日本ダービー(東京優駿)2025【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着クロワデュノール(2.1倍)2着マスカレードボール(6.8倍)3着ショウヘイ(14.4倍)
レース名 | 第92回日本ダービー(東京優駿) |
日程 | 2025年6月1日 |
優勝馬 | クロワデュノール |
優勝騎手 | 北村友一 |
勝ちタイム | 2:23.7 |
馬場 | 良 |
3連単配当 | 8,460円 |
日本ダービー(東京優駿)2025 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
---|---|---|---|---|
1 | 13 | クロワデュノール | 2:23.7 | - |
2 | 17 | マスカレードボール | 2:23.8 | 3/4 |
3 | 2 | ショウヘイ | 2:24.0 | 1.1/2 |
4 | 18 | サトノシャイニング | 2:24.1 | クビ |
5 | 3 | エリキング | 2:24.3 | 1.1/4 |
単勝 | 13 | 210円 |
複勝 | 13 | 110円 |
複勝 | 17 | 190円 |
複勝 | 2 | 300円 |
枠連 | 7-8 | 420円 |
ワイド | 13-17 | 280円 |
ワイド | 2-13 | 620円 |
ワイド | 2-17 | 1,310円 |
馬連 | 13-17 | 560円 |
馬単 | 13-17 | 870円 |
3連複 | 2-13-17 | 2,990円 |
3連単 | 13-17-2 | 8,460円 |
日本ダービー(東京優駿)2025 - レース後コメント(騎手/厩舎)
「僕がダービージョッキーというよりも、クロワデュノールがダービー馬となれたことが何より嬉しいですし、そこに最高のエスコートをできたことが一番良かったと思います。一言では表せないのですが、ここに至るまでの過程すべてに意味があったのだということを感じています。こうして全て、巡り合わせで勝たせていただいて、クロワデュノールとの縁があったこと、全部繋がっているのだなと感じます。僕の思いは一点だけ、馬を信じること、自分を信じること、信じるという点だけです。本当に、馬とずっと人馬一体になれていたような気がして、余計なことをしなくても馬がいいリズムで走ってくれていました。絶対伸びると信じていましたし、手応え通りといえばそのとおりなのですが、信じた結果がこうして1着に結びついてよかったです。まだまだ伸びしろを感じていますし、もっともっとクロワデュノールという名前が世の中に知れ渡ってほしいと思います」
※優勝した北村友一騎手のコメント(クロワデュノール)
日本ダービー(東京優駿)2025 - レース結果動画(YouTube)
日本ダービー(東京優駿)2025 - 回顧
クロワデュノールの血統
パドックの気配からして、ホープフルS以上の雰囲気であり、どういう勝ち方をするのかに、ファンの視線は集まっていたように思う。 ただ、競馬というのは、強かに椅子取りゲームを数度繰り返す中で、出来る限りの最善手を選択し続けることが求められる。
ところが、その辺りの遊びの部分に、前走と比して、明らかな馬の出来の違いを理解する北村友一騎手は、普通のプラン通り、掛からないようにしつつ、いつでも好位置につけられる自在性と器用さというより、天性のスピード能力を活かしきれる、馬自身のポテンシャルの高さが、今日、この才能を遺憾なく発揮できるクロワデュノールの絶対的な能力の差は、やや強気にも思えるスパートでも、他が崩されてしまうほどの迫力があった。
ユタカさんがここにいるなら大丈夫だ、というのもあっただろう。 結果、その通りとなったはず。 勝たねばならないのだから、脚を余すわけにはいかない。 ダービーを勝っていない騎手は、これでいいのかもしれない。 いつも必死のファイトの先に、栄光のゴールがある。 北村友一という騎手は、馬に選ばれたという幸運もあるが、そのチャンスを完璧にものにした。
相変わらずだったルメールも奇策を信じて先行の手を打った武豊も、あっさりとねじ伏せたのだから、自分を少しくらいほめてもいい。 他のレースでは、自然と差されるものだが、ダービーでは不思議なほど、相手の方の脚が上がるのだ。 このレースを何度観戦しても、そうした不思議に出くわしてきたが、それだけ、勝ち馬はいつもフロックではないということなのであろう。
マスカレードボールの急追は、支持者も多かっただけに、皆が期待したものであったが、正直、並びかけて、どうにか競り合いに持ち込もうとしたところでゴール。 坂井瑠星騎手も渾身の手綱で、ダービージョッキーになるという予告を現実のものにしようと奮闘したものの、これも最高の2着に止まったように、並びかけたところで、その勢いは止まっていた。 まだ直線が続いているという仮想は、よくこの手の解説をする流れで常套句の様に飛び交うそれであるが、これも例に漏れず、勝ち馬の圧倒されたように思えた。
あのホープフルSでは、左回り実績だけを差し引かれたような4番人気。 共同通信杯では小差であったものの、たちまちのうちに、あの惨敗はなかったことに…、という1番人気であった。 この2頭に関しては、最初から力通りに走れれば、何も心配はないという感じだったのだろう。
