ホープフルステークス2017 予想
色々考えたが、新馬戦の勝ちっぷりからも、藤沢厩舎のフラットレーは、スケール感が抜けている印象を受ける。
タワーオブロンドンは詰まっていたローテよりも、馬の調子に対して、的確に使えるレースを選択していった結果、本番前に上がってしまった格好だが、今回は人気面の重圧から多少解放されるフラットーは、かなり自由に、勝てるポジションをルメール騎手がついてくる可能性がある。
どうしたものか、という前走の内容は、どうやら筆者との結論の出し方の相違点はあるにしても、陣営はしっかりと理解した上で、ここは完全なる格上挑戦であることは間違いないから、同じことを考えているのかもしれない。
母はこれまで4勝以上挙げた馬を4頭も出している。
ただ、その父ヘイリングなど、イギリスで走るのに適した血が重ねられているにも拘らず、ゼンノロブロイのバウンスシャッセ、アドマイヤムーンのムーンクエイクなど、国内では少なくとも道悪でプラスアルファがある種牡馬の仔であったのに、前者は不良の札幌2歳Sでの惨敗など、3度あった道悪でのレースで、悉く負けているのだ。
兄のムーンクエイクも、相手強力の組み合わせながら3度とも完敗。
思われているよりも、その血筋が持つ道悪適性というのはアテにならないところは、同僚のソウルスターリングでも同じだった。
気性の問題もあるだろうし、重の鬼血統の塊であるホークウイングの持ち込み馬・ホーカーテンペストが稍重以上の平場で3勝しているのとは、別のタイプと考えれば、あのアイビーSの不発は案外ではなく、予想通りの結果と言える。
新馬戦は後方待機策から、直線までじっくり待ってからの弾けるような豪脚で圧勝。
この時が札幌の稍重だったから、東京でも…、とはいかないのが、この兄弟の難儀なところ。
大きな体ではない、少なくとも最初から500kg超えだったバウンスシャッセとは、少し機動力の差もあって、しかし、姉は正月開催のこの条件で好時計のおまけつきの牡馬完封から、オークス好走に繋げたこともある。
似た者同士。そして、この兄弟の中で最も優秀な種牡馬であろうハーツクライの血を受けたフラットレーは、実のところ、完成度でもレイデオロ辺りなどより上回っているのではないだろうか。
順調に東京で賞金を確保して、来春に備えてまた東京から…、の青写真もあったはずだが、今年も手駒豊富な陣営が、ただ使い分けで使ってくるようなレースではない。
良馬場間違いなしの中山で、どんな決め手を繰り出すのか、阪神Cの日辺りから春の超絶技巧が戻ってきたルメール騎手の手腕と合わせて、一気にクラシック候補に上るような衝撃的なレースの再現を期待する。
ややタフさを増した暮れらしい馬場状態は、大いに歓迎である。
相手筆頭は迷わずタイムフライヤー。
順調に使われ、大崩れしないキャラクターは、完成期の叔父・タイムパラドックスのそれそのものだ。
小回り向きの器用さも、血統の割にエンジンの掛かりがスムーズな点も、十分に勝機のある一戦といえる。
裏を返せば、このハーツクライ2頭を負かすのは、今回このメンバーでは、そう簡単ではないとも言える。
これを超える存在はすなわち、皐月賞の最有力候補である。
◎フラットレー
○タイムフライヤー
▲ジャンダルム
注リュヌルージュ
△サンリヴァル、シャルルマーニュ、ステイフーリッシュ、ルーカス