ホープフルステークス2021年【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着キラーアビリティ(3.1倍)2着ジャスティンパレス(8.8倍)3着ラーグルフ(29.8倍)
レース名 | 第38回ホープフルステークス |
日程 | 2021年12月28日(火曜) |
優勝馬 | キラーアビリティ |
優勝騎手 | 横山 武史 |
勝ちタイム | 2:00.6 |
馬場 | 良 |
3連単配当 | 27,610円 |
ホープフルステークス2021 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
---|---|---|---|---|
1 | 5 | キラーアビリティ | 2:00.6 | - |
2 | 8 | ジャスティンパレス | 2:00.8 | 1 1/2 |
3 | 3 | ラーグルフ | 2:01.0 | 1 1/4 |
4 | 13 | フィデル | 2:01.1 | 3/4 |
5 | 9 | ボーンディスウェイ | 2:01.1 | アタマ |
単勝 | 5 | 310円 |
複勝 | 5 | 140円 |
複勝 | 8 | 240円 |
複勝 | 3 | 490円 |
枠連 | 3-5 | 1,130円 |
ワイド | 5-8 | 510円 |
ワイド | 3-5 | 1,100円 |
ワイド | 3-8 | 2,270円 |
馬連 | 5-8 | 1,270円 |
馬単 | 5-8 | 2,160円 |
3連複 | 3-5-8 | 7,680円 |
3連単 | 5-8-3 | 27,610円 |
ホープフルステークス2021 - レース後コメント(騎手/厩舎)
「2週連続で調教に乗せていただき、走る馬と感じていました。口向きの難しさの不安もありましたが、リラックスしていいポジションで走ってくれました。1、2コーナーで(ハミを)噛んだけど、向こう正面で思ったより早く(力みが)抜けてくれて、これなら…と思いました。(有馬記念を勝ったエフフォーリアと)同じオーナーさんで、エフフォーリアも強かったけど、この馬も強かったです。感謝しています。まだ子供で後ろ脚(の力)もまだまだで、気持ちだけで走っているところもあるのでオンとオフがはっきりしてくれば、もっともっと走れる馬だと思います。(自身は今年GI5勝目)年間100勝とGI制覇を目標にしていましたが、想像以上に勝たせていただき、関係者のみなさん、頑張ってくれた馬に感謝しています」
※優勝した横山騎手のコメント(キラーアビリティ)
ホープフルステークス2021 - レース結果動画(YouTube)
ホープフルステークス2021 - 回顧
まるでエフフォーリアの皐月賞を見ているようで、結果的には、かつてこのレースを楽に勝ち切って、翌年の更なる飛躍へと繋げたコントレイルのようにも見えた。
勝ち切ってみせたキラーアビリティは、ランクが違ったという雰囲気がある。
横山武史騎手が、土曜日の不体裁にも近い失態を鮮やかに、翌日と次の開催日の大レースで100倍返し。
人馬ともに、魅力あふれる天才型であることは、これにより天下に知らしめることとなった。
どこからどう見ても、隣のビッグボーイ・コマンドラインとは同父ディープインパクトであるながら、姿かたちだけでなく、闘争心や競走意欲が既にタイトルホルダーに相応しい結果にも思える。
実質、連日のG1制覇というのは、ホープフルSがG1となってからは、実は初の出来事である。
有馬記念が超ハイレベルと呼べるほどの時計の勝負にならなかったから、現状の馬場状態でレースレコードである、
「2:00.6」/ 奇しくも、運命の馬・エフフォーリアと制した皐月賞と同タイム
で制しただけでなく、レースラップについても、
60.1−60.5<上がり3F:36.3秒>
再び血統にコネクションが生ずることで登場のコントレイルが、タイムフライヤーと同じ2:01.4で駆けた時は、
60.9−60.5<上がり3F:36.4秒>
位置取りがコントレイルとほぼ同じで、追った分のというか、より負荷が掛かる展開でそうせざるを得なかったとはいっても、一昨年とほぼ同質の馬場でありながらこのタイム。
もはや、この勝利によって夢が広がるどころの話ではないが、これより、僅差ながら2番人気以下の馬がG1・ホープフルSを初制覇したことになる。
後のダービー馬も1番人気ではないことの多かった、前身・ラジオNIKKEI杯2歳Sと同じような発展力を持つ馬の勝利を、今後とも、ファン、関係者が歓迎するようなレースへと再び成長を遂げたとしていいだろう。
前走負けていた馬ではなかなか勝てなかったレース。
この結果で、朝日杯組との熾烈な戦いになることは必至。
距離適性で結果を残したキラーアビリティが、前走の萩Sで敗れたのがダノンスコーピオン。
これから先も長く、ずっとライバルになりそうなロードカナロア産駒は、肝心の本番で3着。
上には2頭いて、ダノンと同じで2戦2勝の馬だった。
思われているより、朝日杯の方が中身が濃いともできるから、全然速いレースについていけなかったジオグリフまでがライバル。
久しくなかった、ハイレベルの牡馬戦線となるクラシックが始まったのである。