昨年はエピファネイアの仔が、キズナの断然支持だった代表産駒に一矢報いたダービーになったが、キタサンブラックが初めて失速したダービーを勝ったのは、何を隠そう、マスカレードボールの父であるドゥラメンテであった。 今年もこの歴史は繰り返され、親仔3代ダービー制覇の予測図は、何となく、その後にクラシックを走った世代に受け継がれそうな予感もした。
坂井瑠星騎手は真っ先に、北村友一騎手へ祝福の言葉を伝え、握手を求めた。 簡単には、血統のイメージ通りにはいかない結果が、最近は、あっさりと夢が叶うような状況になって、そうしたことに気づかないこと多いが、最大限の敬意こそが、勝ち運を呼び込む最短手であることを、俺の馬としたフォーエバーヤングと戦いづけている瑠星騎手は、今最も、大事なことであると理解していたように思える。 おじさんはそこに、グッときたのである。
筆者は予てより、シンコウラブリイ一族の男馬の怪しい気性に関し、折に触れては、要注意のフラグを立てていたのだが、体調何とかキープに思えた皐月賞快勝馬・ミュージアルマイルが、しっかりとした戦いをする前に、レーン騎手が今後を案じた競馬に転じたように思えたのは、少し痛々しくもあった。
大きく敗れたという6着ではないが、ほとんど逃げ馬のラップを築いて、他の脚を奪ったようなクロワデュノールと北村友一の黄金コンビに対し、この急造コンビは、揉まれることは皐月賞で経験したものの、本質的に、速さということ以前に、気性面でのコントロールの難しさ<=外枠を引いたサトノシャイニングの武豊騎手が先行して、形作りを優先したのと、この戦法の着想はほぼ同じ>を抱える、どうしても前向きさを抑えることへの不安を抱える馬だったからこそ、パドックから出て行って、時の経過と共にひどい状況になるというほどではなかったものの、比較的、内面は幼いように見せるライバルに対し、見た目にも、掛かりそうな雰囲気があったという時点で、タスティエーラの再現は断念したようなところがある。
したたかに勝ちに出たルメールのショウヘイが、友道流のダービーメソッドにしっかりと則した仕上げで、何か、端からこの中2週ローテを想定していたように、<彼のデビュー時にはすでに、クロワデュノールは東スポ杯で調教代わりに重賞勝利を挙げていた>新馬から中1週ローテを経験させている。 いずれも初の東京の関西馬だったが、諸々、皐月賞で勝ちに出た結果、うまいことモレイラを確保して、勝ち切ったという幸運は、ダービーの前に必要以上に使ってしまったものが多かったのだろう。 何となくだが、ミュージアルマイルの一番の狙いが皐月賞での、アップセットであったように思う。 その通りの結果だと思えば、上々のダービーにも感じられた。
見栄えはクロワデュノールにも負けないグッドルッキングホースであるエリキングは、出来に対する自信もあったのか、川田騎手にしては、策を弄したような後方一気の策。 もっと、前が怪しいくらいにやりあって、何なら、それにクロワデュノールに巻き込まれてくれたなら…、というのは、香港Cの対ロマンチックウォリアーのリバティアイランドとそっくりだった。
十分に世代エース級になれそうな迫力が、皐月賞を使ったことで、ようやく、連勝し始めたころの雰囲気に戻った印象もある。 中内田厩舎としても、単純に、高額取引で藤田オーナーが手に入れた良血であるということ以上に、単に、この馬の才能を評価しているからこそ、クロワデュノールに対する正確な評価が、この競馬に繋がったように感じる。
内枠は悪くはなかったレディネス、ファンダムらも、これと似たレースの組み立てを、敢えて選んだようなところもあるが、前者とキタサンブラックと同じ年明けデビューという死角、後者は、無敗であるがゆえに、死角そのものに見えない部分があることで、丁寧な組み立てに終始したが、この中でハマったのは、やはり、スケール感で上回ったエリキングだけであったのだろうというだけのこと。 実績十分の名手は、才能の無駄遣いはしない。 能力を遺憾なく出しておきながら、まだ余裕が感じられたクロワデュノール相手に、120%を求める手に出なかったのは、至極当然のことである。
力でねじ伏せるという正攻法の一手で、キレ味優勢のダービーの傾向に照らして、決め手比べで屈するという、皐月賞の再現か、それ以上に怪しい結果を期待する穴党もある程度見られたが、良馬場に回復することを、どことなく、全ての陣営が望んでいるかのように、期せずして、特別戦を行う時間帯なってから、思われた以上の馬場状態で、理想のダービーが行われることになった。
件の上位勢の実績、ショウヘイは陣営の百戦錬磨ぶりが遺憾なく発揮されたダービーではあったが、渋残りであったことを含めて、このダービーに、時計の水準云々を求めると、殊、クロワデュノールはクロノジェネシスの経験を活かすため、また、坂井瑠星騎手が乗ってくれそうなマスカレードボールもフィエールマンで得た大切な蓄財も備えるからこそ、彼らの才能の発揮の場所は、必ずしも、国内とは限らないだろう。 むしろ、速すぎないこの2:23.7は、昨年の2:24.3と比して、世界レベルの戦いに向けた試金石ともなったと言える。
一応、力は十分に国際競走級に思える、特に、この上位2頭に関し、この結果が今後の発展、それは自陣だけでなくして、国内外の競馬そのものの盛り上げに役立つと信じられる。 あのクロワデュノールがいてくれたからこそ…、そう思えるような吉報が、また届く日は近いだろう。 エリキングとミュージアルマイルの評価は、そこで下げるべきではないのだろうとも思った。 勝ち馬が少し強すぎただけである。