軽く、我々のつまらないレベルのものを破壊していったことになる。
心憎いのは、武豊だけではない。 意地でも、左回りの高速戦で結果を出さねばならないと、策を練ったような感じのウィルソンテソーロ=川田将雅は、そこまで外枠ではなかったことと、あまりうちの方がゴチャつかなかったという、昨年とは違う展開になったことも、そうなるはずと確信を持ったのか、経済コースを通って、内から差し込んできたのである。 昨年はムーア騎手が、このようなタイトなコース取りでドゥラエレーデを押し上げてきたのだが、それよりは、もっとG1馬らしい古馬の意地のような追撃で、やや伸び掛かりそうでもうひと押し欲しいはずのダブルハートボンド=坂井瑠星に、堂々と、食って掛かったのである。 確信をもって、川田は勝てるはずと追っていたはずだ。 ところが…。
ダブルハートボンドの闘志にもう一段上の勝負根性のような、特別なオプションが残っていたのである。 距離にいくらか不安のある、鞍上公認のマイラーであるウィルソンテソーロは、パワー勝負では負けなかったが、川田騎手はレース後潔く、他の15頭一緒に帰路についている。 口惜しいはずだが、正直、これで差し返されるのだから…、と、舌を巻いたはずである。 きっと、記録されている映像と音声にそれの証拠が残されているはずだ。 もはや、ここまで来ると、よくわからないレベルの何かを持っているような気もするが、筆者も調べ上げてきたから、そのファミリーの特別な魅力の一部分であると、負けを覚悟しつつ、スローで見ると見事に残している姿を見て、これはやはり、特別なパワーを秘めた本物のスターなのだと、理解したのである。
そういうものを、多くのファンはナルカミに求めたのかもしれない。 ただ、左回りに不安があるという陣営の発言は、ともすると、オーナーサイドへのけん制に思えたが、マッチョマンになったレモンポップ化目前のスーパーボーイは、やはり、まだまだ中身が未完成であったという完敗であった。 勝負所までは想定の範囲だが、よく、JBCクラシックの勝ち馬が、序盤で出脚がつかず、少し置かれることで、外に振り回されやすい中京の特性から、差し届かずどころか、揉まれ込んで、先行馬ほど不発に終わるという定番のシーンを回顧する例年通りのアレに終始した。
これの勝ちパターンを、武豊騎手の早まくりで完全に潰したようなところはあるが、左回り巧者というか、時間をかけて、東京を中心に馬をじっくり育てていったレモンポップとは、明らかに、内面的なものを鍛える時間が足らなかったからこそ、筆者は、ハナを奪い切ると思われたが、馬にあまり負担をかけることを好まない戸崎圭太が騎乗しているのである。 これはこれで、認めてあげるべき、主戦としてのアシストのように感じた。 同期のナチュラルライズも、ここに出てきたルクソールカフェも、まだ、横綱に挑むほどの候補として、絶対的なスピードで圧倒する総合力を持ち合わせていなかった。 正直、G1級とそれ以下の全ての競走では、番組が限られる日本において、まるで格の異なる競馬になることは間違いない。 大いに勉強になる一戦にもなった。 ただ、未完成なだけである若武者の奮起に期待するのみである。 才能では、上位馬に引けととることはない。
ちゃっかり対抗に推したラムジェットの3着は、少しうれしいところもあった。 メイショウハリオの果敢な勝負に、いくらか、展開的にも有利に立ち回れるという追い込み型にはありがたいアシストはあったとはいえ、前走のみやこS<京都で走るのは、圧勝のユニコーンS以来だった>で、滑るような馬場で、苦手にも近い高速の流れに食らいついて、外から4着まで追い上げてきたのだから、終わったのではないか…、という下馬評はいくらか覆して、G1ジョッキーとして振る舞えるようになった三浦皇成、勢いに乗っての、またユタカを競り落としての先着は、これも少しにやけてしまうシーンとなった。
その他見どころ多数の組み合わせでありながら、ナルカミ同様に、どうなのかしらこれは…、という感じだったのが、盛岡で初ダートを経験して、ルメール継続で人気にもなったシックスペンス。 何だか、ダービーで川田騎手に替わった時の、ドスローで掛かり通している姿のように見えてしまった。 出来は良さそうに思えたが、得てして、そういう時に攻めの手に出ると、面白いほどに掛かってしまう。 その仕掛けという概念を当てはめようのない挑戦的すぎる挙動は、哀れにも、強敵があまりに多すぎて、自身に秘める抜き差しならぬ表裏一体の体質的死角を抱えることも相まってか、勝ち運に恵まれない馬の悲しい負け姿に思えた。 血統的にもダートはOKであるが、残念ながら、ダブルハートボンドが常に体質面に不安を抱える中で戦い続けられているのとは対照的に、マッチョマンが脚部への爆弾のようなものを抱えることのジレンマが、この上ない形で見られたというのも、少し残念だった。
少し前には、このレースで3歳時に、無敗の桜花賞馬であるソダシが出てきて、砂をかぶってアウトだったのだが、続けて使ったフェブラリーSは、渋残りを味方につけて3着。 ただ、ヴィクトリアマイルをその次に勝つのだから、芝向きであったということになる。 シックスペンスは、高速になりやすいワンターンの盛岡・渋馬場での好走実績が認められたから、それは評価の対象にもなるのかもしれないが、ここに至るまでの評価で正しいのは、結局、G1実績のある面々に加えて、ハードにダートでしごかれてきた若き挑戦者のダブルハートボンドだけだったのかもしれない。 好走のアウトレンジも、早仕掛けのミッキーファイトを追い詰めて、かなり際どいシーンを帝王賞で作っている。
ハイペースの経験をとやかく言われるのが、G1レースの常。 この課題を先行馬ほど、実は克服しなければならないことを思い知らされたが、ダブルハートボンドだけは、破格のレース内容を印籠代わりにして、G1でも堂々の立ち回りである。 本当はもっと、いい状態であるならば…。 そう思わせるハナ差勝ちに、牝馬だったからというだけでなく、末恐ろしいものを見た気もする。 とんでもない牝馬が現れ、彼の日のホクトベガと並び立つ日も近い気がする。