無難なレースというか、正しいポジションを在るべき形の通りに、自分が最も自由になれる好位ポジションを最初の重賞で、G1で取れるのというのは勢いとか才能とかそういうことよりも、そういう星の下に生まれた選ばれし者である可能性も示したのだから、恐れるものさえもなくなった。
自分の型を大舞台で手に入れ、更なるテーマをハイレベルで設定できるようになった今、暫し後ろ髪を引かれる思いでクロノジェネシスを走らせ終わった斉藤崇史厩舎にも、また早い春の訪れとなった。
この天才が示したエフフォーリアとコントレイルの合体パターンは、まだこれで4戦2勝の戦績。
負けを早くから知った暴れん坊も、前々走で小倉2000の未勝利戦を独走・1:59.5の快時計が、改めてクローズアップされ、大いなる記録して当地に残る。
これは、様々な意味で単なるG1制覇ではないのだ。
キラーアビリティの血統。
こうして早くから記録を作る馬を生み出したとなると、決まって母父父・Araziの名前が躍り出てくる。
アラジは2歳時に調教国であるフランスで2歳王者になると、返す刀でチャーチルダウンズで行われたブリーダーズCジュヴェナイルも圧勝。
腕白坊主の証として、3歳春のケンタッキーダービーで連勝が止まるまで、8連勝の中で3馬身以上の差をつけ圧勝のレースが6度という、往年のマルゼンスキーとそっくりな記録を持つ。
その代表産駒であるCongareeは、北米ダートのマイル戦を中心にG1を5勝した活躍馬であるし、またその産駒として2歳のオールウェザータイトルを得た1頭に、キラーアビリティの母キラーグレイシスが登場する。
何だかんだで、この系統というか、母の代におけるそのラインの傑作が居並ぶ豪華な配合なのである。
それをディープインパクトで締める。
こうなると、小倉で大暴れの圧勝が出てくるのは自然なのだろう。
アラジではなく、古馬になってむしろ活躍のコンガリーになりたい。
今のところは、母よりもコンガリーの雰囲気に近い。
一方、母系を辿れば、7代母が大種牡馬・カーリアンの祖母であることで、その血は大いに筋の通ったものとできる。
大きな括りでは、再三引き合いに出した三冠馬・コントレイルと同系のラトロワンヌの末裔と括られ、キラーアビリティの方が一代進んで11代母として彼女の名が出てくる。
バックボーンは大切にしつつ、ディープインパクト系の扱いはあまり自身に注目はア集まらないことをいいことに、いい加減な競馬を繰り返しても、同族・コントレイル同様、肝心要の最重要戦で結果を残す偉大なる存在となってほしい。
この分は、全てコマンドラインに期待した筆者とすれば、やや期待外れの結果だったとも言えるわけだが…。
殊更、勝ったキラーアビリティを褒め称えたのは、あまりにも残念なスタート前から不穏な感じであったコマンドラインの、実に情けない結果があってのこと。
みんなキラーアビリティの前には、ルメールさんが乗るコマンドラインがいて…。
全てを引き受けるように、序盤から快調のキラーアビリティに対し、何度かスタート直前にもぞもぞしていると、案の定という感じで、煽ったようなスタート。
オワタ…、である。
展開的にはそれでも、差しようのあるというか、ディープなんだから好転の、怪我の功名とでもして豪快に差して来ればいいのだが、直線も進路を失うというか柔軟に立ち回れないというか、幼い面と大型馬の死角が同時発生。
あまりにも残念で、ルメールに同情である。
こんなはずでは…。死角はどこかにあるというのは2歳馬には当然ある話なのだが、いかにもそういうことをやらかしそうで自信の切りだったキラーアビリティの方が、ちょっとでも人気が手控え気味の勝者が自信満々だったレースぶりに、今年最後のJRA・ビッグレースで、寒々しさ満点であった。
そりゃ勝てないわな。
最終レースのルーカス<かつてホープフルSで大いに人気になったモーリスの全弟>でも敗れたことで、200勝トライアルは未完に終わり、年初からリセットである。
両者、もっと空気を読んでもらいたい。(笑)
クリスチャンが若さ丸出しのジャスティンパレスを2着に持ってきたが、これはコントレイルの時のヴェルトライゼンデ<妙なところで再び話題のO.マーフィー騎手>と同じで、冷静に考えれば、太刀打ちしようにも基本能力が違うのでは仕方なしの完敗2着ともできる。
何も3戦目で絶望することはないが、ルメールさんのお手馬だったものをあっさり手放したというか、様々な尺度で乗れなくなって、また鞍上が戻ると言えるほどの結果だったかと言えば…、という次元の話。
来年はキラーアビリティを離さないだろう<実はデビュー戦はルメールという因縁>武史騎手とは違い、ずっと乗ってくれるはずの丸田騎手のラーグルフが上々のプラス体重で好走とは、やはりバックボーンが違うからなのか、少々厳しいものがある。
ディープはディープで細かくランク付けされるし、当然、その活躍馬の多くはノーザンファームを中心とした一大勢力の采配によって運命を分かつ。
サトノヘリオスがコマンドラインと同じくらいこけてくれたのはよかったが、似たようなスピード能力の実績十分であったキラーアビリティに敗れてしまうと、やはり位置付けが際どくなってきてしまう。
この辺りは案外厳しいものである。
所詮は、兄弟馬の話なのだが、ディープインパクト産駒となると小さなところで止まるようなことはない。